ゲンジボタルの産卵・孵化
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ホタルのオスとメス オスメス

拡大画像があります 

ゲンジボタルのオス・メスを並べて比較しています。

左側の小さい方がオス、右側がメスです。

 オスは発光部分が2節あり、2秒間隔でオスの集団が一斉に発光を繰り返しながら飛び回ります。からだの形は小さく飛んでいるホタルはほとんどがオスです。

 メスは発光部が1節で、その後側は赤い色をしているので、すぐ見分けられます。一般にオスよりもからだが大きく、草むらや木の葉などにとまって光ります。飛び回るメスにはほとんど出会いません。遅い時期になるとメスが見つかるようになります。

ゲンジボタルの交尾
ゲンジボタルの交尾

 ゲンジボタルの交尾と産卵

 ホタルが成虫になってからの生存日数は7日から15日ほどです。子孫を残すために交尾します。メスは交尾が確認された日の翌日の夜には、光を出し続けながら卵を産みつけます。

夜の9時をすぎて探すと、草むらなどで交尾状態のものが見つかります。

3ペアの初交尾を終えたオスを使って調べた結果、オスは1度交尾を終えると、羽化したばかりのメスと一緒に入れても、2度目の交尾はしないことを確認しました。したがって、メスを確実に交尾させるには、メスの頭数の2倍ないし3倍のオスを容器に入れておくのが良いようです。

交尾中のホタル

交尾中のメスとオスのつがいです。交尾を始めて時間がたつとお互いに頭を逆方向に向けて交尾状態が続きます。朝に交尾状態になっているものを3ペア見つけて別容器に移して観察を続けたところ、3組とも夜の8時乃至10時まで、片方が移動すると、それに引きずられる状態で交尾が続きました。これから見ると、交尾時間は、長いものでは1昼夜に及ぶようです。

ほたるの産卵管 ゲンジボタルの産卵管 産卵管

 ゲンジボタルの産卵管

 メスのホタルには、写真のような産卵管があります。まだ産卵を済ませていないメスは、黄色がかった卵がたくさん詰まっているのが外から透けて見えます。

 産卵管は先が2つに分かれ、先端の部分には細い毛が片方に2本ずつ生えていて、触覚が鋭くなつています。メスが産卵するときはこの産卵管の先で探しながらミズゴケなどの適当な隙間に1つずつ卵を産み付けていきます。卵は何回かに分けて産みますが、1匹が産んだ卵の数を丁寧に数えた結果では、500〜1000個ほどでした。 

左の画像をクリックすると産卵管の拡大画像が見られます。

産卵管の拡大写真 左の写真のように、産卵管の先端部がおしりの所に少し出ていることがあります。産卵管の先に2本の長い毛が生えていますが、よく見るとさらに短い毛が2本づつ生えているのがわかります。
ミズゴケに産み付けた卵 ミズゴケに産み付けた卵
拡大写真

 産卵させるためにホタルをケースに入れますが、ホタルは少しの隙間があっても、そこから這いだそうとする隙間探しの名人です。そのため私は市販のプラスチック製衣装ケースに園芸用の水苔を適当に湿らせたものを入れて、それにホタルのメスとオスをたくさん入れております。ホタルはこのミズゴケの中にもぐって葉の隙間を探しながら卵を産み付けていきます。

 左の写真はこの園芸用のミズゴケに産み付けたホタルの卵です。淡い黄色で直径が0.5ミリほどの球形をしています。虫眼鏡で拡大して探さないと見つからないほどの大きさです。産卵の時期が終わって親ホタルを取り除いた状態になってから、真っ暗な部屋にケースを置いて、しばらくして目が慣れてくると、ホタルの卵がごく弱い光を出すので、卵がミズゴケに多く産み付けられている場所と量を調べることに応用する事ができます。(これは特に多く産み付けているミズゴケを探して撮影しました。)

 この箱は密閉状態ですが、ときどき開けるので酸素不足は起きません。卵の表面は丈夫な膜で覆われていますが、乾燥を防ぐためにときどき霧吹きなどで水分を補給して湿らせてやります。 

