2019年5月22日
「認知症は運動で予防できない?」
運動不足は認知症発症リスクではないという報告だ。認知症予防について、無垢な時代が終わり、新たな時代の号砲を告げる論文かもしれない。はじめに私の立場をはっきりさせておくと、予防が完成すれば認知症は駆逐されるという楽観主義でも、予防なんて無意味だからすべて受け入れようという悲観主義でもない。私の立場は、真実は中庸にありというものだ。論文にはこうある。認知症になる前(前駆期)、活動性は低下している。したがって運動もしなくなっている。ある段階で運動をしている人、していない人に分けると、していない人には前駆期の人が含まれる。彼らはしばらくすると認知症を発症する。すると「運動をしなかったから認知症になった」と第1種過誤が起きる。短期間の観察では必ずこうなるが、乗り越えることはできる。前駆期の長さ以上の観察期間をとればよいのだ。
本論文はメタアナリシスであるが、すべてのケースで認知症発症リスクを見ると、確かに運動をしていないとリスクは高い(1.4倍くらい)。ところが、10年以上経過を見たケースに限定すると、あら不思議、リスクは消えてしまう。個人的見解だが、認知症予防に関しては○○が効いたという報告があり、しばらくしてメタアナリシスで疑問が呈される、ということが繰り返されているように思う。最初の報告はセンセーショナルで、話題になる。そして後の疑問は、もはや話題にならない。
つまり人は見たいものを見る、聞きたいことを聞く、ということだ。この現象は、正常性バイアスみたいなものだろう。命題(1)認知症は予防できるはずだ、命題(2)予防は健康的な生活習慣と関係する、と人は考えるのだ。
私は何もこのネガティブデータを見て、「予防なんて無意味だ」「ほら見たことか」と言いたいわけではない。予防研究は非常に重要だ。私が言いたいことは、予防に重心が置かれ過ぎると、認知症になった場合に「きちんと予防しなかった自分が悪い」「予防させなかった家族が悪い」と、怒りと絶望に苛まれる人がしばしばいるということだ。なるときはなる、と考えたほうがいい場合もある。だって人間だもの。
言うまでもなく(そしてこの論文にも書いてあるが)、糖尿病や冠動脈疾患は、運動で予防できる。それに運動すると気持ちいいではないか。認知症になったとしても運動する習慣があったほうが、運動を続けられるだろう。認知症を予防できるかどうかまだわからないが、楽しく運動しましょう。
 〜日経Goodayより〜



2019年5月21日
「グラノーラ研究家に聞く、アーモンドの選び方とおすすめ6選」
栄養豊富なアーモンドは、健康や美容によい効果を期待できるといわれています。アーモンドを選ぶときは、産地や製法など、チェックしておきたいポイントがいくつかあります。この記事では、グラノーラ研究家の梶原はるきさんへの取材をもとに、アーモンド選びのポイントとおすすめの商品を紹介します。
グラノーラ研究家の梶原はるきさんに、アーモンドを選ぶときのポイントを4つ教えてもらいました。
【エキスパートのコメント】
・カリフォルニア産やスペイン産がおすすめ! 産地や品種で選ぶ
タンパク質、ビタミン、ミネラルの豊富なナッツ。中でもアーモンドはビタミンEが多く含まれています。また、食物繊維やカルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛といったミネラルバランスにも優れています。日本でよく食べられているのは、アメリカ・カリフォルニア産のノンパレル種。一般的に「アーモンド」といわれてイメージする扁平な形と、粒ぞろいで割れにくいのが特徴です。スペインやフランスなど、ヨーロッパも実はアーモンドの名産地です。スペイン産は特に食感が優れていて、南フランス・プロヴァンス産は良質で、味・栄養ともに水準が高いといわれています。
・オーガニック(有機栽培)かどうかで選ぶ
アーモンド自体は果実や核に覆われているので、農薬などからは比較的安全に守られているといわれていますが、オーガニックのものであればより手に取りやすいですよね。パッケージに「オーガニック」と記載されていたり、原材料名の欄に「有機」と記載があるので商品を選ぶときに確認してみましょう。オーガニックであれば、子どもや家族の健康おやつとしても抵抗なく取り入れられます。
・ローストタイプ? 生タイプ? 好みの製法で選ぶ
製法は大きく分けると2種類、ローストタイプと生タイプがあります。栄養素に大きな差はありませんが、ローストはカリッとかための食感で、一般的にイメージするいわゆる「アーモンド」の香ばしさを楽しめます。一方、生タイプはなかなか食べる機会は無いかもしれませんが、少し柔らかめで噛みしめるほどに味わいがあり、アーモンドの甘さを感じられます。ローストと比べて生の方が酸化しにくく、ポリフェノールが多いという特徴がある反面、お腹の調子が悪くなる方もいるかもしれません。より香ばしさを感じられる楽しみ方として、生アーモンドをオーブンや電子レンジで加熱して食べる方法もあります。
・ライフスタイルに合わせてサイズやフレーバーで選ぶ
フレーバーはさまざまで、何も加えていない素焼きのもの、塩分やスパイスを加えたしょっぱい系、はちみつなどで甘みを加えたおやつ系など、豊富にあります。サイズも携帯しやすいものから大容量のものまでさまざま。シーンやライフスタイルに合った、あなた好みのものを見つけましょう。
自然な食味をお好みの方は、塩分や糖分が天然のものを選ぶのもポイントです。
〜マイナビおすすめナビより〜


2019年5月20日
「グラノーラ研究家に聞く、アーモンドの選び方とおすすめ6選」
栄養豊富なアーモンドは、健康や美容によい効果を期待できるといわれています。アーモンドを選ぶときは、産地や製法など、チェックしておきたいポイントがいくつかあります。この記事では、グラノーラ研究家の梶原はるきさんへの取材をもとに、アーモンド選びのポイントとおすすめの商品を紹介します。
グラノーラ研究家の梶原はるきさんに、アーモンドを選ぶときのポイントを4つ教えてもらいました。
【エキスパートのコメント】
・カリフォルニア産やスペイン産がおすすめ! 産地や品種で選ぶ
タンパク質、ビタミン、ミネラルの豊富なナッツ。中でもアーモンドはビタミンEが多く含まれています。また、食物繊維やカルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛といったミネラルバランスにも優れています。日本でよく食べられているのは、アメリカ・カリフォルニア産のノンパレル種。一般的に「アーモンド」といわれてイメージする扁平な形と、粒ぞろいで割れにくいのが特徴です。スペインやフランスなど、ヨーロッパも実はアーモンドの名産地です。スペイン産は特に食感が優れていて、南フランス・プロヴァンス産は良質で、味・栄養ともに水準が高いといわれています。
・オーガニック(有機栽培)かどうかで選ぶ
アーモンド自体は果実や核に覆われているので、農薬などからは比較的安全に守られているといわれていますが、オーガニックのものであればより手に取りやすいですよね。パッケージに「オーガニック」と記載されていたり、原材料名の欄に「有機」と記載があるので商品を選ぶときに確認してみましょう。オーガニックであれば、子どもや家族の健康おやつとしても抵抗なく取り入れられます。
・ローストタイプ? 生タイプ? 好みの製法で選ぶ
製法は大きく分けると2種類、ローストタイプと生タイプがあります。栄養素に大きな差はありませんが、ローストはカリッとかための食感で、一般的にイメージするいわゆる「アーモンド」の香ばしさを楽しめます。一方、生タイプはなかなか食べる機会は無いかもしれませんが、少し柔らかめで噛みしめるほどに味わいがあり、アーモンドの甘さを感じられます。ローストと比べて生の方が酸化しにくく、ポリフェノールが多いという特徴がある反面、お腹の調子が悪くなる方もいるかもしれません。より香ばしさを感じられる楽しみ方として、生アーモンドをオーブンや電子レンジで加熱して食べる方法もあります。
・ライフスタイルに合わせてサイズやフレーバーで選ぶ
フレーバーはさまざまで、何も加えていない素焼きのもの、塩分やスパイスを加えたしょっぱい系、はちみつなどで甘みを加えたおやつ系など、豊富にあります。サイズも携帯しやすいものから大容量のものまでさまざま。シーンやライフスタイルに合った、あなた好みのものを見つけましょう。
自然な食味をお好みの方は、塩分や糖分が天然のものを選ぶのもポイントです。
〜マイナビおすすめナビより〜


2019年5月18日
「新インフルワクチンで毎年の接種不要に? P1試験開始」
インフルエンザワクチンは次シーズンの流行予測に基づき、ワクチン株を選定して毎年製造される。そのため、新たな変異株の出現と拡大によるパンデミックの可能性に、世界中がたえず直面している。米国国立衛生研究所(NIH)は4月3日、インフルエンザウイルスの複数サブタイプに長期的に対応する“万能(universal)”ワクチン候補の、ヒトを対象とした初の臨床試験を開始したことを発表した。
この新たなワクチン候補は、菌株ごとにほとんど変化しない領域に免疫系を集中させることで、さまざまなサブタイプに対する防御反応を行うよう設計された。本試験は、米国国立アレルギー感染症研究所のワクチンリサーチセンター(VRC)が主導している。インフルエンザウイルス表面には、ウイルスがヒト細胞に侵入することを可能にする赤血球凝集素(HA)と呼ばれる糖タンパク質があり、感染防御免疫の標的抗原となっている。新たなプロトタイプワクチンH1ssF_3928では、HAの一部を非ヒトフェリチンからなる微細なナノ粒子の表面に表示する。インフルエンザウイルスにおけるHAの組織を模倣するので、ワクチンプラットフォームとして有用だという。
HAは、頭部領域および茎領域からなる。ヒトの体は両領域に免疫反応を起こすが、反応の多くは頭部領域に向けられている。しかし、頭部領域は抗原連続変異と呼ばれる現象が次々と起こるため、ワクチンは毎年の更新が必要となる。H1ssF_3928は、茎領域のみで構成された。茎領域は頭部領域よりも安定的であるため、季節ごとに更新する必要はなくなるのではないかと期待されている。
VRCの研究者らは、H1N1インフルエンザウイルスの茎領域を使ってこのワクチン候補を作成した。H1はウイルスのHAサブタイプを表し、N1はノイラミニダーゼ(NA、もう1つのインフルエンザウイルス表面糖タンパク質)サブタイプを表す。18のHAサブタイプと、11のNAサブタイプが知られているが、現在は主にH1N1とH3N2が季節的に流行している。しかし、H5N1やH7N9、および他のいくつかの株も、少数ながら致命的な発生を引き起こし、それらがより容易に伝染するようになればパンデミックを引き起こす可能性がある。
H1ssF_3928は、動物実験において異なるサブタイプであるH5N1からも保護効果を示した。これは、このワクチンにより誘導された抗体がH1とH5を含む「グループ1」内の他のインフルエンザサブタイプからも保護可能なことを示す。VRCでは将来的な臨床試験として、H3とH7を含む「グループ2」サブタイプから保護するように設計されたワクチンも評価することを計画している。第I相臨床試験には、18~70歳までの健康な成人少なくとも53人が、段階的に組み入れられる。最初の5人の参加者は18~40歳で、H1ssF_3928(20µg)の筋肉内注射を1回受ける。残りの48人は、H1ssF_3928(60 µg)を16週間間隔で2回受ける予定となっている。
参加者は年齢によってそれぞれ12人ずつ4つのグループに層別される予定である(8~ 40歳、41~49歳、50~59歳、60~70歳)。研究者らは、H1ssF_3928に対する免疫反応が、年齢およびさまざまなインフルエンザ変異型への曝露歴に基づいてどのように変化するかを明らかにしたいと考えている。参加者は、接種後1週間、体温およびあらゆる症状を記録するよう求められる。また、12~15ヵ月の間に9~11回フォローアップ受診し、血液サンプルを提供する。研究者らはそのサンプルにより、インフルエンザに対する免疫を示す抗インフルエンザ抗体のレベルを特徴付けて測定する。なお、参加者が試験中にインフルエンザウイルスに曝露されることはない。
VRCでは、この臨床試験を長年の関連研究開発の集大成と位置付けている。2019年末までの登録完了、2020年はじめの結果報告開始を予定している。
 〜CareNetより〜


2019年5月17日
「老化防止にたんぱく質はどれだけ必要? 注目はロイシン」
年をとっても元気に歩き続けたい。老け込みたくない――。老化を防ぎ、健康寿命を延ばしたいというのは誰もが共通に願うこと。その実現には、体を構成する栄養を得る源である「食事」が重要になるのは言うまでもない。そのために、私たちは具体的にどのような食生活に変えていけばいいのか。
第1回では、シニア期に入ったら食事の内容を変えていく必要があることが、近年の国内外の研究から明らかになっていることを紹介した。特に重要となるのが「たんぱく質」。たんぱく質の摂取は、筋肉量や歩行速度、下肢機能の維持と密接に関係しており、摂取不足は要介護のリスクを高める。さらには、体の免疫力の低下にもつながり、肺炎などの深刻な病気を引き起こすリスクも高まる。
私たちは、中年期から高齢になるにしたがって、食べ過ぎを控える「メタボ対策」から、たんぱく質をしっかりとる食事内容にギアチェンジすることが求められるようになる。高齢者のフレイル(元気な状態と要介護の中間)や糖尿病対策に詳しく、『60歳からの筋活ごはん』(女子栄養大学出版部)などの執筆・監修を手掛ける東京都健康長寿医療センター副院長・内科総括部長の荒木厚さんは、「シニア以降は、食事の力点はたんぱく質に置いてください」と話す。
第2回となる今回は、どのくらいたんぱく質をとればいいのか、それを実現するためには、どの食材をどのくらい摂取すればいいのかなど、具体的な対策を荒木さんに聞いていく。 まずは、シニアに求められるたんぱく質の摂取量から。前回紹介したように、シニアが筋肉を維持し、老化を遅らせるには、どのくらい摂取するのが望ましいのだろうか。
一般的な成人を対象としたたんぱく質の摂取量は、体重1kg当たり1日0.8~1.0g程度が推奨されている)。これは運動習慣がないビジネスパーソンなどを対象としたもので、区切りよく「体重1kg当たり1日1g」と覚えておけばいいだろう。体重60kgの人なら1日60gだ。
では、シニアの場合はどの程度必要なのだろうか。知っておきたいのは、高齢者では、若い人と同じ量のたんぱく質を摂取しても、筋肉のたんぱく質を合成する力が弱まっているということ。「高齢者になるとアミノ酸(たんぱく質の構成要素)の利用効率が落ちてきます。若い人と同じようにたんぱく質合成を保つ(=筋肉量を保つ)には、より多くの量が必要になります」(荒木さん)
 〜日経Goodayより〜


2019年5月16日
「腕立て伏せが得意な人は、心筋梗塞や突然死のリスクが少ない」
〜一定のペースで連続40回を超える人のリスクは96%も低い〜
米国の男性消防士を対象に行われた研究で、一定のペースを保ちながら腕立て伏せができる回数が多い人ほど、その後10年間の心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)の発症や心臓突然死のリスクが低いことが明らかになりました。一定のペースで行う腕立て伏せが連続で10回以下しかできなかった人に比べ、41回以上できた人では、その後10年間の心血管疾患発症などのリスクが96%も低くなっていました。
心筋梗塞や脳卒中に代表される心血管疾患は、世界各国で主な死因の1つになっています。喫煙、高血圧、糖尿病などは心血管疾患のリスクを高める危険因子であり、反対に、運動はリスクを低減することが知られています。これまでに行われたさまざまな研究では、主に質問票を用いて参加者の運動量を調べ、心血管疾患との関係を調べていました。しかし、調査後にトレッドミルを利用した運動負荷試験などを行って、客観的に心肺持久力を評価してみると、自己申告された運動量から推定されるよりも低かった、という報告がありました。こうした客観的な検査は、専門家を必要とし、コストが高く、時間を要するため、一般の人が受けられる機会は限られています。そこで米ハーバード大学公衆衛生大学院のJustin Yang氏らは、心肺持久力の代替指標として、腕立て伏せ能力(一定のペースで持続可能な回数)が役に立つのではないかと考え、その後の心血管疾患などの発生との関係を調べました。
対象となったのは、米インディアナ州内10カ所の消防署に勤務していた18歳以上の男性消防士1562人(平均年齢39.6歳)です。腕立て伏せは、1分間に80回のペースで、メトロノームの拍子に合わせて実施しました。実施中はスタッフが監視し、(1)80回になるまで、(2)メトロノームに合わせられなかった回が3回になるまで、(3)疲労または他の症状(めまいや胸痛、息切れなど)により本人がやめるまで――のいずれか一番早い時点までカウントしました。同時に、最大下運動負荷試験(有酸素能力を極限まで発揮させる最大運動より低い強度で負荷をかけたトレッドミル検査を行い、心肺機能を評価する)も行いました。登録された1562人のうち、腕立て伏せに関するデータが得られた1104人を今回の分析対象にしました。腕立て伏せができた回数に基づいて、参加者を5つのグループに分け、その後10年間の心血管イベント(心筋梗塞・狭心症・心不全の発症、心臓突然死など)の有無を調べました。
分析の結果、腕立て伏せの回数が多い人ほど、登録時点の心血管疾患の危険因子(BMI、血圧、総コレステロール値、LDLコレステロール値、中性脂肪、血糖値など)の数値が低いという、逆相関関係があることが分かりました。決まったペースで10回以下しか腕立て伏せができなかった人(参照群)に比べ、40回を超えて腕立て伏せができた人の心血管イベントリスクは、96%も低くなっていました。参照群と比較すると、11回以上実施できた人々の心血管イベントリスクは、全て統計学的に有意に低くなっていました。また、トレッドミル検査を行って評価した心肺持久力と腕立て伏せ能力を比較すると、心血管イベントリスクとの関係は腕立て伏せ能力の方が強力でした。
今回の研究では、成人男性において、腕立て伏せの能力が、その後の心血管イベントリスクと関係することが示されました。ただし、この現象は、腕立て伏せ回数を評価した時点の、参加者たちの心血管疾患の危険因子の保有状況の違いによって説明できる可能性があります。研究者たちは、「今後、より多様な人々を対象に、より規模の大きい研究を行う必要があるが、腕立て伏せ回数の計側は、シンプルで費用のかからない心肺持久力推定法である可能性がある」と述べています。
 〜日経Goodayより〜


2019年5月15日
「人生後半、食事内容をギアチェンジするタイミングがやってくる」
〜どんな食事を心がければ、老化を防ぎ、健康寿命を延ばせるのだろうか――。今、「シニアの食事の常識」が変わりつつある。「加齢にしたがって食事内容をギアチェンジする必要がある」ことが最新研究によって分かってきたのだ。カギを握るのが「たんぱく質」。本特集は、高齢者のフレイル(虚弱)や糖尿病対策に詳しい東京都健康長寿医療センター副院長・内科総括部長の荒木厚さんに、寝たきりを避け、健康寿命を延ばすための食事のとり方のポイントを聞いていく。老化を防ぎ、健康長寿を実現することは誰もが共通に願うことだろう。
日本人の寿命は延び続けているが、大事なのは「長さ」だけでなくその「中身」。寝たきりの期間を短くして、介護されることなく自分の足で歩ける期間(=健康長寿)をできるだけ長くキープする、これが理想だろう。そのためには何をすればいいのだろうか――。人生も後半戦に入り、シニアの年代が近づいてくると、現実味を帯びるテーマだ。
人の体は、歳とともにさまざまな器官が衰える。「老化を防ぐ」と一口に言っても、その対象は脳はもちろん、内臓、皮膚、骨、目、耳、髪など多岐にわたるが、寝たきりを避けるのを目標に据えるなら、自分で立ち、歩く力を支えるために重要となる「筋肉の維持」が大きなポイントになる。
筋肉の維持というと、運動を実践して足腰が衰えないようにすることが大事なのは言うまでもないが、同時に体を構成する栄養を得る「食事」が重要になる。では、それを実現するために「求められる食事」とは何か。
健康にいい食事、というと、「食べ過ぎは厳禁」「いろいろな食材をバランスよく」というのが一般的な認識だろう。実際、職場の健康診断では、メタボのチェックは必須で、内臓脂肪の蓄積による悪影響を減らすため、食べ過ぎ、特に脂っこい肉の食べ過ぎは控えるのが健康的というのが、いわば“常識”となっている。
また、人生も後半戦に入ると、若い頃より活動量も減ってくる。「そんなに食べる必要はない。野菜中心のあっさりしたおかずで、量も控えめで十分だろう」と考えがちだ。
だが、この常識が最近の研究により変わってきた。高齢者のフレイル(虚弱)や糖尿病対策に詳しい東京都健康長寿医療センター副院長・内科総括部長の荒木厚さんは、「最近の研究によって、シニア期の食事に対する考え方が大きく変わってきました。健康長寿を実現するには、加齢にしたがって食事の内容を正しくギアチェンジする必要があるのです」と話す。そのカギを握るのが、「たんぱく質」なのだという。
詳しくは後述するが、たんぱく質は、筋肉はもちろん各種臓器の材料になる重要な栄養素だ。たんぱく質の摂取量が減ることは、筋肉が減るだけでなく、各臓器の機能低下にもつながりかねない。これが近年恐れられているシニア期の肺炎にもつながっているという。
「これまで、高齢者は基礎代謝量(じっとしていても消費するエネルギー量)が低下することなどから、老化とともに必要な栄養は少なくなるのでは、と考えられていました。しかし、最近になって、高齢者こそしっかり食べる、特に積極的にたんぱく質をとることが重要で、それが筋肉などを維持する助けになり健康長寿につながる、という事実が明らかになってきました」(荒木さん)


