「別府八湯ONSEN文化国際交流チーム------- 欧州へ」

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    ■バーデンバーデン、そしてアバノへ
    ■街づくりと政治の関わりは---
    ■別府に取り込めること
    ■11月に国際会議、成果はいかに 
    ■参加団員個人別報告
      ●栗田達夫さんの報告     ●西田陽一さんの報告  林 昌治さんの報告
        伊藤博太さんの報告    野口 哲男さんの報告 畠野 裕美さんの報告
                  手島 恵子さんの報告 
バーデンバーデン、そしてアバノへ         

●懸案だった欧州研修
平均年齢41才、12名の欧州ONSEN文化交流チームが出そろったのが、出発3週間を切ったころ。1カ月前に数名、仕事の都合などで同行できなくなったメンバーが出てしまった。
この消費不況下、9日間日本を空けるのは至難の技、とくに自分の腕で商売する写真家・三宅貞宗らには大変な決断である。この旅行計画全体を昨年からアレンジしていた豊島義行(旅館経営者)が6月に入って骨折で入院したのは痛手だった。その代役として元大手旅行代理店勤務・西田陽一(旅館経営者)が加わることになる。
いったんは8名程度になったメンバーが4名増加したのは、事前の温泉地研修会への参加をインターネットのメーリングリストなどで訴え、また市会議員諸氏へ参加をお願いした甲斐賢一チームリーダー(ホテル経営)の熱心な呼びかけがあったからだ。
この欧州訪問で次世代の温泉地づくりを目指す共通体験を得ようとする試みは、4回に渡る国内の研修会や各方面への協力のお願いなど、地道な日頃の活動から成り立っていた。

●渡航立案まで
この研修が企画されたのは、98年11月に行われた「別府八湯ONSEN文化国際交流ミーティング」(ビーコンで開催、計605人参加)にて世界8カ国8つの温泉地から8人の識者を呼び、フォーラムを行ったことがきっかけ。
この事業は、エコモ財団の支援のもと、運輸省やJNTO (国際観光振興会)、日本財団、県市などの協力を得て開催された。別府の地域アイデンティティーを再確認して、世界に通用するONSEN文化を別府に作ることを目的にしていた。ここでは、別府始まって以来と言われた国際会議が1週間に渡って開催され、真剣な論議が温泉地経営について闘わされた。
この結果、私たちにとって、とくに長期滞在、温泉医療などのテーマがクローズアップされ、その先進地である欧州現地視察が次年度計画として浮かび上がってきた。
計画はエコモ財団などと摺り合わされ、単なる物見遊山に終わらぬようにコンタクト先の検討、メンバーの個人研究テーマの選択、報告書の構成企画、国内での海外温泉事情の研修会開催など、綿密な段取りが組まれた。
とくに研修会は市民にオープンな形を取ることに決め計4回開催、第3回目のイタリア温泉地研修会は地域の経営者、医師、進出企業のサラリーマン、団体の職員など30名以上が参加する活況を呈し、市民の意識の深さに驚きを覚えたものである。このなかから、市内病院勤務の手島恵子が団員に加わる。

●メンバーが得た成果は
関西国際空港から飛び立ち、バーデンバーデンからアバノの温泉地研修を経て、ベネチアの伝統産業ベネチアグラス工房研修、そしてミラノまで団員が共有した感覚は、地域の明確な方向性を決めるのは一体誰なのか、そしてその最終的な責任を誰か取るのか、ということに尽きる。
行政の強い明確なコンセプトと指導のもと整然と美しい温泉観光都市バーデンバーデン(ドイツ南部)、宿泊施設と医療施設が見事に合体し地場産業の方向性が行政施策と見事に一致するアバノ(イタリア北部)、果たして別府の方向性を誰が考え、遂行し、責任をとるのか。海外での表面をなぞる旅行ではなく、その地域づくりの仕組み深さを垣間見て、肌で感じる旅となった。

