1997417日、1997513日〜514日、19971127日〜1128日の分より>               


 [yama] [97417 3175]

    どうも、はじめまして。

    yamaと申します。よろしく。

    >ドスト氏の小説を読まれたことのあるお方は、どの夢が印象に残っていますか。

    私は『罪と罰』の第六部、p416p419(新潮文庫の下巻)でスヴィドリガイロフが見た夢がもっとも印象に

    残っていますね。

    そういえば、コリン・ウィルソンの『性のアウトサイダー』(青土社・p53)に、

    「ドスト氏は、未成年の少女を強姦したことに死ぬまで罪の意識を持っていたのではないか、

    という推測をしている伝記作家たちがいる」と書かれていました。

    その点について何か知っている方がいましたら、ぜひご報告をお願いします。

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 [Seigo] [97417 22924]

    yamaさん、初めまして。主催者のSeigo(さいご)です。

    来訪、ありがとうございます。こちらこそ、今後もよろしく。

    上でyamaさんが思い切って取り上げた話題は、実際のところはどうにしろ、

    なかなか取り扱いにくいタブーの領域に属していく問題であり、

    私自身、あまり、話題にしたくないことなのですが、

    一方で、この話題に関連して、ドスト氏に関していろいろと興味深い議論ができていけそうな気もしています。

    コリン・ウィルソン氏の著作に関しては、

    ドスト氏文学に関して大幅にページ数を設けて論じている『アウトサイダー』

    には私は早くから親しんできましたが、『性のアウトサイダー』は読んだことはなく、

    上で挙げられたドスト氏の「少女〇〇@@」に関して詳しく言及している他の本や論文にも

    これまで触れたことはありません。

    ただ、思い切って申しますと、ドスト氏の文学や生涯に精通したドスト氏マニアなら、

    上のように言われれば、そのあたりの事実があった可能性に関していろいろ思ってしまう気持ちが、

    心の片隅に全くないわけではない、というのが、正直なところではないでしょうか。

    というのは、そう考えてしまう根拠が、たとえば次(af)のように、いくつか挙げられると私は思うからです。

     a. ドスト氏の子供好き(少女好き)、という事実。

       ( 『カラマーゾフの兄弟』で「大審問官」の章に入る前に、世間における幼児虐待の事実を次々と列挙
         しつつイヴァンは次のように言っていますよね。

          「こう言えば驚くかも知れないがね、アリョーシャ、ぼくもやはりひどく子供が好きなんだよ。
           それに注意すべきことは、残酷で、情欲と肉欲のさかんなカラマーゾフ的人間が、どう
           かすると非常に子供を好くものなんだよ。 〔途中、略〕 ああ、なんだか頭が痛い、そして
           妙に気がめいってきた。
)

        特に、ロシアの子供というのは、かわいい子供が多い、ということを私は聞いたことがあります。

      b. 『罪と罰』のスヴィドリガイロフが見た夢で取り上げている以外にも、

        御存じのように、ドスト氏の小説では、思い切った、少女凌辱の場面

        が出てくる。
          ( 『悪霊』の「スタヴローギンの告白」におけるスタヴローギンのマトリョーシャ事件、など。)

        また、作品におけるドスト氏の少女の描写には、並々ならぬものがある。

      c. ドスト氏の精力絶倫ぶり・いくらかの性的異常ぶり、という事実。

      d. ドスト氏の生涯やその作品中における罪意識(自己断罪)の異常さ。自ら

        苦悩や苦痛を求めて自己を責めていくマゾヒズムテックな傾向。

      e. 父親が亡くなった後、青年期に、多分の財産を譲り受けて、相当「遊んだ」時期があること。

      f. 『カラマーゾフの兄弟』のドミートリイの懺悔からも窺(うかが)えるような、汚辱や悪行に

        誘惑された時、自制の弱さ故に、あるいは、神の名のもとに、良心の呵責を持ちつつ、

        それを自分に許容してしまうような、ある意味で、だらしない道徳観念や性(さが)がドスト氏本人

        にもあったかもしれない、ということ。

          ※. bf ← ドスト氏の小説の場合、小説の各登場人物はドスト氏の分

             身である場合が多々ある、ということ。

          ※. dに関しては、『カラマーゾフの兄弟』で父親殺しを取り上げた

             ことからもわかるように、しつけが厳しく、また、妻の死後、家

             庭で酒乱や専横が続いていた父を憎み、その死を心の底では望ん

             でいたという罪意識に生涯苦しめられていたことが、フロイト

             を初め諸家によって指摘されていますよね。有名な「賭博癖」も、

             心理学的見地から、自己断罪という面から説明しようとする精神

             分析学者もいるようですしね。

     以上、いろいろゴチャゴチャと長く書いてしまいましたが、

     あまり触れたくはないテーマだという気持ちがありながら、

     一方では、この話題に関連して、ドスト氏に関してまだまだ考えてみたい事柄は

     私には多々あるということです。

     この話題に関して何か意見や新情報がさらにありましたら、

     どうぞご遠慮なく書き込んでいって下さい。>yamaさん、ALL

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 [ムイシュキン K.I.] [97513 81651]

