「沖縄と同質、同量」「米兵の外出には施設局職員が同行」「米兵外出時には『最高度の規律』を確保」などの事前説明を国は行ってきたが、これらは一回目の演習からすでに守られない状態。沖縄では行われていなかった夜間の実弾砲撃演習や、沖縄を上回る規模の激化された演習が本土各地で行われている。
また米兵外出時の規律についても、「最高度」どころかむしろ「サイテー」としか呼べないような状況を各地で繰り返しながらも、防衛施設局は積極的に米兵の外出を拡大させようとしつつある。
昨年の夏、米軍が本土各地での演習において、核、生物、化学兵器に対応する訓練(NBC訓練)が行われていたことが判明し、大問題となった。155ミリ砲の訓練をするとは聞かされていたが、NBC訓練をするなどという説明はまったくされてこなかったからだ。しかもこの事実が発覚したのは、米海兵隊の内部機関誌においてトピック記事として扱われていたのを、反対派の住民運動が見つけたからであり、ばれなければそのまま知らぬ顔で続けていたであろうことは明白だ。
昨年2000年12月、日出生台演習場内に、300人収容3階建ての米軍用宿泊施設、食堂・シャワー施設が完成した。「米軍演習の円滑実施のため」との目的がこれに付けられ、SACO(日米特別行動委員会)予算から計約18億円がこれに当てられるという。
しかし、国がこれまで行ってきた説明では実弾砲撃演習期間を1カ所につき「年間10日以内」としているはずだ。「10日以内の米軍演習」のために、このような大規模、恒久施設がなぜ必要なのか。今後の米軍演習の恒常化、準米軍基地化に向けた地均しが進められている。
実は昨年2000年の2月、日出生台での米軍演習終了後に、私たち住民と米軍隊長との直接交渉の際には、米軍側は「宿泊施設は要望してないし必要ない」と明言した。米軍自身が必要ないと言っているものが、「米軍演習の円滑実施のため」と称して建設されている。この件について、私たちが出した公開質問状に答えて福岡防衛施設局は「これらの施設については、米軍の訓練期間は米軍が使用し、米軍訓練期間以外は陸上自衛隊に維持管理を兼ねて使用してもらうこととしている」。しかし、米軍の実弾砲撃は10日以内。滞在期間もこれまでのところ1ヶ月間となっているので、残りの11ヶ月は結局自衛隊が使うということになる。結局のところ、「米軍演習」を名目にして、自衛隊の使いたい施設がつくられているのではないかとの疑念を持たざるを得ない。
マスコミへのインタビューなどでは、米軍は一見、地元に配慮をしているかのようなポーズを見せる。しかし結局のところ、地元住民の生活権よりも米軍の訓練が最優先であることを、私たち反対住民との直接交渉の中で米軍部隊の隊長は明言した。
弾薬輸送の情報を始め、米軍の演習や運用については、地元住民はほとんど何も知らされない状態で事が計画、強行されている。
演習の日程についても、朝七時から夜九時までと、使用協定に決められた最大限の時間帯を説明するのみで、具体的な演習情報は、地元自治体でさえ知らされないという有様だ。住民にも自治体にもなにも知らさないままに米軍が地域で自由に活動できることを既成事実化しようとしているかのようだ。
米軍演習はSACO予算という上限のない予算を使って行われ、これが地域の業者に対しても惜しげもなくばらまかれるために、地域の自立経済を破壊し、すでに財政破綻状況の国の交付金へのさらなる依存傾向を強めている。
日出生台演習場周辺では大規模な道路拡張工事が進められ、2000年11月10日付け朝日新聞によれば、完工目標は2004年、総事業費は40億円弱。日米特別行動委員会(SACO)関係経費枠の事業で、補助率は95%の高率だという。
「柵のない演習場」だった日出生台は、有刺鉄線の柵の工事、まさしく軍事施設然とした姿にかわりつつある。これらの周辺整備の工事は地元の業者に発注され、地元の反対の声を封じていく効果を持つ。このような状況は、なにも日出生台に限ったことではなく、原発やダム問題の現地でも同様だろう。
今年から日出生台演習場周辺地域の住民に対して移転をすれば補償金を出し、跡地を国有化するという移転補償措置が開始された。強制ではないというものの、タダでさえ過疎化、高齢化が進むこの地域におけるこの措置は事実上、地域崩壊をめざすものではないかとの批判が起きている。また、地元で最も強く米軍演習に反対を表明してきた地元青年らの組織「人見会」の全会員がこの移転補償措置の範囲内に住み、演習場の足下の反対運動や批判的な人たちを含めて、地元住民を根絶やしにして、将来的に演習場の拡張をねらっているのではないだろうか。
周辺事態法を初めとする新ガイドライン法の発動に向けた地ならしとして、自治体、警察、自衛隊、民間業者まで米軍の動きに連動する実地訓練が行われている。
日出生台では1回目の米軍演習の行われた1999年2月の新聞報道では、米軍が演習を実際に行う時の支援協力は自衛隊が担当。射撃に必要な情報提供、着弾地点の監視、自衛隊が作成した演習場の地形構造が記入された地図を提供、給水、給電、汚水処理施設、労力も提供。数百人規模の大規模な自衛隊による「後方支援」が行われた。
また弾薬や物資、155ミリ砲の輸送は「日本通運」が担当。兵員を輸送する航空機は日通がチャーターした民間航空機。兵員の陸上の輸送には地元の民間バス会社。これら全ての移動をノンストップで行うために警察が信号を操作、地域の交通が米軍最優先に規制された。
地元自治体は演習場現地に「現地対策本部」を設置。米軍の到着や出発、演習や外出日程に関する問い合わせなど市民対応が可能なように職員を配置。また米兵外出時には、不慮の事態に備えて職員が深夜まで外出先に随伴。防衛施設局職員も事前説明の「米兵への同行」はなされなかったものの、深夜まで米軍の世話のために奔走。米軍滞在の1ヶ月間、地域のあらゆる組織が米軍に翻弄される状態だ。
本来は、これを一番に持ってきたいくらいに重要なことだが、地域の主体は
地域住民であり、地域のあり方、地域の未来、地域に何を求め、なにを求めないかを決めるのは、地域に暮らす住民自身であるはずだ。
米軍演習は、国がこれを決定する際、地元の3町でとったアンケート調査では
どの町でも8割を越える住民が米軍演習に反対を意思表示した。また地元3町では
各町の町長を代表にして、米軍演習反対町民連絡会議が各町に作られ、一度は
官民一体で地域が国の方針に対してNOと意思表示をした。
にもかかわらず、国は「国の責任でやらせていただく」として
米軍演習実施を強行決定。
大分県知事をはじめ、3町町長も「いかんともしがたい」との言葉で容認に
転じた。地域のあり方、地域の未来はその主体である地域住民が
決定すべきものであるのに、国家が上位下達式に行政ラインを通じて、
強制的にこれを押しつぶした。
しかし、私たち住民にとっては、「はいそうですか、わかりました」と
あきらめて、容認するわけにはいかない。問われているのは、「地域の主体」を私たち地域住民が放棄して、「国家」にこれをあけ渡してしまうのか、否かだ。