我輩はジュンである

       8月3日  はれ 

〜風鈴〜

僕は夏の暑さには
いい加減お手上げだ。
そして冬の寒さにも
まことに弱くてブルブル。

お寺の中はクーラーをあまり使わない。
天井が高く、広くて、北風がよく入るので
夏は適温らしい。
省エネ対策にもってこいのつくりだ。

僕は涼しい処を選んで渡り歩く。
夏になって
「涼」を演出するものの一つに
風鈴がある。

なじみの深い鉄製の南部風鈴から、
キャラクターを模した陶製のものやら、
透明な吹きガラスの玉に
絵を手書きしたのやら、さまざま。 
風鈴の起源は
中国の風鐸(フウタク)だ。
お寺の各お堂の
軒先にぶらさがっている。
風がふくと、ガランガランと鳴る。

昔は大名や豪商の楽しみだったが、
江戸時代末期には、庶民の生活に
欠かせないものになった。
けれども高度経済成長とともに、
消夏法の主役が、
扇風機やクーラーになっていった。





ところが最近、
日本古来の風情のある風鈴の
チリンチリンの妙音が
最近復活大となった。
伝統工芸を守りながらも、
現在人の感覚にマッチした
斬新な物が考案されて
若い人にも受け入れられて
出番が多くなったようだ。

いいことだと思う。
日本古来のワビとかサビにも通じる
日本人の心の底に流れるものの
見直し、復活だ。
樹木のなかった土地が、
境内として使用されるようになって15年。
気ぜわしい和尚さんが
続々と樹木を植え、
施肥をしてきたので、
境内のこのあたりは、夏の木陰、
樹間を通しての爽やかな風、
蝉しぐれで、夏の風情がよくなった。

こんな所に風鈴を一つさげると、
その澄んだ音色と、観音様の慈顔とで、
神秘的な空気が流れるように
感じられるから不思議だ。
            
僕の鼻は、風の薫りをかぎ、
花の香をかぎ分けることが出来る。

特に食い物のニオイには敏感だ。
 
夕飯が近づいた・・・・・。

低鼻にヒクヒク感じる。


               おわり
                 
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