修楽旅行・八日市の旅
〜後編〜


今回の目的は事例発表と出店以外にもうひとつある。
夜、商店街を中心に行われる「百鬼夜行パレード」への参加である。

夕方、
八日市実行委員長のはからいにより用意された商工会館の一部屋で
本尊作のお面や衣装を身にまとい、妖怪仮装をほどこす我々5人。


更衣室と書かれた会議室は「男用」「女用」があるというのに、
「うちは男じゃけん、気にせん!気にせん!」といいながら
同じ部屋で着替えているミリタリ−・・・・・

こっちが迷惑である。



全員着替え終えるとパレード出発点の駅前まで歩いた。
皆それぞれの臼杵妖怪の格好で。
ただし、他の参加者もぞろぞろと平気な顔して歩いているので
別に恥かしくはなかった。

出発点には大勢の妖怪たちが集結していた。

中でもすごく凝ったコスプレの「あーりんず」には驚愕だった。
その中には妖怪会議会場で初対面した郁丸さんカメカワさんも混じっていた。
両者ともHPの行き来でお世話になっている常連さんである。
新潟の民俗研究家である郁丸さんは郷土の妖怪「ヤサブロババ」に化けていた。
ミリタリーの相棒Gさんにあまりにもそっくりで
「え?何でここにおるん?」と言ってしまいそうになるほどよく似ているカメカワさんは
「付喪神ハイパー」に変身している。



は臼杵城の守り神「白殿」を、
書庫麿は昔の泥棒にしか見えない「火の玉男」を、
撮影係の猫侍はよくわからない普通の格好を、
ミリタリーはあまり普段と変わらない「せんちんばあさん」を演じた。

そして臼杵の万衛門谷にてウンコを盗んだというウンコ妖怪「肥え取り」に扮するのは
本尊である。

無駄に露出度の高い金太郎のよだれかけ黒バージョン(前掛け)を身にまとい
頭には手ぬぐいをかぶっていて、気色悪さの中にも可愛らしさを表現したつもりだろうが
わずかにのぞいている毛髪には早くも初雪=白髪が観測されており
子供なのかおっさんなのか認識不能な上、
老化著しい中年太りの胸と腹が、窮屈そうに前掛けからはみ出しており、
腐れかけのレーズンのごとき乳首が周囲をにらみつけている。
そして、そのいやらしい腹踊りをするシラガ肥満児
ミリタリー=せんちんばあさんに両手でニセモノのウンコを渡す姿は
まさにフンコロガシの御中元というか
ムシキングもびっくりなエロ大クワガタの求愛行動のようだ。
妖怪らしく開き直ってはいるものの、とことんまでは徹底していないマヌケさに
「同じチームと思われたくないシンドローム」に陥ってしまい
せめてこの二人から目を反らそうとする私。
うまい具合に本尊は
手ぬぐいで目を隠しているためどこを見ているのかわからない。
と思いきや、
なんとエロ大クワガタの両目、
すなわち、あの完熟干しブドウ乳首と目が合ってしまうのだ・・・


地元実行委員さんに参加の受け付けをするようにと言われ
名簿に書き込んでいると、近くにいたキョンシーが私に握手を求めてきた。
周りには犬夜叉はいるし河童や見上げ入道もいるので
今さらこんなかわいいキョンシーに驚くほどではないのだが
お面をかぶっている上、無言で腰の低い態度であるため
私を知っている人か、はたまたインターネット上での知り合いだろうと思った。
誰だ・・・・・・誰なんだ・・・・・
行為的なのはわかるが、ひたすら何も言わずキョンシーポーズを崩さないので
私は腰につけていたおもちゃの刀
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と
切りかかるマネをした。
するとキョンシーは、やはり無言のまま例のポーズで
ピョコンピョコン跳ねながら遠くへ行ってしまった。


太鼓の音が鳴り、
いよいよ「百鬼夜行パレード」が始まった。
各チームはステージで自己紹介し、行列に並ぶ。
駅前から商店街へ老若男女魑魅魍魎たちが歩いていく光景は
まさに和風ハロウィンである。
賑やかで気味悪く、どんよりと鮮やかな彩色の衣装の数々。
怖いものもあれば笑えるものもあり、見ている人も楽しそうである。

商店街の真ん中辺りでパフォーマンスコーナーが設けられていて
どうやらこれが各賞への審査に大きく響くらしく
どのチームも個性豊かに表現している。

歩いている間、地元の人と思われる中年夫婦がなぜかミワリーにくっついてきた。
よくしゃべるおばさんよく知ったかぶるおじさんのコンビ。
ミリタリーの持っているウンコを持たせろ、というので渡したところ
「雪山のウンコは本当にこれだけ固くなるんやで」というおじさん。
おばさんはというと、本尊の衣装からこぼれ出ているエキゾ乳首に釘付けで
「えぇ色しとるわ〜」とか「形がいい」とか言っていて
期待に答えようとする本尊が鼻の穴をおっぴろげている。
さらに、おばさんはその熱烈チクビームの誘惑に負けたのか
「ちょっとさわらせてー」とほざきやがった。
丁寧にお断わりしてその場を去ればよいのに
本尊は
おばさんがコリコリするのを無抵抗に仁王立ちで構えているのだ。
そしてこの汚れたファンサービスに誰か突っ込むか、
あるいは本尊みずからくすぐったさのあまり拒否するのを待っていたが
どんなに待っていても
ひたすら本尊の乳首が固くなるばかりなので
私が止めるしかなかった・・・・・


何なんだ・・この人たちは・・・・
それに本尊・・・・・八日市に来てまで何やってるんだ。


パレードも終盤に差し掛かり
衣装と疲れで本物の妖怪になってしまっているメンバーを見ると
書庫麿がニヤニヤしている。

「生まれて初めて女の子に”写真撮らせて下さい”って言われましたよー ふふふ」

そうか、いろいろあったが書庫麿が喜んでくれて私はうれしい。

でもな書庫麿・・・・

そんな時代遅れの盗っ人のような格好で写真撮られてうれしいか〜〜????



