怪挙だよ全員集合!後編」


祝賀会と言うより鍋を囲んだ宴会と言った方が分かりやすい今宵の我々。
安い予算で引き受けてくれた説教パンダのご両親には感謝したい。
思い起こせばこちらのお嬢さまである説教パンダに初めて会った時、
市内のある店でサッカーワールドカップの日韓戦を見ながら
「審判が悪ぃわーーー!」とか
ゴールを決めた韓国選手に向かって「あいつの後ろ髪が気に入らん!」とか
少年野球の鬼コーチばりに叫んでいて、
「なんて恐ろしい女なのだろう・・」と思ったのを覚えている。
そんな彼女がミワリーに入り、活動報告実行委員会でともに頭を悩ませ
今日の栄光を分かちあうとは夢にも思わなかった。
一緒に活動をしていくうちに説教パンダの頭の良さや
人には見せないが恩や礼儀を重んじ、情け深い性格である事も判明した。
この日も昼間、私に電話が入り「職場の人に渡すので」と花束を注文してくれたのだ。

宴会が始まっていきなり猫侍が誰に頼まれた訳でもなく司会をする。
「では会長、ひとこと・・・」
突然言われて何を喋っていいやらわからぬ私は
「まあとにかく嬉しい」「今日は存分に飲みましょう」と気のきいた挨拶もできなかった。
すると説教パンダがふすまの向うから何かをコソコソと持って来た。
それは花束だった。
さてはゴムの切れたパンツよりゆるい涙腺をもつ私に
このような感動的な奇襲攻撃で号泣させるという策略だったのか。
たしかにうれしい。ちょっとホロリ・・・
でもよく見るとそれは私が説教パンダに頼まれて昼間作った花束ではないか!
自分で自分への花束を作ったのかー私は・・
本当に泣けるよ・・気持ちは嬉しい。ありがとう。
と、次の瞬間、
区長会の慰安旅行が別府に決った時のおっさんたちみたいに
だらだらした拍手。
パチ パチ パチパチパチパチ
そこで私の中でもやもやしていた遠慮維持装置が切れた。

「あのねぇ みんな、もっと明るく祝えよ!もっと喜べよ!」

こうして暗くなごやかな祝宴は始まった。
こんな激烈に期待はずれなノリのメンバー達ではあるが
一人一人を見ているとこれまでの功績、協力に対し
今日ばかりは誇れずにはいられなかった。

脳天から発しているかのような妙に高い声の持ち主・メガ鼠は
小道具制作が得意で、ガイドに使うちょうちんなども彼の発案だった。

どことなく二日酔い教師といった印象の役場狸は
意外にも地域作りや市の団体活動に活発で
自分の担当の行事とミワリー活動をうまくリンクさせてくれた。

鹿天狗は歯科医のくせに
尊敬するジミヘンの真似をして歯でベースを弾き
前歯を折ったという武勇伝
を持っている。
彼は副会長と張り合いながらもお馬鹿活動としてのミワリーを盛り上げてくれた。

冷静に考えても男なのか女なのかよくわからない姫ちゃんは
誰一人突っ込めない寒い真面目系のボケをかます本尊に対して
唯一容赦なく手加減なしのツッコミを入れるという重要任務を背負いながら
活動では細かい単純作業にて大活躍してくれた。

研究好きのため歴史ある臼杵に惚れ込んでしまい、
いつも私と調査をともにやってきた猫侍は
あちこちで暴言にも似た言いっぱなしの発言を吐く私の尻拭いばかりさせてしまった。
おかげで見ている人が「本当に仲いいの?」と驚くくらいの厳しい揚げ足を取られる。


この5人は「笑ってコラえて」がやってきた頃以降の
第二期ミワリーを支えた世代である。



ミワリーの前身とも言える「あかねこクエスト」というイベントで国王役をやったばかりに
いまだミワリークラブという名のすり鉢状アリ地獄をもがき苦しんでいるカッちゃん大王は
メガネを失った志村けんのようなフェイスのゲストTさんと、おっさん同士で語り合っている。

ユースケ・サンタマリアをやさしくパンチしたような顔の会計・金数えは
いつも「通帳から千円出して」とか「二千円入れちょって」などと子供銀行のようなやりとりを
めんどくさがらずにやってくれる頼りになる大蔵省なのだが
飲み会の会費徴収を頼むときは決って
「酔っ払うと計算できないんですよ〜」と、銀行員にしては恐ろしく単純な弱点をさらけ出す。
したがって会長の私自ら集金をして歩くハメになる。