2019年5月14日
「糖尿病患者にナッツが利益? 死亡リスクが下がる可能性〜ただしピーナッツの利益は少なめ〜」
2型糖尿病と診断されている人々のナッツの摂取量と、その後の死亡や心血管疾患の発症との関係を調べた米国の研究で、ナッツの摂取量が多い人ほど、死亡リスクや心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)の発症リスクが低いことが分かりました。
ナッツには、不飽和脂肪酸や、植物性たんぱく質、食物繊維、ミネラル、ビタミン、ファイトケミカルなどが豊富に含まれています。これまでに、一般の人々を対象とする研究で、ナッツの摂取頻度が高い人のほうが、高血圧、心血管疾患、がんの発症や、死亡が少ないことが示されています。しかし、糖尿病にかかっていることによって心血管疾患や死亡のリスクが上昇している人々にも、ナッツが利益をもたらすかどうかは明らかではありませんでした。
また、マメ科の一年草の種子であるピーナッツと、樹木の種子(木の実)であるそれ以外のナッツ(アーモンド、クルミ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、マカデミアナッツ、松の実など)の成分は異なりますが、これまでに行われた研究は、それらを区別して分析していませんでした。
そこで、米ハーバード大学公衆衛生大学院のGang Liu氏らは、2型糖尿病患者を対象に、ナッツの摂取量とその後の心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)や死亡などの関係を検討。さらに、ナッツをピーナッツと木の実に分けて詳しく検討することにしました。
分析対象となったのは、米国の医療従事者を対象とした大規模疫学研究の参加者のうち、もともと糖尿病だった、または追跡期間中に糖尿病と診断された男女1万6217人です。既に心血管疾患を経験していた患者や、がんと診断されていた患者などは除外しました。
対象者に2~4年ごとに行った食物摂取頻度調査から、前年1年間のナッツの摂取量を調べました。1皿は28gとし、「ナッツは食べない/ほぼ食べない」「1カ月に1~3皿」「1週間に1皿」「1週間に2~4皿」「1週間に5~6皿」「1日1皿」「1日2~3皿」「1日4~6皿」「1日6皿超」のいずれかに分類しました。同様に、ナッツを木の実とピーナッツに分けた摂取量調査も行いました。
研究者たちが特に注目したのは、心血管疾患の発症リスクおよび死亡のリスクと、ナッツ摂取量の関係です。両者の関係に影響を及ぼす可能性のある要因として、BMI(体格指数)、運動習慣、喫煙、飲酒、病歴、心筋梗塞またはがんの家族歴、高血圧、脂質異常症などに関する情報も収集しました。心血管疾患に関する追跡期間は22万3682人-年、死亡に関する追跡期間は25万4923人-年になりました。
ナッツの摂取量は、「心血管疾患の発症」と「死亡」のリスクと関係していました。両者の関係に影響する可能性がある要因を考慮した上で分析した結果、ナッツの摂取量が1カ月に1皿未満の人に比べ、1週間に5皿以上食べる人では、心血管疾患の発症が17%少なく、死亡も31%少なくなっていました。心血管疾患の発症、心血管疾患のうち心筋梗塞・狭心症(冠動脈疾患)の発症、死亡、心血管疾患による死亡については、ナッツの摂取量が多くなるほど、利益が大きくなるという傾向性が見られました。一方、脳卒中の発症やがんによる死亡のリスクには、ナッツの摂取量は関係していませんでした。
次に、ナッツを木の実とピーナッツに分けて分析したところ、木の実を週に2皿以上食べている人は、月に1皿未満の参照群と比べて、心血管疾患の発症、心血管疾患のうち心筋梗塞・狭心症の発症、死亡、心血管疾患による死亡、がんによる死亡のリスクが低下していました。一方、ピーナッツの摂取量が多い人には、死亡リスクの低下のみが見られました。
最後に、糖尿病発症前と発症後の、ナッツの摂取量の変化と、その後の健康の関係について検討しました。ナッツの摂取量に変化がなかった患者に比べ、診断後に摂取量が増えていた患者では、心血管疾患の発症(11%減)、心筋梗塞・狭心症の発症(15%減)、死亡(27%減)、心血管疾患による死亡(25%減)のリスクが低いことが明らかになりました。
今回の研究結果は、2型糖尿病患者が、日常的にナッツ、特に木の実を食べると、死亡リスクが減少するなど健康への利益を得られる可能性を示しました。
 〜日経Goodayより〜


2019年5月13日
「ワイン1本の発がんリスク=たばこ5本」
英・University Hospital Southampton NHS Foundation TrustのTheresa J. Hydes氏らは、飲酒と喫煙で発がんリスクを比較した結果、1週間にワイン10杯(1本)の摂取による発がんリスクは男性で週5本、女性で週10本の喫煙によるリスクと同等であったとBMC Public Healthに発表した。
喫煙による発がんリスクは周知されているが、飲酒による発がんリスクに関する一般人の理解は乏しい。そこでHydes氏らは、中等度の飲酒による発がんの絶対リスク(1,000人当たりのがん罹患数)を算出し、軽度の喫煙による絶対リスクと比較した。
リスク算出には、Cancer Research UKがOffice for National Statisticsなどのデータに基づく英国一般人口における発がん生涯リスクのデータ、喫煙および飲酒に起因するがんの罹患数に関する既報データ、中等度の飲酒および喫煙による発がんの相対リスクに関するデータを用いた。
検討の結果、ワイン1本/週の摂取により、非喫煙者における発がんの絶対生涯リスクが男性で1.0%、女性で1.4%上昇。ワイン1本/週の飲酒を続けた場合、1,000人当たり男性で約10人、女性で約14人が生涯のいずれかの時点でがんを発症すると推定された。
この発がんリスクの上昇は、男性では主に消化器(中咽頭、食道、大腸、肝臓)がんによるものであるのに対し、女性では55%が乳がんによるものであった。飲酒による発がんリスクの「たばこ当量」を算出したところ、ワイン1本/週の摂取による絶対リスクの上昇は、男性でたばこ5本/週、女性で10本/週と同等であった。
また、アルコール関連がんの絶対生涯リスクにおける男女差は、飲酒量の増加に伴い拡大した。ワイン3本/週(約2分の1本/日)の摂取により、発がんの絶対生涯リスクは男性で1.9%、女性で3.6%上昇。男女各1,000人がワイン3本/週の摂取を続けた場合、男性で約19人、女性で約36人ががんを発症すると推定された。ワイン3本/週の摂取によるリスクのたばこ当量は、男性で8本/週、女性で23本/週と算出された。
Hydes氏は「この研究の目的は、ワイン1本/週という中等度の飲酒でも発がんリスク、特に乳がんのリスクが上昇するという注意を喚起する点にある。乳がんは英国人女性において最も高頻度に見られるがんなので、この結果が持つ意義は大きい」と強調している。
さらに、「アルコールのたばこ当量という考え方は、たばこの発がんリスクが既に周知されていることを利用して、飲酒による発がんリスクを周知させることができる有用な手段である。大量飲酒と口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、消化器がん、肝がん、乳がんの関連は周知されているが、喫煙と異なり一般には広く認知されていない」と指摘。「たばこと比較することで、飲酒とがんの関連がより効果的に伝わり、リスクを十分に理解した上でのライフスタイル選択に役立ててほしい」と述べている。
〜メディカルトリビューンより〜


2019年5月11日
「イメージ通りに体が動かない…年を取ると衰える巧緻性って何?」
人はみな、年齢を重ねると体の動きが悪くなる。例えば、何もないところでつまずいたり、階段の上り下りでバランスを崩しそうになったり、お釣りを受け取ろうとして落としてしまったり、という経験はないだろうか。つまずいたら、脚の筋力が衰えたのかなと思うかもしれないが、それだけではない。これは「巧緻性」と呼ばれる、頭の中でイメージした通りに体を動かす能力の問題でもあるのだ。
フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは、「体を動かすときには、頭の中のイメージを実現するために、脳から司令が出て筋肉が動き、一つの動作が完成します。年を取るとこの一連の働きが低下して、体が思い通りに動きにくくなるのです」と解説する。つまり、巧緻性には神経系の伝達が大きく関わっているというわけだ。「子どものころから工作や絵画が得意な人がいますが、手の指をうまく動かして、頭の中のイメージを具体的に表現するためにも、巧緻性が必要です。手先が器用なのは、神経系の伝達がうまくいっているということです」(中野さん)
年を取ると、やはり手で細かい作業をするのが難しくなってくる。それも巧緻性の衰えなのだ。前回、年々感じる「体力の衰え」を回復させるための運動について、中野さんに教えてもらった。それでは、巧緻性の衰えはどうすれば防げるのだろうか? 頭の中でイメージした通りに体が動かなくなり、立つ、歩くといった基本的な日常動作にも支障が出てきたら大問題だ。実は、歩いたり、階段を上り下りしたりといった普段の動作でも、脳は莫大な量の情報を処理しています。その最大の仕事は、片足立ちになったときにバランスを崩さないようにすることです」(中野さん)
バランスを保つためには、視覚や足の裏の感覚、筋肉からの情報と、三半規管(前庭系)からの情報を小脳で処理し、骨格筋を動かす指令を大脳から出す必要がある。「不安定な姿勢から回復しようとして筋肉を動かした後も、小脳が情報をチェックして、うまくいっていなければ、大脳から修正指示を出します。歩くという動作でさえ、多くの情報を小脳と大脳が瞬時に連携して処理しています。高齢になると、この神経伝達系が衰えることで、巧緻性が低下してくるのです」(中野さん)
筋肉の衰えであれば、筋力トレーニングをすれば対策できる。しかし、脳や神経伝達系は、どのように鍛えればいいだろうか。「実は、脳と神経伝達系を衰えさせないようにするためにも、やはり運動するのがいいんですよ」と中野さんは言う。
「脳を鍛えると言うと、パズルのようなものを解くイメージがあるかもしれません。でも、巧緻性の衰えを予防するなら、運動によって脳に多くの情報を処理させて、それを神経系が筋肉に伝えるということを繰り返す必要があります」(中野さん)
神経伝達系もトレーニングによって鍛えられ、衰えを防止することができる。中野さんによると、積極的に歩いたり、走ったり、あるいは家の中で片足立ちすることでも巧緻性を保つことに役立つという。つまり、あえて体が不安定な状態を作り出すことが大切なのだ。「お勧めなのは、バランスボールです。バランスボールに座って、体を安定させようとすることも効果的です。また、筋トレなら、片足を前に出して体重を乗せるフロントランジのような種目でも、体が不安定な状態になります。マシントレーニングのように、体を安定させた状態で行うよりも、自分の体重を使ったトレーニングほうが、巧緻性を保つには役立つのです」(中野さん)
ここまでは、年を取るにつれて巧緻性が衰えてくる問題について考えてきた。一方で、「最近は子どもたちの巧緻性が低下してきていることも問題です」と中野さんは言う。「実は、巧緻性は幼少期に一番発達します。特に“ゴールデンエイジ”と言われているのが、6歳から12歳くらいの間です。それが、神経系が最も発達する時期だからです」(中野さん)
さらに付け加えると、12歳くらいからは心肺機能が大きく発達し始め、16〜17歳くらいからが筋力が発達し始める時期だ。「昔は木登りをしたり、公園のジャングルジムで遊んだりすることで、自然と巧緻性が身についていました。特にジャングルジムは最適です。登ったり降りたり、潜って抜けたり。どの場所を抜けたら一番早く目的の場所に行けるかを考えたりすることが、巧緻性を高めることに役立ちます」(中野さん)
体を巧みに動かす能力は、神経細胞と神経細胞がつながることで発達していく。そして、幼少期にできた神経のつながりは、よほどのことがない限りなくなることはない。一度自転車の乗り方を覚えてしまえば、しばらく乗っていなくても、すぐにこぎ出せるのもそのためだ。「幼少期に巧緻性が培われていると、思うように体が動かせますから、その後にスポーツを始めたときも、スキルを習得するのが簡単になるんです。でも最近は、外遊びをすること少なくなったので、子どもの巧緻性が低下し、それがそのまま大人になってからの巧緻性の低下につながっています。鉄棒の逆上がりができない子どもが増えていますが、実は親も自分ができないから教えられなかったりするのです」(中野さん)
それでは、幼少期に巧緻性をあまり獲得できなかった人は、スポーツをやってもうまくならないのだろうか?「そんなことはないですよ。それまで未経験だった人が、40歳を過ぎてからゴルフやテニスを始めた場合、最初はぎこちない動きかもしれませんが、練習していくうちに素早く、スムーズな動きでプレーできるようになるはずです。プロ選手並みとはいかないかもしれませんが、巧緻性は高められるんです」(中野さん)
「もう年だから…」と諦めてはいけない。40歳を過ぎてからでも、巧緻性が衰えないように運動するだけでなく、スポーツを通じて巧緻性を高めることも可能なのだ。できる限り体を動かして、健康な状態を保っていこう。
 〜日経Goodayより〜


2019年5月10日
「皮膚の若さの維持と老化のメカニズムを明らかに 皮膚の老化を抑えるコラーゲンが判明」
研究は、東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野の西村栄美教授、松村寛行助教、劉楠氏らの研究グループが、同大学院皮膚科学分野の並木剛准教授らと共同で行ったもの。研究成果は国際科学誌「Nature」オンライン版に発表された。
老化は、細胞が生体内で絶えず生じる損傷やストレスを受けることで起きると考えられているが、これまで臓器が長期にわたり若さと機能を保つ仕組みや、ならびに老化する仕組みについてよく分かっていなかった。組織・臓器の老化の誘因は、日々発生する内因性ならびに外因性の損傷やストレスであることが知られている。しかし、皮膚では「幹細胞システム」が働いているため、ただちに老化するわけではない。たとえば紫外線を多めに浴びても、ただちに皮膚に老化細胞が蓄積して高齢者のようになることはなく、何十年という長期にわたり、若さと機能を維持する。
幹細胞システムでは、皮膚の表皮をはじめ上皮組織で活発な新陳代謝が行われ、多くの幹細胞クローンが消滅する一方で、一部の残存クローンが増大する。この幹細胞の消滅と残存は一見ランダムに見えることから「中立的幹細胞競合」と呼ばれている。「細胞競合」とは、組織中で近接する同種細胞間で、環境適応度の高い細胞が低い細胞を集団から排除する現象。それが生涯にわたって本当に中立的に起こる現象なのか、選択的に適応度の高い細胞を選択する細胞競合を反映しているのかについては明らかにされていなかった。
研究グループは今回の研究で、実際に生体内の幹細胞の動態と運命を解析することで、表皮幹細胞においてストレス応答性の幹細胞競合が起こっていること、とくに幹細胞と基底膜をつなぐヘミデスモソーム構成成分であるXV2型コラーゲンの発現がゲノムストレス/酸化ストレス誘導性のタンパク質分解によって生理学的に変動し、その結果、個々の幹細胞におけるXV2型コラーゲンの発現量に有意な差異を生じていること、その差異が幹細胞分裂の様式に差を生じることで、幹細胞間における細胞競合を引き起こすことを解明した。
具体的には、マウス成体内での多色幹細胞クローン分析と3次元細胞培養モデルなどを駆使することで、XV2型コラーゲン高発現細胞が水平方向に対称性分裂して基底膜上で増幅する(勝者幹細胞クローンとなる)のに対して、加齢によりXV2型コラーゲンを失った細胞(低発現細胞)は非対称分裂(縦分裂)を連続して行いながら、ヘミデスモソーム構成分子やヘミデスモソーム構造を失って基底層との係留が減弱していく過程を解明した。
その結果、限られた空間内で両者が互いに競合し合うことになり、後者は次第に基底層(ニッチ)から排除され、分化を経て皮膚表面から排除されることが明らかになった。これらの敗者クローンは、酸化ストレスやゲノムストレスに続くDNA損傷応答を経てXV2型コラーゲンの発現を減少し、ヘミデスモソームの消失を引き起こし、基底膜からの微小剥離により皮膚から排除されることも明らかになった。
したがって、XV2型コラーゲン高発現細胞が表皮幹細胞として長期にわたって維持されており、XV2型コラーゲンレベルのより低い低品質細胞を皮膚から排除し続けるなかで、自身も次第にXV2型コラーゲンの発現を失ってしまうため、細胞競合が減弱して表皮の老化が顕著となることが判明した。
また、表皮の角化細胞以外に表皮内でメラニン色素を産生している色素細胞や、表皮の基底膜下に分布する繊維芽細胞などに着目して解析したところ、表皮幹細胞の細胞競合が反復されるなかで、表皮基底層から排除されていく敗者クローン細胞集団に囲まれていた色素細胞も周囲の敗者細胞と一緒に排除されること、ならびに基底膜下の真皮内の線維芽細胞も表皮幹細胞におけるヘミデスモソームの構築変化と並行して消失していくことが観察された。
このような真皮浅層の繊維芽細胞の消失は真皮の細胞外マトリックスの構築にも変化を及ぼして深部に波及しうるため、臓器としての老化へとつながると考えられるという。さらに、表皮幹細胞においてXV2型コラーゲンを恒常的に発現させた高週齢マウスを解析したところ、皮膚の老化の抑制効果ならびに再生促進効果が得られ、さらにXV2型コラーゲンの発現を誘導する低分子化合物によって皮膚の再生促進効果が得られることが確認された。
今回の研究は、皮膚の老化を治療する新たな戦略や予防につながる可能があり、研究グループはすでに特許を出願している。他の臓器の上皮組織でも同様に幹細胞競合が臓器の恒常性と老化をコントロールしており、それが健康長寿につながる可能性があるという。
〜保健指導リソースガイドより〜


2019年5月9日
「大規模調査で判明!見た目の美しさは、意外なところで評価されていた」
美しさの基準は人によって異なるが、他人の外見の美しさの評価には一部の遺伝子が関与している可能性があることが、米ウィスコンシン大学マディソン校のQiongshi Lu氏らの研究から明らかになった。「PLOS Genetics」4月4日オンライン版に掲載されたこの研究では、約4,400人の白人の成人を対象に遺伝子解析を実施。その結果、外見の美しさの評価には、特定の遺伝子変異が関連していることが分かった。なお、このような関連は男女ともに認められたが、女性では美しさに関連する遺伝子変異は体格指数(BMI)とも関連するなど、性差が見られたという。
この研究は、大規模かつ長期にわたり進行中の研究の参加者のうち、4,383人の遺伝子情報に基づくもの。参加者は全員が1957年にウィスコンシン州の高校を卒業していた。研究グループは、2004年と2008年に、一部の参加者に、高校の卒業アルバムに掲載された同級生の顔写真を見てもらい、外見の魅力度を「全く魅力的ではない」から「極めて魅力的」までの尺度で評価してもらった。なお、顔写真1点につき12人が評価を行った。
その結果、外見の美しさの評価に関連する“一握りの候補遺伝子”が存在する2つの染色体領域が同定された。また、より詳細な検討から、こうした遺伝子は、女性ではBMIにも共通して見られるものであることが分かった。
一方、男性では外見の評価に関連する遺伝子変異とBMIの間に関連は見られなかったが、遺伝子変異の一部は血中コレステロール値に関連するものであった。その理由として、Lu氏は「コレステロールはテストステロンの合成に関与しており、男性ホルモンのテストステロンが多いほど男性では魅力的に見える可能性はある」と推測している。
さらに、評価者の性別も結果に影響することが分かった。女性による外見の評価に関連する遺伝子変異の一部は、毛髪の色にも関連するものだったが、男性が評価する場合には、肌の色素沈着に関連する遺伝子と関連するものだった。
この研究には関与していない米コロラド大学ボルダー校行動遺伝学研究所のMatthew Keller氏は「現代の文化的な背景を考慮すると、この結果は驚くには値しない」と話す。同氏は「むしろ、全く関連が認められなかった場合の方が驚きだ。遺伝子による影響は文化とは切り離せないものだ」としている。
もちろん文化的背景の影響を受けずに働く遺伝子もある。しかし、「“魅力的かどうか”といった複雑なコンセプトに関連する遺伝子は、そういうわけにはいかない」とKeller氏は説明する。また、「もしこの研究が美に対する価値観が異なる別の時代、あるいは別の社会で実施されたら、その結果も違っていたかもしれない」と指摘している。
論文の付随論評を執筆した著者の一人で米ペンシルベニア州立大学人類学のJulie White氏は、Keller氏と同様、外見の魅力に関連する遺伝子だけが実際の魅力を決定付けているわけではないことを強調する。また、White氏は文化的な影響に加え、身体的な特徴以外に人柄や性格なども外見の魅力を左右すると指摘し、「私たちは他人の表情から人柄を読み取るし、人柄はその人の魅力に影響する」と話している。
〜医療NEWSより〜


