奥豊後随一の清流,三重町白山川(中津牟礼川)。
 傾山山系に源を発するこの川の周辺は「ホタルの里」として知られている。1999年にはNHKの『生きもの地球紀行』という番組で「大分の山里のゲンジボタル光の乱舞」として放送されたこともある。
 いつもは夕方暗くなってから出かけるのだが,今年はシーズン前の明るいうちに白山川周辺の様子を観察してみた。見頃は6月に入ってからになるだろう。



 昨年撮影したゲンジボタル。
 夕方暗くなる7時30分ごろから少しずつ光を出し始める。
 8時〜9時ごろホタルが多く飛ぶ。午後9時を過ぎると飛んでいるホタルの数が急に減る。
 ゲンジボタルのオスは,同時発光を繰り返しながら集団をつくって飛び交う。西日本のホタルの発光間隔は約2秒。飛び回っているものはほとんどがオス。
                                                                                                  


 白山地区は「大分県ホタルの里58選」にも選ばれており,「白山川を守る会」を結成して地区をあげて長い間美しい川を守り続けている。
 夏は大勢の子どもたちがこの川で遊ぶ。ここは清川東小学校のすぐ前で河川プールがつくられている。
 夏休みになると三重の町中の子どもたちが自転車や家族の車で大勢やってくる。
 白山地区にはホタル以外にも見るべきものが多い。美しい山ときれいな川,山肌をうまく利用した棚田,川を渡る石橋など。
 奥深い山里ならではの静かさと美しさがある。
 大師堂前石橋「轟橋」。
 白山八景のひとつ。 美しいアーチの石橋も見ごたえがあるが,橋の下の川底の異様さに驚かされる。
 川底の溶結凝灰岩が何千年という長い期間水の流れで侵食されてできた。

 中学校で勉強した「風化・浸食作用」という言葉がふと頭に浮かんできた。




    ほげ岩渓谷

 このほげ岩渓谷から稲積水中鍾乳洞までの間はたくさんのホタルを見ることができるポイントがいくつもある。
 まだ5月というのに川原でキャンプをする若者のグループがいた。

 さすが元気がいい。水はまだまだ冷たいのにもう泳いでいる。
 古来白山の象徴は緑なす山々岩をかこむ清流さらに源氏ホタルと温かい人間性である。
 しかるに,星は移り時は変わって白山川(中津牟礼川・奥畑川)も汚染や汚濁に見舞われその象徴の一つであるホタルは絶滅状態となった。
 これにより,白山地区の総意に基いて昭和49年7月白山川を守る会を結成し爾来十年余地区民挙げてホタルを救え川を守れを合言葉として運動に取り組んだ……。
 と碑には刻まれている。
 ホタルは孵化してしばらくは水中で育つ。その時のえさがカワニナ。このカワニナがたくさんいればホタルもたくさんいる。このほげ岩近くの川底には数え切れないほどのカワニナを見つけることができた。
 しかし,一時期強力な殺虫作用を持つ農薬が全国で大量に使われた時期があり,このカワニナなど水生生物が激減した。このことがホタルが見れなくなったことの主な原因であるとされている。
 川底の石を裏返す。
 チョロチョロとカゲロウの幼虫が這いまわっている。小さな石や砂をくっつけて作っている巣にはクロカワムシ(トビゲラの幼虫)がいる。だからこの川には魚も多い。
  オオカワトンボ Mnais nawai

 渓流沿いで見られる,金緑〜水色の胴体に茶色い翅を持った,ヒラヒラと飛ぶトンボ。4月下旬から6月にかけて出現し,夏の訪れとともに姿を消す。

 稲積水中鍾乳洞の入り口付近。
 三重から10キロほどの所に位置する。車からもホタルを見ることができる。ホタルは暗い場所で,交尾のためのメスを探して光りを出す。強い光を嫌うので車のライトを消すように。




  稲積水中鍾乳洞
 稲積水中鍾乳洞は世界的にも珍しい水中鍾乳洞で,20万年前の氷河期に形成され,8万5千年前の阿蘇火山大噴火により水没し,現在の形を形成した。洞内には水中鍾乳石や珊瑚石,ベルホール,ヘリクタイトなどが数多く見られ,太古のロマンを今日につたえている。





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