馬の首
参考:臼杵市史(臼杵市)
臼杵町誌など
片山勝之進の愛馬「初雪」の霊。勝之進の遺書を奥方に持ち帰るが
勘違いされ首を切られた。それ以来二王座切通しに出現するようになった。
今から450年前に豊後の大友と薩摩の島津が戸次河原で戦ったときのこと。当時「切り通し」には文武両道に秀でた片山勝之進という大友の藩士の屋敷があった。勝之進はこの戦で愛馬「初雪」にまたがって奮戦したが、次々と矢をうけて深傷を負って落馬した。力尽きた勝之進は遺書をしたためて愛馬の首飾りに秘めて首をなでながら、人に話すがごとく「よく仕えてくれた。礼を言うぞ。これを臼杵に帰って渡してくれ」と言い終るや息絶えた。
雨のそぼ降る夜のことだった。片山家の門前で馬のいななきが聞こえた。下僕が門を開くと「初雪」が悲しそうに首をうなだれて立っている。奥に通じると夫の戦死を察した奥方は初雪に向かって、「主人を捨てて帰るとは何事ぞ。何故敵陣に侵入して仇を取らぬ。この不忠者めが」と言って下僕に命じて首をはねさせた。すると首飾りの房が切れてその下から血染めの遺書が出た。涙ながらに読み終った妻は初雪の忠義を知り、我が身のあさはかな行いを悔い、死骸をねんごろに葬り供養したと伝えられている。