神和苑
(旧古谷別荘)

別府市御幸6
0977-66-2111


 湯煙の立ちこめる鉄輪は、別府八湯の中で湯治客に最も別府らしさを感じさせる街である。この町の九州横断道路沿い、地獄に囲まれた山の手の高台に緑に包まれた木造の和風旅館がある。

 戦前山口県宇部市の古谷鉱業の社長が転地療養のため別府に訪れ、この鉄輪の旧庄屋屋敷跡地からみる景観の素晴らしさにひかれ、別荘として建てたものである。

 戦後、旅館、神和苑として再生されたが、その敷地は13000余坪と宏大で、木造2階建の本館を始め、茶室棟や浴場棟など6棟の建物が点在している。各棟は京都や山口の棟梁が腕を競いつつ建てたものだけに、それぞれの部屋に銘木を使い、数寄屋風書院として個性的なつくりになっている。また建物と一体になった京都風の回遊庭園は四季おりおりの早咲きの花が絶え間なく、その中に間配られた石造文化財が歴史を語り、そぞろ歩きの眼を楽しませてくれる。

 若者向きのレジャー施設の多い中で、自然と風土を生かしたこの温泉宿のもつ風情は母のふところに抱かれているような安らぎとくつろぎを感じさせ、別府をより深く印象づける貴重な存在である。

(H4.10)

 

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