    先に、殺人を実行したことに余り重点を置くべきでないと言ったが、これは、聖書にある“視姦の罪”もその理由だ。つま

    り、実際に強姦しなくても、強姦したいと思っただけで、実際に強姦したのと同じくらい罪深い、という教えだ。ラスコ

    ーリニコフの本当の罪は、老婆を殺害したことでは無く、殺害したいと願った事にある。

    ドスト自身、家事手伝いの少女を強姦したと悔いているが、実際の処は分からない。(レフ・トルストイが本当に遊蕩者で、

    召し使いに私生児まで生ませたりしているのとは、性質が違うと思う)

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 [Seigo] [97513 212652]

    ムイシュキンさん、

    いつもながら、上の、ロシアやドスト氏に関しての幅広い書き込み、ありがとさんです。

    いつごろまで、モスクワに滞在なのでしょうか。

    上のあなたの書き込み「ドスト自身、家事手伝いの少女を強姦したと悔いているが、」という点について、

    ずっと以前に、私は、なにかの本で、ちらと、目にしたような、おぼろな記憶があるのですが、

    どの本に書かれてあったのか、ぜひ、教えてください。

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 [ムイシュキン K.I.] [97514 04722]

       P.S.  

     ドスト強姦問題は、随分前に3ー4件何処かで読んだ記憶がありますが、詳しく覚えていません。

     ちょうど今、ドスト氏の同時代人達が書いたドスト氏に関する回想記を読んでいますので、

     もしかしたらそこに出てくるかもしれません。見付けたらご連絡します。

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 [N-hiro] [971127 153019]

     はじめまして二十歳の学生です。このページを今日、見つけてびっくりしました。

     皆さんものすごく詳しそうですね。僕はドスト氏の作品に関しては、まだまだ初心者です。

     というわけで、ちょっと質問をしたいです。教えてください。

     一番最近読んだカラ〜兄弟について

        (途中、省略)

     あと、ちょっと変な質問ですが、ドストエフスキーが

     ロリコンだったってほんとですか?

     どなたかよろしく。

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 [Seigo氏] [971127 18393]

     ようこそ。>N-hiroさん

        (途中、省略)     

     >ドストエフスキーがロリコンだったってほんとですか?

     これに関してはっきり言えるほどの自他の証言や資料にはまだ十分あたっていないSeigo氏なのですが、

     ドスト氏が「少なからぬ程度の、子供好き(少女好き)」「手放しの子煩悩」であったことは、たしかみたいですね。

     「ロリコン」という言い方には、現代的なニュアンスが込められて誤解を生みやすいので、

     ドスト氏に関しては、いい意味での「子供好き(少女好き)」と称した方が無難だと私は思っています。

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 [有容赦] [971128 1363]

     有容赦@何でも気軽に書きまひょう です。

     ドスト氏が子供好きであったろうということは、アリョーシャ、ムイシュキン、

     コーリャ・クラソートキンなどが子供と接する場面の描写からもわかります。

     また『罪と罰』のポーリャについてのラスコーリニコフの台詞などを読むと、

     ドスト氏が少女売春を悲惨な社会悪だと思っていたのは間違いないように感じますが、

     だからといって個人としての行為においても

     同じ基準で行動できるとは限らないのが人間というものですよね。

     という訳で、ドスト氏が、趣味として幼女・少女とお戯れになったケースがあったとしても、

     成人女性とも交際し、結婚や子供の製作までなされた形跡からして、

     あまり純粋なロリコンとは言えなかったのだろうと私は思うのですが、考えてみると

     この方面(<ロリコン>という言葉の定義など)はよくわからないので、このくらいに。

     それにしても、彼のような有名人、まして歴史上の人となると、

     いわゆる<プライバシー>というものは、ないんでしょうかね?