2019年5月8日
「コーヒーは5杯未満が有益?日本人の死亡率への影響」
これまでのコホート研究で、コ―ヒー摂取によるがん、心疾患、呼吸器疾患などへの良い影響が示唆されている。今回、国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」で、コーヒー摂取による日本人の全死因および死因別死亡リスクへの影響について、日本の8つのコホート研究(Japan cohort consortium)のプール解析を行った。
その結果、コーヒー1日5杯未満の摂取で全死因死亡や主な死因による死亡リスクが低下する可能性が示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2019年4月2日号に掲載。
本解析には、日本の8つのコホート研究(JPHC-IとJPHC-IIの多目的コホート研究、JACC研究、宮城県コホート研究、大崎国保コホート研究、三府県宮城コホート研究、三府県愛知コホート研究、三府県大阪コホート研究)における男性14万4,750人、女性16万8,631人のデータを用いた。17年間の平均追跡期間中に5万2,943人が死亡し、うち、がん1万9,495人、心疾患7,321人、脳血管疾患6,387人、呼吸器疾患3,490人、傷害・事故3,382人であった。ランダム効果モデルを用いて、統合ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・男女共に、コーヒー5杯/日未満の摂取が全死因死亡に予防的であり、コーヒー摂取量が最も高いカテゴリー(5杯/日以上)で関連が減弱した。
・男性では、がん以外の主な死因による死亡で同様の負の関連が観察された。
・女性では、1~2杯/日のカテゴリーでは、コーヒー摂取により心臓病による死亡リスクが減少したが、5杯/日以上のカテゴリーではリスクが増加した。
・男女共に、がんはコーヒー摂取とは関連がみられなかった。
・男性の現在喫煙者と女性の未喫煙者で結果が類似していた。
 〜CareNetより〜


2019年5月7日
「喫煙や飲酒より危険!成人死亡例の20%と関係する危険な食生活とは?」
不健康な食生活は、喫煙や高血圧よりも寿命を縮める要因となっている可能性があることが、米ワシントン大学のAshkan Afshin氏らが約200カ国で実施した調査から分かった。この研究からは、2017年には、不健康な食生活が世界中の全成人死亡例の22%に当たる1100万例の死亡と関連していることが示唆されたという。Afshin氏らは今回、公表されている栄養調査データを用いて、195カ国における食物摂取状況を評価し、また、食生活に関するさまざまなリスク因子や疾患リスクとの関連を調べた論文をレビューした。
その結果、典型的な食生活の内容には、世界の地域間で差が見られた。例えば、加工肉や加工食品からのトランス脂肪酸の摂取量は米国とカナダで最も多かったが、加糖飲料や塩分摂取量はほぼすべての地域で多かった。一方、健康的な食品の摂取量については、野菜の摂取量が多い中央アジアや豆類の摂取量が多いラテンアメリカ、アフリカ、南アジアなどを除いて、ほぼどの地域でも不足していた。また、全体として、世界中のどの地域でも、栄養バランスが悪い不健康な食生活は健康への脅威となっていることも明らかになった。例えば、食生活に関連した心疾患による死亡率はオセアニアと東アジアで最も高く、食生活に関連した2型糖尿病の合併症による死亡率は米国とカナダで最も高かった。さらに、食生活の影響は死亡率だけではなく生活の質(QOL)にも及び、2017年には、質の悪い食生活を原因とする障害調整生存年(DALY)は2億5500万に達していた。
今回の研究からは、特に、塩分摂取量が多く、全粒穀物や果物、野菜、ナッツ類の摂取量が少ない食生活が高い死亡率とより強く関連していることも示された。Afshin氏は、これらの結果は「加工食品の摂取を控え、植物由来の未精製、未加工の食品を摂取することを勧める従来の推奨を裏付けるものだ」と述べている。
これまでの研究では、世界の年間死亡例のうち800万例には喫煙が、1000万例には高血圧が関連することが報告されている。しかし、今回の研究では質の低い食生活も死亡原因になりうることが示された。Afshin氏は、栄養不良は高血圧から2型糖尿病まで幅広い健康問題を引き起こすことが知られており、「食生活の質が寿命に大きく影響するという今回の研究結果に驚きはなかった」と述べている。
この研究には関与していない米国立ユダヤ医療研究センターのAndrew Freeman氏は、Afshin氏の意見に同意し、Freeman氏らが行った別の研究でも、心臓の健康を保つには果物や野菜、ナッツ類などが豊富な食事が最善だとする結果が得られているとしている。
また、FreemanとAfshinの両氏は、食生活の問題は個人レベルにとどまるものではないとし、「医療制度や政策立案者を含め、社会全体で加工食品や赤身肉、バターではなく健康的な未精製、未加工の食品を摂取するよう促していく必要がある」と述べている。
〜医療NEWSより〜


2019年4月27日
「朝スッキリ目覚められる!短時間睡眠のコツ」
いくら頑張って睡眠時間を短くしようとしても、どうしてもできない人がいる一方で、はじめから短い睡眠時間で元気に生活している人がいます。多くの人の睡眠時間を調べると、6~9時間の人が全体の80~90%を占めています。この人たちは、睡眠時間を削ったり伸ばしたりしやすいので、「バリアブル(variable)スリーパー」と呼ばれています。 一方、睡眠時間が6時間未満の人を「ショートスリーパー=短眠者」、9時間を超える人を「ロングスリーパー=長眠者」と呼びます。ショートスリーパーの有名人には、ナポレオンやエジソン、レオナルド・ダ・ヴィンチがいます。みのもんたや明石家さんまも、この中に入るようです。日本人での割合は5~8%で、勉強や仕事、遊びで忙しい若い世代に多く見られます。
ロングスリーパーの日本での割合は、3~9%です。アインシュタインもこのタイプで、毎日10時間以上、眠っていました。ショートスリーパーとロングスリーパーの眠りを調べると、どちらのタイプも深いノンレム睡眠(=脳が休む眠り)の長さには差がありませんでした。しかし、ショートスリーパーでは、浅いノンレム睡眠やレム睡眠(=体が休んで、脳がメンテナンスする眠り)が、少ないことが分かりました。つまりショートスリーパーは、寝つきが早く、浅い睡眠が少ないため夜中に目を覚ますことも少ない、という効率の良い睡眠をとっているわけです。
さらに、2つのタイプでは、性格に違いもあります。ショートスリーパーは外交的で勤勉なため社会に適応しやすく、自信を持って精力的・野心的に活動するため多忙です。また。不平不満はあまり持たず、自分自身や現在の状況におおむね満足しています。
一方、ロングスリーパーは内向的で孤独を愛し、創造的でしかも細かい点にまで注意を払います。また、社会や政治に批判的な眼を向けるので、現状に満足せず気苦労が絶えません。ロングスリーパーがショートスリーパーになれるかは、今のところまだ不明です。しかし、バリアブルスリーパーはショートスリーパーになれる可能性があります。平均的な睡眠時間の人が、少しずつ睡眠時間を減らす実験が行われたことがあります。6カ月後に平均5時間にまでなったところで、実験は終了しました。
興味深いのは、その1年後、自由な生活を過ごしていた実験参加者を調べてみると、平均6時間の睡眠時間を保っていたことです。一度、短い睡眠時間に慣れてしまうと、それを長期にわたって維持できることが証明されたわけです。
これまでの研究では、以下5つのことを心がけると、睡眠時間を短縮することができそうです。
1.起床時刻は変えず、就寝時刻を1~2週間ごとに、15~30分ずつ遅くする
2.就寝の3~4時間前までに、あまり多くない夕食をとる
3.夕食後は、少し暗めの白熱灯の下で過ごす
4.就寝の1~2時間前に、軽い運動や入浴で、体温を少し上げる
5.日中に短い仮眠をとる
基本は、できることから睡眠環境を整え、少しずつ生活習慣を変えていくということです。あまり無理せずに、ゆっくりと挑戦してみてください。
〜マイナビ Presidentより〜


2019年4月26日
「犬の散歩中に骨折する高齢者が増加、米研究」
毎日、リードを引いて犬の散歩をすることは、高齢者にとって運動する良い機会となる一方で、問題点もあるようだ。米ペンシルベニア大学フィラデルフィア校のKevin Pirruccio氏らが実施した研究で、米国では近年、犬の散歩中に骨折する高齢者が倍増していることが明らかになった。
この研究は、米国消費者製品安全委員会による全米外傷調査プログラムのデータベース(National Electronic Injury Surveillance System All Injury Program Database)から得たデータを後ろ向きに解析したもの。65歳以上の高齢者を対象に、ペット用品に関連した骨折のデータを調べた。
その結果、犬の散歩に伴う骨折が原因で救急外来を受診した65歳以上の高齢者は年間で、2004年の1,671人から2017年には4,396人へと倍増したことが分かった。こうした骨折の4分の3以上は女性で発生し、骨折の部位は大腿骨近位部と上腕が最も多かった。また、全ての骨折の約半数は上半身で起こっており、リードを持つ手首と上腕、指、肩で多く見られた。
さらに、最も頻度が高い骨折のタイプは大腿骨近位部骨折で、全体の17%を占めていた。Pirruccio氏らによると、65歳以上の高齢者では、大腿骨近位部骨折に関連した死亡率は30%に近いことが報告されており、懸念される原因になっているという。
ただし、Pirruccio氏らは、今回の研究は救急外来で治療を受けた骨折だけを対象に分析したにすぎないと指摘する。高齢者が犬の散歩中に怪我をした実際の件数は、病院を受診するほどではない怪我を含めるとさらに増える可能性があるとしている。しかし、共同研究者の一人は、「それでも、散歩に犬を連れて行くことは健康に大きなベネフィットをもたらすだろう」と述べている。
この研究には関与していない米レノックス・ヒル病院のMatthew Hepinstall氏は「高齢者は犬と親密に触れ合うことができる上に、定期的に犬と散歩することで、心身双方の健康が改善する可能性がある」と述べ、犬の散歩によるリスクとベネフィットのバランスを取ることが必要だとしている。
では、なぜ犬の散歩に関連した骨折が増えているのだろうか?Pirruccio氏らは、犬を飼う人が増えていることや高齢者も運動をすべきだと進める風潮が、この傾向を後押ししているのではないかと推測している。
Pirruccio氏は「飼い犬との散歩は、社会的にも精神的にも、そして身体的にも健康へのベネフィットがあると繰り返し唱えられてきた」と強調する。一方で、「散歩中に転倒して負う怪我のリスクを最小限に抑える対策も必要だ」と同氏は述べている。Hepinstall氏もこの意見に同意し、「今回の研究の重要なメッセージは、ペットを飼う際には、高齢者が自分でペットの世話をできるかどうかを十分に考慮した上でペットを選ぶ必要があるということだ」と述べている。また、加齢に伴って、ペットの世話ができるかどうかを見直すことも必要だとしている。
 〜CareNetより〜


2019年4月25日
「大気汚染による死亡数、喫煙を上回る」
ドイツ・Max-Plank Institute for ChemistryのJos Lelieveld氏らは、大気汚染による死亡を新たなモデルで検討。その結果、世界の大気汚染による死亡数は年間880万人と推定され、世界疾病負担研究(GBD)2015による推定値の約2倍に及び、喫煙による死亡数を上回ったとEur Heart Jに発表した。
Lelieveld氏らは世界保健機関(WHO)の人口密度、地理的情報、年齢、各種疾患の危険因子、死因などに関するデータと、16カ国41件のコホート研究に基づく新たなモデル(Proc Natl Acad Sci USA 2018; 115: 9592-9597)を組み合わせ、大気汚染による死亡について検討した。
その結果、大気汚染による年間の直接および間接的死亡(超過死亡)数は欧州全域で79万人、欧州連合(EU)の28カ国では65万9,000人と算出された。世界では880万人と算出され、GBD 2015の推定値(450万人)の約2倍に及んだ。
また、世界の大気汚染による年間超過死亡率が人口10万人当たり120人であったのに対し、欧州ではこれを上回る133人となり、大気汚染は欧州人の平均余命を約2.2年短縮すると推定された。
欧州の大気汚染による超過死亡の原因は、虚血性心疾患(40%)が最も多く、脳卒中(8%)と合わせて少なくとも48%の死因が心血管疾患(CVD)であった。さらに、死因の32%を占めるその他の非感染性疾患も心血管疾患に関連すると見なされるとし、これらも合わせるとCVDが大気汚染による死因の40~80%を占めると推定された。
研究責任者でドイツ・Johannes Gutenberg University MainzのThomas Münzel氏は「WHOは2015年の喫煙による超過死亡数を720万人と推定している。つまり、今回の結果は大気汚染による超過死亡が喫煙による超過死亡より多いことを示している。喫煙は回避できるが、大気汚染は個人の努力では回避できない」と指摘。「大気汚染による呼吸器疾患とCVDの主な原因は微小粒子状物質(PM2.5)である。現在、EUにおけるPM2.5の年間平均濃度限度値は25μg/m3なので、これをWHOガイドラインの10μg/m3に引き下げるべきだ」と強調している。
また、Lelieveld氏は「欧州では、大気汚染物質の大半が化石燃料の燃焼により発生している。再生可能エネルギーへの切り替えにより、欧州の大気汚染による死亡率が最大55%低減できる」と述べている。
 〜Medical Tribuneより〜


2019年4月24日
「ペットと肺がん死亡率に意外な関連」
わが国でもペットを飼っている人は多く、ここ数年はネコがイヌを上回っている。今回、米国ジョージアサザン大学のAtin Adhikari氏らは、米国の全国コホートにおける18年間の追跡調査で、ネコを飼っている女性は飼っていない女性に比べ、肺がん死亡率が2.85倍と有意に高かったことを報告した。ペットによるこの影響は、喫煙やアトピー性疾患の交絡によって説明されないという。
この研究の対象は、1988~94年の米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)IIIにおいて、ペット所有に関する質問に回答した19歳以上の1万3,725人で、2010年12月31日まで追跡調査を行った。
主な結果は以下のとおり。
・対象者の約43%がペットを飼っており、20.4%がネコ、4.6%が鳥を飼っていた。
・18万3,094人年(unweighted)の追跡期間中に肺がんで213人死亡し、肺がん特異的死亡率は1,000人年当たり1.00であった。
・喫煙・飲酒・身体活動・BMI・アトピー性疾患歴・血清中コチニンについて調整後、女性では、ペット所有者は非所有者に比べて、肺がん死亡率が2倍以上であった(ハザード比[HR]:2.31、95%信頼区間:1.41~3.79)。ペット別のHRは、ネコが2.85(1.62~5.01)、鳥が2.67(0.68~10.5)、イヌが1.01(0.57~1.77)で、ネコおよび鳥の所有がこの関連に大きく起因していた。
・男性では、ペットやペットのサブタイプにかかわらず、有意な関連はみられなかった。
 〜CareNetより〜


2019年4月23日
「太っている人ほど脳が萎縮 認知症発症に関係?」
認知症は、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく神経変性疾患の代表ですが、そうした疾患に対する有効性の高い治療法は現時点ではないため、新治療の開発と並行して、予防対策に関する研究も精力的に進められています。例えば、「生活改善などにより解消可能な肥満が認知症のリスクを高めるのではないか」と仮定した研究が複数行われましたが、これまでのところ一貫した結果は得られていません。
今回、英Loughborough大学のMark Hamer氏らは、認知症ではない中高年の男女を対象として、「BMIを指標とする肥満」および「ウエスト・ヒップ比を指標とする肥満」、「体脂肪量」と、MRI検査により明らかになる脳の萎縮の関係を調べました。
脳の萎縮についてはこれまでに、白質と灰白質の萎縮が、エピソード記憶(本人が経験した出来事に関する記憶)の低下と認知症リスクに関係することなどが示されています。 研究者たちが分析対象にしたのは、英国の22施設で行われた「UK Biobank Study」に参加した40~69歳の人々です。それらの人々の中から、認知症に該当せず、分析に必要なデータと頭部MRI画像がそろっていた9652人(平均年齢55.4歳、47.9%が男性)を選びました。9652人中18.7%がBMI30以上で、肥満に分類されました。それら肥満者には、心疾患と高血圧が多く見られました。
MRI画像とBMIの関係を検討したところ、BMIが高いほど、脳の灰白質の容積が小さいことが示されました。脳の構造異常に関連する可能性のある要因(年齢、性別、飲酒・喫煙習慣、身体活動量、高血圧など)を考慮して検討しても、この関係は明らかでした。同様に、ウエスト・ヒップ比が大きい(女性で0.85超、男性で0.90超)ほど、また、体脂肪量が大きいほど、灰白質の容積は小さくなっていました。
一方、肥満と白質の容積の間には、意味のある関係は見られませんでした。BMIが高くなるにつれて灰白質容積が減少する状態は、対象者を年齢群(40~50歳、51~60歳、61~69歳)に分けても、男女別に分析しても、同様に認められました。さらに、糖尿病は脳の萎縮と関係することから、糖尿病の有無についても考慮して分析しましたが、BMIと灰白質萎縮の関係は若干弱まっただけでした。
次に、BMIと内臓脂肪型肥満(ウエスト・ヒップ比が高値なら内臓脂肪型肥満ありと見なした)に基づいて、人々を以下の6群に分類しました。
BMI 25未満/内臓脂肪型肥満なし
BMI 25未満/内臓脂肪型肥満あり
BMI 25以上30未満/内臓脂肪型肥満なし
BMI 25以上30未満/内臓脂肪型肥満あり
BMI 30以上/内臓脂肪型肥満なし
BMI 30以上/内臓脂肪型肥満あり
BMIが30以上の肥満者の72%が、内臓脂肪型肥満でした。同じBMI30以上の人でも、内臓脂肪型肥満ではない人に比べ、内臓脂肪型肥満の人では、灰白質の萎縮が有意に大きくなっていました。一方で、BMIが30未満の集団においては、内臓脂肪型肥満の有無は萎縮の大きさに影響を及ぼしていませんでした。
今回得られた結果は、灰白質の容積が最も萎縮しているのは、BMIが30以上、かつ、内臓脂肪型肥満の人であることを示しました。
研究者たちは、「灰白質の萎縮が肥満を引き起こすのか、肥満によって萎縮が生じるのかは明らかではなく、今回認められた現象に因果関係があるのかどうかも不明だが、灰白質の萎縮がその後の神経変性疾患(認知症など)の発症にかかわることは既に示されている」と述べています。
適切な体重を維持すれば認知症リスクを減らせるかどうかを明らかにするためには、今後、大規模で長期にわたる研究が必要と考えられます。
〜日経Goodayより〜


2019年4月22日
「急性内斜視にご用心 スマホ使いすぎ見直しを」
一方の目の視線が鼻側に寄る「内斜視」のうち、生後6カ月以降に突然発症するものを急性内斜視と呼ぶ。これまでは症例が極めて少なく、大半が原因不明だった。
浜松医科大学医学部の佐藤美保教授によると、以前は年間2~3人だった同大学付属病院の急性内斜視の患者数が、3年ほど前から10人を超えている。患者の急増は全国各地の病院で見られ、学会でも急性内斜視に関する研究発表が目立ってきたという。
主な症状は物が二重に見える「複視」だ。急性内斜視に特有で、生まれながらの内斜視では見られない。他の人に寄り目を指摘されることで、初めて内斜視になっていると気付くケースもある。
斜視は、眼球を動かす働きを持つ筋肉と密接な関係がある。日ごろ物を見るときは、眼球を内側に向ける「内直筋」と外側に向ける「外直筋」などの筋肉が、左右の目の視線を合わせている。
近くを見るとき、通常は内直筋が縮んで眼球を内側に寄せ、「寄り目」の状態で焦点を合わせようとする。急性内斜視になると、内直筋が縮んだままとなり、遠くを見ても寄り目が戻らなくなる。すると両目の視線が一致しなくなり、物が二重に見える。片目を隠すと見え方のダブりはなくなるが、物の遠近感や立体感がつかみにくい。
発症の引き金とみられるのがスマホの使いすぎだ。スマホはパソコンよりも目に近い位置で画面を見るため、長時間凝視すると内直筋が収縮したままになりやすい。
患者のほとんどは10~20代。佐藤教授は「黒板の文字が二重に見えることで勉学に支障が出て、不登校になるケースもある」と話す。患者が若年層で増えたのは「大人に比べてスマホの連続使用時間が長いためと推測される」。
ただ、中高生へのスマホ普及と患者数増加の時期は重なるが、因果関係はまだはっきりしていないという。2016年には、スマホの長時間使用と急性内斜視の関連についての論文が韓国から発表された。国内では日本弱視斜視学会(大阪府茨木市)と日本小児眼科学会(同)が連携し、急性内斜視の患者とデジタル機器に関する調査を現在進めている。
梶田眼科(東京・港)の梶田雅義院長は「成人でも急性内斜視は発症する。特に近視の人がなりやすい」と注意を促す。近視だとスマホ画面を極端に顔に近づけがちで、寄り目になりやすい。裸眼だと視界がぼやけるため、複視を自覚しづらいという。
急性内斜視を発症した場合、複視の症状は特殊な屈折レンズを使ったプリズム眼鏡で矯正できる。「寄った目を休ませると、戻ることもある」と梶田院長は話す。ボツリヌス菌が作り出す成分を注射することで、内直筋をまひさせて緩める治療もある(保険適用)が、一度では治らない場合もあるという。「どうしても治らない際は、手術で内直筋の位置を変えることもある」
日ごろから気をつけたいのはスマホの使い方だ。スマホを見るときは、画面を目から30センチメートル以上は離す。使用中も「10分に1回は、3~4メートル離れたところを見るとよい」(梶田院長)。ベッドやソファで寝ながらスマホを見ていると、画面に目を近づけがちになるので避けたい。
多くの人にとってスマホは日常生活に欠かせないツール。何時間も続けて使うのを控えて、目にかかる負担を減らすよう心がけたい。
 〜日経Goodayより〜