●個々のテーマ
メンバー個々のテーマは多岐に渡っているが、欧州の温泉文化とは、という大きなテーマから、温泉地における長期滞在について、温泉医療の実態、温泉地にヒーリング(癒し)やエステ産業として捉えられる業態があるのか、街並の規制はどうなっているのか、などが主なものである。
これらのテーマ選択の背景は、別府に今無いもので、これからあって欲しいものが、ずらりと並ぶ。そして現地でメンバーは、欧州の生活習慣や文化的背景、思想的な背景にまで触れることになる。


街づくりと政治の関わりは---          

●観光は専門化が行う
団員全員が驚いたのは、バーデンバーデンのシティーホールでラング女性市長とそのスタッフと対談したときだ。
まず、バーデンバーデン・マーケティング会社の説明を求めたところ、市は全体をコントロールすることはあっても、観光のプロモーションについては、専門の会社にまかせているとのこと。別府市の観光課が行っていることをこの会社が行っている。
欧州では、観光は専門化が行うものとの認識が深く根付いている。私たちの旧来の概念を吹き飛ばしてくれる。実際、地域をプロモーションすることはゼネラリストとして育成される役所の職員が行うより、マーケティングを行ったことのある観光経験者、観光産業の従事者などが担当したほうが効率的に決まっている。
午後この会社を訪ねた。旧知のヤックムート営業部長が対応してくれる。
彼のオフィースは、中心部から15分ほど歩いた小高い丘の中腹にある。中世のお城の3階、周囲は深い森。2階は毎年開催しているカラヤン・コンサート事務局、市民オーケストラ事務局。20人あまりのスタッフが、1人1台のパソコン相手に仕事をしている。同行した市職員・畠野裕美もその環境には憧憬のまなざし。

●さらに驚く
さらに驚いたことは、街の方向性の話しに至ったとき、民意形成するうえで市会議員はどんな役割を果たしているのかという質問のラング市長の答え。「市会議員は無報酬で、会議が開催されたとき、その手当てのみ支給され、一般市民と変わらない感覚で政治に関わっている」。この言葉は衝撃だった。報酬のある日本の市会議員とドイツの無報酬で名誉職に近い市会議員のパフォーマンスはいったいどこに違いがあるのだろう。
街のコンセプトや方向性は、明らかにバーデンバーデンが優れている。この疑問に答えられる議員が日本にいるだろうか。

●アバノの議員
アバノの議会はどうなっているのだろうか。団員の好奇心は政治に集中していく。街を作るのは民意形成のシステム=政治システムということを強く認識しだした。
アバノでは、市の主だった顔ぶれが全員会議に揃った。市長、経済界、警察署長、観光担当者、前市長(市の参事)などである。ここでも市会議員は給与ではなく、生活最低保障金を支給しているという話しを聞いた。市長も保険会社の名刺を持っている。
その後、このような一連の議員名誉職論は、市会議員・野口哲男がメンバーから質問攻めに合うきっかけとなる。野口がそれに答弁する盛り上がった夕食会になる。
結局1人700万円にもなる日本の市会議員歳費と報酬ゼロの議員とは何が違うのか、という論点だ。最後には「歳費をすべて社会福祉協議会に寄付すれば、次の選挙はぜったい当選する」などとの極論まで出てきた。

●地域づくりシステムの違い
バーデンバーデンの地域づくりは、行政やその周辺機関(関連会社も含めて)を中心に行われている。民間はその路線のなかで、経営に集中している。環境問題、文化財指定(歴史的建築物、公園の木1本も文化財)、中心部への車乗り入れの禁止、など際だって街づくりのコンセプトが明確になっており、隙がない。
一方アバノでは、経営者と市長が肩を組んだ形で行われている。経営者が行政方針への知恵を提供している。後者は日本に近い。
街はバーデンバーデンが見事に統一されたコンセプトを持ち、それを実現しており、行政指導の強さを感じさせる。アバノは別府よりは統一感はあるが、規制されているムードはない。
ただ、両市とも街づくりのコンセプトに沿った規制は日本よりも強い。バーデンバーデンはもちろんだが、奔放そうに見えるアバノでも、建築物の高さ規制、ホテルの軒数規制などがある。同市では数年前にメインの通りに長い水路を設け、車の乗り入れを規制した場所がある。
街のコンセプト、方針をしっかり確立したら、私有財産の自由を若干規制してでも、全体の利益を追求していくことの必要性を痛感する。