こんなとき、大変なのはおつりである。
みんな一万円札や五千円札を出してくるので、おつりのいらない者から先に徴収しなければならない。



割り勘とはいえ女性は¥2000でいいだろうとのことなので
「女?」と首をかしげながらもミリタリーに会費を請求する。
すると
「あーよかったー二千円でいいん?ちょうど持って来たよー」
といいながらバッグの中に手を突っ込み、その二千円らしきヘンなカタマリを私に突きつけた。
ドシン!
それはなんと・・・
茶封筒に「これでもか!」といわんばかりに詰め込まれた10円玉200枚・・・・
今にもはちきれそうな封筒にはミリタリーの住所・本名が書かれており
かっこよく言えば使用済み封筒のリサイクルなのだが
物を大切にしているというにはあまりにも強引過ぎる無茶な節約で、
うちの婆さんがつくったイナリのバケモノような、または「ボブ・サップの小銭入れ」みたいなその物体に
ミワリーにしがみつく執念と怨念が込められており、
本人はほっと肩をなで下ろしたまま、
NPO賞をいただいたのに、今夜もPKO賞でもいただいたかのような全身迷彩で正座・・・
賞つながりで言えば本当に「蹴りたい背中」である。

そして、誰も受けとってくれそうもないのようなおつりを作ってくれた貧乏コマンドー
私の心配よりもはるかに切羽詰った心配をしてくれる。


「ちゃんと二千円あると思うけんど・・・数えてくれるかな〜
私「・・・・・・正気か・・」

もちろん数えなかった。こんなもん数えていたら宴会も終わってしまうではないか


宴会中、賞の凄さや過去のツアー、これからの展望を語る者もいれば
ここじゃなくてもいいような井戸端会議をやっている者もいる。
それでもよかったのだ。今日は本当に嬉しい。なぜか飲んでも酔わない・・・
先ほど、「もっと喜べよ」と言ったのは
賞を獲った「活動報告」に直接関わってないメンバーであっても喜ぶ権利があるからだ。
なぜなら、このミワリーの活動そのものが評価されたのだから。
仲良く、馬鹿馬鹿しく、熱いようで楽しむ事優先の力加減。
べつに妖怪クラブだからといってヘンな格好したりヘンな物を食べたりしなくてもよい。
そんな事をしたところで革命的に有名になるわけでもないし
ミワリーはミワリーである他ないのだ。
だから・・・本尊、どうか、どうかその・・
その茶碗を・・・・
茶碗一杯の豆みたいな黒焦げの虫をみんなに回し食いさせるのはやめてくれ・・
こんな祝いの席にそのようなゲテモノを食べさせるのは・・・・
カラカラにあぶったゲンゴロウかヤゴのような昆虫
みんなにすすめている本尊は頼みもしないのにヤケに自慢気だ。
それが端っこの席から順番にリレーされてくる・・
手渡されたメンバーらはお焼香のごとく少し摘まんでパクリと飲み込む。
あたかもその行為自体が儀式であるかのような顔つきで
「せっかくだから」とか「ミワリーらしい」とか
中には「俺は野生児だからへっちゃらさ」みたいな素振りで食べるやつもいて、
少しずつ本尊のデンジャラスグルメワールドへとのめり込んで行く
まるで「これぞミワリークラブだ!ゲテモノがなきゃミワリーじゃない」と洗脳しているかのようだ・・


目をさませ!
これが
妖怪を通じて歴史を学ぶ青少年育成町おこしグループのやることか〜〜!!

さらに、この罰ゲームのような配給が私の手元にくると
さっき密かにニホンザルのようなマッハ級の速さでそれを喰い、
少し残念そうに隣のメンバーに茶碗を手渡していたミリタリーが

「食べなよ・・・アタイはいいから・・・」
迷惑この上ない親切テレパシーを送ってくるのだ。

発足して5年・・・・・
怪大賞獲得・・・・・・・・・・・
でも、まだまだ先は長そうである。




夜もふけ、記念撮影も終え、違う意味で涙が出そうな祝宴も終りが近づいた。

ここで副会長の出番である。
5年間、専門知識もなく、ガイドでの活躍もなく
肝試しの妖怪役ダジャレ製造ばかりで目立ってきた
とてもサブリーダーとは思えない副会長に私は
取って置きの役目を用意した。


祝いといえば「ダルマ」!

選挙の当選でよくやる「目玉を書く」あれをやってみたかった。
副会長をそのダルマ役に任命したのだ。


まさに体を張った祝いならではの大役。
オチャラケライバルの鹿天狗も
「あいつオイシィ役だなあ」とうらやましがっているだろう。



ちなみにこれが目玉を入れる前↓





このクリームパンのような男に目を閉じさせ
ラッションペンでまぶたに目玉を描いていく。






するとなんと









驚くべきことに・・・・・・・・










ちっとも変わらないのだ!!!!






目を開けているか開けていないのか分からないくらい・・・違和感ゼロ。



もちろんこのまま二次会へ行ってもらう。

二次会はビール券争奪カラオケ大会を予定している。
今までガイドのお礼でいただいたビール券という配当金をめぐって熱い戦いが期待される。

最後に宴会場を下りて、本尊を胴上げした。


めずらしく息の合ったメンバーを見た。
それにこんなにうれしそうな本尊も初めてだ。

その光景はミリタリーがいるせいか
米軍に捕らえられたどんぐり星人みたいだった。

そしてこんなに祝ってやったにもかかわらず、
どんぐり星人は二次会へは行けないらしい。
次の日が出張で早起きしなければならないと言う。

そうか・・・残念。
やっぱり配当金なんかより
配偶者が欲しいに決ってるよなぁ〜本尊。