『カラマーゾフの兄弟』のこれまでの邦訳として、以下、13氏による訳(A)〜(D)がある。
( ★は、現在市販中のもの。
◎は、最新の本国のテキスト『ドストエフスキー30巻全集』 (ソ連科学アカデミー・ロシア文
学研究所1972年〜1990年刊)のぶんを、翻訳のテキストとした(としていると推定できる)訳。
▲は、Seigo現在所持。
題名訳の微妙な相違にも注意。)
※、ネット上で読める『カラマーゾフの兄弟』
ロシア語原文:『カラマーゾフの兄弟』のロシア語原文(全)
英文訳:『カラマーゾフの兄弟』の英文訳(全文)
※、電子本の『カラマーゾフの兄弟』
電子書籍書店サイト「グーテンベルク21」「電子書店パピレス」で
『カラマーゾフの兄弟(全文)』(北垣信行訳)を購入・ダウンロードできる。
現在も文庫本として市販されていて、身近に入手できる知られた訳としては、
(A)
・米川正夫訳『カラマーゾフの兄弟』
( a.『梗概カラマゾフの兄弟』(1914年刊)、
b新潮社「ドストエーフスキー全集」の分(全3冊、1917年刊)
c旧版の岩波文庫の分(1927年〜28年初版)、
d現行の岩波文庫の分(全3冊、1957年改版)★▲、
e河出書房のカラー版世界文学全集の巻17(1968年刊)▲、
f河出書房新社の愛蔵版ドスト氏全集の巻12・13(1969年刊)▲。
※、defでは訳文は異なっている。 e・fの方が表記や表現が平易な最終の新訳であり、
現行の岩波文庫の分dは、米川氏の訳としては、表記的表現的にも、古い訳。)
・原 卓也訳『カラマーゾフの兄弟』
( 新潮文庫の分(全3冊、1978年初版)★▲◎=新潮社刊決定版ドスト氏全集の巻15・16(1978年刊)▲◎、
新潮世界文学巻15の分(1971年初版)★▲)
・亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』
( 光文社古典新訳文庫・全5巻〔巻1・2006年9月初版、巻2・2006年11月初版、
巻3・2007年2月初版、巻4・5・2007年7月初版〕)★▲◎
の三つのテキストがあり。
岩波文庫の分(米川正夫訳)は、文語調・漢語の箇所があり、そういった文体に慣れていない読者は読む
のに苦労するかもしれない。そのぶん、訳文には格調はある。各登場人物にふさわしい話体にしている。
テキストは、活字がやや薄くて、そのぶん、やや読みにくい。
新潮文庫の分(原卓也訳)は、平易な口語訳を心掛けていて、すらすらと読みやすい。割注が多く付され
ている。
光文社古典新訳文庫の分(亀山郁夫訳)は、新訳として、平易な口語訳を心掛けていて、すらすらと読み
やすい。割注はなし。
上記の三つのテキスト以外にも、
最寄りの図書館や古書店で入手できるなら、下記の、
小沼訳、江川訳、池田訳
も、手慣れた労訳・名訳として、おすすめ。
現在では品切れ・絶版のものとしては、
(B)
・小沼文彦訳『カラマーゾフ兄弟』
( 筑摩書房の世界文学大系の巻39・40、筑摩書房刊ドスト氏全集の巻10・11(1963年刊)▲
筑摩書房刊のhikuma classicsの分(1978年初版)◎)
・江川 卓訳『カラマーゾフの兄弟』
( 集英社の愛蔵版世界文学全集の巻19(1975年刊)▲、
集英社の世界文学全集「ベラージュ」 の巻45・46(1979年刊)▲◎)
※、巻末に語注が付いている。
・池田 健太郎訳『カラマゾフの兄弟』
( 中央公論社の「世界の文学」の巻17・18(1966年初版)▲、中央公論社文庫の分(全5冊、1978年初版)◎ )
(C)
・北垣信行訳『カラマーゾフ兄弟』
( 講談社文庫の分(全3冊、1972年初版)▲、講談社の世界文学全集の巻45・46(1975年初版))
・箕浦達二訳『カラマーゾフの兄弟』
( 旺文社文庫の分(全4冊のうち、これまで第1・2冊目を刊行(1974年刊 )▲。
旺文社文庫がそののち廃刊になったことから、第3冊以降の刊行は中絶。
箕浦氏とはお知り合いというボードへの来訪者のあさださんの話によれば、
残念ながら、箕浦氏には第3・4冊を刊行する予定は今もないそうです。)
(D)
・原 久一郎訳『カラマアゾフの兄弟』
( 現行の新潮文庫の原卓也訳の前身になる新潮文庫の分(全5冊、1961年初版)▲
原久一郎氏は、原卓也氏の父。上記の原卓也氏の訳は、父の訳業を受け継いでの訳。)
・中山 省三郎訳『カラマゾフの兄弟』
( 三笠書房刊「ドストイエフスキイ全集」の中の分『カラマゾフ兄弟』(1936年刊)、
角川文庫の分(全5冊1953〜54年初版、全3冊1968年改訂版)、研秀社の世界文学全集の巻8▲。
中山省三郎氏(1904〜1947)は、ロシア文学者・翻訳家・詩人。)
・広津和郎訳『カラマゾフ家の兄弟』
( 冬夏社刊『ドストイェーフスキー全集』の巻7・8(1920年刊)、
春秋社刊『ドストイェフスキイ全集』の巻11・12(1924年刊)
広津和郎(かずお)氏(1891〜1968)は、作家・評論家。
)
・三浦関造訳『カラマゾフの兄弟』
( 1914年刊。詩人の萩原朔太郎は、この三浦訳の分で『カラ兄弟』を読み、ドスト氏に開眼。
三浦関造氏については未詳。)
・森田草平訳『カラマゾフ兄弟』
( 1915年刊。森田草平氏(1881〜1949)は夏目漱石のお弟子さんだった作家。小説として『煤煙』など。
漱石にドスト氏の作品を読むことをすすめた。)
のテキストがあり。
( 古い時期の訳本の情報については、
小沼文彦著『随想ドストエフスキー』(近代文芸社1997年初版)の中の
論文「ドストエフスキーの移入、その受容のいきさつ」「人道主義的受容の時代」を参考。
その他の分は、私Seigo所持の邦訳本をもとにページ内に掲載している「作品のテキスト情報」
を用いて作成。
日本での『カラ兄弟』の最初の完訳は、
上記の1914年(大正3年)刊の三浦関造訳『カラマゾフの兄弟』になるが、
ロシア語からの直接訳は、1917年(大正6年)刊の新潮社「ドストエーフスキー全集」の米川正夫訳の分
が最初となる。)