  -−-訪問温泉地のスケール概     

別府 バーデンバーデン アバノ・モンテグロット
人口 12万6000人 5万2000人 1万8200人
宿泊者数 統計無し 24万7644人 45万人
年間延べ宿泊者数 280万人 74万9311人 350万人
平均滞在日数 1泊 3泊 8泊
宿泊施設数と収容 397施設、2万7572人 86施設、4705ベッド 110施設
国内客比率 96% 68% 40%

(注)各市の統計ベースが相違するので必ずしも正確な比較表ではないが、ほぼ温泉地のスケールが分かる。別府の宿泊者数は市入湯税人員によった。アバノ統計は隣市の温泉地モンテグロットと合算されている。



別府に取り込めること            

●車が見えないエリアを
欧州温泉地研修の最大のテーマは、別府温泉化可能なものが見つかるかどうかであった。
そのなかでも民意が形成されれば今にでもできることが、中心街への車両進入規制だった。
バーデンバーデンでは、80年代に市中心部への車両通行の激増が問題視され、美しい環境保全のために、関係車両以外の進入が禁止された。現在は観光客が悠然と行き交う歩く街並を取り戻している。このために、街に進入する道路は郊外で止められ、そこに地下駐車場を作ることまでしている。
「市民に大きな抵抗が無かった」と語ったのは、通訳をして頂いたビアテ・アンドウさん、温泉観光地として当然のことをしたまでとの答えだった。市民にも街の方向性が浸透していることには、驚く。
一方、アバノでも同じような試みが実施されている。街の中心部300メートル以上に渡り車両用道路を歩行用道路へ改造、中央分離帯部分には彫刻を配した水が流れる池が延々と続く。このプロジェクトは前市長が初め10年かかったとの話しで、アバノでは民意が一つになるには時間がかかったようだ。
ともあれ、観光地の環境をモータリゼーションから守る動きは、世界の観光地の大きな動きだ。
人が歩くことに対する心地良さと、歩くことへの抵抗感は民族によって違う。が、別府も中心街の竹瓦温泉周辺の路地、北浜通り、駅前通りなど車両規制が街の環境保全へとつながって行くことは間違いないだろう。車両問題で悩む北浜旅館街の若手経営者、伊藤博太、牧野好晃にとっては大きな参考になる現実を見ることになった。

●文化イベント
バーデンバーデン市の文化関係支出を聞いて驚く。年間1200万マルク(約8億4000万円)もの予算があてられている(教育関係は除外)。市の大きな柱が文化行政だ。社交場としてのオペラハウスの新増築、市民オーケストラの維持、カラヤン・コンサートの開催と催しは多彩だ。もちろん毎日観光シーズンには野外クラシックコンサートが開かれる。街のシンボリックな文化イベントが世界のマスコミへ発信される。
「健康と保養と美容」という街の基本に、きっちりと社交文化がマッチングしている。
一方、アバノは最近になって文化の味を地域の中に盛り込もうとしている。このイベントが「水の女絵画展」、水にかかわる有名絵画の展示会だが訪問直前に終了し鑑賞する時間は残念ながらなかった。ホテル協会あげて応援した姿がそのガイドブックに反映している。
別府といえば、昨年から始まった「アルゲリッチ国際音楽祭」は世界の観光地の潮流から見て、大ヒットイベントである。第1回目で、国内のクラシック音楽祭では5指に入る地位を築いている。さらなる定着を目指せば世界の社交の場として地位も訪れるものと期待される。アルゲリッチ音楽祭の事務局に関わる栗田達夫(料飲経営者)もその感を強くしたに違いない。