2019年4月19日
「笑う門には長寿来る!?」
「デスクワーカーは要注意! アクティブ・カウチポテトの深刻な健康リスク」
身体活動量の多い人や運動をよくする人は、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患、高血圧や糖尿病、肥満、骨粗しょう症、結腸がんなどにかかりにくく死亡率も低いことがわかっています。
また、運動はストレスを解消して活動的な気分を引き起こし、睡眠やうつ病の改善効果も実証されています。 運動にはいくつかの種類があります。 筋肉に負荷をかけるような無酸素運動(筋トレなど)は筋力を高めてくれます。そして、代謝を促して肌や髪を若々しく保つ、脂肪を分解する、身体の機能低下を抑える、といった働きを持つ「成長ホルモン」の分泌を促すこともわかっています。
一方、ウォーキングや軽いジョギング、自転車こぎなどの有酸素運動では、神経伝達物質「セロトニン」が多く分泌されます。頭がスッキリして問題を解く能力や運動能力が増すだけではなく、気持ちを安定させる作用もあります。有酸素運動には、全身持久力を高めるほか、内臓脂肪の減少、高血糖・脂質異常・高血圧の改善、ストレス解消といった効果も認められています。 WHO(世界保健機関)によると、運動不足は死亡リスクを高める4番目の危険因子と報告されています。とくに「座りすぎ」は、糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などの血管疾患、そして、ガンまでも招いていると世界中の研究で判明し、いま話題になっています。
たとえば、オーストラリアの研究機関は2012年、「1時間の座りっぱなしで22分寿命を縮める」と発表して世界中に衝撃を与えました。 なぜ「座りすぎ」はよくないのでしょうか?それは、座ったままでいると人体の筋肉の7割を占める脚の筋肉が動かないため、血流が滞って代謝機能が低下し、全身に影響を及ぼすからです。習慣的に運動はしているけれど、それ以外の時間は座っている人を「アクティブ・カウチポテト」と呼びます。 このコトバには、カウチソファ(背もたれの低い長椅子)に座ったり寝そべったりする、不健康な暮らしぶりへの揶揄も込められているとか。残念ながら、普段から運動を日課にしていても、長時間「座りっぱなし」の健康リスクは帳消しになりません。日々の「座りすぎ」時間を少しでも減らすことこそ重要なのです。
それでは、長時間座りっぱなしで仕事をせざるを得ない“デスクワーカー”は、どのような対策が必要なのでしょうか。ポイントは、仕事以外に運動をプラスするのではなく、いかに生活の中で活動量を増やすかということです。仕事中や通勤時間などに取り入れられる、無理なく続けられる工夫をシーン別に挙げてみました。
理想は20~30分に一度は立ち上がって、その場で2~3分足踏みをするか、トイレ休憩、飲み物を買いにいく、コピーを取りに行くなどして席を立ちましょう。難しい場合は、せめて1時間に1回は必ず立ち上がり、脚の血流改善を図ります。
また、長時間の会議などで立ち上がれないときのために、机の下でこっそりできる運動をご紹介しましょう。どちらも座りすぎによる脚の血流悪化を改善する効果があります。
・いすに座ったまま、つま先が天上に向くように脚を上げ、ひざの関節をのばしたまま床と平行になる状態を5秒間キープする「ひざ関節のばし」  ★片脚10回ずつを1セットとして、少なくとも1時間に一回は行いましょう。
・いすに座ったまま足の裏を床につけて、つま先やかかとだけを上げる「つま先上げ・かかと上げ」 ★10~30回を1セットとして、できるだけ多く行いましょう。身体活動量と死亡率などとの関連性を調査した疫学的研究の結果から、「1日1万歩」歩くことが理想的と厚生労働省は示しています。
「平成 29 年 国民健康・栄養調査結果の概要」によると、日本人20~64 歳の歩数平均は男性 7,636 歩、女性 6,657 歩で、現状はこの目安よりも不足しています。そこで厚生労働省は「アクティブガイド2013」を策定し、「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」の実践によって、死亡、生活習慣病、ガン発症、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)、認知症発症を低下させることが可能と謳っています。
今よりも10分多く身体を動かせば、運動の効果は得られるというわけです。10分であれば、多忙なビジネスパーソンが新たに運動する時間をひねり出そうと無理しなくても、通勤時間の工夫などで対応できそうです。 具体的には次のような活動を実行してみましょう。
・最寄り駅の一駅手前で降りて歩く ・エスカレーターやエレベーターを使わず階段を使う
・最寄り駅から自宅までのルートを変え、遠回りするコースを歩く 帰宅してから運動をする、ジムに通う…などを日課にするのは「ハードルが高い」という方も多いと思います。
なおかつ、運動はたくさんすればよいというわけではありません。運動をしすぎると「コルチゾール」というホルモンが分泌され、免疫力が低下して病気にかかりやすくなるほか、ケガのリスクも高まります。ハードな運動を頑張った挙句続かなくなるよりも、日々の活動量を少しずつでも増やす方が、健康的な身体を作る近道なのです。 まずは、今より10分多く、できる取り組みから実践してみませんか?
 〜NewsCafeより〜


2019年4月18日
「笑う門には長寿来る!?」
ユーモアや笑いが健康上プラスに作用するという考えは、医療者だけでなく一般集団の間でも浸透しつつある。山形大学看護学科基礎看護学講座教授の櫻田香氏らは、笑いと死亡や心血管疾患のリスクとの関連を検討するため、地域住民を対象に前向きコホート研究を実施。その結果、日常生活における笑いの頻度が、全死亡および心血管疾患の独立した危険因子であることが示されたと、J Epidemiolに発表した。
これまでの研究で、前向きな気持ちが寿命を延長し、心血管疾患のリスクを低下させることが明らかにされている。逆に、身体的障害や、うつ病などのネガティブな心理的要因が心血管疾患のリスク増加と関連することが示されている。長寿者を対象とした複数の研究において、100歳以上では神経質な人の割合が少なく、外向的で大らかであるといった傾向がしばしば確認されている。しかし、日常生活における笑いの頻度と全死亡率および心血管疾患の発症率を縦断的に検討した前向き研究は過去に行われていなかった。
そこで櫻田氏らは今回、一般集団における毎日の笑いの頻度と死亡率および心血管疾患との関連性を前向きに検討した。声を出して笑った回数を自己申告してもらい、①週1回以上群②月1回以上・週1回未満群③月1回未満群―に分類。毎日の笑いの頻度と全死因死亡率の増加および心血管疾患の発症率との関連を、Cox比例ハザードモデル分析で解析した。 解析対象は、山形大学医学部が牽引する山形県コホート研究の参加者で、毎年健康診断を受けている40歳以上の男女1万7,152人。平均年齢は62.8歳で、男性7,003人、女性1万149人だった。自己申告による笑いの頻度は、週1回以上群が1万4,096人(82.2%)で、月1回以上・週1回未満群は2,486人(14.5%)、月1回未満群は570人(3.3%)だった。
中央値で5.4年の追跡期間中に257例が死亡し、138例が心血管疾患を発症した。Kaplan-Meier曲線を用いて生存率を解析したところ、全死亡率および心血管疾患の発症率は、笑いの頻度が低い群で有意に高いことが示された(それぞれP=0.003、P<0.001、log rank検定 )。
次に、Cox比例ハザードモデルを用いて、毎日の笑いの頻度と全死亡率および心血管疾患の発症率との独立した関連性を検討した。年齢、性、血圧値、喫煙の有無、飲酒状況を調整し解析したところ、週1回以上群に対する月1回未満群の全死亡リスクは有意に高かった〔ハザード比(HR)1.95、95%CI1.16~3.09、P=0.014〕。同様に、週1回以上群に対する月1回以上・週1回未満群の心血管疾患イベント発生リスクは有意に高かった(同1.62、1.07~2.40、P=0.023)。
櫻田氏らは「日本の一般集団では、日々の生活における笑いの頻度が全死亡率および心血管疾患の独立した危険因子であることが示された」とし、「笑いの頻度を増やせば、心血管疾患の発症リスクが減り、寿命の延伸につながるのではないか」と結論している。
 〜Medical Tribuneより〜


2019年4月17日
「心不全患者の突然死、わが国でも高い精度で予測可能に」
欧米で開発された心不全患者の突然死の統計的な発症予測モデルSeattle Proportional Risk Model(SPRM)を用いることにより、日本人の心不全患者においても高い精度で突然死の発症を予測できることが示唆された。突然死の予防に有効な植込み型除細動器(ICD)を含めた治療方針を検討するうえで役立つことが期待される。2019年3月29~31日に開催された第83回日本循環器学会学術集会で、慶應義塾大学医学部循環器内科の福岡 良磨氏らが発表した。
心不全の患者では、突然死のリスクが高いことが知られている。わが国の急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)では、心臓の駆出率と心不全症状の程度の2項目による突然死リスク(ICD適応)の評価を推奨しているが、これだけの情報では突然死の発症予測は難しいと指摘されている。一方、欧米では、米国・ワシントン大学のWayne C. Levy氏らにより、患者の年齢/性別、身長/体重、血圧、心臓の駆出率、心不全症状の程度、血液検査所見などの10項目を加味して統計的にリスク予測を行うSPRMが開発され、高い精度での突然死予測能が得られている。今回、福岡氏らはワシントン大学との共同研究により、日本人心不全患者の突然死の発症頻度を調査するとともに、SPRMを用いた際の突然死の予測能を検証した。
本研究では、2009年1月から2015年8月までに慶應義塾大学病院、榊原記念病院、杏林大学病院、聖路加国際病院に入院し、West Tokyo Heart Failure Registryに登録された急性心不全患者2,240例を解析した。
主な結果は以下のとおり。
・2年間の追跡の結果、356例(15.9%)の全死亡を認め、そのうち76例(3.4%)が突然死だった。
・SPRMは日本人においても、欧米と同等に良好な精度で突然死を予測できた(C統計量:0.63[95%信頼区間:0.56~0.70])。
・心臓の駆出率が低下した患者において、従来のガイドラインによる基準(心臓の駆出率の低下と心不全症状の程度の2項目)と、SPRMによる突然死の予測能を比較したところ、SPRMによる突然死の予測能のほうが精度は高かった(ガイドラインによる基準でのC統計量:0.53[95%信頼区間:0.42~0.63]、SPRMでのC統計量:0.65[95%信頼区間:0.55~0.75])。


2019年4月16日
「校長先生は認知症予備軍? 定年後の生き方は修道女に学べ」cc こんな話を聞いたことがありませんか?
「校長先生は、学校を辞めて退職すると、認知症になる人が多い」。
これは、認知症に関わる医療関係者なら聞いたことのある“俗説”です。もちろん、科学的根拠はありません。
前回、「学歴が高い人は認知症になりにくい」というお話をしました。校長先生が認知症になりやすいというと、それに対して矛盾するように感じるかもしれません。
確かに、具体的な研究データはありませんが、医療関係者が「そういったこともあるかもしれない」と感じるのは、校長先生の退職後の過ごし方に理由があります。
同じ高学歴の職業でも、医師や学者が認知症になりやすいという話はあまり聞きません。校長先生だけがこんな風に言われるのはなぜでしょうか。
民間の会社や病院ならば、定年後に再雇用ということもあるでしょう。学者ならば、年齢に関係なく好きな学問に取り組むことができます。ところが、校長先生は定年を迎えると、新しい職場で働くという機会があまりありません。
しかも、在職中は重大な責任を負って神経をすり減らしてきたのですから、退職後はしばらくのんびりしたいという気分になるかもしれません。定年後に別の新しい世界に飛び込もうという人も、少ないのでしょう。
前回ご紹介した、「改善が可能な認知症の9つのリスク要因」では、高年期(65歳超)におけるリスク要因として、喫煙、糖尿病のほかに、抑うつ、運動不足、社会的孤立などが挙げられていました。
退職後にのんびりしようと思った校長先生には、この後半の3つの要因が関わってくる可能性が高いのです。
 〜日経Goodayより〜


2019年4月15日
「糖質の摂りすぎで脳が混乱!? 糖質の依存性とは」
体内に取り込まれた糖質は、おもに脳や身体を動かすためのエネルギー源として働きます。つまり、糖質は生命を維持するのに必要不可欠な栄養素なのです。私たちはふだん、日常の食事のなかで甘い物やでんぷんから糖質を摂っています。砂糖は甘い物に含まれる代表的な糖質で、お菓子や清涼飲料水、パン、ジャムなどの原材料、また、さまざまな料理の調味料としても幅広く利用されています。
一方、でんぷんはご飯やパン、麺類など、主食となる食品に含まれる糖質です。砂糖はでんぷんと比べて分子が小さいため、吸収されるまでの時間が短いのが特徴です。ですから、素早くエネルギーを補給したい疲れたときなどに、身体が甘い物を欲する…という現象は理にかなっているのですね。
さて、糖質はエネルギー源として重要な栄養素である一方で、過剰摂取は身体に次のような悪影響を及ぼします。消費エネルギー以上のエネルギー源を摂取すると、過剰な分は脂肪として体内に蓄積され、肥満の原因になります。
血液中には一定量の糖質(=血糖)が存在しています。その量を表わす数値が血糖値です。糖質を摂ると一時的に血糖値は上がり、体内で利用されて元の量に戻ります。このとき、上昇が急激であればあるほど身体に負担がかかります。とくに砂糖は糖質の中でも分子が小さく吸収が速いことから、血糖値を急上昇させてしまいます。また、身体に負担がかかり続けると、血糖値を下げる機能が低下し、血糖値が下がりきらず高い状態が慢性化する、糖尿病発症のリスクにもなります。
糖質を体内でエネルギーに変えるにはビタミンB群が必要ですが、糖質を摂り過ぎるとビタミンB群が多量に消費されます。ビタミンB群の不足によって、エネルギーが円滑に変換されないことから疲労感を感じやすくなります。
糖質を過剰に摂取して余った糖は、体内のたんぱく質と結びつき「AGEs(糖化最終生成物)」という物質をつくり出します。AGEsが体内に溜まると老化を促します。たとえば、皮膚の組織に蓄積すれば、たるみやくすみにつながります。さらには、加齢とともに進行しやすい動脈硬化や糖尿病、アルツハイマー型認知症、白内障などにも関わっています。 美容面だけではなく健康面における老化のリスクも伴うのです。
糖質への依存、という症状が起こるメカニズムは大きく分けて2つあります。前項にて砂糖は血糖値を急上昇させるとお伝えしました。そうすると、体内ではそれに反応して血糖値を急降下させるため、血糖値を下げるホルモン「インスリン」を大量に分泌します。今度は一時的に血糖値が下がり過ぎることになり、「低血糖状態」を引き起こします。低血糖状態になると、脳は「糖質が不足している」と勘違いして、さらに甘い物を欲するよう指令を出してしまいます。
砂糖を摂取すると「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌されます。ドーパミンは意欲や集中力を高めるように作用します。また、報酬系とも呼ばれ、快楽を感じさせる働きも持っています。砂糖が快楽へのスイッチになることを脳が学習すると、快感を得るために砂糖を摂るという行動が起こります。とくに疲れや強いストレスを感じたときは、その対処に快感を得ようとして、より甘い物を欲してしまうのです。
(1)食事をきちんと食べる
食事を疎かにしてしまうと、必要な糖質量が不足して脳がさらに欲してしまいます。実際に、過度な食事制限や糖質制限が、脳が異常に反応するほどの糖質依存状態に陥るきっかけとなるケースが少なくありません。ですから、血糖値の急上昇を招かないためにも、1日3食きちんと食べて、必要な糖質は甘い物ではなくでんぷんで補うように心がけましょう。
(2)とくに甘い飲み物は要注意!
飲み物に含まれる糖質は吸収が速いという性質を持っています。甘みを感じさせるのに、ある程度量の糖質を含んでいますから、知らず知らずのうちに多く摂ってしまいます。たとえば、ヘルシーなイメージの飲むヨーグルト200mlでさえ、スティックシュガー(3g)8本分ほどの糖質が含まれています。
(3)ご褒美の日を決める
とはいえ、甘い物の摂り過ぎはよくないので我慢し続ける…これもまた、ストレスになりかねません。
(4)甘い物を食べたい衝動に駆られたときの「果物」
果物は、甘みである糖質以外に、ビタミン・ミネラル・食物繊維など、身体によい働きをする栄養素が含まれています。また、水分を多く含みケーキやクッキーなどに比べると低カロリーです。1日の目安量はこぶし1つ分と覚えておきましょう。
適度な甘い物は、生活を充実させる「ココロの栄養」になります。脳が混乱しない程度にコントロールして、糖質と上手につき合っていきましょう!
 〜NewsCafeより〜


2019年4月13日
「自律神経失調症に効く漢方」
事例①Aさん(女性、35歳)
「新しい職場の雰囲気に慣れず、体調が悪化してしまいました。動悸がして、まったく眠れません。病院で自律神経失調症と診断されました」
Aさんの新しい職場は残業が多く、人間関係のストレスも強く感じます。いらいら、のぼせなどの症状もあります。病院では抗不安薬と睡眠導入剤を処方されました。別の病院にも行ってみたところ、軽いうつ病と言われ、抗うつ薬を処方されました。いずれもちょっと違うような気がして、飲む気になれません。友人からは、会社を辞めれば体調がよくなるだろうと言われますが、そうもいきません。舌は赤く、黄色い舌苔が付着しています。
自律神経は、心臓の拍動、肺での呼吸、胃腸での消化吸収、皮膚での発汗など、生きるために必要なさまざまな機能を遂行し、調整する機能のひとつです。ふだんは交感神経と副交感神経とがシーソーのようにバランスよく働くことによって、それらの機能がうまく調整され、適切に遂行され、わたしたちはとくに心臓や肺や胃腸の存在を意識することなく、穏やかに日常生活を送っています。
ところが、この自律神経系が、ストレスや緊張、疲労、ホルモンバランスの変化などの影響を受けて乱れると、上記の機能がふだんどおりに穏やかに働かなくなり、さまざまな体調不良が生じます。これが自律神経失調症です。
見られやすい症状は、肩こり、頭痛、めまい、吐き気、腹痛、下痢、疲労倦怠感、不眠、動悸、いらいら、冷え、のぼせ、発汗など、多岐にわたります。これらの症状は、実際にそれぞれの内臓や組織がわるくなっているわけではないので、病院の検査で異常がみつからないことが多いようです。
西洋医学では、抗不安薬、抗うつ薬、自律神経調整薬、睡眠導入剤などで症状を和らげます。
肝のおもな機能は、精神情緒や各種内臓機能、血流量調節機能など、全身の生理機能が円滑に行われるように調節することです。これを、肝は「疏泄(そせつ)をつかさどる」といいます。からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる、からだ全体のコントロールルームのようなところが、肝です。
また肝には「血(けつ)を蔵す」機能もあり、血を貯蔵し、循環させます。血とは、全身を滋養する作用、およびその物質的基礎を意味します。具体的には、血液や、血液が運ぶ栄養、あるいは循環に近い概念です。さらに肝には「筋(きん)をつかさどる」機能もあり、筋肉の収縮や弛緩といった運動の制御もします。また肝は「目に開竅(かいきょう)する」といい、目と深い関係にあります。開竅とは、五臓の機能が反映されやすい器官のことを指します。
一方、心のおもな機能は、心臓を含めた血液循環系(血脈)をつかさどることと、人間の意識や判断、思惟などの人間らしい高次の精神活動(神志:しんし)をつかさどることです。心は、循環器系だけでなく、大脳新皮質など高次の神経系とも深く関係している臓腑です。
これら五臓の肝や心の機能が失調すると、情緒や思考力、自律神経や血液循環が不安定となり、自律神経失調症となるわけです。
自律神経の失調は、いわば、からだが発する悲鳴のようなものです。ストレスや疲労の蓄積などにからだが耐えきれず、その歪みが諸症状となって表れます。赤信号になる一歩手前の、いわば黄信号のようなものですので、この機会に漢方薬で心身のバランスなど、体調をととのえておくといいでしょう。
冒頭のAさんは、動悸、不眠、いらいら、のぼせ、赤い舌、黄色い舌苔などの症状から、「心肝火旺(しんかんかおう)」証と判断できます。強いストレスの影響で、この証になったものと思われます。怒りっぽい、不安感、胸苦しい、驚きやすい、などの症状がみられる場合もあります。
この場合は、肝火と心火を鎮めていく漢方薬を用いて治療します。代表的な処方は、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)です。Aさんにもこの処方を服用してもらい、およそ2か月で動悸や不眠がなくなりました。
事例②Bさん(男性、40歳)
「数年前に脱サラをして仕事をしていますが、思うように業績が伸びず、体調がすぐれません。不安感が強く、ときどき動悸がします」
Bさんの場合、動悸は、考えごとをしているときだけでなく、何の前触れもなく起きることもあります。先日はひどい胸の圧迫感に襲われ、冷や汗が出たので病院に行きましたが、心電図などの検査の結果、異常はなく、自律神経失調症と言われました。舌は白っぽい色をしており、白い舌苔が薄く付着しています。
Bさんの証は、「心気虚(しんききょ)」です。五臓の心の機能(心気)が低下している体質です。考えすぎ、悩みすぎなどに心労が重なって、この心気が弱り、自律神経失調症になったようです。
この証の人に対しては、漢方薬で心気を高め、自律神経失調症の改善を進めます。Bさんは桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)を飲み続け、4か月目くらいから動悸が生じなくなりました。夜もぐっすりと眠れるようになりました。
動悸のほかに不整脈や息切れもあるようなら、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)を使います。
疲労倦怠感が強く、物忘れが多い、寝つきがよくない、などの症状がある場合は、「心血虚(しんけっきょ)」証です。帰脾湯(きひとう)や、人参養栄湯(にんじんようえいとう)を用います。
 〜日経Goodayより〜


