2005.02.18


 

スタッフに笑顔がもどった 〜「リビ」からのプレゼント〜

<担当>角 健吾

 当園では総数70頭ほどのライオンが生活しています。すべて当園で生まれたライオンたちです。年間6〜7頭の新しい命が誕生するのですが、母親に育てられる赤ちゃんとそうでない赤ちゃんがいます。

出産後、母親の体調が悪かったり育児放棄した場合、大切な命を救う為にサファリのスタッフが人工哺育をします。

今回はその人工哺育のお話です。

◆授乳から排便までスタッフは不眠不休

 当園には人工哺育にたずさわる専門のスタッフがいます。先輩スタッフのノウハウを学びながら行うのですが、やはりお手本どおりにいかない事も多くあります。




ライオンの赤ちゃん



 皆さんはミルクをあげることだけでも、どれだけ大変な事かご存知でしょうか?人の赤ちゃんのようなミルクの飲ませ方ではライオンの赤ちゃんは飲んでくれません。それは人の赤ちゃんとライオンの赤ちゃんの口を想像してください。空気を吸わないように哺乳瓶とライオンの口を押さえながらミルクを飲ませます。

そして、ライオンの赤ちゃんはかわいいヌイグルミのようですが、野性の本能を持っているのです。母親の胸を刺激してミルクがよくでるように軽いパンチをだしてきます。同じように哺乳瓶を持つスタッフの手にも容赦なくパンチをくり出します。パンチは時にスタッフの手に傷が残るほどです。しかしその痛みをこらえ授乳を行います。

小さい頃は赤ちゃんライオンのトイレのお世話もします。ぬるめのお湯でお尻を刺激しながら排便をさせます。スタッフは食事・排便・健康管理などすべて行います。ミルクから少しずつ離乳食にかえて行きます。ミンチからブロックへと少しずつ大きな肉でも食べる事ができるようにします。

スタッフは人工哺育をしながら、赤ちゃんが動物ゾーンに戻る日の為に育てているのです。しっかりと自分自身で食べる事ができるように大きく元気に育てます。通常三ヶ月ほどで人工哺育から動物セクションにデビューする準備を行います。




可愛いぬいぐるみ同士?
でも右は野生児です



◆喜びの「ウンコ」メール送信

 『リビ』と言うライオンの子どもがいます。このライオンは新人スタッフが初めて人工哺育をした赤ちゃんです。

大切に大切に育てた『リビ』がある時、自力排便をしなくなくなりました。動物セクションに戻る日も間近というのに。もしかしたら担当者との別れを感じたのかもしれません。自力排便ができない事は、動物ゾーンでは生きていけないということです。

担当スタッフはかわいがりすぎたのがいけなかったのか?と自問自答し、先輩スタッフや獣医と相談しながら、どうしたら立派に動物ゾーンに送り出すことができるか悩みました。自力排便を促すために一生懸命におなかをマッサージしました。それでもすぐに自力排便をすることはありませんでした。




やった!リビ、ウンコした〜!!
その記念写真




 一週間後、『リビ』の部屋にはウンコのにおいが!そこには大きなウンコがころがっていました。スタッフは思わず「やった!」と叫んだそうです。部屋はウンコでくさかったのですが、スタッフにとってはとてもうれしいプレゼントだったのです。

『リビ』は育ててくれたスタッフに心配をかけないようにセクションに行く決心がついたのかも知れません。そしてその時、私の携帯にはウンコの画像が送信されてきたのはいうまでもありません。

 私が今回のこのエピソードを書くにあたって人工哺育担当者の赤ちゃんライオンに対する思い、そこには親代わりで育てるという喜びや悲しみ、苦労や楽しみを強く感じました。私は、愛情というとても大切な事を教えられた気がします。

 

メールアドレス   lion@africansafari.co.jp



アニマルトピックスは、アフリカンサファリスタッフが動物達との触れ合いや不思議な習性などを自分達の視点からレポートしているものです。(※今後の定期的な更新はありません)