●温泉医療
バーデンバーデンの温泉治療は、行政、ホテル、医者が一体となったユニットとして機能している。街なかでは美しさや癒し、社交場(クワハウス、カジノ、オペラハウスなど)整備を追求し、ホテルやレストランは快適な宿泊や食を提供、そして医者が治療に当たる。私たちが訪問した医療施設は、ホテル施設に医療機能が合体した豪華なものだった。
アバノでは、ホテルそのものが温泉医療施設を経営し、ホテルと医療施設が合体できない日本では制度的にもなし得ない業態を展開している。
これら方向性の違う二つの温泉地から、日本と保険制度の違いで、大きな隔たりがあることに気づかされる。両国とも国や大学などの機関が温泉を研究し、予防医学、リハビリなどで保険適用がなされるのだ。ただ、日本でも予防医学に対する保険適用などは今後、介護保険問題も含めて議論される下地はできている。
ここには温泉の新たな利用を促す素材が、ここにはゴロゴロと転がっていた。


11月に国際会議、成果はいかに     

●11月の国際会議に向けて
このチームのもう一つの目的は、本年11月に開催予定の「別府八湯ONSEN文化国際交流会議(仮称)」の招請者探すこと。98年11月の概括的な「ONSEN文化交流ミーティング」をより具体的に、相互の温泉地発展のために開催することを趣旨としている。
誰を何の目的で招請するか、このお願いをどこで切り出すのか、国際間のことだけにデリケートな感覚の入る仕事である。
この問題も現実を見ることにより杞憂に終わる。街の作り方、民意形成の仕方、温泉治療のあり方など、この人を別府に呼び意識のあるメンバーとディスカッションさせ、別府の将来構想を探り、さらに現実的な交流を持ちたいと思った。
バーデンバーデンでは市から街づくりの関係者、クリニック・フランツ・デングラー(ホテルのような医療施設)から医療関係者、ホテル協会からの招請をお願いし、アバノからはホテルの医療スタッフ、市の街づくりスタッフをお願いした。
そのうえ、2000年2月にはアバノ市のセザール・ピロン市長とホテル協会会長で私たちの友人マッシモ・サビオン氏が来別を確約して頂いた。

●現実的なメリットのある交流へ
とくにマッシモ・サビオン氏はこの地域でホテルを4つ経営する40才台の若手リーダー、別府とのより現実的な交流を期待し、1)別府の温泉がどう効能があるのか、イタリアの大学機関に研究委託させてみてはどうか、イタリアならば保険適用が可能かどうかシュミレーションしてみる、2)ファンゴ(温泉の泥)についても別府のものを調べてみる、3)温泉の吸引療法について別府の温泉で試験してみたい、4)料理人の相互交流、5)都市計画スタッフの相互交流、などの提案があった。
私たちはアバノ温泉地域の日本でのプロモーションのお手伝いをしようということになる。
温泉研究機関どうしの交流、そして民間交流の次のステップが踏めそうな気配が見えてきた。とくに、美容師・林昌治、訪欧出来なかったメンバー明石光伸医師、内田一郎医師にとってはビジネスに直結する交流になるかもしれない。

●移植可能な制度やシステムの研究
独伊の国が認める温泉医療のプログラム(=治療パッケージ)は保険が適用され無料だ。日本にこの制度が導入されれば、温泉地の宿泊施設と医療施設の活性化は間違いないと思えるが、これを待っていては何年かかるかも分からない。
別府独自の温泉分析と温泉治療プログラムを、医療機関とタイアップして始めるのが近道ではないだろうか。別府オリジナルの温泉治療1週間パッケージを作成できるのか、可能性を探っていくことにした。協力者は先進地ドイツとイタリアの交流先というのが今後のシナリオである。

●成果は果たして
訪欧中、各温泉地のホスピタリティーとその対応の真摯なことは、言葉で表すにあまりある。なにより、極東の国、日本から来た我々の疑問に市長が筆頭になって長時間答えてくれたことは団員の心に残る。
ドイツでは温泉観光地として認めてもらうには、自前のオーケストラ、そして医師が揃っていることが条件とされる、温泉医療には質の高い社交場(正装が条件)が前提とされている。コンサバティブ(保守的)なリューマチやアレルギーの温泉治療のプログラムもトリートメントやフィットネスなどのトレンドを取り入れて変わり現在がある。
数週間に渡る治療プログラムも、コンパクトケア(短期の治療プログラム)へと変化、欧州の温泉観光地も時代に合わせ、変わっていく。
別府八湯は、世界でも有数の自然の力をまだまだ有効に使っていないことが実感される。
街の総合力は、その方向性と人材によって決定される。今回の訪欧団はこの二つの命題に深くコミットした。その成果の第1弾は、11月の交流会議で試されるだろう。


