なまはげ襲来・前編



なまはげ上陸
9月23日
この日はわざわざ宇都宮から、ミワリークラブの生態を調査したいという
奇特な女子大生のゲスト「まなはげ」がやって来た。

臼杵に5日間滞在するらしいので今日は軽いウェルカムパーティを行うことになり、
仕事を終えた本尊が自宅に車を置いて、
二人そろって私の「MITSUBISHIミニキャブ」と言う名の白馬でなまはげを迎えに行った。

普段なら本尊は,最初から酒を飲むとわかっている会合のとき、
下駄に自転車という精一杯のアクロバット無謀運転をしてまで町に来るのだが、
今日は私を迎えにこらせたのはなぜだろう?何ゆえ今日は自転車なしなのだろう?
答えは簡単である。
現役女子大生との懇談会というあまりの嬉しさに家までスキップして帰るためである。

私は正直言って心配だった。というのも
スットコドッコイな若者が珍しもの見たさに我々をからかいに来るか
妙に騒がしい娘が卒論の研究と称した旅行に来るに決っている。
そうでなければ妖怪やオカルト好きな身の毛もよだつ暗〜い女の子だろう、
と決め付けていたからである。
しかし前もってメールや電話での連絡の際、その丁重な言葉使い&育ちの良さそうな文に
「こりゃ 本腰ですぜ 本尊!」となり、ミワリーで全面バックアップすることになったのだ。

会って見れば私が恐れるほどの事はなかった。
ふつーーーーの学生さんよりはちょっと真面目そうな娘さんである。
それでいて何か壮大な目的のために遠くからやって来た意志の強さと
よりによってこんな変人軍団に立ち向かってくる根性は
秋田出身という事もあり、なまはげと呼ぶにふさわしい。



本尊対なまはげ
料理屋で自己紹介のような会話をツマミにビールを飲み、
臼杵の基礎知識やら妖怪の話をしたり、
我々のバカっぷりと彼女の酒豪ぶりやすっとぼげぶりを張り合ううちに
だんだん打解けてきた。
日本中の美人評論家でもある本尊は酒の勢いにまかせ
「東北の3県には美人が多いと言いますね〜 ほら(ジロ〜)」と言い放った。
あらまあ本尊、今夜はやけにストレートじゃないですか・・・・
きっと酒の中に住んでいるハッスルと言う名の妖精がウキウキ神経を刺激したのだろう。

「本尊の発言・行動が面白くなってきたら電話してくれ」
と言っていた猫侍に電話した。
その会話が本尊にばれないように
「来い」=「せんちん婆さん」とか 「もうちょっと待て」=「のぶすま」など
妖怪の名前で、我々しかわからない暗号を決めていた。が、
暗号を忘れてしまった私はそのどちらでもない「三角男」と言った。
それは私が勝手に決めた「まあとにかく来い」の暗号で猫侍にはわかるはずもない。
ところが「わかった じゃあ今から行く」と言う。
この男にも常人にはない特殊なアンテナが備え付けられているようだ。

臼杵や妖怪、歴史について喋り足りない本尊のおかげで店をハシゴすることになったが
けっこうの量を飲んでいるわりに全く酔ってないなまはげと
酔えば酔えうほど口が回るという運動不足な酔拳をあみ出した本尊の一騎打ち。
バカ殿の如くおたわむれになる本尊に、私はお付きのジイのような心境で
「なげかわしいですぞ!」と何度もサインを送るが、
芋づる式に湧き出る「臼杵歴史の旅」はあっという間に400年ほどさかのぼっている。

私はふらふらになりながら明日の事が気になった。
いや、すでに明日になっていたのだ。
我々は解散した。

次の日、私はふれあい情報センターでインタビューを受けた。
二日酔いで春の陽気みたいになっている私は
昨日とは打って変わって真剣な目つきで質問するなまはげに
酔いも覚めるほどであった。
そういえば昨夜もメモをとっていたような気がする。
滞在期間中他のメンバーにもできるだけ多く話を聞きたいという。
バカの逃げ道みたいな表現になるかもしれないが
ここまで人間を引き込ませる妖怪の魅力こそが「妖怪」であるような気がしてならない。