2019年4月12日
「女性の認知症リスクを20%以上も高める意外な要因とは?」
初経年齢が遅い、あるいは閉経年齢が早いなどでエストロゲンに曝露する期間が短いほど、女性は認知症を発症するリスクが高まる可能性があることが、米カイザー・パーマネンテ研究部門のPaola Gilsanz氏らが行った研究から明らかになった。
この研究では、米カイザー・ヘルスケアシステムに1964~1973年の診療録データがあり、1996年に登録されていた女性1万5,754人を対象に、エストロゲン曝露期間と認知症リスクとの関連を調べた。対象女性には、中年期(平均年齢で51.1歳)の時点で、初経年齢と閉経年齢、子宮摘出術の施行歴について尋ねた。また、認知症の診断歴については、1996年から2017年までの診療録から抽出した。
追跡期間中に、対象女性の42%が認知症と診断されていた。解析の結果、初経年齢が平均で13歳だった女性と比べて、16歳以降だった女性では認知症リスクは23%高いことが分かった。同様に、自然閉経を迎えた年齢が47.4歳未満だった女性では、それ以降だった女性と比べて認知症リスクは19%高いことも明らかになった。さらに、妊娠可能な期間が34.4年未満だと認知症リスクは20%上昇し、子宮摘出術を受けるとそのリスクは8%上昇したという。
Gilsanz氏らは、この研究結果は、一生のうち、女性ホルモンのエストロゲンに曝露する期間が短いほど認知症になりやすいとする説を裏付けるものだとしている。例えば、基礎研究では、エストロゲンが脳細胞の回復や修復に働く可能性が示唆されているという。
一方、Gilsanz氏らの研究では、妊娠歴や経口避妊薬の服用歴、ホルモン療法歴など、女性のエストロゲン曝露に影響を与える他の因子については情報を収集していなかった。また、今回の研究は観察研究にすぎないことからも、同氏は「エストロゲンへの曝露またはその欠乏が、認知症リスクと関連することを証明するものではない」と説明している。
この研究には関与していない米バーモント大学医学部准教授Julie Dumas氏は「Gilsanz氏らの研究はよくデザインされたもので、生涯のエストロゲン曝露期間が長いほど、脳機能に良い影響を与える可能性を示す過去の研究結果と一致する」と指摘している。しかし、同氏は、Gilsanz氏と同様に、この研究結果は因果関係を証明するものではないことを強調し、「認知機能を保つために、女性にホルモン療法を行うべきという意味ではない」と付け加えている。
Gilsanz氏によれば、女性は男性よりも認知症リスクが高いとされ、例えば、65歳時点の認知症の発症率は女性の25%に対して男性では15%とされている。そうした事実を踏まえると、“エストロゲンが脳を保護する可能性があれば、なぜ女性は男性よりも認知症リスクが高いのか?”という疑問が生じるが、その理由を説明する一つの可能性として、同氏は「閉経後の急激なエストロゲンの欠乏が、数年後の女性の認知症リスクに影響しているのではないか」との見方を示している。
〜HealthDay News より〜


2019年4月11日
特売卵のコレステロール量は?/日本動脈硬化学会
卵1個のカロリーについては取り沙汰されることが多く、ご存じの方も多いだろう。先日、JAMAでも卵の摂取量と心血管疾患の発症や死亡率との相関を示す論文が発表され、話題を集めている。では、われわれが日頃食べている卵には、一体どのくらいのコレステロールが含まれるのだろうか? 2019年3月27日、日本動脈硬化学会が主催するプレスセミナーが開催され、「LDLコレステロールと動脈硬化」をテーマに上田 之彦氏(枚方公済病院診療部長、日本動脈硬化学会広報・啓発委員)が登壇した。
卵をいくつ食べても良いとしていたこれまでの報告に、待ったをかける結果が報告された。上田氏によると、卵によるコレステロール摂取量・摂取頻度を研究した論文は豊富だが、その理由として「卵は患者へのコレステロール摂取の聞き取りに使いやすい」とし、「おおよそ、中くらいの卵1個には、200~250mgのコレステロールが含まれている」とコメントした。また、本セミナーに出席していた丸山 千寿子氏(日本女子大学家政学部食物学科教授)によると、「今回発表されたJAMAの論文*で記述されている卵は1個50gで、日本でいうSサイズ。しかし、流通量が多く、セール品として購入されているのは60gのLサイズ。コレステロールの摂取量に関する研究データでは、実際よりも過小評価されている可能性がある」とし、「患者には、食べている卵の数だけではなく、大きさの確認も必要かもしれない」と付け加えた。
2015年2月、米国農務省(USDA)と保健福祉省は、『食事でのコレステロール摂取制限は必要ない』と発表。これは、アメリカ心臓病学会/アメリカ心臓協会(ACC/AHA)が、“コレステロール摂取量を減らして血中コレステロール値が低下するかどうか判定する証拠が数字として出せない”として、「コレステロールの摂取制限を設けない」と見解を出したためだという。時を同じくして、日本人の食事摂取基準(2015年版)では、健常者における食事中コレステロールからの摂取量と血中コレステロール値の相関を示すエビデンスが十分ではないことから、コレステロール制限値を設けなかった。「これらのことから、日本人はコレステロールをいくら摂取しても良いという錯覚に陥ってしまった」と、上田氏は当時の状況を振り返った。この混乱を受け、2015年5月1日、日本動脈硬化学会はコレステロール摂取量に関する声明を発表し、高LDLコレステロール血症患者に当てはまる訳ではないことを注意換気した。
来年は『食事摂取基準(2020年版)』の発表が予定されている。ここでも、“循環器疾患予防の観点から目標量(上限)を設けるのは難しい”とし、記載を避けている。しかし、脂質異常症を有する者やハイリスク者については、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」を参考に、コレステロールの摂取を200mg/日未満と記載される予定である。
最後に同氏は「動脈硬化症には、コレステロール摂取量もさることながら、喫煙が一番いけない。今後、禁煙についての話題を提供していく」と締めくくった。
 〜CareNetより〜


2019年4月10日
「がんになった医師、生き甲斐を考えて選んだ治療とは」
〜ある日、がんになったら、今まで続けてきた仕事はどうすべきか――。自身もがんになったライター・福島恵美が、がんと診断されても希望を持って働き続けるためのヒントを、患者らに聞いていく。2017年に乳がんになった、東京女子医科大学教授で放射線腫瘍医の唐澤久美子さんに、前編「予定通りがんになった医師 『仕事は辞めなくていい』」ではご自身のがん体験や専門の放射線治療について聞いた。後編ではQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)を「人生の質」と捉え、治療を選択する考え方を伺った。 Q:唐澤さんは、ドキュメンタリー映画「がんになる前に知っておくこと」(2019年2月2日からロードショー、全国で順次公開)に対話者の一人として出演され、QOLを「人生の質」と考えて治療を選ぶことの大切さを語っておられます。ご自身ががんになってから、その考えに行き着いたのでしょうか。
A:QOLを「人生の質」と考えるのは当然のことです。がん患者さんを30年間拝見し、ずっとそう思って生きてきています。自分ががんになって、初めて気付くような医師ではダメですよね。
自分の人生にとって、何が大事なのか。人生の目的や生きがいは、人それぞれです。私は、生存率をただ上げるための治療を一方的に勧めるのではなく、患者さんの考えを聞いて、その人にとって大事なことをどれだけ達成できるかを指標にして、相談の上で治療を組み立てるべきだと思っています。
私の場合は、乳房温存手術の前に、抗がん剤治療をするのが標準治療でした。しかし、もともと薬に弱い体質で、副作用が強く出て具合が悪くなり入院したので、「廃人のようになって生きるよりも、医師として仕事をし、人の役に立ちたい」と思い、抗がん剤治療を断念しました。
Q:標準治療をすることが、必ずしもベストとはいえないケースもあるということですか。
A:標準治療を行うことは基本です。だから、標準治療をやめなさいと言っているわけではありません。ただ、それがすべての人に最も良い治療とは限らないということです。医師は患者さんの体力や年齢、合併症などの体の状態をみた上で、その方の考えを聞き、社会的な状況などを総合的に判断し、その人にとって最も良い治療を提示すべきだと思います。
同じがんであっても、治療法は一人ひとり違います。患者さんの話(物語)をよく聞き、その人の考えや生活を尊重する医療の取り組み「ナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM)」(物語と対話に基づく医療)ができることが、医師には求められるのではないでしょうか。
一方、患者さんは自分の人生で大切にしたいことを、ちゃんと医師に言わないといけません。対話をしてお互いの話をすり合わせ、最終的には患者さんが治療を選ぶことになります。
Q:体調のことだけでなく、自分が何を優先して生きていきたいのかを、主治医にきちんと伝えることが大事なのですね。
A:そうですね。患者さんの気持ちと医師の意見を、お互いに交換し合うことが大切だと思います。例えば、やりたいことがあって、これ以上つらい治療はしたくないという、90歳のがん患者さんがいたとします。私ならその気持ちを尊重し、強い抗がん剤治療はしません。けれど、診療ガイドラインは年齢別に書かれていませんから、この方の標準治療は抗がん剤治療をすることになっていたりするわけです。
ただ、中には「お芝居を見に行きたいから、抗がん剤治療はやめてちょうだい」なんていう人もいます。このような場合は、「優先順位が正しくないと思いますよ」とその患者さんにとって必要なことを伝えます。患者さんの望みを何でも聞く人が、いい医師ではありません。
Q:病院では診察時間が限られ、待合室にたくさんの患者が待っています。医師が話したいことだけを言い、患者は思うように自分の話を切り出せないこともあるような気がします。
A:患者さんの話を聞いてくれないような医師は、代えればいいと私は思います。「先生は私の話を聞く時間がないのですか。それなら私は先生の治療を受けません。他の病院に行くから紹介状を書いてください」と言ったっていいんです。
日本では、どの病院のどんな医師に診てもらうかを自分で選べますよね。国によっては、診てもらう医師が地域で決まっていて、自由に選択できないところもあります。治療に要する時間を考えると、長い時間をかけて医師を探すのは、難しいかもしれませんが……。でも、自分の人生ですから自分で決めないとね。
もしくは話を聞かない医師に、ちゃんと話してみる。「先生にとって私は100人に1人の患者かもしれないけど、私の人生がかかっているんです。私の話を聞いてください」というふうに。
私の場合は誰が何と言おうと、がんの専門医、大学教員として生きる私の生きがいを全うできるように、自分が何を優先したいかを医師にしっかり伝えています。そのようにして、自分の治療は自分で決めることにしています。
Q:「自分の治療は自分で決める」ですね。そう聞くと、それは高度な専門知識を持っている唐澤先生のような人だからこそできることと思う人も多いかもしれません。でも、おっしゃりたいのは、医師の言葉をただうのみにするのではなく、少なくとも自分がどう生きたいかを主張することが大切ということ。そして、そのためには前回記事「予定通りがんになった医師 『仕事は辞めなくていい』」でおっしゃっていたように、学会が出している書籍や国立がん研究センターのホームページで調べるなどして、自分の病気について正しい知識を身に付けることが不可欠、ということですね。大変参考になりました。ありがとうございました。
 〜日経Goodayより抜粋〜


2019年4月9日
「マクロビオティック」は日本発祥? どんな健康法?
「マクロビオティック」は「マクロ=大きな」「ビオ=生命」「ティック=術・学」の3つの言葉から成り立っています。長寿を目指すための生活方法を説く考え方で、とくに食生活については、人と生き物と環境のバランスを考えながら心身の健康を保つ食事を目指します。
マクロビオティックを提唱した日本CI協会創設者の桜沢如一氏は、日本に古くから伝わる食養生の考えをベースに、東洋思想の原理を加えた食事法を確立しました。そして、海外にもこの手法を広めるべく「マクロビオティック」と命名し、ヨーロッパを中心として世界各国に普及していったのです。
それでは、マクロビオティックはどのような特徴をもった食事法なのでしょうか。
3つの原則をご紹介します。
・身土不二(しんどふじ)
「身体(身)と土地や環境(土)はバラバラではない(不二)」これはマクロビの基本的な概念です。平たく言うと、その土地で育った旬の食材を摂ることで、環境に適応した身体が作られ健康な生活を送れる、という意味です。
たとえば、四季のある日本では、季節ごとの旬の食材に身体のバランスを保つ栄養素が含まれています。「春は苦味、夏は酸味、秋は辛味、冬は脂肪を摂れ」という言葉があります。言わんとするところは、春は山菜などの苦味を摂取して新陳代謝を活発にし、夏は酢をはじめとした酸味を使って食中毒を予防、夏バテに負けないよう食欲を増進。そして、秋になると辛味を摂取して夏の疲れが溜まった身体を整え、冬には寒さに耐えうる体力や皮下脂肪をつけるため脂肪を摂る、ということです。たとえば、夏野菜のトマトやキュウリは水分が豊富で熱を冷まします。一方、冬野菜のゴボウやニンジンは水分が少ないので加熱調理して食べることが多く身体を温めます。このように旬の食材を積極的に摂ることで健康維持が可能になります。
・一物全体(いちぶつぜんたい)
食材は丸ごと全てでバランスがとれているため、全てを摂ることで身体のバランスもとれるという意味です。たとえば、精米していない玄米、野菜や果物は皮や葉、種ごと、アクなどもできるだけ取り除かない…などを実践すると栄養素を余すことなく摂取できるという考えです。
・陰陽の調和
「物ごとには陰と陽の側面があり、その調和をはかることでバランスが保てる」という考えです。「陰」は拡散していく遠心的なエネルギーで身体を冷やす働き、「陽」は収縮していく求心的なエネルギーで身体を温める働きがあるとされています。この陰陽の原理をもとにして、食材や調理法の性質を判断しながらバランスをとるように選択します。なお、動物性食品の摂取については、基本的には控えることが勧められているようです。身土不二や一物全体の考えに基づくと植物性食品が中心になりますが、丸ごと食べられる小魚は摂っても良いとされています。重要なたんぱく質の摂取源である動物性食品の代わりに、植物性食品でたんぱく質が豊富な大豆製品や麩などを積極的に取り入れるていくことでバランスがとれるといいます。
〜簡単マクロビオティックレシピ〜
豆たっぷりの和風トマトリゾット
炊いた玄米200g、玉ねぎ1/2個、にんにく1かけ、菜種油小さじ1、ミックスビーンズ100g、トマト缶1/2缶、豆乳100cc、水50cc、味噌小さじ1、青のり小さじ1
<作り方>
深めのフライパンに油をしき、みじん切りにした玉ねぎとにんにくを炒める。トマト缶、豆乳、水、玄米、豆を加えて弱火で煮る。水分が減ってとろみが出てきたら火を止め味噌を加え混ぜ、器に盛り付けて仕上げに青のりを飾る。
夏野菜で身体を冷やす「陰」の食材であるトマトを煮込み、身体を温める「陽」として取り入れられるレシピです。また、動物性食品が少ないと鉄分が不足しがちですが、青のりは植物性食品ながら鉄分を補える優秀食材です。
身体と環境のバランスを整える生活の実現には、何を食べるかだけではなく、その他の生活習慣においても大切な事柄があるとして、次のような点が強調されています。
・よく噛んで、時間をかけて食べる
・食事の量は腹8分目程度にとどめる
・食べ物への感謝の気持ちを持つ
・煙草は吸わない
・お酒は少量にとどめる
・睡眠や休息を十分にとる
・毎日適度な運動をする
生活のしかたは人それぞれ違いますので、どんなによい生活習慣でも、自分の生活リズムに合っていなければ健康につながるとは言えません。長寿法とされるマクロビオティックの考え方も、数多ある健康法の一つとして、自分の状況に合わせて活用すれば健康維持に役立つと思います。興味を持たれた方は、マクロビの食事の3原則や心がけるべき生活習慣のなかから、まずは無理なく自分の生活に取り入れられる要素を実践してみてはいかがでしょうか。なお、日ごろから自らの身体の状態をしっかりと把握し、マクロビを取り入れた後の経過が適切かどうか、見直しを繰り返すことが大切なポイントになります。
 〜NewsCafeより〜


2019年4月8日
「医療AI、日本の生き残る道」
人工知能(AI)は医療を劇的に変えると予想され、急速に開発が進んでいる。東京慈恵会医科大学放射線医学講座准教授の中田典生氏は第38回日本画像医学会(3月8~9日)で、「画像診断AI-日本に勝算はあるのか?」と題して講演し、わが国が医療分野でAI研究を前進させるための具体的な方法について自論を展開した。同氏は「日本は勝てない現実」と向き合うところから始めるべきと強調、AI研究の進歩でネックとなるAIエンジニア不足やAIに学習させるためのデータ(教師学習用データ)作成に現役を退いた高齢者を活用することなどを提案した。
AI研究でわが国は国際的に後れを取っている。中田氏は「この現実からスタートすべき。ただ、現状と未来は違う」とし、特定領域だけでも国際的競争力を身に付けるための方法を提案した。まず挙げたのがビジネスモデルの構築。AI研究では商業化が可能な分野から商業化し、その収益を研究資金として投資、資金を回転させていくことが望ましいモデルだが、行政や企業幹部はAI研究の動向に疎く、例えば商業化の見込みが高い画像認識の領域でビジネスモデルを構築すべきなのに理解していないとした。一方、研究者が商業化に関心が低いことも問題。米国では、研究者が企業をつくったり企業に所属したりするなど意欲的にビジネスに関与しており、こうした姿勢を積極的に学ぶべきと強調した。
AI研究を進める上で課題となっているのがエンジニアの国際的な不足。同氏は「米・Google社のトップエンジニアは年収5,000万~6,000万円ともいわれる。一般的にもAIエンジニアは初任給で年収1,000万~1,500万円とされている。わが国の企業がこの人件費を支払えなければ、AI研究者は海外に流出してしまう」と危惧する。
その解決策として同氏は、退職した高齢者の活用を提案した。文部科学省が小学生にプログラミング教育の必修化を検討していることを挙げ、プログラミングができない現役世代はいずれ取り残される時代がくると予想。一方、「プログラミングは若い人が行うものというのは思い込み、やろうと思えば誰でもできる」とし、高齢者のプログラミングを勧めた。マニュアル本を購入する必要はなく、必要な知識は全てネットの世界にあり、1からプログラムを構築せずにネットにあるものをコピペして仕上げる「コピペプログラミング」でよく、認知症予防にもなるなどの利点を挙げた。
機械学習は大量の医療画像で学習することで能力を発揮するため、教師学習用データの作成(アノテーション/ラベリング)も重要になる。同氏は、このアノテーション/ラベリングにも高齢者の活用が有効だと主張する。社会とともに医師も高齢化するため、現役世代の活用は期待できない。そこで、引退した医師に副業として行ってもらうという案だ。「データに対する対価ではなく、労働の対価として時給を支払う考え方が望ましい。利用の利便性を考えれば著作権は大学や企業などが保持すべき」などの考え方を示した。
 〜Medical Tribuneより〜