参加団員個人別報告

栗田達夫さんの報告            
■バーデンバーデンにて 
6月27日午後8時、同じ日とはいえ7時間の時差があるので、別府を出てから実に24時間かかってローマ時代からの温泉都市バーデンバーデンに着いた。昨年11月の別府八湯ONSEN文化国際交流ミーティングで来別していただいたノルベルト・ヤックムートさんの町である。フランクフルトの空港からバスでライン川と平行して走る高速道路を南下すること2時間あまりであった、日本と異なりカラフルな宣伝看板等の無い車窓からの景色は黄緑の畑の向こうに長くつらなる低い山々があるばかりで退屈な感じさえあった。しかしながら、山の頂上近くや中腹に、茶色の城シュロスがポツリポツリと見えてはじめてドイツに来たのだと確信した。シュロス、何か日本語の城と発音が似ているので覚えやすいので記憶にあったが、
ヤックムートさんの勤務するバーデンバーデン・マーケティング有限会社(同市の宣伝を一手に引き受ける別会社)の事務所はなんと同市を見下ろす山の上にあるお城の中にあった。公園になっている山の中の散歩道を行くと中世の城門が現れ、まさかと思ったらその上に小さいとはいえ立派なお城があった。入り口の表札には、ヤックムートさんの会社以外にも、音楽祭の会社等の表示もあり同居していることが判った。その3階に、彼は他の19名のスタッフと共に精力的に働いていた。昨年12月のクリスマス・ハナビファンタジアと第2回目のミーティングで鉄輪の地獄蒸し料理も体験されたホルヌング嬢も懐かしい顔を見せてくれた。パソコンと書類の山が中世の城と妙にマッチしたオフイスだが、若いスタッフたちのマーケティングのプロ集団らしい活気も感じられてすがすがしかった。
  表敬訪問させて頂いたバーデンバーデンの市長のラング女史は、現在2年目で任期は8年とのことであったが、やはり観光宣伝のプロであられたとのことであった。明るく機能的な市議会の議場で我々に対して懇切丁寧に同市の現状と将来像を真摯に熱っぽく語られた。同市の経済基盤は、・温泉保養観光地としての一層の充実と、・欧州の主要空港とリンクしたアクセスの良い空港を活用して会議コンベンションの誘致増をはかり、・毎年5月にカラヤン音楽祭も行われる2500人収容の欧州でも最大規模のオペラハウスや劇場などにおけるイベントの活性化により現在25%程の外国人観光客の比率を高めて行き、さらに・企業誘致の増加等によってより確固としたものにせねばならないとのことだった。
また三週間後にはヨーロッパ・メディア・イベント・アカデミーを設立する予定であるとの事で、メディア関係者は技術もさることながら経営管理手法も身につけていなければならないので、その面の教育を充実させる目的であるそうだ。もちろん、英語も重要となるし、別府の大学にも同様な専攻学科があれば交流も可能だろうとのご意見であった。
過去において王侯貴族等の夏の保養地として、冬の首都パリに対して夏の首都とさえ呼ばれたバーデンバーデンも、1989年の東西ドイツ統一や、EUの経済統合などによる不況の影響を真剣に受けとめており、それに対して最も効果的な戦略で活路を開こうとしているのは明かであった。現在、その戦略がラング市長を先頭にヤックムートさん等の宣伝マーケティングのプロ集団を配置した新体制により着実に進められているようだ。


