アイガモ農法でのコメづくり

シロウトばかり20人での取り組みで
とっても美味しい(自画自賛?)お米が穫れました

 湯布院では農業従事者が年々減少傾向にあり、農家の高齢化は深刻な問題となっています。そのうえ消費者には、生産者の顔が見えない、見ようとしない現実があります。その中で私たちは、消費者との顔の見える食の流通、そして本当に安心できる農業を湯布院で実現したいと考えてきました。


■きっかけ


 そんな時、「風の原っぱ」のメンバーの一人があるところで、、湯布院にもよく訪れたことのある熊本大学の徳野貞雄先生と偶然出会い、言われました。


「アイガモ農法はとにかく楽しいよ」


 徳野先生のこの一言にそそのかされ、その気になった浦田龍次さんこと龍ちゃんは、軽い気持ちで、同級生で農家の小山和義さんのところへ相談に行き、「アイガモやってみらんかい」と声をかけました。でも、小山さんも忙しいようで、なんとなく日にちは過ぎていき、声をかけた当人も今年はやっぱり無理かなあと、ほとんどあきらめて、そのまま忘れていたそうです。


 ところが、ある日、龍ちゃんはたまたま小山さんに会ったとき、突然言われました。


「アイガモ、来週来るけんね」
「え・・・」


 一度は頓挫しかけた私たちのアイガモプロジェクトは、この小山君の一言で再び大きく動き出すことになりました。 
 小山和義さんという唯一の「経験者」を中心に、20人の農業どシロウト仲間による初めてのアイガモ米づくりはこうしてスタートしました。

■小屋作り


 5月中旬、田植えのシーズンとなりました。時期が遅れたこともあり、今回の田植えは小山さんが請け負ってくれました。
 私たち「風の原っぱ」としての最初の仕事は5月14日、小さいアイガモのヒナたちを寒さから防ぐ目的と、野犬やイタチに襲われないための小屋作りから始まりました。

 これには日曜大工の得意な石田さんと風の原っぱスタッフ、堀川弘美さんの父、武彦さんが福岡から手伝いに来てくれました。2人は設計図から始まり、1日がけでアイガモのヒナ80羽を入れる立派な小屋を完成させました。これなら、寒さも防げるし、野犬やイタチに襲われる心配もありません。


 2日後、アイガモたちの職場となる田んぼの脇に小屋を設置しました。これで、アイガモがいつ来ても大丈夫と、原っぱの仲間たち5名はアイガモ到着予定日の朝、田んぼでヒナの到着を今か今かと楽しみに待ちました。ところが、そんな私たちへの携帯電話での一報は、アイガモ屋さんから。


「今日、ふ化したところやからもうちょっと待って」
「・・・・・・・」


 予定日にアイガモのヒナは届かず、アイガモたちが入る予定だった田んぼには、みるみる雑草がはえはじめてしまいました…。

■ヒナ到着


 5月27日。ついに待ちに待った第1陣のアイガモのヒナ30羽が田んぼに到着。子どもを含めた9人のスタッフで小さなヒナたちを1羽1羽、小屋へ入れていきます。その後、誘導すると、ヒナたちは一町歩ある水田の中へジャブジャブと入っていき、餌となる草や虫を食べはじめました。


 アイガモが田んぼに放されることによって今まで駆除しなければいけなかった雑草や害虫はアイガモのエサとなり、糞をすることで草も虫も稲への大切な栄養となります。自然界には無駄なものは存在しないということを教えられました。


 6月7日。第2陣として残り50羽のアイガモも到着。第1陣のアイガモたちに混じり、水田のなかを悠々と泳ぎ始めました。


 一町歩(100メートル四方)の田んぼに80羽のアイガモが入りましたが、水田へ入る時期が遅く、伸びる雑草の勢いにはさすがのアイガモの食欲も間に合いません。結局、今年は、楽しげに泳ぐアイガモを横目に、私たちが草取りを行うことになりました。慣れない水田での草取りに思うように足が動かず、長靴が抜けなくなったり、尻もちをついたり・・・。それでも、アイガモの可愛さと、安心して食べられるコメをつくりたいと集まった仲間たちでの農作業はとても楽しいものでした。


 稲の成長とともにアイガモたちも日々大きくなり、毛が生え替わり、大人のアイガモへとなった8月。稲も立派な穂をつけ、アイガモが稲を食べてしまうため、田んぼからアイガモハウスへと引っ越すことになりました。


 

8月2日。厚生年金病院下にあるハウスへとお引っ越し。50羽はアイガモ屋さんへとお返ししましし、残り30羽のアイガモをハウスに移しました。アイガモくんは雑草や虫が大好きで特にイナゴが大好物!アイガモハウスにはたくさんのイナゴがいて、アイガモが首を伸ばし、時にはジャンプしてイナゴ捕まえます。その様子を近所の子どもたちが見ていたのか、イナゴを捕まえてはハウスへと投げ入れてくれるようになりました。


 それ以外にも、湯布院の八百屋さんや農家さんからは野菜くずとくず米、豆腐屋さんからはおから、パン屋さんからはパンくずなどを提供していただき、アイガモたちはすくすく育ちました。

■台風襲来


 湯布院盆地に稲刈りをする人の姿を見始める9月。私たちも稲刈りをしようかと思った矢先、大型台風14号到来。例年にない大雨が降り、一部地域では避難勧告がでる状況のなか、私たちのアイガモ米の田んぼは少しの稲が見えるだけであとは水のなかへ…。


 おコメの収穫量に多少の影響が出るのは覚悟をし、私たちはアイガモハウスのアイガモくんたちの様子が気になって急いで見に行きました。。すると、そこには大型台風などもろともせず、プールのように水がたまったハウスの中で、水面をスイスイと泳いだり、水浴びしたりと楽しそうに過ごしているアイガモくんたちがいました。さすが水鳥!雨にも寒さにも強いようです。


 しかし、この台風14号は湯布院にも大きな爪跡を残し、去っていきました。

■稲刈り


 青空のなか由布岳が美しかった9月15日。小山さんを中心に7名のスタッフで稲刈りをしました。台風でたくさんの稲が倒れましたが、小山さんの稲刈り機はものともせずに刈っていきます。他の仲間はただ見ているだけで、出る幕なしでしたが、どうしても機械では刈れないところを手刈り作業しました。その後、脱穀作業までして夜7時半に終了。アイガモ米の収穫量、約3000キログラム。台風被害で収量は結構減りましたが、それでも初めての私たちにしては上出来で、とても美味しいお米を収穫することができたと思っています。大自然の恵みに感謝するばかりです。


 来年は、このような体験をより多くの方たちと共有できる企画を行いたいと思っています。ぜひ多くの方のご参加をお待ちしています。       (今井英子) 

戻る