2019年4月6日
「座りっぱなしの人は軽い運動を30分すると死亡リスクが低下」
1日中座りっぱなしの生活を送ることは、心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患のリスクや死亡リスクの上昇と関係することが知られています。その対策として、「定期的に立ち上がり、連続して座っている時間を短くする」、あるいは「中強度から高強度の運動をする」ことにより死亡リスクは下がるという報告がありました。
このほど、米コロンビア大学の研究者らは、より質の高い方法を用いた研究を行い、「強度にかかわらず、運動をすれば、座り続けることによる健康被害を減らせる可能性がある」ことを示しました。今回著者らは、「1日に座って過ごす時間(総座位時間)が長い人は、軽い運動を行うだけでも死亡リスクは低下するのか」また、「短時間の運動でも利益が得られるのか」といった疑問に対する答えを得たいと考えました。研究に用いたのは、運動疫学分野で近年よく用いられるようになった「ある行動を等量の別の行動に置き換えたときの影響を推定する手法(置き換えモデル)」です。
この種の分析方法では、人の1日の活動を、強度に基づいて、睡眠時間、座っている時間(座位時間)、低強度活動時間、中高強度活動時間に分類します。それらの時間は、それぞれ別個に、健康にさまざまな影響を及ぼすと考えられています。著者らは、座位時間を低強度活動または中高強度活動に置き換えた場合に死亡リスクに影響があるのか、また、総座位時間が同じでも、連続する座位時間に中断を加えて、短い座位時間の集合とした場合に、死亡リスクが変化するのかを検討しようと考えました。
対象となったのは、米国の45歳以上の人々を登録して、脳卒中リスクに人種差や地域差があるかどうかを検討した「REGARDSスタディ」に参加した人々です。それらの人々は、2009~2013年に、腰に活動量計を装着する検査を受けていました。7日間連続で、目覚めている間は加速度計を装着する生活を送るよう指示し、1日に10時間以上の装着を4日以上できていた7999人(平均年齢63.5歳、男性45.9%)を選んで、今回の分析対象にしました。
活動量計の数値に基づき、活動時間を分単位で「座位」、「低強度活動」、「中高強度活動」に分類し、それぞれの累積時間を計算して、活動量計を10時間以上装着した日の平均を求めました。活動量計によると、対象者の低強度活動時間は平均188.0分/日で、中高強度活動時間は平均13.2分/日でした。装着時間の77.6%は座位で過ごしていました。活動量計を用いた調査の終了から5.5年間(最短0.1年、最長7.6年)の追跡期間中に、647人が死亡していました。
置き換えモデルを用いた分析では、1日の座位時間のうちの30分を、30分の低強度活動に置き換えると、死亡リスクが17%低下することが示唆されました。さらに、30分の中高強度活動に置き換えれば、リスクは35%低下することが示されました。
次に対象者を、通常の運動時間が少ない人々と、通常の運動時間が長い人に分けて、運動への置き換えの利益を調べました。1日の活動量計装着時間に占める運動時間が、集団全体の中央値より下だった人々では、低強度活動または中高強度活動への置き換えは、死亡リスクを低下させることが示されました。一方で、運動時間が集団全体の中央値より上だった人々では、運動への置き換えの利益は見られませんでした。
なお、今回の研究では、連続する座位時間に中断を加えるだけでは、死亡リスクに影響は認められませんでした。
以上より、座りっぱなしの生活による死亡のリスク上昇を軽減するためには、運動への置き換えが有効であること、運動強度が低くても、30分の置き換えが利益をもたらすことを示唆しました。
 〜日経Goodayより〜


2019年4月5日
「週に1時間未満の運動が、体に及ぼす意外な効果とは?」
軽いウオーキングやガーデニングなどの適度な身体活動を週に1時間未満行うだけでも、早期死亡リスクは低減する可能性があることが、山東大学(中国)公衆衛生学院のBo Xi氏らの研究から明らかになった。身体活動の時間をより長くすると、死亡リスクはさらに低減したという。
Xi氏らは、米国疾病対策センター(CDC)による全米健康聞取り調査(National Health Interview Survey)から1997~2008年のデータを分析した。40~85歳の成人8万8,140人を対象に余暇の身体活動量を評価し、2011年の死亡率データと関連づけて、身体活動量が死亡リスクに与える影響について調べた。
その結果、適度な身体活動を週に10分から1時間程度行う人では、座りがちな生活の人と比べて全死亡リスクは18%低かった。また、身体活動の時間が長いほど死亡リスクの低減効果は大きいことも分かった。米国の身体活動ガイドラインが推奨する「週に150分」から300分程度の適度な身体活動を行う人では全死亡リスクは31%低く、週に1,500分(25時間)以上行う人では46%低かった。
さらに、全死亡リスクの低減効果に加えて、適度な身体活動を週に10分から1時間程度行うと、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患(CVD)による死亡リスクは12%、がんによる死亡リスクは14%低減した。身体活動の時間が延長するに伴い、CVDによる死亡リスクは最大で37%、がんによる死亡リスクは最大で47%低下した。
ただ、身体活動量を無制限に増やせば良いわけではないようだ。報告によれば、週に1,500分以上運動しても、300分程度だった人と比べて、CVDに限ると死亡リスクの低減効果には差はみられないことも分かったという。
この研究には関与していない米マウントサイナイ病院の心臓専門医であるMary Ann McLaughlin氏は「1日の座位時間が長い人は、たとえ1日10分でも立ち上がって身体を動かす必要がある。また、既に取り組んでいる人は、運動量を少しずつでも増やすことで死亡リスクはさらに低減できる」と述べている。
なお、この研究では、当時の米国の身体活動ガイドラインを参考に、10分以上継続して行った運動のみを対象に分析した。しかし、米政府はその後、運動はどのようなものでも、どんなに短時間でも週のトータル時間に含めても良いといった見解を出している。
McLaughlin氏によれば、運動して心臓が丈夫になると、血圧やストレスレベルが低下して心疾患による死亡リスクの低減につながる可能性があるという。一方、運動のがんへの影響については、ある専門家は、運動によって代謝が促進され、細胞ががん化する前に古い細胞が新しい細胞に生まれ変わることが影響するのではとの見方を示している。
〜Healthy dayより〜


2019年4月4日
「こんなにある子供の便秘サイン」
2018年3月18日、EAファーマ株式会社は、「大人が知らない『子供の慢性便秘症』の実態と世界標準へと歩み出した最新治療~便秘難民ゼロを目指して~」をテーマに、都内でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、子供が抱える「言うに言えない便秘の悩み」に大人がどう気付き、診療へ導くのか解説された。セミナーでは、十河 剛氏(済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科)を講師に迎え、小児の便秘症について詳しくレクチャーを行った。
はじめに横浜市鶴見区で行われた調査報告を紹介。 3~8歳の子供3,595人に食事と排便に関するアンケート調査を行ったところ、718人(約20%)に慢性便秘症(ROMEIII診断基準による)がみられたという(全国平均では約15%)。とくに便秘の子供では、「便を我慢する姿勢や過度の自発的便の貯留の既往」「痛みを伴う便通の既往」「少なくとも週1回の便失禁」が散見されると報告した。
供の便秘に関しては保護者の関心も高い一方で、しつけや教育の問題とされたり、周囲に相談できる人がいなかったり、かかりつけの医師に相談しても対症的な治療だけだったりと不安を訴える。また、子供たちは、友達から「臭い」と言われたり、恥ずかしくて言えなかったりと自尊心が傷つき行き場のない子供を診療で救う必要性があると同氏は問題を指摘する。
「便秘」について、その定義、診療はどのようにされるべきか。「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」(2014年)によれば、「便秘とは、便が滞った、または便がでにくい状態」と定義され、とくに小児では、排便時に肛門が痛く泣いたり、いきんでも排便ができない状態がみられる。ただ注意すべきは、「便秘」の認識は、個々人で異なるため排便の回数などで判断せず、同時に家族の状況も確認した方がよいと語る。そして、便秘の症状として「腹痛、裂肛、直腸脱、便失禁、肛門周囲の付着便や皮膚びらん、嘔吐・嘔気、胃食道逆流・げっぷ・口臭、集中力低下、夜尿・遺尿」があり、いかに医療者が気付き、診療介入できるかが重要だと指摘する。
具体的に10歳・女児の症例を紹介。この症例では、「口臭、げっぷ、嘔吐、排便時間30分超」の症状がみられ、他科診療の折に同氏の診療科を受診、便秘症の診療にいたったという。X線検査では、直腸に便塞栓が観察され、大腸に大量の便が貯留していた。慢性便秘症と胃食道逆流症の診断後、プロトンポンプ阻害薬とポリエチレングリコール(PEG)製剤で治療を開始。19日後には、排便時間が10分以内になり、当初の症状も消失したという。
小児の便秘症を疑うポイントとして、前記便秘症状の中でも触れているが、溜まった便で膀胱が圧迫されることによる夜尿やおもらしが多く、便塞栓のために液便による便漏れやこれらに伴う肛門部のびらんなどがみられ、診断の手助けになると語った。
小児が便秘症を発症しやすい時期として、「食事の移行期(離乳食から普通食など)」「トイレットトレーニング」「通学の開始」の3期があり、排便への恐れが子供にできないように、環境を整えることも重要と指摘する。
また、便秘症の「便塞栓」について詳説し、本症を疑うポイントとして、「少量の硬い便」「肛門周囲や下着への便の付着」「便がでにくいのに下痢便」「1週間近く排便がない」などが見られたら治療介入し、便秘症の悪循環を断ち切る必要があると強調する。
便秘症治療の三大原則としては、「便塞栓があればその除去の後で、薬剤、食事、生活習慣改善などの治療を行う」「外したフタ(便塞栓)は外したままにする」「便を我慢せず出しきる習慣を身に付ける」ことを説明。とくに排便習慣については、直腸の排便へのセンサーを正常化させることが大事で、また、排便の姿勢についても、自然に排便できるように洋式便座では踏み台などの設置も効果的という。
そして、これら治療を補助するために治療薬があり、「浣腸だけでなく新しい経口治療薬も小児には適用できるようになった」と説明する。現在、わが国では、乳児・幼児に対してラクツロース、酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤、グリセリン、ビサコジルなどの刺激性下剤が便秘に多用されている。また、2018年11月からようやくわが国でもPEG製剤(商品名:モビコール)が、2歳以上の小児に使用できるようになったこともあり、便秘薬の選択肢は増えつつあるという(参考までに、海外では便塞栓除去に浣腸だけでなく経口治療薬も選択肢に入っており、イギリスではPEG製剤が第一選択薬となっている。
臨床上、成人の便秘症は治療に難渋することがあるが、子供の便秘症では薬剤療法が奏功することもあり、早く介入することが重要と語る。治療の目標は、便秘ではない状態の維持であり、そのためには3~4年近く必要という。
最後に同氏は、子供のトイレ指導のコツについて、「25%できたら褒める」「小さいことから少しずつ」「できた行動に着目する」「具体的な指示をする」「一度に一つだけ指示をする」などを挙げ、「便秘難民がゼロ」になることを期待すると講演を締めた。
 〜CareNetより〜


2019年4月3日
「糖質制限食で心房細動リスク上昇か」
減量に人気の糖質制限食にはさまざまな種類があるが、糖質制限を続けていると心房細動を発症するリスクが上昇する可能性があることが、中山大学(Sun Yat-Sen University、中国)のXiaodong Zhuang氏らが実施した研究から明らかになった。研究結果は、米国心臓病学会(ACC 2019、3月16~18日、米ニューオーリンズ)で発表される。
心房細動は不整脈の一種で、健康な人では心臓は規則正しいリズムで拍動するのに対し、心房細動患者では時々震えるように拍動する。心房細動があると心臓のポンプ機能が低下するため、心臓の中に血液が滞留し、血栓ができやすい状態になる。米国心臓協会(AHA)によれば、この血栓が脳に運ばれると脳梗塞を起こす可能性もあるという。
この研究は、米国立衛生研究所(NIH)が地域住民を対象にアテローム性動脈硬化症リスクを検討した「ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)」研究と呼ばれる観察研究のデータを用いたもの。研究開始時点で心房細動がなかった男女約1万4,000人を対象に、1985年から20年以上にわたり追跡したデータを分析した。平均で22年間の追跡期間中に約1,900人が心房細動を発症した。
食物摂取頻度調査票への回答に基づき、参加者を(1)糖質制限群(1日当たりのカロリー摂取量に占める糖質の割合が45%未満)(2)糖質を適度に摂取する群(同45~52%)(3)糖質を豊富に摂取する群(同52%超)に分けて分析した。
その結果、糖質制限群では、糖質を適度に摂取する群と比べて心房細動リスクは18%高く、糖質を豊富に摂取する群と比べてリスクは16%高いことが分かった。こうした関連は、糖質の代わりに摂取したたんぱく質や脂質の種類に関係なく認められたという。
今回の研究には関与していない米ノースウェル・ヘルスのLaurence Epstein氏は「何事も極端に行うのは良くない。糖質の摂取量は多過ぎても少な過ぎても健康に悪影響をもたらす」と強調する。
Zhuang氏らの研究でこれらの因果関係が証明されたわけではないが、Epstein氏は糖質制限食が健康に悪影響をもたらす複数の要因を挙げている。その一つとして、糖質を制限すると体内の水分が排出されて短期間で減量できるが、同時に脱水状態にも陥りやすく、これが心房細動を引き起こす可能性があるという。また、糖質制限食は電解質異常をもたらし、心臓の拍動リズムにも影響する可能性があるとしている。
一方、Zhuang氏らは、糖質制限食を取り入れている人たちでは、炎症の抑制に働くとみられる野菜や果物、穀類の摂取量が少ない傾向にあることを指摘し、「こうした人たちでは、心房細動に関与する炎症レベルが高いのではないか」と推測している。なお、Epstein氏は「糖質制限を行っていた理由も重要だ」とし、糖尿病は心房細動のリスク因子であるが、糖尿病患者は血糖コントロールのために糖質制限を行っている可能性があると説明している。
米ニューヨーク大学ランゴン・ヘルスの栄養士であるSamantha Heller氏も、極端な食事法は深刻な健康状態を招くと強調する。「健康的な生活には、果物やでんぷん質ではない野菜、全粒穀物、ナッツ類などで構成されたバランスの取れた食事が必要だ」と話している。なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
〜医療NEWSより〜


2019年4月2日
「喧嘩をしたとき…どうして女性は過去の出来事を連鎖的に思い出すのか?」
男女がけんかをすると、女性は「いきなりキレる」「過去のことを何度も蒸し返す」など、男性を悩ませるといわれます。このことは「男性脳」「女性脳」の違いから明らか…という説がありますので、今回注目してみたいと思います。女性の特徴とされる「女性脳」とはどのような構造なのでしょうか。人工知能の開発に携わり、現在はマーケティング分野で感性分析などを行っている黒川伊保子さんをご存知でしょうか。彼女はコミュニケーション・ロボットの制作過程で男女の対話スタイルの違いに気がつき、ロボットに対話機能を組み込むとき、状況に応じた男性モデルと女性モデルの使い分け方を模索してきたといいます。その結果、脳生理学とは異なる見地から、人工知能のコンセプトとしての「女性脳」をモデル化しています。過去のできごとが「怖い」「つらい」「ひどい」「無神経」などといった、感情が見出しになって保存されています。そのため、たとえば夫が無神経な発言をすると、「無神経」と見出しのついた過去の発言の数々が一気に想起され、何十年分もの類似記憶が鮮やかによみがえります。このとき、無神経な発言によって引き起こされる心の動きは「ネガティブトリガー」と呼ばれます。反対に、うれしかった、楽しかったといった快適な感情は「ポジティブトリガー」として体験記憶に紐づけられます。「わかる、わかる」と共感してもらえることで、過剰なストレスとなる感情が鎮静化して、ネガティブトリガーである神経回路のストレスも軽減されます。
また、自分の体験だけではなく他人の経験であっても、共感して感情の見出しがつくと、自分の体験と同等の扱いになります。ゆえに、女性にとって「井戸端会議」は格好の共感の機会でもあり、相互に「とっさに使える知恵」の交換会という意義を担っています。このような構造が女性に顕著なのは、子どもを産み育てるという女性に備わる特性に由来するのではないかと考えられています。「子育ては常に新しい問題への直面の連続なので、その時その時に起こってくる事態に人生の記憶を総動員して、瞬時に答えを引き出す機能が備わった」ということを、黒川さんは述べています。
また、共感性によって他人の体験を自分の体験のように記憶したり、自分(の気もち)を大切にしたりすること、自分や自分が大切に思う人のことを最重要視するといった、いわば「わがまま」や「えこひいき」も、哺乳類のメスとして種の保存のために備わっている標準装備のようなものだとも指摘しています。丸暗記式の意味記憶と違って、体験記憶は「その人が経験したできごと」についての記憶です。
たとえば、“海とは陸地以外の部分で、海水に満たされ…”といったコトバの定義を覚えているのが「意味記憶」ですが、体験記憶で海といえば、Aさんは東北大震災のときの津波を思い出すとか、Bさんはエメラルドグリーンのロマンティックな沖縄の海が目に浮かぶといった、体験を通した記憶を指しています。そして、震災の津波は「怖かった」とか、沖縄の海は「素敵だった」というように、その時々の感情が強かったり大きかったりするほど、印象深く鮮やかな記憶として、保持されたり想起されたりすることがわかっています。 ちなみに、こうした働きを促進するのは、脳科学では大脳辺縁系にある「偏桃体(へんとうたい)」や「海馬」だと考えられています。
つまり、感情(情動)と記憶との関係性は男女差というよりは、脳の働きがどのように習慣的に使われているかということに影響されているといえるのではないでしょうか。脳科学的な立場からは、「女性脳」は女性に固有というよりは、習慣によって形成されてきた機能的特徴ということができるでしょう。黒川さんご自身も「脳機能」であると表現されています。
また、共感性も「ゴール指向問題解決型」の成人男性にはほとんど体験されなくなっているようですが、少なくとも赤ん坊や幼児の頃は男女ともに「そうだ、そうだ」という共感性によって、生活や文化を取り入れたり人間関係をつくったりしてきたはずです。小さいころから理屈や合理性だけで世界を構築してきたわけではないでしょう。さらに、昨今注目されているLGBTのような性的マイノリティの生き方もありますが、男性的な女性、女性的な男性など、ジェンダーの境界はかつてよりもあいまいになってきています。黒川さんの提言は、非常に精緻とはいえロボットのような機械を作るためのモデルから得たコンセプトです。ですから、実際に脳の中がそのような構造になっているというよりは、「女性脳」的なイメージを持って男女の仲を見つめ直してみてはどうか…という問題提起として捉えることができると思います。
「女性脳」は、男性が女性を理解し、女性といかに円満な関係を築いていくか、という問いに基づいた提起といえます。男女が対等に共存していく社会にあっては、当然のことながら男性が女性を支配するのではなく、男性と女性が互いに理解し合う、その理解度の深さが社会の成熟度につながっていきます。そういう意味で、「女性脳」の考え方も傾聴に値すると思われます。
男性諸氏は一度、共感をすることで女性のネガティブトリガーをポジティブトリガーに変換して、そこに何が生まれるのか(あるいは何が壊れるのか)を体験してみてはいかがでしょうか。
〜NewsCafeより〜