●アバノにて
6月29日フランクフルト空港から1時間少々でヴェニス空港に、さらにバスに乗り換え約1時間パドバ経由で午後8時前にアバノに着いた。まだ明るい日差しの中、ホテルの前に国際観光振興会パリ事務所から鈴木淳子次長が先に来て我々を迎えてくれた。ヴェネト平野の真中のユーガニ丘陵地域にはアバノとモンテグロットの二つの街を中心としたユーガニ温泉地帯がある。100軒余りある同地域の温泉ホテルの中でも、最高の格式を誇る五つ星ホテル「プレジデント・テルメ」の社長が、昨年11月に来別されたマッシモ・サビオン氏だ。夜9時過ぎにホテル近くのレストランで我々がやっと遅い夕食をとっていると、オートバイに乗った彼が懐かしい笑顔で現れた。再会に盛り上がった夕食の後、彼の自慢の150台のオートバイ・コレクションの一部やフェラーリ・カウンタッチ等のスーパーカーを見せてもらい一同彼の財力と趣味へのこだわりにあっけにとられてしまった。
翌日は、午前中から同市の代表的なホテルである「トリエステ・アンド・ヴィクトリア」で温泉水で処理した特殊な温泉泥の作り方や効能を同ホテルの担当医師から説明を受けた。また、郊外の方ではモデルのように美しい30代のご夫婦が経営されるホテル「ミケランジェロ」にも伺って、五つ星とはまた一味違った気楽な雰囲気のある四つ星ホテルの魅力を味わった。
アバノのピロン市長への表敬訪問は市役所の会議場で午後6時から始まったが、警察署長を始め市の各層の代表者が一同に会して、真摯に温かく出迎えてくれたので、我々一同大感激であった。レセプション会場にもほとんどの人がそのまま参加され、夜のふけるまで興味深くお互いの情報を交換しあった。
サビオン氏は、まだ40台前半の若さだが同地域全体のホテル組合の長を務めるかたわら、同地域全体の振興宣伝の為に官民で設立されたコンソーシアムのリーダーでもあるとの事だった。県の振興資金の補助を得て年間約2億円ほどの事業資金を使うコンソーシアムのスタッフは、サビオン氏の他には女性がたった2名だけとのことだった。そんな小人数で良く色々な宣伝イベント活動が出来ますねと質問したところ、多くのボランティアスタッフがイベント毎に手伝ってくれるとのことであった。
研修旅行の私のテーマは町の活性化であった訳だが、バーデンバーデン、アバノの両地域とも大変な危機感をもって地域の振興策を策定し真剣に実行しているので、大いに参考になった。また、昨年11月のミーティングで知り合ったサビオン氏、ヤックムート氏とイギリスはバースのポール・サイモン氏やニュージーランド・ロトルアのロス・スタンウェイ氏などはその後も個人的な交流が続いていてこの9月には皆でアバノで再会する計画をたてていると聞いた。我々の交流事業の輪が大きく広がって行くのが感じられ感動的であった。今後も、この交流の輪を維持しつつお互いの地域の利益になることをどんどん勉強できれば幸いである。
以上



西田陽一さんの報告              

■体験談・アバノテルメ ファンゴ(温泉泥)でいい気持ち

アバノの近郊の湖からとれた泥を、ホテルの敷地にて約4年から5年(もしかして4ヶ月の聞き間違い?)温泉に寝かしておくと、温泉の成分がファンゴ(泥)にとけ込む温泉は87度 45度の状態でファンゴを熟成
さて、いよいよ体験談
1,早朝5時起床 モーニングコールで起こされる 5時30分 
ホテルの施設になるメディカルセンター(1階)にバスローブのままで降りていく
2,明るい女性のスタッフが待っていて、すぐに用意している個室へと案内され
3,ファンゴをまずベッドに均等に塗ってくれ、背中から横になり、体中にファンゴを塗られる
4,毛布とシーツでくるまれ、蓑虫状態にて15分
5,ベッドの横にある水風呂にて洗い流し、終了

ファンゴはとてもきめ細かく、体にもやさしく感じられた。リハビリやリフレッシュには最高で、リュウマチにも特に良くきくとのこと。メディカルセンターには、マッサージルーム、フットマッサージの他、温泉吸引機(正式名称不明)により喉、お顔のケアーもできる。スタッフも女性、男性が明るく笑顔がとてもいい。
以上