大雪山のナキウサギ裁判で口頭弁論

 北海道が大雪山国立公園内に計画している士幌高原道路について、「建設は希少動物エゾナキ
ウサギなどの生態系を破壊する違法な工事だ」として、道内の自然保護団体のメンバーらが道知
事を相手取って公費支出差し止めを求めて起こした住民訴訟の第一回口頭弁論が二十八日、札幌
地裁で開かれた。訴訟の補佐人の大石武一・元環境庁長官(87)ら五人が意見陳述し、工事の
違法性を主張した。道側は全面的に争う構えだ。

 訴えているのは、大雪山のナキウサギ裁判原告団(団長=八木健三・元北海道自然保護協会長、
二十一人)。原告らは、周辺の生態系を破壊する道路建設は、日本も批准している生物多様性条約
に反し、国際法の順守義務を定めた憲法にも違反すると指摘。新道路ができても今ある道路と比べ
て約十分間短縮されるだけで、約八十億円とされる事業費をかける必要性はないと主張している。

 大石氏は「観光道路は一本あればいい。現地へ行ったが車の中で居眠りをしたほどいい道路だっ
た。貴重な風穴(ふうけつ)地帯をつぶしてまで、わずか十分の短縮のために(別の)道路を造る
のは公費の乱用だ」と最近の環境、開発行政を批判した。 

 士幌高原道路は一九六六年に着工されたが、環境問題で七二年に工事が中断。九五年五月、未着
工部分約二・三キロをトンネルにする計画が環境庁の自然環境保全審議会で承認され、道は工事再
開に向けてボーリング調査などを実施している。
               (平成8年11月29日朝日新聞(www.asahi.com)より)
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