| ====================================== 気ままな雑文の雑誌 ◆Into the Blue◆ http://www.coara.or.jp/~miyashu/index2.htm vol.9 2000.6.20 ====================================== 雨、雨、雨の日々が続きます。6月は土曜日ごとの大雨です。どうなってんだ? ここはひとつ、梅雨・あじさい・蛍など情緒あふれる梅雨の風景を楽しみながら、過 ごしてみましょう。 さてさて、今回は中園さんの北欧紀行シリーズ(勝手に名前が付きました)読み切り 一本勝負です。 スウェーデン旅行で今回はどんなハプニングが・・・。 さっそく読んでみましょう。 ■■■■■■■■■■■■■■■■おしながき■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●特集● 森林の国・スウェーデンの拷問ランチ 中園 隆志 ●お知らせ● 次号予告と編集後記 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ■特集■ 森林の国・スウェーデンの拷問ランチ 中園 隆志 再びスウェーデンに行ってきた。こいつはついこの前アランアイランドとかいうとこ ろにに行ってきたばかりなのに何をやっているんだ、とお怒りの向きもあろうが、所 詮アランアイランドは、ダブリンから東に250キロ、例えば大分から長崎に行った ようなもんで、スウェーデンだって、たかが北に千数百キロ、青森かどっかへ行って きたようなものなのだからたいしたことではない。 ことの起こりは、イースターの4連休に何もしないのはもったいないと言う安易な発 想。とはいえ、イースターはどこぞの国のゴールデンウィークの民族大移動同様、こ ちらでも国境を越えた文字どおりの民族大移動が起こる。そんな時に航空券など取れ っこない。取れたとしても正規料金に決まっている、と勝手に決め付けてハナから諦 めていたのだ。ところがイースターが近づき、みんなが、やれスペインだフランスだ どこかに行くと言い出して、ちょっと悲しくなってきたおいら、旅行代理店に電話だ けでもしてみようと思ったのだった。「いっぱいです」とか「正規料金になります」 とでも言われれば、諦めがつくというもの。 イタリアにしようかスウェーデンにしようか決めかねたまま、おいらは仕事中電話帳 から適当に引っ張り出した航空会社や旅行代理店をあたる。やはり答えは芳しくない。 最後の砦に取っておいたいつもお世話になる旅行代理店に「これで最後」といい聞か せつつ電話をしてみれば、「一席残」と言う触れ込みで一番安いクラスの航空券が取 れたのだった。しめて160ポンド。往復二万円。自分の悪運の強さにはいつも呆れ るばかり。 で、4/21から4/24、金曜日から月曜日までの4連休を前に、4/20の午後 おいらはタクシーで会社から直にダブリン空港へ。空港はさぞかし混んでいると思い きや、思ったほどではなかった。エアリンガス(アイルランド国営航空)のいつも通 りのいまいちのフライトで、おいらはストックホルムのアーランダ空港へ。 ヨーロッパ以外の国に行ったこともないくせにこういうことを言うのはいかにもおこ がましいけど、おいらはスウェーデンこそ世界一の国と信じて疑わない。ご存知の通 りスウェーデンは高福祉国家。税金も物価も高いが生活は安定している。おねえちゃ んもきれいだ。だが、それ以上においらがこの国に魅了されるわけは、この国が、世 界でいちばん公正な国だという思いがあるから。 残念なことだけど、おいらはアイルランドにいると、自分が「ガイジン」なことを感 じることがままある。思い過ごしのことも多いのだろうけど、自分がどこかある一面 で受け入れられていないと思う時があるのだ。日本に滞在している外国人を思っても らえばわかりやすいと思う。日本では地方自治体の首長ですら「地震が起きたら外国 人が暴動を起こす」と言ってのける。無論そこまで極端ではないにせよ、それと同じ ようにどこかでおいらはこの国で「ガイジン」という枠組みの中にいれられ、「ガイ ジン」としてうさん臭い目でで見られる。そんなに回数の多いことではないにせよ、 そういうことがアイルランドでも残念ながら確かにある。 反面スウェーデンではすでに五回以上訪れているにも拘らず、おいらはそういう体験 をしたことが一度もない。もっと言えば、スウェーデンは自分をガイジンと感じさせ ない国なのだ。スウェーデンはアジア、東欧ほか世界各国からの孤児の受け入れを積 極的に行っている。つまり、街を歩いていると、自分とおなじアジア系の顔を持った スウェーデン人と言うものにお目にかかる。 この事実を逆に言えば、おいらがアジア系のいでたちをもっているからといっておい らを「ガイジン」と判定することがこの国ではできない。そして、この孤児の受け入 れからもわかるように心の狭い「ガイジン」を排斥しようという人間が少ないのだ。 