女性にやさしい

寿温泉


 別府の温泉建築の主流は和風であったが、大正末期に珍しくモダンな洋風建築が生まれていた。

 流川通りから中浜筋に入るとすぐにお目にかかる、この寿温泉である。

 理髪店の床下に湧いていたので「床下の湯」と呼ばれていたこの温泉を、港町の有志が浴場に改造したのが明治32年。その後大正になってから「寿温泉」と改め、市政が施行された大正13年、温泉都市の発展を願って改築されたのが、現在の寿温泉である。

 今は玄関ポーチも取り払われ、浴場上の屋根も変わり、東側の浴場入口前は店でふさがれ当時の面影は薄れている。

 改築当時は、木造2階建スレート葺きの屋根にアーチ形3連の換気窓が付き、入口や窓上にもアーチを多用して、新鮮で近代的な女性を感じさせるアールデコ風の温泉建築であった。

 このこじんまりとした温泉は泉質も軟らかく、冷え症や神経痛にもよく効き、泉客万来、子宝に恵まれない夫婦の願いもかなえてくれるので、子宝温泉とも呼ばれている。

 女性に健康美を与えるために湧き出るこの神仏の恵みに応えるような、やすらぎとあたたかさを感じさせみ温泉である。

(H3.12)
 


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