べっぷ虎屋

(旧昭和園)

別府市大字南立石2178
0977-26-5151

 

 

 中華民国の大統領となった黎元洪や満州国の総理となった鄭孝胥など、中国の要人や亡命政治家の多くが別府を訪れていた大正から昭和初期、山東省の省長をしていた張宗昌将軍が2年余りも長期滞在していた旅館が昭和園である。

 明星高等学校の上手にあるこの旅館は、白壁の塀に囲まれ、煉瓦に昭和園と刻まれている入母屋造つの桟瓦葺の堂々たる門構えをしている。

 石と竹林を組み合わせた露地庭の敷石を伝わって、玄関にいざなわれる。

 数多くの名庭園を手がけた重森三玲の作庭になる池泉回遊式の庭園は、松や梅の古木を配し、その石組も見事である。草葺や瓦葺の八棟の離れが庭と調和して、ひなびた景観を呈している。

 それぞれの離れは、個性のある造作をしており、泊り客を大名気分にさせる格式の高い書院造りや、天然木や竹を自由に組み合わせた数寄屋風の部屋は枯山水の庭と一体となって訪れる人の眼を楽しませ、非日常的な豊かさを感じさせる。庭の中の茶亭は囲炉裏を囲み、湧水で点でられたお茶を頂きながら炉辺談話のはずむ空間にしつらえてある。

 日中交流の物語をもち、日本趣味に徹したこの和風旅館も国際温泉都市別府を象徴する文化遺産のひとつであることに違いはない。
(H4.11)
 


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