念のために書いとくけど、おいらは日本人なことを恥じてなんか決してない。むしろ 誇りに思っている。けど、外国で「ガイジン」として暮らしてゆくことはなかなか容 易ではないのだ。 スウェーデンの言語は当然ながらスウェーデン語。これがなかなか難しい。この国に 溶け込んでゆくためには、スウェーデン語が必須なのは認めるけど、実はスウェーデ ンは英語が実によく通じる国。「意志疎通」と言う点からはおいらはこの国で苦労を したことがない。ここもおいらがスウェーデンを愛する理由の一つ。おいらの近未来 の夢は、この国に住んでみること。スウェーデンからこのレポートを送ってみたい! それはともかく。アーランダ空港に降り立ったおいら、いつもの通り、空港バスで、 30キロちょっと北へ行った街、ウプサラ(Uppsala)へ。ちなみに首都スト ックホルムはここから逆に南に30キロくらい行ったとこ。で、さすがは世に名高い 何もかもが高いスウェーデン、このバスの片道料金は75Skr(およそ1000円) 「たいしたことないじゃん」と思えるなら、きっと日本の高物価に慣れっこになって しまっているのだろう。日本人の同い年の人の半分くらいの給料しかもらってないお いらにとっては手痛い。 スウェーデンというのは、森林国家。バスは、森の中の高速道路を一路北へ。森林国 家をたとえるとこんな感じかな。 森森森森森森森森原原森森森森森森森原街森森森森森森森森森森森森森森森森森森森 森森森森森森森森林林森森森森街森森森森森林森森森森森森森森原原街森森森森森森 森森森森森森森森森街森原森森森森森森森森森森森森森森森森山森森森森森森森森森 森森森森森森森森森森森林林森森森森森森森森林林街森森森森森湖森森森森森森森森 森村原原原森森森森森森森森森森森森森林林林森森森森森森街街森森森森森森森森森 こんな例えじゃ何も分からないという方へ。スウェーデンの人口はおよそ1000万 人。この1人1人におよそ、1平方キロの土地を与えてもまだ余るんだそな。スウェ ーデンには、「森林に入っていい権ね」というのがあって、例え私有地の森でも、そ こに入る権利があるんだそうな。国土が広いっていいなー、と思う。 で、バスが森を抜けると、そこは地平線のかなたまで原っぱ。広大な地平線の向こう に夕陽がまさに沈もうとしている。その夕陽のシルエットに、ウプサラの街とその教 会の塔が。これは一生忘れられない景色だと思う。お見せできないのがすごく残念。 で、その日は、アランアイランドでもいっしょだった、例の安全第一アナ宅にお世話 になる。この家も、日本の学生が見たら怒って火をつけそうないい家で。4人でアパ ートをシェアしているんだけど、広いダイニングキッチンに15畳以上はあるリビン グ、そして彼女の部屋も、10畳以上と広い。 話は飛んで、土曜日。おいらたちは、抜けるような青空のもと、ストックホルムへ。 さっきから持ち上げてばかりいるけど、ストックホルムは、おいらが知る中でいちば ん近代的で美しい街と信じて疑わない。おいらは泳げないくせに水のある風景が大好 きなのだ。そこに、低めの丘があるともっといい。その条件を、ストックホルムは見 事満たしているのだ。 例えば、「水の都」としておなじみベネチア。おいらも行ったことがあって、本当に 神秘的な街だと思う。だけど、あそこには丘がない。しかも、あの街は、実用的な街 ではない。道の変わりに運河だから、船がないとえらく遠回りせざるをえないし、バ スも地下鉄もない。夏は、日本並みに蒸し暑い。もう1回行ってみたいとは思うけど 住んでみたいとは思わない。 その点ストックホルムは、言えば、「実用的かつ美しい」街なのだ。それは、丘に上 がればよく分かる。大小さまざまな島に、近代的な建物と歴史的な建物と緑がきれい に調和している。幸いスウェーデンは第二次大戦中中立国だったので、それ以前の建 造物も破壊されることなく残っている。 そんなストックホルムの中央駅のバスターミナルに降り立ったおいらたちは、早速街 へ。おいらは以前数回来たことのある街だから、観光地へ足を向けることはせずに、 ただひたすら街を当てもなく歩くことにする。そういうやり方を女の子とするという ことはある意味自殺行為でして...当然向かうは買う気もないのに服の店。何軒か 回って気がついたが、今年のスウェーデンの春ものファッションはおぞましいショッ キングピンクが流行らしいのだ。かわいい金髪のおねえさんが、この悪趣味なピンク を着るとどうなるか...おいらは考えるのも嫌だった。 そして時間は2時。そろそろ腹が減った。何を食べようかと協議の上、行ったはこと もあろうに日本食レストラン。おいら、どこにいても現地の料理がおいしくいただけ る幸せな人間で(肥えた舌にしてくれなかった親に感謝)日本食を恋しがるというこ とがまずない。反面、いろんな人に日本食を食べさせて反応を見るというのが、悪趣 味といわれようがおいらの秘めた趣味でして、ストックホルムの町中としてはそんな に高くない、でもおいらにとっては十分高い日本食レストランへ。 さてさてメニュー。いろいろある。