パレードは駅前の会場で終わり、結果発表&表彰式となった。
我々は「妖艶賞」をいただいた。
キダタローさんみたいな審査委員長から賞をを手渡され
「よく出来てました。チームのバランスもよかった」と講評をいただき
思いもよらぬ賞にちょっぴり顔がゆるむ・・・
臼杵の仲間にもいいお土産ができた。

最後に最高賞の発表で名前を呼ばれたのは
予想通り「あーりんず」チーム。
プロが作ったようなかぶりものや衣装の数々と
手の込んだパフォーマンスが評価されたのだろう。
インターネットのやりとりで集まったという彼ら。
なるほど・・・それで郁丸さんもカメカワさんもまじっているのか・・・


あれ?
そういえばあーりんさんって妖怪系サイトではけっこう有名な人だな・・・

ごあいさつでもしとけばよかったかな・・・



壇上にてチームのリーダーが賞を受け取っている。


そこで私は驚くべき事実を知る。


あーりんずのチームリーダー=あーりんさんはなんと
さきほど私に握手を求めてきたキョンシーだったのだ!
というか、私が刀で切りかかったキョンシーではないか!!

あれほどの妖怪仲間を全国から集め
リーダーとして役にどっぷりと成りきっていた
カリスマ的であろう存在に対して
あろうことか刀を抜き、切りかかったとは・・・


なんたる失態!



世間知らずな過ちを背負いながら会場を後にし、
一度、旅館に戻りシャワーを浴びた。






その後の旅館から懇親会場への移動も
主催者側のスタッフが車を出してくれた。
何から何まで感謝。
おんぶだっこ「高い高い」されているようである。


大きなお座敷会場にはスタッフのみなさんが大勢集まった。
明日も肝試しなどのイベントがある地元の実行委員さんたち。
「ご苦労さまです」と酒を酌み交わす。
彼らが主演・撮影した映画も上映され
笑いながらも本格的なストーリー&カメラワークに感動する。

さらに審査委員長さんや
初対面の水木ロードの人たちとも楽しく話した。

宴も盛り上がったころ、会場に郁丸さん登場!

一同を前にしての自己紹介では
「臼杵ミワリークラブに会いに来ました」と言ってくれた。




もうこの一言で、本当に来た甲斐があったし、
走って行って抱きしめたいぐらいだった。


というよりは
こんな大勢の前で、しかも
こんな変人サークルの我々に会いたがっている郁丸さんの方が
変人扱いされないか心配だった・・・・





旅館に着き
ふとんに入る間際まで感無量だった私は
明日の帰路も長旅になるため
重くのしかかった疲労を癒すべく
目を閉じて
「ホイミ ベホイミ ベホマーーー!」と叫び
夢への扉を開けようと
ベタな催眠術で己を眠らせようとがんばる。




ひつじが一匹 ひつじが二匹


だが数えつつも、

この修学旅行で得たことや、今回のメンバーの有り難味など
もう少し旅気分を味わいたい欲が邪魔をするのだ。

本尊は
あまり外に出ない私の代わりに
いつもこんな外交をやってくれていたのか、と思うと少しばかり感謝しなければ。
以前も一人でこのイベントに出てくれたのだから。

いつもまじめな仕事の書庫麿も
ほんの一瞬のスター気分に酔いしれ、あんな馬鹿げた格好に喜んでくれた。
実家の堺まで遠回りな里帰りをさせてすまなかった。

みんなが出られない活動にはいつも出てくれるミリタリーには
よい息抜きになった事だろう。

そして猫侍、ごくろうさん。
旅行計画を一から任せっきりでしかも
緊張しまくっていた私に援護してくれた。

「一緒に旅をすると仲間の結束が強くなる」

世間でよく言う言葉だが
3日も休みをとって旅をする事など滅多にない私は
身にしみてそれを感じた。



そして気がつけば
私の脳の中の緑の丘には
恐ろしいくらいの
ひつじの群れ

そのざわめきのおかげで余計に眠れなくなり、

「もうこの際 朝まで起きとこうかな」とさえ思った。




その時だった。

ひつじが群れを成す小高い丘に

突然
発情期のイボイノシシが乱入してきたのだ!







ブヒョヒョヒョ〜!

ブロロロロロロ〜!

フガァァァァァ〜!





何じゃこりゃぁぁぁぁ!



もうお分かりであろう・・・・


私と同部屋で、隣のベッドから眠りを妨げるのは
言わずと知れたイビキング=本尊
別名:
コンパクト猪八戒
学名:
レーズン・チクビ・フンコロガシだったのだ・・・・







ずるいぞ!猫侍!書庫麿!




それに
ずるいぞ!ミリタリー!
さっきは自分を男だと言ったくせに
こんな時だけ女ヅラして
自分だけ一人部屋で寝やがって!

都合のいい性転換するんじゃねー!




こうして
旅最後の夜も
あの忌まわしき工事現場のような爆音に悩まされたのであった。






最後に
この場をお借りして現地でお世話になった八日市の方々に心より感謝申し上げます。
実行委員長はじめ、スタッフのみなさま、
移動の車、宿の手配などお忙しい中、準備していただき
本当にありがとうございました。