2019年4月1日
「漢方外来、女性患者が多いのには理由がある」
漢方外来は、特に疾患を限定しておらず、対象となる患者の疾患や愁訴は多岐にわたる。男女とも受診するが、実際の外来患者は圧倒的に女性が多く、明確な性差が見られる。埼玉医科大学東洋医学科診療部長の磯部秀之氏は「漢方外来受診者に女性が多い理由は、女性はホルモンの変動が激しいため症状や愁訴も多彩で、漢方の特徴とその適応病態が適しているためと思われる」と第12回日本性差医学・医療学会(1月19〜20日)で述べた。
磯部氏によると、同大学病院や同大学かわごえクリニックの漢方外来の受診者は、70〜80%が女性であるという。同クリニックにおける2014年と15年の患者数は、両年ともに女性が約80%、男性が約20%であった。
漢方治療は漢方医学的な診断や考え方に基づいて漢方薬を投与する。漢方薬は生薬(植物、動物、鉱物)を丸ごと使用し、基本的には複数の生薬を組み合わせて使用する。複数の生薬を組み合わせる理由は、作用が不十分なため高めたい、不都合な症状の発現を軽減するなどだが、最も大きな理由は多彩な症状・体質への対処であるという。
同氏は「漢方医学の基本方針は、人間本来の自然治癒力を引き出すこと。自然治癒力が衰えているときには賦活する、過剰なときには適度に弱めるなど、漢方薬によって自然治癒力を調整する。ヒトは生体のバランスの崩れを回復する恒常性(ホメオスタシス)を有するが、それを後押しするのが漢方治療である」と説明。「西洋医学ではどこに異常があるのかを細分化していく(細かく見る)、漢方医学では病人を総合的に見るというのが両者の視点の違い。漢方では、疾患を持った患者全体をいかに治療するかという視点に立っている」と述べた。
漢方治療が考慮される病態としては①可逆的変化を主とする疾患②機能性疾患③虚弱体質(体質改善)④心身症的傾向が強い⑤検査で症状を説明できるような異常がない⑥西洋医学的には治療が困難⑦西洋医学的な治療が副作用のために継続できない⑧西洋医学的な治療だけでは効果が不十分−などが挙げられる。
女性の場合、生理周期に伴う急激なホルモンの変動により自律神経系のバランスを崩しやすく、自律神経失調症につながることも少なくない。漢方薬は、ホルモンの変動や自律神経機能を調節し、そのバランスの乱れを修正する方向に作用する。
また女性は、生理周期に伴ういらいらや落ち込み、不安など精神面での愁訴に悩まされることが多い。漢方医学では心と体を切り離さず、常に精神と身体相互の関連を重視している。精神面での愁訴を重要視し、心身症的傾向が強い場合には、漢方治療の有用性は高いという。さらに女性は生理前、生理中だけでなく、さまざまな愁訴があり、更年期症状も非常に多彩である。個体差の重視は、漢方治療の大きな特徴の1つであり、疾患よりも、その疾患を持った病人に対する治療を行うものである。
磯部氏は同クリニックにおける2015年の新規受診患者74例(女性56例、男性18例)を対象として、初診時の問診票を解析した。男女比は患者全体と同様の傾向で、問診票でチェックされた症状の数は男性の6.8に対し、女性では10.5と明らかに多かった。睡眠に関する症状は男性の55.6%に対し、女性では87.5%と大部分で見られた。気分の項目(いらいらなどの症状)では、男性1.3に対し女性は2.6と2倍であった。
女性で最も多かった主訴は頭痛、次いで不眠、腰痛、肩凝り、倦怠感、冷え、めまいなどの順であった。また、主訴に限らず問診票に記入された症状では、肩凝りと冷えが30例超と非常に多く、疲れやすい、腰痛、不安感、夜中に目が覚めるなども多かった。同氏は「精神と身体を切り離さない漢方治療の有用性が示唆される」と述べた。
冷えも漢方外来を受診する女性に多く見られる症状の1つである。磯部氏は「冷えが主訴の男性がいないわけではないが、女性の方が圧倒的に多く、主訴が冷えでなくても冷えの症状を訴える女性は大変多い。冷えには血流や新陳代謝などが関与し、自律神経の乱れや機能低下が原因となる。また、筋肉の緊張を高め、血流をさらに低下させるという悪循環につながる」と指摘した。
冷えは多くの症状や疾患と関連性があり、肩凝り、頭痛、腰痛、痺れ、腹痛や便通異常(便秘や下痢)、生理不順や不妊などの原因の1つとなる。さらに、冷えがあるとかぜをひきやすくなったり不眠症になることもまれではない。西洋医学的には冷えの治療は難しいが、漢方には体を温める効果のある生薬が多く、冷えに有効な処方は多数あるという。
漢方治療は生体のゆがみを是正し、生体をより良い方向へ導くことを主眼とするため、全身状態を改善し、種々の好ましい作用をもたらす。かぜをひかなくなった、体が温まる、便通がよくなった、熟睡できる、疲れにくくなったなど、さまざまな改善が見られる。また、漢方治療は体力を補い、患者に活力を与える。そのため、主訴の改善が難しい場合でも、患者の闘病力を高め、QOLの向上が期待できる。
以前は、西洋医学的治療を受けても治らず最後の手段として漢方外来を受診する人が多かったが、近年は他の医療機関を受診せずにいきなり漢方外来を受診する人が増えたという。受診理由は、西洋医学的治療に不安が大きい(西洋薬の副作用などを心配)、体質改善など漢方治療が適切と判断などであるという。磯部氏は「ただし、安易に初めから漢方外来を受診しても、持病(糖尿病など)が重症の場合には西洋医学の治療を併用することや他科に紹介することも少なくない」と述べている。
漢方は、西洋医学だけでは不十分なところをある程度補うことが可能で、西洋医学との併用により西洋薬の減量や副作用の軽減、相乗効果などが期待できる。さらに難治性疾患患者の闘病力の向上、QOLの改善などに寄与できる。医療費もそれほど高くないため、医療経済に対する貢献が可能と思われ、普段から漢方薬を服用することが体質改善につながり予防医学への有用性が高いと考えられる。
磯部氏は「これらのことから、漢方薬は現代医療における"有用な治療戦略の1つ"といえる」と強調。「現在、漢方外来を受診する男性患者が増加している。西洋医学は日々大きく進歩しているが、それでも説明のつかない病態に対しては漢方が有用な可能性がある。西洋医学と漢方医学の両方をうまく使うことで治療の幅が広がると思われる」と結んだ。
 〜Medical Tribuneより〜


2019年3月30日
「卵の摂取量増加で、心血管疾患発症や死亡が増加?」
米国成人において、食事性コレステロールまたは卵の摂取量増加は、用量反応的に心血管疾患(CVD)発症および全死因死亡リスクの上昇と有意に関連していることが確認された。米国・ノースウェスタン大学のVictor W. Zhong氏らが、Lifetime Risk Pooling Projectの6つのコホートデータを用いた解析結果を報告した。コレステロールは、ヒトの食事における一般的な栄養素で、卵は食事性コレステロールの重要な源であるが、食事性コレステロール/卵の摂取量がCVDおよび死亡と関連しているかどうかについては、なお議論が続いている。著者は今回の結果について、「食事ガイドラインの作成・改訂の際に考慮されるべきである」とまとめている。
研究グループは、1985年3月25日~2016年8月31日の期間に収集された、米国の6つの前向きコホート研究における参加者個々のデータを統合した。自己報告の食事摂取に関するデータは、標準的プロトコルを用いて調整し、食事性コレステロール(mg/日)または卵の摂取量(個/日)を算出した。
主要評価項目は、人口統計学的、社会経済的および行動的要因を調整した、CVD発症(致死的/非致死的冠動脈心疾患・脳卒中・心不全・他のCVD死亡の複合)と全死因死亡に関する全追跡調査期間にわたるハザード比(HR)および絶対リスク差(ARD)で、コホートで層別化した原因別ハザードモデルおよび標準比例ハザードモデルを用いて解析した。本解析には合計2万9,615例が組み込まれ、平均[±SD]年齢はベースライン時51.6±13.5歳、1万3,299例(44.9%)が男性で、9,204例(31.1%)が黒人であった。
追跡期間中央値17.5年(四分位範囲:13.0~21.7、最大31.1)において、CVDイベント発症が5,400例、全死因死亡が6,132例認められた。
1日当たりの食事性コレステロール摂取量が300mg増加した場合、CVD発症(補正後HR:1.17[95%信頼区間[CI]:1.09~1.26]、補正後ARD:3.24%[95%CI:1.39~5.08])および全死因死亡(補正後HR:1.18[95%CI:1.10~1.26]、補正後ARD:4.43%[95%CI:2.51~6.36])のリスク上昇と有意な関連が認められた。
1日当たりの卵の摂取量が半分(2分の1個、卵1個を3~4回/週または3~4個/週)増加した場合でも、同様に有意な関連が認められた(CVD発症の補正後HR:1.06[95%CI:1.03~1.10]、補正後ARD:1.11%[95%CI:0.32~1.89]、全死因死亡の補正後HR:1.08[95%CI:1.04~1.11]、補正後ARD:1.93%[95%CI:1.10~2.76])。ただし、食事性コレステロール摂取量を補正後は、卵の摂取量とCVD発症(補正後HR:0.99[95%CI:0.93~1.05]、補正後ARD:-0.47%[95%CI:-1.83~0.88])および全死因死亡(補正後HR:1.03[95%CI:0.97~1.09]、補正後ARD:0.71%[95%CI:-0.85~2.28])との間に、有意な関連は確認されなかった。
著者は研究の限界として、食事摂取に関するデータが自己報告であること、全コホートが異なる食事評価法を使用していたこと、観察研究のため因果関係については立証できないことなどを挙げている。
 〜CareNetより〜


2019年3月29日
「半年のウォーキングで認知機能が向上する」
今回改善が認められたのは、認知機能の中の「実行機能」と呼ばれるもので、目標を達成するために段取りよく行動する能力を指します。具体的には、目標を設定する、最適な計画を立てる、作業を行いながら必要に応じて修正する、到達度を推定し作業を効率化する、といった一連の行為を行う能力です。試験に参加したのは、(1)普段座っている時間が長く、(2)認知症と診断されるほどではないものの、軽度の認知機能の低下があり、(3)高血圧、高血糖、血中脂質量(コレステロールや中性脂肪)の異常が1つ以上認められる、55歳以上の160人(平均年齢65.4歳)です。高血圧、高血糖、脂質異常は、認知症の発症、認知機能の低下、心筋梗塞・脳卒中などの心血管疾患に共通する危険因子として知られており、今回参加した人たちは、「将来、認知症や心血管疾患にかかるリスクの高い人」ということになります。これらの人たちを、「有酸素運動+DASH食の指導」(40人)、「有酸素運動のみ」(41人)、「DASH食の指導のみ」(41人)、または「健康に関する教育のみ」(対照群、38人)のいずれかに割り付けて、6カ月間実践するよう指示しました。
DASH食とは、高血圧予防のための食事法として米国で広く実践されている食事法で、カリウム、カルシウム、マグネシウムや食物繊維が豊富な野菜や果物、ナッツ、低脂肪の乳製品などを積極的にとるというものです。有酸素運動を行うグループには、当初3カ月間は、週3回、運動強度が最大心拍数の70~85%になるレベルの運動を行うよう指導しました。1回の運動は、ウォームアップ10分、35分間の連続ウォーキングまたはサイクリングマシン漕ぎとし、運動の様子を監視しました。その後の3カ月間は、自宅で同様の運動を行うよう指示しました。DASH食の指導を受けるグループは、当初3カ月間は週1回30分間、それ以降は隔週で30分ずつ、専門家からの教育、指導、カウンセリングなどを受けました。対照群には、当初3カ月間は週1回、それ以降は隔週で電話して、心血管系の健康に関連する教育を30分間行いました。6カ月間は、通常どおりの食事と運動を続けるよう指示しました。
その結果、有酸素運動を行ったグループでは、DASH食の実施の有無にかかわらず、運動負荷試験の成績が向上し、6分間に歩行できる距離も延びるなど、身体機能が向上していました。歩数計を装着して測定した1日の歩数にも増加が見られました。また、6カ月後の心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)のリスクは、対照群に比べ、有酸素運動群とDASH食群の両方で低下していました。実行機能は、有酸素運動を行ったグループでは向上していましたが、DASH食を行ったグループには変化は見られませんでした。ただし、有酸素運動のみのグループに比べ、有酸素運動とともにDASH食も実施したグループのほうが、実行機能の改善は大きくなっていました。どのグループにも、記憶や言語流暢性の改善は見られませんでした。
以上より、普段から座ってばかりで、心血管疾患の危険因子を持ち、認知機能が低下している55歳以上の成人が有酸素運動を行うと、認知機能のうちの実行機能が改善することが分かりました。
〜日経Goodayより〜


2019年3月28日
「はしか感染、さらに拡大の恐れ 流行地域以外でも注意を」
近畿圏での流行は、三重県津市での宗教団体による研修会、大阪市内の商業施設でのイベントなどから広まり、近畿圏に拡大しました。日本の麻疹は2015年3月27日から、日本特有のウイルスによる麻疹が3年以上発生していない「排除状態」となり、現在では「輸入感染症」と考えられています。ただ、海外から持ち込まれることをきっかけに、国内での感染が広まることは度々あります。
麻疹を診断した医療機関には保健所への届出義務があり、麻疹の報告を受けた保健所は、その患者の発症までの行動などを確認する接触者調査を行います。そのため、発生した当初は感染経路が明らかになりますが、二次感染、三次感染、それ以上となっていくと、追跡が困難になっていきます。現在はすでにその状況にあり、今の時点で麻疹が発生していない地域でも、これから発生、拡大していく可能性があります。例えば、2019年2月には、大阪府が新大阪・東京間の東海道新幹線を利用した40代の女性が麻疹に感染していたとして、乗車していた列車番号を公表。川崎市でも東南アジアから帰国した男児の麻疹感染が分かり、利用した鉄道や商業施設を発表し、注意を呼びかけていました。それは、麻疹は非常に感染力が強い「空気感染」をするからです。現在、麻疹と同様に流行している風疹も、インフルエンザの2~5倍といわれる感染力がありますが、風疹はくしゃみや咳などによる「飛沫感染」による感染なので、同じ空間にいても距離が離れていれば感染しないのです。ところが、空気感染する麻疹は同じ空間にいるだけで感染するリスクがあります。そこで、流行時にはさらなる感染拡大をとどめるために、感染者が利用した交通機関や施設などに居合わせた可能性のある不特定多数の人に向けて、注意を呼びかけることがあります。
麻疹は免疫がない人が感染すれば、ほぼ100%発症します。ただ、感染しても10~12日間は症状が出ない潜伏期間があり、発症から5日間程度の「カタル期」には鼻水やくしゃみ、咳、喉の痛みといった風邪のような症状しか出ません。この時期に麻疹ウイルスに対する抗体検査を受けたとしても、まだ抗体価の上昇は見られないことが多いため、初期に麻疹と診断するのは極めて難しいといえます。しかも、カタル期が最も感染力が強いので、「風邪かな?」などと思っているうちに、感染を広げていってしまうのです。風疹では免疫のない女性が妊娠初期に感染すると、生まれてきた子どもに難聴や白内障などが生じる先天性風疹症候群を発症する可能性があるといわれますが、麻疹でも重症化するケースはあります。麻疹の場合は、感染した本人にとっては、麻疹の方が重症となるリスクが高く、脳炎や肺炎で死亡することもあります。乳幼児が感染すると、数カ月、数年とたっていくうちに、知的障害、性格変化、脱力発作、歩行異常などの症状が進行していく亜急性硬化性全脳炎(SSPE)をまれに発症することもあります。妊婦が感染すれば、流産や早産、死産を招く危険もあります。また、麻疹に感染すると、免疫力が低下します。麻疹の症状が回復しても、数カ月から長ければ1年程度、免疫力が下がったままの状態が続くこともあり、他の感染症にかかりやすくなります。
感染初期には本人が麻疹と気づいたり、医療機関で麻疹と診断するのは難しいということですが、感染しない、感染を広げないためにはどうすればいいでしょうか。麻疹に感染したことがなく、これまでに予防接種をしたことがない人や、予防接種をしたことはあっても1回だけという人は、免疫がないか十分ではないため、ワクチンを接種しておくことが最も有効な感染予防策になります。風邪のような症状があり、2~3週間以内に麻疹が発生した場所を訪れたり、麻疹を発症した人と接触した可能性があったりするときは、感染している可能性があります。ただ、現在のように、二次感染、三次感染と拡大しているときには、身近に麻疹に感染した人がいなくても、いつ、どこでウイルスにさらされているか分かりません。高熱や発疹が出てきたときには、麻疹と疑って行動した方がよいでしょう。その際は、最寄りの保健所か医療機関に電話をして相談し、指示を受けるようにしてください。そのまま受診してしまうと、移動中や医療機関で感染を広めてしまう恐れがあります。特にこれからは、学生の春休みや社会人の異動・転勤などで、人の移動が増える時期です。ゴールデンウイークは10連休になる企業もあり、海外旅行へ出かける予定の人も多いでしょう。麻疹の流行がさらに拡大する恐れがあることを念頭に置いて、注意してほしいと思います。
〜日経Goodayより〜


2019年3月27日
「血液1滴で13がん種を同時診断、日本発miRNA測定技術」
血液中に含まれるマイクロRNA(miRNA)をマーカーとして、13種類のがんを同時診断する検査システムの開発が進み、実用化が近づいている。2019年3月1日、都内で「1滴の血液や尿で、がんが分かる時代へ」と題したメディアセミナーが開催された(共催:日本臨床検査薬協会、米国医療機器・IVD工業会)。落谷 孝広氏(国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野)が登壇し、自身が開発のプロジェクトリーダーを務めるmiRNAによるリキッドバイオプシーの精度や、実用化に向けた動きなどについて解説した。リキッドバイオプシーの解析対象としては、米国を中心に開発の進む血中循環腫瘍DNA(ctDNA)が知られている。ctDNAなどの従来の腫瘍マーカーが、がん細胞のアポトーシスに伴って血液中で検出されることと比較し、miRNAはがん細胞の発生初期から血液中を循環するため、より早期の診断が可能だという。
本邦では、「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクト」が2014年から始動。国立がん研究センター(NCC)、国立長寿医療研究センター(NCGG)が保有するバイオバンクを活用し、膨大な患者血清等の検体を臨床情報と紐づけて解析、血中miRNAをマーカーとした検査システムの開発に取り組んできた。 日本人に多い13種類のがん(胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝がん、胆道がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、神経膠腫、肉腫)をターゲットとして、対照群を含めて約5万3,000検体(2019年2月現在)が解析された。その結果、たとえば乳がんの場合、5つのmiRNAの組み合わせによって、感度97%/特異度92%で診断できることが確認された。「感度97%というのは、乳がんと診断した100人のうち3人間違えるということ」と落谷氏。「100%でない限り、もちろん過剰診断には留意しなければならない。しかし非侵襲的であることも含め、次の検査につなげる早期のスクリーニングツールとしては、非常に有力だといえる」と話した。その他、卵巣がん(感度99%/特異度100%)、膵がん(98%/94%)、大腸がん(99%/89%)、膀胱がん(97%/99%)3)、前立腺がん(96%/93%)など、いずれも高い感度が確認されている。
これらの研究成果をもとに、現在4社が実用化に向けて開発を進めている。血液検体から13種類のがんを全自動で検出するための機器、検査用試薬や測定キットなどが開発中だという。また、今回の研究結果とこれまでのmiRNA関連の研究結果を機械学習に入れ込み、全部で2,655種類あるmiRNAの中から、現状では、およそ500種類程度をチェックするがんの診断モデルが構築されている。このモデルは、判別精度をより高めるためのブラッシュアップが続けられているという。miRNAはエクソソームに内包されており、エクソソームは分泌元となる細胞の特徴を反映することから、がん以外の疾患のマーカーとしても活用が期待される。本プロジェクトではすでに、認知症と脳卒中で有望な結果がでている。認知症では、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体認知症を高感度で判別した。また、症例数が少ないデータではあるが、軽度認知機能障害32例で、半年後の認知症への進行の有無が100%の確率で予測されている4)。さらに、これまで有力なマーカーが確認されていない脳卒中のリスクマーカーとしても有用であることが確認され、近く発表が予定されている。 〜CareNetより〜


2019年3月26日
「がんの人に、どう声を掛ける ”負けないで”は負担になっていないか 善意の押しつけにならないよう」
競泳女子の池江璃花子選手(18)やタレントの堀ちえみさん(52)ら有名人のがんの公表に対し、会員制交流サイト(SNS)などで多くの“エール”が寄せられている。日本人の2人に1人ががんになる時代、家族や友人、同僚からがんを告白されるケースも増えていく。特に、若い世代の患者は孤独を感じやすいといわれる。周囲はどう向き合ったらいいのだろうか。
「がん患者への『負けないで』という言葉を聞くとある人を思い出します」。福岡がん患者団体ネットワーク「がん・バッテン・元気隊」の副代表、山内千晶さん(48)は切り出した。33歳で急性骨髄性白血病と診断された山内さんが、同じ時期に闘病した同世代の女性。骨髄移植後の合併症で亡くなった。「あんなに若いのに病気に負けて」。葬儀で故人の親戚がつぶやいた。そばで小学生の娘がうつむいていた。思わず「負けてなんかいない。精いっぱい生き抜いた。胸を張って自慢していい」と両手を重ねた。がんは勝つものでも負けるものでもない-。山内さんは闘病経験から痛感したと言う。「もっと頑張ればきっと治る。ポジティブでいなくては」と治療中、無理に自分を奮い立たせ、周囲には気丈に振る舞った。しかし、病状は一進一退で治療の終わりは見えない。弱音を吐けず、ある時「心がポキッと折れた」。うつ状態になっていた。治療を頑張るのはあくまでも医療者。「患者としては現実をありのまま受け入れることが大切だった」と振り返る。
抗がん剤の副作用で不妊になり、女性として否定されたような気持ちにもなった。友人に相談すると「(命が)助かっただけいいじゃない」「ぜいたくな悩み」と諭された。患者は何も望んではいけないのかと悲しくなった。白血病が再発し、骨髄移植を経験。45歳で乳がんと診断され、今も経過観察中だ。白血病の治療後、再び社会とのつながりを持ちたいと就職活動を始めた。病気のことを採用担当者に伝えると、条件も聞かれず「治療に専念したらどうですか」。がんになる前の自分に戻れないのが悔しく、社会からの疎外感に襲われた。
さらに、頭を悩ませたのが知人らからの「贈り物」。特別な水やサプリメント、漢方に水晶…。お守りやお札も大量に届き、ありがたい半面、困惑もした。宗教系の勧誘も多く、断ると「せっかくあなたのためにやってるのに」「信じないから病気になるんだ」と怒られた。上司や親戚だったらより断りづらく、負担も大きいだろう。「善意の押しつけは断るのが負担。苦痛でプレッシャーにもなってしまう。何かしてあげたいなら『何が必要?』と尋ねてみて」と訴える。
それでは、どんな言葉を掛ければいいのか。無料通信アプリ「LINE(ライン)」でヒントになるスタンプが販売されている。発案したのは大阪ガス近畿圏部ソーシャルデザイン室の谷島雄一郎さん(41)。35歳で希少がんが食道に見つかり、肺にも転移した。闘病経験と芽生えた問題意識を価値に変え、社会への還元を目指す団体「ダカラコソクリエイト」を2015年に立ち上げた。17年、39歳以下でがんになった88人にアンケートを実施した。「実は迷惑だったり、腹が立ったりしていたこと」を問うと「不用意な言動」「過剰な気遣い」「仕事で戦力外扱いをされた」などが挙がった。谷島さん自身「親より先に死ぬのは親不孝」「子どもがいるのに」など、最も悔しく、どうにもできないことを言われ、憤りを感じた経験がある。
「患者はつらい経験をしたからこそ、掛けてもらってうれしい言葉も知っている」と、患者仲間約20人の協力を得て、スタンプを作った。人の心を癒やす忍法が使える猫「ニャ助」とカッパ「パ太郎」のゆるキャラ2匹を通して、「はやく会いたい」「泣いてもええんやで」「アホはほっとったらえーねん」などのメッセージを発信する。サイトでは、こうした言葉を掛けられた状況や選んだ理由なども紹介している。
同じがん患者でも、種類や病状などによって状況や心理状態は違う。谷島さんは「一番大切なのは自分が同じ立場だったらと想像すること」と指摘。「生きづらい思いを抱えている人に寄り添いたいけれど、掛ける言葉が分からないという人の参考になればうれしい」と話している。
〜2019/03/18付 西日本新聞朝刊〜


