我輩はジュンである

       8月3日  はれ
いよいよ今年も残り僅かになってきた。
お寺の中は正月や1月28日の
初不動大祭の準備に追われて
多事多用な日々だ。
日誌が遅くなったが、後世の為に
書き残しておこうとペンを取っている。
ここ4、5日の急な冷え込みで
鐘楼門前のハゼの木が
美しく紅葉してきた。
「忙中に閑あり」ではなくて、
「忙中に慰労あり」だ。
今夜はお寺の忘年会。
日頃和尚さんにさんざんこき使われている
(はげしく使われることの大分の方言)
皆さんの慰労会だ。
僕はこき使われていないので、参加できなかった。
残念と思うべきか、ありがたしと受け取るべきか?
土姉の挨拶だ。
和尚さんのありがたくもないご指名で、
ビールが喉チンコにつまったそうだ。
ボソボソ・・・。
和尚さんが「ゴメンネ」と
ご機嫌とりにやって来た。
陰の声(そりゃ、土姉はコワイもの・・・)
今日は、丸山さんの誕生日と判明したので、
急遽ショートケーキを買って来て
「ハッピーバースデ〜丸山さん」となった。
「早く言ってくれれば、
大きな特製のケーキを用意させたのに!」
と和尚さん。
陰の声(ウソウソウソ・・・)
盛り上がるにつれて
変な仮装が始まった。
和尚さんの末娘のキミちゃんだ。
むっつり助兵衛の副住さん。
ケタタマシイ長女の留美ちゃんと
その長男の慎ちゃん。
これは恐れ多くも和尚さんを尻に敷いている
大奥の大ババだ。
そして、こんな時にはまことにごきげんな
厄よけ寺のご住職様なのだ。
三人娘曰く
「あ〜親子夫婦よく似たものだワ。
バンザ〜イ!」
「私達孫は正常で〜ス。」
かくて平成18年度の忘年慰労会は
静かに幕を閉じました。
と僕は聞かされました。
帰って来て、孝ちゃんがいつになくやさしく
「ジュン淋しかったろ、可哀想」
と側にスリ寄ってなぐさめてくれる。
「お腹すいてないかい?」
気の利いたことを言う。
「残り物でも持って帰ってくれればよかったのに。
孝ちゃんは優しいこと言ってくれるけど、
口ばっかりじゃ駄目だゾ!」
「うまい物喰って、
自分が幸せな気分の時には僕のこと忘れていて、
淋しげな僕の姿を見て優しい言葉をかけてくれたって、
それは本当のやさしさじゃないんだゼ。」

「お前今晩はえらくこむずかしい事を言うんだなァ〜」
「よくわかったョ。
これからは気をつけるョ。
チューしてあげるから、機嫌直してくれョ。」

僕にとっては心淋しい年の瀬でした。
しかしまた笑う日もめぐってくるだろうと
思いかえて寝ました。
それでは今日はこの辺で。」


              おわり
                 
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