ガーゼに産みつけた卵

 1頭のメスが ガーゼに産み付けた卵 の一部です。このメスは全部で963個の卵を産みました。(この写真は卵がはっきり写るように写し方を少し工夫しています。)
 産卵用ケースの底にガーゼを敷いておくと、それに卵を産み付けます。これは幼虫が孵化していく変化の様子を詳しく観察したいときに適した方法です。卵は丈夫な膜で覆われているので、ほとんどカビの影響を受けずに孵化していきます。
この画像には 拡大画像 があります。あなたも卵の数を数えてみませんか

孵化する幼虫

幼虫が孵化して殻から這い出す

孵化して這い出す幼虫

 孵化して這い出した幼虫と黒く見える卵

 ホタルの卵は、産んだ時は淡い黄色ですが、孵化する4〜5日前になるとだんだん黒味がかってきます。中の幼虫の色が黒くなり、膜の外から透けて見えるためです。産卵から23〜24日ほどで一斉に孵化します。孵化した幼虫がすぐに水に入っていけるように、その時期には容器の底に2〜3cmほどの深さで水を入れてやります。産卵する日にちのずれから、卵は何日間かにわたって孵化していきます。未孵化卵は水につかると孵化しにくいので水につからぬように工夫しています。

 

  幼虫が孵化する時間帯は明け方が多いです。それ以外の時間帯にも殻から這い出して来ます。この写真は幼虫が這い出す様子で、透明な殻から這い出している途中の状態です。多くの卵の中から探して這い出すのを朝の7時頃にビデオカメラで撮影出来ました。黒く見える卵の直径は0.5mm、孵化した幼虫の大きさは2mmほどです。これは観察がしやすいようにガーゼに産ませた卵を試料にしましたので、白く見えるのはガーゼの繊維です。

ホタルの産卵時期と産卵数に関する調査結果
  
6月3日羽化した 6月8日朝の産卵数 654個を確認 それ以後産卵なく、1日で産卵を終了した。  合計654個
6月5日羽化した 6月9日朝の産卵確認、6月10日に計数、452個 6月11日に114個、3日間で終了 合計566個
6月8日夜交尾中 6月10日朝 産卵数 861個 それ以後産卵なく、1日で産卵を終了した。 合計861個
6月12日夜採集 6月13日朝、産卵数929個、次の日34個、それ以後産卵なく2日で産卵終了。 合計963個

産卵用箱産卵数の確認の方法についての工夫
産卵調査に使用した容器 容器の中に産卵した様子
産卵用に使用した容器
容器の中の産卵状況

☆写真のように、「赤ちゃんのおしりふき」ペーパーを入れていた、密閉できて湿気も保てる空き箱が使いやすいことから、これを複数個用意しました。ちょうど底の広さに合うように切ったガーゼを1層だけ敷いて水で湿して用いることで、産卵数を数えやすく工夫したものに、交尾用の複数のオスと、メス1頭だけを入れて産卵を待ちます。

 産卵が確認できた容器の産卵数を数えます。次の日の産卵に備えて、別の新しい容器を用意してメスを移し、1日ごとの産卵数を確認します。出来るだけ正確に数えるために、双眼実体顕微鏡や虫眼鏡も併用し、2回以上繰り返して数えました。
☆卵が密集して産み付けられたところは、写真撮影してパソコンで画像処理して、数えやすく工夫しました。
☆卵は、何カ所にも分散して産み付けているので、何個所かの部分に分けて数えて後で集計します。
☆ガーゼを使用することで、マス目状になっているため、数えやすい利点があります。  

産卵の観察と計数結果からの考察

1.交尾状態のメスを観察:交尾した2日目の朝には産卵が確認出来た。時間帯は夜中から明け方のうちに産卵する。
2.殆どのメスは1日目に集中して産卵、個体によっては2日目にも少し産む。3日目に少し産んだ個体もあった。
3.自宅で土にもぐって羽化したことを確認したメス:羽化して5日目までには殆どの卵を産んでしまう
4.1頭が産む卵の数は、およそ560〜960個ほどである。(今回は、いずれも体長18ミリほどで、からだの大きいメスであった。)

 今回は一定の条件を満たすメスを探して行ったため、観察出来た個体の数は少ないが、以上の事から、メスを採集する適期を考える手がかりがほぼつかめました。遅れた時期にメスを採集しても、産卵を済ましたものが多くなることが分かります。


幼虫孵化の状況:

 6月2日に産卵したものが、23日目の6月24日から孵化を始めました。
6月5日に産卵したものは、23日目の6月27日に孵化し始めました。



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