第2次、第3次産業で成長続ける九州

田辺 九州は、古くから外国との交流の玄関口として栄えてきました。近年では、自動車、ハイテク産業等が発展している先駆的地域として、また、アジア地域との拠点基地としてのポテンシャルが高まってきています。
 そこでまず、最近の九州の実状からお話を伺いたいと思います。

瓦田 わが国の経済が停滞を続けている中、九州経済は何とか土俵際でがんばっている状況にあります。その要因のひとつとして、九州の経済が高度化し続けていることがあげられます。ここ10年間の加工組立産業の割合は10ポイント伸びており、特にIC産業、自動車産業が大きく成長しています。

 IC産業は、国際市場において非常に厳しい状況にありますが、九州の生産量は増加を続けており、世界の1割を生産しています。自動車産業においても、輸出で非常に健闘しています。昨年の販売額は増加していますし、過去5年間で200件ほどの関連企業が立地する等、裾野の広い自動車産業の特徴で、経済全体を底上げしているのです。
 最近の大きな流れとして、第3次産業の成長が目立ちます。90年代に入ってからハウステンボス(佐世保市)、シーガイア(宮崎市)スペースワールド(北九州市)といったテーマパークの建設が進められ、多くの観光客を集めています。しかもこうした施設は、既存の観光地と連動して、九州全体を周遊性に富んだ魅力ある観光圏に成長させているのです。また、キャナルシティ博多に代表されるような商圏の広域化も進んでおり、福岡市天神地区では、1年間で店舗面積が10万平米、5割増加しましたが、これが九州全体の百貨店間の競争を刺激しています。
オランダの街並みを再現した九州屈指のテーマパークとして
人気を集めるハウステンボス。約152万Gの広大な敷地は、
10のエリアに分けられている

平松 九州ががんばっているという要因として、以下のことが挙げられます。

宮崎県の新名所となっているシーガイア。ギネス認定の常夏
の楽園オーシャンドームをはじめ、自然動物園やゴルフ場等、
楽しみ方は自由自在だ
 まず、大都市圏ほどバブル経済の影響を受けていないということです。戦後九州は鉄鋼・化学・造船が、第2次産業の基盤となっていました。その後テクノポリス構想により、半導体を中心に多くのハイテク産業が立地し、今、重化学工業とハイテク産業がうまくかみ合い、雇用を維持し、産業の下支えをしているといえます。
 次に、九州の農業は、米よりも野菜や畜産が主流となっていることが幸いして、ウルグアイ・ラウンドの影響を受けていないことも挙げられます。

 そして最後に、公共事業が九州の景気を支えているということです。九州には、東九州自動車道、九州横断自動車道、九州新幹線、九州国際空港等まだまだ公共事業に依存しなければならない非常に多くの社会資本整備があります。 つまり、切れ目なく続いている公共事業が、九州経済の底力となっているわけです。
95年に開園5周年を迎えたスペースワールドは、宇宙をテー
マにしたテーマパーク。世界最大級の60度の傾斜角を急降下
するローラーコースター等、絶叫マシンがそろう
                (c)SPACE WORLD,INC.


96年4月にオープンしたキャナルシティ
博多。建物中央には人工運河が流れ、
テーマパークの要素を含む商業施設とし
て注目を集める
安藤 平松知事の言われたように沖縄も含め、九州経済は、公共事業に依存する割合が非常に高いと思います。景気の問題もさることながら、社会資本の整備という点から考えても、九州・沖縄にとって公共事業は大切なことなのです。
 今、首都圏では公共事業の見直しを進めろという声が上げられていますが、地方経済を支え、かつこれからの経済成長を促すインフラの整備を進めていくためにも、地方にとって公共事業は不可欠なものなのです。そのためにも、今後も継続して、地域によって目立つ社会資本のアンバランスをなくす努力を、国に求めていきたい。
 九州経済の現状は、皆さんが言われたことと同様の認識を持っていますが、ここにきて、九州においても土地価格の落ち込みによって、企業のビジネスマインドが萎縮しています。特に商業地では、7年連続で低下しており、早い段階で手を打たないと、景気はなかなか上向かないのではないでしょうか。
 また、経済界の立場から、法人税の引き下げを何とかして進めていただきたいですね。経済を活性化させるためには、企業のビジネスマインド、投資意欲を高めていくことが大切です。法人税の引き下げは、その手段として効果的だからです。

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