     彼の文学の解釈上、どうしても必要なら、あるいは彼を愛するあまり、彼について

     知りうる限りの全てのことを知りたい、というならわかりますが、

     ちょっと、同じ人間として、気の毒な気がしないでもないです。

     私だって、若い頃は、いろいろと<軽率な>振る舞いをしたことがありますし、

     そんなものをいちいちあげつらわれ、本にまで書かれてしまったら、恥かしくて、

     とてもこんなところで、背広にネクタイして澄ました顔でキーボードなんか叩いていられない。

     まあ、百歩譲って「男なら」と言っておきますが、もう百歩譲って「大抵の」男は、

     同じだろう、いや、平均して私よりはケシカラン部類だろう、

     ここのボードに書き込みをされている個々の方がどうこうではなく、

     全国平均ないし世界平均としては、その筈だ、

     と私個人の見聞による統計では思っています。

     「結局、同じ階段に立っているんです!」

     まあ、しかし、「ドスト氏についてなら何でも言える」

     という、このボードの言論の自由を失いたくないのも事実ですね!

     どういう論評があっても、彼の作品自体の価値が強力に弁護してくれますしね。

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 [ふくろう族] [971128 193]

     >ドストエフスキーがロリコンだったってほんとですか?

     私もドストエフスキーの研究家ではないので、断言は出来ませんので、

     参考文献として以下を挙げておきます。

      E・H・カー著「ドストエフスキー」筑摩書房 筑摩叢書106

        ドストエフスキー伝記作家ストラーホフがトルストイに送った手紙の中の一文

        「彼はけがらわしさに対する愛好癖があって、それを誇りにしていたのです。

        ヴィスコヴァトフがこんな事を語りだした事があるのですが、ドストエフスキーは

        その家庭教師につれられて自分のもとへやってきた少女と浴場で姦淫したと

        自慢していたそうです。   ( 中略 )     彼に最もよく似通っているのは

        「地下生活者の手記」の主人公、「罪と罰」のスヴィドリガイロフ、

        そして「悪霊」のスタヴローギンです。
             (上書のp96p107p109にも、カー氏によるその補註あり。)

     私(ふくろう族)としてはドストエフスキーに最も似通ったのはカラマーゾフのフョードルなんじゃないかな?

     なんて思いますが、さて、皆さんはどう思われますか?

     え?おまえさんのカラマーゾフ再読はどうしたって?

     いやぁ、ははは・・・遅々として進んでます(日本語じゃない(^_^;)

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 [Seigo] [971128 192017]

    う〜ん、主催者としては、内心、ドスト氏の「少女○○事件」に関しては、今回は触れられたくなかったのだけれど、

       ( この件は、このボードでは、今年の5月に、話題としてすでに言及さています。)

     上で、さっそく、御親切に、ふくろう族さん・有容赦さんがその一端を紹介してくれた、と相成りました。

     このドスト氏の「少女○○事件」に関しては、

     ドスト氏自らが知人にそのことを語った(あるいは、告白した)という形で、

     その知人たちの残した回想記(あるいは、その知人から聞いた話)の中で伝えられていますが、

     その記事は、現在まで複数伝えられていて、異なる内容のものもあり、ことの全体像や真相真偽は、

     いまだ錯綜(さくそう)しているようです。

     私が今年の8月に目にした資料として、

     ソフィヤ・コワレフスカ(ドスト氏が求婚して拒絶されたアンナ・コルビン・クルコフスカヤという女性、の妹)の回想記
        〔 ドリーニン編『ドストエフスキー同時代人の回想』(水野忠夫訳。河出書房1966年刊。)に所収。p214。〕

     には、

     ドスト氏自らが、彼ら姉妹の家(その時はその姉妹の母親も同席)で、彼らの前で、思い出して大胆にも告白した言葉
      ( 
「かつて、夜遅くまでさんざん飲み歩いたあと、酔った仲間たちにそそのかされて、
        十歳になる○○を○○した」
という告白)

     が記されていますが、
       
 ( 注:自分の過去の体験のことを告白したのではなく、ドスト氏が構想していた小説の中の一部
          として、彼女らに紹介した話のようです。)
     この記述は、かなり信憑性が高いように思います。

      ( 事件の内容は、上でふくろう族さんが紹介してくれた内容と、多分に異なるようです。)

     いみじくも、上で、有容赦さんが述べているように、

     故人の伝記研究において、公表されてはまずいようなその故人のプライバシーの詮索(せんさく)と公表は、

     研究者によってどこまでゆるされるのか、ということに関しては、

     もっと議論がなされるべきなのかもしれません。

      ( 注:アンドレ‐ジイド著『ドストエフスキー』を初め、他の書でも、
          ドスト氏は、自分が少女を○○したことを、友人や知人の何人かに(なんと、ツルゲーネフにも。)
          告白した事実が、ドスト氏の知人が証言したものとして、紹介されている。)