麺類系は弱いけど、ご飯ものは充実してるなー。 などと思いつつ、おいらはアナにすし(16こ)を勧める。なんてったって究極の日 本食じゃないですか。で、おいらは、何やら「Sumo Lunch」というすさま じい名前の天ぷらと焼肉の盛り合わせを注文。この雑誌の編集者みやなが親分同様、 おいらはこの、うどん「と」かやくごはんなどという「と」に弱いのだ。 思わず電話番号を聞きたくなるほどのかわいい金髪のウェイトレスのおねえさんに、 上記のすし16個と、いわくの「Sumo Lunch」を注文。およそ二分後、お ねえさん何やら戻ってきた。「本当にこれだけお召し上がりになるんですか?」って。 へ?そんなにでかいの?日本のデパートの食堂と違い、こっちのレストランには、シ ョーウインドーも、写真付きのメニューもない。言葉が通じない国での注文は、ばく ちになる時すらある。おいら、ローマ字で「Tempura」と「Yakiniku」 って書いてたから安易にこれにしたんだけど、何かいけなかった? という風に便利な英語の通じるスウェーデン、おいらが英語で言ったら、「シェフが 確認してこいって言うんで」との返事。まあそこまで言うなら、とアナのすしを11 個に減らす。 ビールと味噌汁を頂きながら待つこと15分。やってきましたおいらたちのご飯。ア ナのすし、これは見事としか言いようのないおいしそうなキングサーモン数個を中心 に、サラダ巻きに、マグロ、ごていねいにひかりものまで乗っている。こりゃうまそ うだ。 続いておいらの。 絶句。 巨大、なんてもんじゃない。どこから拾ってきたのか、日本ではお目にかかったこと もないような、巨大なお盆に、30センチ四方のてんぷらと焼き肉の正方形の器が、 一つずつ、それに、さすがにどんぶりとまではいかないまでの、おおきなお茶碗。て んぷらの皿、えび3匹に、巨大なかき揚げ2つ、こちらも巨大ないも天3つに、玉ね ぎ二つ、その他のししとうかなにかの野菜揚げ。焼き肉の方は、こちらもまさにてん こもり。こんなもん、相撲取りでもない限り消費できんぞ。アナにつっこまれた。 「だからSumo Lunchなんでしょ。」 母のすばらしき教えのおかげで、おいらはものを残すということができない。てなわ けで、苦戦30分、若干のご飯を除いておいらはこの巨大なランチを平らげたのでし た。最後の方は、ほとんど拷問に近かった... その後、おいらたちは、暴食後の爆裂に押し寄せてくる眠気と戦いながら、市内観光。 実用的かつ美しい街を港が見下ろせる小高い丘から見たりする。その美しさは、おい らが98年の暮れに訪れた時と何も変わりはなかった。唯一の違いは、98年の冬の 時は一面が銀世界で、暗かったのに対し、今回は春うららかな日。どちらも魅力的な 面を持っていることは言うまでもない。 夕方、再び夕焼けの時間にバスに乗りウプサラに戻る。Sumo Lunchのおか げで、夕飯が食えなかったことは御想像に難くないと思う。 翌日はイースター。日本の元旦の様に何もかもが休み。しかも余り天気はよろしくな い。というわけで、何もせずに過ごす。で、その翌日、気がつけばおいらはダブリン に戻ってきていた。 これで、おいらの駄文の連載が終わるなどと思ってはいけない。実は、思わぬ幸運が 転がり込んで、ロンドンに行ってきた。で、そこで、さらにすごい思わぬ幸運を拾っ てくるのだが、それは次回の話。 ■中園 隆志(なかぞの・たかし) mail takasanbaby@hotmail.com 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ■次号予告■ 未定ですが、できれば6月30日、第10号と景気良くいきたいですね。珍しいこと に今回は私の原稿はできてます。あとは投稿次第ということで、みなさまふるってご 投稿ください。 ■編集後記■ 今回の中園さんの特集のタイトルは私が勝手に付けました。しかも無断で。すみませ ん。私としては1回そういう拷問を受けてみたいと興味津々です。すし、焼き肉、て んぷらに囲まれるならそれも本望・・・。なんか意地汚くなってきましたが、食べ物 エッセイとか、食い倒れ紀行なんていいですね。どなたか書いてみませんか? ●御感想・投稿は メール miyashu@art.coara.or.jp 掲示板 http://www65.tcup.com/6504/miyashu.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 編集発行人:宮永 修治(みやなが・しゅうじ) ■Into the Blue■ http://www.coara.or.jp/~miyashu/index2.htm ■風に吹かれて■ http://www.coara.or.jp/~miyashu/ ■本箱の片隅で■ http://www.amy.hi-ho.ne.jp/s-miyanaga/ see you next! ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |