さなぎから羽化して成虫へ
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水中から上陸する幼虫

私の住む地域(大分県)では、3月下旬から4月の上旬のちょうど桜の花が咲く時期の、水温が気温と同じくらいになるころ、雨の降る日か降ったあとに、それまで水中にいて大きくなったほたるの幼虫が、水から出て土の中にもぐるために、自然の川や井手などでゆっくりと移動しながら上陸します。上陸時には、背中側にある2個所の発光部を、ときどきピカーッと発光させつづけるので、夜の暗くなった時間帯には見つけやすくなります。土を入れた容器で観察してみると、一部の幼虫は昼間は土に潜り、夜の暗い時間帯になると、再び外に出てはい回るものがいます。それらも1週間ほどで、土に潜って出てこなくなります。
雨の降った後の、土が軟らかくなったところを探して5cmほどの深さにもぐりこみます。そしてからだのまわりを固めて土まゆをつくって、その中でじっとして過ごしながら、やがてさなぎに変態します。

土の詰まった土まゆ

これはホタルが這い出したあとの土まゆを掘り出して調べているところです。ほとんどのものが深さ3〜5cmほどのところにあります。この土まゆの中にいたさなぎが、ホタルの成虫となつて這い出したときの土が詰まっています。

土まゆ

 それまで水の中で成長してきた幼虫は、3月下旬から4月上旬にかけて、雨が降る(降った)日の夜に上陸して、土の軟らかいところを探して、土に潜って土繭をつくります。

  4月上旬に雨が降りましたが、その夜に飼育地の庄内町で上陸中の幼虫を自宅に持ち帰り、観察用の箱の中でこの土繭を作ったものです。
  5月上旬に土をていねいに取り除きながら、土繭を見つけて撮影しました。割と丈夫に土を固めて作られているので、ご覧のようにまゆの形がはっきりあらわれてきます。
この日にすでに幼虫がさなぎに変態していました。蛹はこの中で頭部を上にして過ごしています。
この中の様子は、土まゆの横側の一部を取りのぞいていますから、土まゆの断面が写っています。


 

 幼虫がさなぎに変態しました
土まゆの中の幼虫

これはホタルの幼虫が土まゆの中にいる様子です。5月初めに土をていねいに取り除きながら、土まゆのある場所を探しました。観察しやすいように、土まゆの上前側を一部分取り除いてあります。これはさなぎになる直前日に撮影したものですが、まだ幼虫の姿をとどめています。

これを入れてあるケースは、空気にふれる部分をラップで包んで乾燥しないようにしてあります。

さなぎに変態したばかり

これは5月6日にさなぎに変態したものを同年5月7日に撮影した写真です。このように黄色になります。変態の瞬間を見たいと、気をつけていたのですが、2時間ほど前までは幼虫の姿をしているのを確認していますので、変態に要する時間は短いです。この時期以降はからだの大きさや、さなぎの発光部の違いからメス・オスの見分けがつくようになります。右上の小さな穴から別のさなぎが見えています。

この時期には、私が観察しているほかの幼虫も次々とさなぎに変態しています。これからみると、このケースに入ったもので最もはやいものは今年は5月11日から成虫になつて出はじめました。この年は私の育てている川では5月20日頃からホタルが飛び始めました。

蛹室の様子

さなぎを取り出して撮影したときに、左下にある土まゆの中の様子を写真に撮りました。幼虫の姿をしている時期に、土まゆの周りをきれいに楕円形に固めてその中で3月下旬から5月はじめまで過ごしたことになります。周囲が完全に密閉された構造になっていますから、観察しやすいように土まゆを半分取り除いてあります。この穴からさなぎがころげ落ちないように工夫しています。

土まゆをつくっている深さは、3〜5cmほどです。ケースの中に上陸時期の幼虫を入れておくと、何日間かもぐったり出たりしていますが、やがてもぐって土まゆを作ります。



さなぎ(蛹)

 この個体は、土まゆに入っているメスの蛹(さなぎ)を撮影の時だけ、土まゆから取り出して撮影しました。
 土繭に入っているときは、からだの頭部を上にして、じっとしています。刺激を与えるとからだをくねらせます。
 さなぎになったばかりの、淡黄色をした時期には光を出さなかったものが、この時期になると、黄色く見える発光部分(メスだから1節だけ)がピカーッと連続した光を出すことができるようになりました。


成虫になったときの発光器が働きだす時期ですが、さなぎになって5日目にごく弱い光を出し始めました。
その後、日を追って光り方が強くなりますが、点滅させずに、ピカーッと光り続けます。

蛹と羽化した直後のホタル

この左の10日目のさなぎは、まだからだの表面がうすい膜でおおわれています。このさなぎも、次の日にはからだを覆っていた膜が脱ぎ捨てられます。

右側はさなぎになつて11日目の、別のメスの個体を並べて写真に撮りました。薄い膜が脱ぎ捨てられてまだくっついています。発光器も機能が高まってきます。下の写真と比べると、おなかの色が未だ薄くて、これからだんだん濃い色に変わっていき、羽根も固まっていきます。

這い出す時期のホタル

私が観察を続けていた幼虫が、5月6日にさなぎになって、14日後の5月19日に成虫になって這い出してきた時期の写真です。這い出してくる時間帯を調べてみると、午後11時すぎから午前3時頃が最も多く、朝までには這い出しが終わります。明るいうちに這い出すことはほとんどないようです。

からだの色が真っ黒に変わり、羽根も固まっています。
発光器は2秒間隔で強い光を出しながら点滅する機能が備わってきました。


 下のさなぎの画像をクリックすると、拡大画像 が表示されます。

蛹になったばかり
色が付きはじめる
羽根が伸び始める
羽化した時期のホタル
1.土まゆの中のさなぎ
2.羽が黒くなりはじめる
3.背中が黒味がかる
4.羽が伸びて成虫になる
 上の写真は幼虫を屋内で土にもぐらせて撮影したものですが、土にもぐって50日ほどすると、黒い色をしていた幼虫が土マユの中で黄色がかったさなぎになります(No1)。やがてNo2のように羽根が黒みがかってきます。その後背中が黒味がかってきます(No3)。羽根が伸びて黒くなり、ホタルの成虫のすがたになります。(No4)。さなぎに変態してから14日目ほどで羽根が固まって地上に這い出してきて飛び立ちます。

 


羽化したばかりのホタル
蛹から成虫の姿に変わったばかりの時期の写真です(00.05.12)


ホタルのメス、オスの発生数について(私の見解です)  (01.02.27 )
  ホタルを飼育していて気付いたことですが、ほたるは、まわりの環境に餌が豊富であれば、幼虫は大きなものが増加します。また、大きな幼虫はメスになる確率が高くなる事実があります。私が家で育て、大きく育った幼虫を土を入れた密閉容器にもぐらせて、調べ易い工夫をして、羽化したホタルの性別と頭数を日を追って記録したところ、49頭中48頭がメスでした。或るロータリークラブの講演会の講話の中で、私がこの事をお話したところ、その会の後の懇談の席に産婦人科の先生がおられて、「ホタルも、餌が多ければ多くの子孫を残すために、メスが多くなるのではないか」との御示唆をいただきました。またその場に、ホタルを永年研究してこられた方も同席されていて、「餌が少ないと、オスボタルがよく飛びます」とのことでした。これらのことを総合して、私は次のように結論づけたらどうだろうかと考えています。(発生の詳しいメカニズム等の専門的なことについては私にはよく分かりません。)

 ● 餌(カワニナ等)の豊富な環境で育つと、ホタルはメスが多くなる。

 ● 餌の乏しい環境で育つと、ホタルのオスが多くなり、ホタル(オス)がよく飛ぶ。

 このことについて、似たような経験または異なる結果が出た方がおられたら、情報交換できたらと思っています。


 ほぼ同じ条件で育った幼虫でも、自然界では土にもぐってから成虫になるまでの期間が、室内でのものに比べて2週間程度遅くなります。水温が高い水系や、平均気温が高い年は、早く羽化が始まります。

ほたるが無事に育つ条件として大事なことは、幼虫の上陸できる場所と、もぐってさなぎになるための土があることが是非必要なのです。まわりを全部コンクリート等で固めてしまうと、ほたるは育ちません。また、草や木が生えている環境の方が、地面の温度変化がやわらげられ、適度な水分も保たれて、生き物のとっては過ごしやすい環境となります。

川の水の流れを阻害しない程度で、川の中ほどに堆積した土をとりのぞかないままにして、そこにほたるの幼虫が上陸できるようにしても、無事にたくさんのほたるが飛んでいる地域を案内していただいたことがあります。地域の人々や、川の管理にたずさわる人たちの配慮でほたるがふえるのです。ただし、この方法は、3月末から5月にかけて川が増水し、土が水浸しになった年は、土にもぐったさなぎが死んでしまうことがあります。

ホタルが成虫となってとぶのは、自然界では孵化した幼虫のうち条件にもよりますが、その中の数パーセント程度ではないかといわれています。しかし、水害等を受けなくなるまでの期間人工飼育して放流することが出来れば、その生存率は高くなります。


 
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