ホタル幼虫のえさ カワニナを育てよう。
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 ホタルを殖やすには、そのえさとなるカワニナがよく育ち、稚貝がたくさん生まれるように、河川をきれいにし、川にゴミを捨てないなどの条件整備に力を注ぐことが大切です。河川や周りの森を含めた自然環境が整備されると、ホタルは自然に殖えて飛ぶようになります

 カワニナは雌雄同体です。水深の浅い所を好みます。親貝の体長は3cmを超える大きさまで成長します。カワニナは卵胎生で、親から産み出された時にすでに貝殻を身につけています。生まれたばかりの稚貝は1〜2ミリほどの大きさです。飼育しながら調べてみると、よく産む親貝からは1匹で1ケ月間に70個ほどの小さな稚貝を生んだこともありますが、生育環境に恵まれない場所で育った親貝はあまり稚貝を生みません。
カワニナが生息している場所を調べてみると、水の流れの激しいところよりも緩やかな流れの場所を好みます。
川では、泥のあるところや流れる水のふれる石、植物の葉っぱなどにくっついており、昼間よりも暗くなってからの方が活発に活動します。


カワニナがえさを食べている

 この写真では、カワニナがゆっくりと移動しながらガラス水槽の内側に生えた珪藻類を、口をこすりつけるように動かしながら食べています。

水が透き通ったきれいな川では日光が深くまで射し込み、珪藻類が光合成を行って繁殖しますから、水の深いところにもカワニナをたくさん見ることが出来ます。

 カワニナのえさとしては、キャベツや白菜、大根の葉、ニンジン、キュウリなどの野菜やメロンの皮などにたくさん集まって食べます。人々が生活している所では、いろいろな食物の残飯などが捨てられますから、人里に近い水辺には昔からホタルがよく発生していたのです。川の上流の水がきれいな所では、えさになるカワニナは育ちませんし、ホタルも見られません。

 川で観察してみると、クレソンなどの植物の葉を餌にして、たくさんのカワニナが繁殖しているのが見られます。特にクレソンが枯れて腐りかけた時期には、それにたくさんのカワニナが取り付いてそれを食べ、大きなものから小さなカワニナまでたくさん殖えています。ここで大事なことは、水質が良いことと、豊富なえさがあることです。

 鍾乳洞などが見られる石灰岩の多い地域、例えば大分県三重町の稲積水中鍾乳洞の下流の中津牟礼川や本匠村の番匠川では、カワニナが大量に繁殖している場所があります。これは、カワニナの貝殻を作る成分にも恵まれるためだと思います。

 年間を通じて水温が高い地域では、寒い時期になっても稚貝が生まれますが、普通は、5月頃の暖かくなってきた時期から秋の寒くなる前までがカワニナが稚貝を産む繁殖時期です。ちょうどホタルの幼虫が孵化しはじめる時期に稚貝が生まれますから、ホタルの幼虫のえさとして好都合です。

 寒い時期を迎えると、カワニナの数もぐっと減ってきます。ホタルのえさの確保が難しい時期です。田んぼに設けられた排水路などでは、カワニナは、冬の間は水気を含んだ泥の中にじっと潜んで暖かくなる春を待っています。

稚貝を産んだ親貝
カワニナは、大きくなると数日の間隔をおいて稚貝を産み続けます。矢印の部分に生まれた直後の稚貝が写っています。

画像をクリックすると拡大写真でくわしく見ることが出来ます。カワニナは親から生まれたときには、すでに貝殻を身につけています。

産まれたばかりの稚貝

これはカワニナの稚貝を集めたものです。川などで採集してもこんな小さな貝はほとんど採れません。(拡大写真があります)

 

左の写真は生まれてすぐのカワニナの稚貝(ちがい)です。そのすぐ右に孵化した時期のホタルの幼虫がいます。

  写真では大きく写っていますが、稚貝の実際の大きさは1〜2mmほどです。ホタルは幼虫が孵化した時期からしばらくは、このような小さな貝でないと、うまく食いつくことができません。幼虫が孵化したあとの時期には、このような稚貝を与えることが最適です。

 

川の環境整備が大切です。

 私が住んでいる大分県別府市の例ですが、昔は山林が広がり、水のきれいな小川が注ぎ、境川の流域にも、1950年ころまではホタルがたくさん飛んでいたそうです。この地域も今では家屋がぎっしり建て込んできて、家庭からの合成洗剤成分などを含んだ生活排水が多量に流れ込むようになっています。川が汚されるために、現在ではホタルが少なくなりました。この地域で「境川を守る会」を結成して、熱心に川の清掃活動を続けています。

 その地域に住む人たちが自然環境を大切にし、川の清掃活動などを続けて、水がきれいになった川で、ホタルのほか、多くの魚類や水生生物も見られるようになって復活した地域もあります。私たちのまわりの自然環境を子孫の代まで無事に守って引き継ぎ、もっと水資源を大切にして、皆が安心して暮らせる世の中にしたいものです。

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