2019年3月25日
「父の不在、母の抑うつなどで子供が肥満に」
家族のストレスや父親の不在、母親の抑うつといった小児期の家族や家庭の環境に関わる複数の因子が肥満リスクの上昇に関連することが、21年間の長期にわたりチリ人の小児1,000例を追跡した研究で示された。研究結果は、米・University of California, San DiegoのPatricia East氏らがChild Obesに発表した。
これまで、肥満には幼少期の因子が関与していることが報告されている。East氏らは、家庭環境や家族に関わる因子が成人後のBMIや5~21歳においてBMIが上昇する速さに関連するとの仮説を立て、それを検証する目的で今回の研究を実施した。研究には、チリで低中所得層の家庭に医療サービスを提供するクリニックで1991~96年に組み入れられた、小児1,000例の栄養と成長に関するコホート研究(Santiago Longitudinal Study)のデータを用いた。
BMIは5歳、10歳、21歳時に測定。青年期には最大で3回の測定を行った。また、1歳時から10歳時までの家庭および家族の環境などを調査した。さらに、21歳時のBMIに基づき①適正体重②過体重③肥満④極度の肥満-に分類しさまざまな検討を実施した。
その結果、①~④の各群における5~21歳でのBMI上昇の速度には違いが認められ、体格が大きい小児はBMIが上昇する速度が速かった。
また、21歳時の高BMIは、家族のストレスや父親の不在、母親の抑うつ、子供をベビーサークルに閉じ込めておく機会が多いこと、1歳時の家庭環境の不潔さ、10歳時に能動的な刺激を与える機会や刺激的な経験の少なさと関連していた。さらに、BMIの急上昇には、1歳時の家庭における学習面での刺激レベルの低さと10歳時の親の温かい態度や受容する姿勢の不十分さが関連していた。
以上を踏まえ、East氏らは「小児の発達に必要なサポートの欠如を反映する家庭や家族の因子は、若年成人期の過体重/肥満やBMIの急上昇に関連していた。これらの結果から、肥満の予防または介入のターゲットとなりうる幾つかの家庭や家族の因子が特定された」と結論付けている。
同誌の編集長で米・Baylor College of MedicineのTom Baranowski氏は、East氏らの研究について「小児~成人期の大規模長期追跡データと洗練された解析手法を用い、肥満に影響している可能性がある複数の因子を検討した研究はまれだ。この研究によって、検証的研究や介入における重要な問題が明らかになった」とコメントを寄せている。
 〜Medical Tribuneより〜


2019年3月23日
「花粉症の目のかゆみ対策 市販薬、人工涙液の選び方」
〜みさき眼科クリニック院長(東京・渋谷)の石岡みさきさんに市販点眼薬の選び方や注意点について聞いた〜
花粉症で目がかゆくなるのは、目に花粉が入って結膜(まぶたの内側から白目にかけての粘膜)に炎症が起きるため。医学的にはアレルギー性結膜炎と呼ぶ。では、なぜアレルギーが起きるのか、改めて確認しておこう。
花粉のような異物(体内にもともと存在しない物質)が体内に入ったとき、本来無害なものであるにもかかわらず必要以上に警戒してアレルゲン(抗原)だと判断する場合がある。すると、それに対する抗体(IgE)がつくられ、免疫反応を担う肥満細胞の表面に結合する。そして、再びアレルゲンが体内に入って抗体に触れると、アレルゲンを外に追い出そうとして肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどが放出されて、これが炎症やかゆみを引き起こすのだ。
このヒスタミンと似た構造を持ち、ヒスタミンの代わりにアレルギーを起こすスイッチを押す受容体に結合することでアレルギー反応を抑えるのが、抗ヒスタミン作用を持つ点眼薬。「眼科で処方される薬で圧倒的に多いのは、この点眼薬の代表ともいえるアレジオン(一般名:エピナスチン)やパタノール(オロパタジン)です」と石岡さんは話す。 今の時期はドラッグストアに行っても、花粉症の目のかゆみを抑える点眼薬が何種類も並んでいる。これらにも効果はあるのだろうか?
「『保険が利かない薬はあまり効果がない』と考える人は多いですが、そんなことはありません。『市販薬を使っているけれど、効かない』と受診してくる方に手持ちの市販薬を見せてもらうと、かゆみに効く成分が入っていないものを使っていることも結構あります。ですから、まずは症状に合った薬を選ぶことが大切でしょう。確かに市販薬は、基本的に処方薬に比べ濃度は薄くなっていますが、スイッチOTCといって処方薬とまったく同じ有効成分を含むものもあります。症状に応じた使い方をすれば、市販薬にもそれなりの効果は期待できると思いますよ」(石岡さん)
市販の点眼薬での石岡さんのお薦めは、スイッチOTCの抗ヒスタミン点眼薬「ザジテン」(ケトチフェン)。もともと処方薬だったので、抗ヒスタミン作用が強い。ただし、ザジテンは酸性溶液のため、中には点眼時にしみるなど刺激を強く感じる人がいるのに加え、まぶたがかぶれてしまう人もいるという。刺激感が苦手な人は「クロルフェニラミンマレイン酸塩」という成分が入った点眼薬を選ぶといいそうだ。より刺激感が少なく、かぶれにくいうえ、薬剤師がいなくても購入できるという。
「ザジテンより弱いですが、抗ヒスタミン作用があります。ただドラッグストアには様々な種類の薬が売られているので、探すのがおっくうだという方もいるでしょう。一番いい市販薬の選び方は『花粉症で目がかゆいんです』と薬剤師や登録販売者に率直に相談すること。忙しくて眼科を受診するのが難しい人は、まずはこれらの市販薬を試してみて、効果が感じられないようなら眼科を受診するといいでしょう」(石岡さん)
点眼薬を一度に何滴も差す人がいるが、1滴差せば十分。差した後、すぐにまばたきをすると薬液が流れてしまう。目の表面に長く薬液をとどめるため、しばらく目を閉じて目頭を押さえる。
なお、家族であっても同じ点眼薬を使い回してはいけない。まつげなどに触れることで、結膜炎の感染などを起こしやすいからだ。30分ごとなど1日に何度もしつこく差す人がいるが、あまり差しすぎると薬に含まれている防腐剤で目を痛めることもある。記載されている用法・用量をきちんと守って使うようにしよう。できれば点眼薬の前に人工涙液を使うといい。人工涙液とはもともとドライアイの治療などに使われる点眼薬の一種。その名の通り涙に近い成分になっていて、いわゆる薬剤は入っていない。まず、これを使って目に入った花粉を洗い流すのだ。
なお、「目を洗う」といっても水道水で洗うのはNG。含まれている塩素によって目の表面に傷がつくことが多い。市販の目洗いカップも、いったん目の外に出た花粉がまた目の中に入ってしまい、目の外へ花粉を洗い流すという方法にはならない上、アトピー性皮膚炎などがある場合は皮膚への影響もあるため、勧められないという。
市販の人工涙液は「ソフトサンティア」や「ロートソフトワン点眼液」など。これらには花粉のハッチアウト(破裂)を抑える作用もあるという報告がある。花粉はそのままではアレルギー反応を起こさない。破裂して内部のたんぱく質が外に出てアレルギーを引き起こすので、ハッチアウトが少なければそれだけ症状も軽くなるというわけだ。
2018年12月には「ウェルウォッシュアイ」が発売された。これは人工涙液ではなく点眼型洗眼薬だが、よりハッチアウトを抑える作用が強いとされる。また、前述の人工涙液は使用期限が10日間なのに対し、ウェルウォッシュアイは開封後約1カ月使用できる。
これら人工涙液を起床後や帰宅した際などに、目を洗うように数滴使うとよい。「防腐剤の塩化ベンザルコニウムが入っていない人工涙液は、ドライアイの治療ではコンタクトレンズを装着したままでも使用できますが、花粉を洗い流す目的で使う場合は、コンタクトレンズをしていると洗い流す効果が少なくなるので、はずしてもらったほうがよいでしょう」(石岡さん)
成分を染みこませる点眼薬と違って、人工涙液を使う目的は目の洗浄なので、差した後はまばたきをして目の表面についた花粉を洗い流そう。その上で抗ヒスタミン作用のある点眼薬を差すとより効果的だ。ただし点眼薬を差すタイミングは「人工涙液の直後」ではないほうがいい。人工涙液を使った直後に差しても特に危険はないが、せっかくの点眼薬の成分が薄まってしまうので5分ほど間を空けるのがいい。
症状が軽ければ点眼薬を使わず、人工涙液で花粉を落とすだけで効果が出ることもある。「点眼薬も人工涙液も、冷蔵庫で冷やしておくとより炎症を抑える効果が高くなる」(石岡さん)そうだ。
点眼薬と同じく、人工涙液も使い過ぎはよくない。「使い過ぎると涙の安定性を保つために重要な役割を果たす粘液のムチンを洗い流してしまうので、多くても1日10回以内に。1回使ったら1時間は間を空けるようにしてください」と石岡さんはアドバイスする。
〜日経Goodayより〜


2019年3月22日
「”高血圧パラドックス”は大きな問題 軽く見ると痛い目に」
〜大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学教授の楽木宏実さんが行った講演「高血圧パラドックスの解消に向けて」より〜
収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上。これが高血圧の定義とされている。念のため補足しておくと、高血圧とは単に「血圧が高い」というだけではなく、糖尿病や脂質異常症と同じ生活習慣病の一つ。つまり、治療を必要とするれっきとした病気だ。ちなみに理想の血圧レベルは「120 / 80(上が120mmHg、下が80mmHg)」未満で、これより高いと高血圧のレベルまで至っていなくても心疾患や脳卒中の発症リスクは高まる。
2017年の国民健康・栄養調査によると、上の血圧が140mmHg以上の人(高血圧患者)は成人男性の37.0%、成人女性の27.8%を占めており、日本高血圧学会によると推定患者数は実に約4300万人。子どもも含めて、日本人の3分の1が当てはまるという。一方、2014年の患者調査によると、医療機関で治療を受けている高血圧患者は約1010万8000人しかいない。つまり約3000万人もの人が「高血圧なのに治療を受けていない」ことになる。
「高血圧は診断が簡単なうえ、いい薬もあるのに多くの人が治療を受けていない。これが“高血圧パラドックス”です。がんも問題ですが、このままでは心不全で亡くなる人も急増することでしょう」と楽木さんは話す。
なぜ、こんなことが起きているのか? それは高血圧という病気が多くの人に軽く見られているからに他ならない。LDLコレステロールなどと同じで、血圧が高くても本人は痛くもかゆくもない。しかし高血圧を放っておくと動脈硬化が進み、心疾患や脳卒中で命を落とすリスクが高くなることが確認されている。決して軽く考えるべきではないのだ。
実は健康な人たちの上の血圧(収縮期血圧)を調べると、95%が88~147mmHgの範囲に入る。単純に考えれば147mmHg以上を高血圧と定義してもよさそうなものだ。しかし「大規模な疫学調査によると、上が140mmHgを超えると心疾患や脳卒中のリスクが2~3倍になることが分かっています」と楽木さん。そのため日本高血圧学会では「140 / 90」以上を高血圧と定義している。なお欧州やアジアなど、ほとんどの先進国が日本と同じ基準を採用しているという。例外は米国。かつては世界基準の「140 / 90」だったが、2017年に「130 / 80」に下げて話題を呼んだ。その結果、約7200万人だった米国の高血圧患者数は一気に1億人の大台を超えることになった。その根拠となった「SPRINT(スプリント)試験」によると、降圧剤を用いた治療で、上の血圧が140mmHg未満を目指した人たちよりも、120mmHg未満を目指した人たちのほうが明らかに心疾患による死亡リスクが低かったのだという。
「収縮期血圧の理想は120mmHg未満。どこから線を引いて高血圧と定義するかという問題で、米国は130mmHgに下げた。日本は、診断基準は140mmHgのまま行く予定です」。日本高血圧学会は、2018年9月に総会を開催し、「高血圧の診断基準は変えないが、75歳未満の成人の治療の目標値は140 / 90から130 / 80に下げる」という方針案を発表した。これまでは高血圧の診断基準を下回ればOKだったが、これからはより理想に近いレベルを目指して治療することになるわけだ。よく知られているように、高血圧は動脈硬化を進め、脳卒中、心疾患、腎臓病などを引き起こし、死亡リスクを高める。
2007年に日本人の死亡に関わるリスク因子を調べた研究によると、高血圧はタバコに続いてリスクの高さでは第2位だった。高血糖やアルコールよりも高く、年間約10万人が高血圧を主因とする病気で命を落としている。特に心血管病に関しては高血圧のリスクが圧倒的に高い。つまり、高血圧は放っておくと命に関わる病気なのだ。「グレーゾーンならば食生活や運動など生活習慣の改善でいいと思いますが、高血圧と診断されたら降圧剤を飲むべき」と楽木さんはアドバイスする。高血圧の人が降圧剤を飲んで血圧を下げると、死亡リスクが低くなることに加え、認知機能の低下予防にもつながることが確認されている。
一方、「無理に血圧を下げる必要はない」という異論も後を絶たない。「年齢プラス90mmHgが正常」「血圧を20mmHg以上下げると死亡が増える」などというものだ。しかし、「これらの意見にはエビデンス(科学的根拠)がない」と楽木さんは言う。
「逆に年齢プラス90mmHgの人、例えば80歳で収縮期血圧が170mmHgの人は、治療したほうが死亡率が下がるというエビデンスがある。降圧剤でどこまで下げるかは考える必要がありますが、20mmHg以上下げると死亡が増えるという説は“因果の逆転”であり、詭弁(きべん)に過ぎません」。(楽木さん)
「因果の逆転」とは何かというと、例えば酒量と死亡率の関係を見た疫学調査によると、酒量が増えるにつれて死亡率が高くなっていく。ところが、禁酒した人たちは「日本酒を毎日3合以上飲む」人たちよりも死亡率が高かった。このデータから「禁酒は危険」と考えるのが因果の逆転。原因は禁酒ではなく、「病気などの理由で禁酒せざるを得なかった人たちがこの群に多く含まれて死亡率を押し上げてしまった」と受け取るのが正しいだろう。同じく降圧剤を飲んでいる人の中で大幅に血圧が下がった人たちにも、降圧剤以外の理由があって下がっていた人が多く含まれていた可能性がある。もともとの血圧が高かったという点を見落としてはいけない。
2013年から行われている厚生労働省の健康日本21(第2次)では、「2022年までに40~80代の国民全体の収縮期血圧の平均値を4mmHg低下させる」ことを目標にしている。正常血圧の人も含めた平均なので小さい目標値に見えるが、全体のレベルを下げるような国民全体での取り組みとしては、減塩や運動が大事である。2015年に施行された食品表示法によって、すべての加工食品に食塩相当量の表示も義務づけられた。おかげで減塩もしやすい環境になっている。
繰り返しになるが、高血圧は確実に死亡リスクを高くする。血管が詰まったり破れたりしてから後悔しても手遅れだ。減塩、禁煙、節酒、運動など血圧を上げない生活習慣を心がけるとともに、「140 / 90」以上の人はすぐに医療機関を受診して治療を始めたい。
 〜日経Gooddayより〜


2019年3月20日
「”Apple Watch”で心房細動はどれくらい正確に検知できるのか? ユーザー調査から有用性が明らかに」
アップルとスタンフォード大学が共同で進めていた、「Apple Watch」を使った医療調査の研究結果が公開されました。
”Apple Watch”は心拍数をトラッキングし、心房細動の可能性がある異常を検知した場合は、ユーザーに通知を送る機能を搭載しています。この機能の有用性を調査すべく、Appleとスタンフォードは調査向けの専用アプリ「Apple Heart Study」を公開し、参加したユーザーデータを収集、分析を進めていました。
「Apple Heart Study」には、アメリカの全50州から約40万人のユーザーが参加。調査に当たって、心拍数の異常が検知されたユーザーには、通知を送るだけでなく、ビデオ通話による医師との無料相談を提供。また、ビデオ相談に参加したユーザーには、今後の症状を検査するための心電図パッチも提供されたとのことです。
8か月に及んだ調査では、40万人のユーザーのうち、0.5%が異常検知の通知を受け取ったとのこと。その後の心電図パッチによる診察データを調査したところ、Apple Watchによる検知アルゴリズムは、陽性反応適中度が74%という高い精度を有していることがわかったということです。
異常検知の通知を受け取ったユーザーの34%は、その後の心電図パッチによる調査で心房細動を発症していたことが判明。また、54%のユーザーが通知後に医師の診察を受けており、Apple Watchはユーザーがプライベートで活用できる医療デバイスとしての役割を持っていることがわかったとしています。
なお、Apple Watch Series 4は心電図測定機能(日本モデルは未対応)を搭載していますが、今回の調査は、その発売前に行われたため、調査には含まれていません。
 〜飯尾副院長提供:価格.comマガジンより〜


2019年3月19日
「肥満と認知症リスク」
65歳未満での過体重や肥満は、認知症発症率の増加に影響することが示唆されているが、65歳以上での過体重や肥満では、逆説的であるといわれている。認知症診断前の体重減少、喫煙や体重減少を引き起こす疾患の影響が、相反する結果をもたらしている可能性がある。英国・エクセター大学のKirsty Bowman氏らは、65~74歳の英国プライマリケア集団における認知症診断前の体重減少、短期または長期のBMIとの関連について検討を行った。認知症と診断されていない、ベースライン時にがん、心不全、合併症のない非喫煙者25万7,523例(A群)およびこれらの交絡因子を有する16万1,927例(B群)を対象に14.9年までフォローアップを行った。死亡率は、競合ハザードモデルを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・A群では、9,774例が認知症と診断された。繰り返し体重測定を行っていた患者の54%において、診断前までの10年間で2.5kg以上の体重減少が認められた。
・10年未満の肥満(30.0kg/m2以上)または過体重(25.0~29.9/m2)は、22.5~24.9/m2と比較し、認知症発症率の減少が認められた。
・しかし、10~14.9年までの肥満は、認知症発症率増加と関連が認められた(ハザード比[HR]:1.17、95%信頼区間[CI]:1.03~1.32)。
・長期の分析では、過体重の保護的関連は消失した(HR:1.01、95%CI:0.90~1.13)。
・B群では、6,070例が認知症と診断されており、肥満は、短期または長期の認知症リスク低下との関連が認められた。
著者らは「喫煙、がん、心不全、多発性疾患のない65~74歳における肥満は、長期の認知症発症率の増加との関連が認められた。短期間では、逆説的な関連が認められたことが、相反する結果をもたらした可能性であると考えられる。高齢者の認知症リスクに対する肥満や過体重の保護効果に関する報告は、とくに認知症診断前の体重減少を反映している可能性がある」としている。
 〜CareNetより〜


2019年3月18日
「電子たばこ吸引、10代にとって危険な理由」
10代のニコチン中毒に関する私たちの知識の大半は、紙巻きたばこから来ている。しかし専門家の間では、電子たばこ吸引にまつわる技術や化学反応により、全く別種の脅威が生じる可能性が指摘されている。ボストン小児病院のシャロン・レビー医師は、「子どもによる電子たばこの使用は様相が全く異なる」と説明。「ニコチンの送達方法や送達量など、あらゆる変化が重要だ」と話す。レビー氏のプログラムに参加する電子たばこ常用者の子どもたちは、従来の紙巻きたばこの使用者や大人では滅多に見られない精神症状を呈している。一例を挙げれば、不安が募って集中できない、といった具合だ。そんな中、多くの高校では電子たばこ吸引が広がっており、米食品医薬品局(FDA)が対策に乗り出す事態に発展した。電子たばこを巡っては当初、大人の喫煙者にとって害が少ない代替品になるかもしれないと盛んに宣伝されていた。だが、専門家はむしろ若者への影響が大きいと指摘する。背景には電子たばこでのニコチン送達の方法や、子どもの脳の配線と発達の仕方、ガジェット特有の魅力といった要因が絡み合っている。専門家によると、高濃度の液体ニコチンが入ったカートリッジ1個には、紙巻きたばこ1箱と同量のニコチンが含まれている。レビー氏は、子どもたちが頭痛や腹痛など「ニコチン中毒そっくり」の症状を訴えることも珍しくないと説明。電子たばこでは従来の紙巻きたばこに比べ、血中ニコチン濃度のピーク値が上昇するのではないかと疑っている。ただし専門家は、人体や脳への影響を理解するには、さらなる研究が必要だとしている。
米ロズウェルパーク包括的がんセンターのマチェイ・ゴニエビチ准教授は「ジュールのような新世代の電子たばこは実際に高濃度のニコチンを送達している。紙巻きたばこよりも高濃度かもしれない」と語る。昨年の研究では、ニコチン代謝物質「コチニン」の尿内濃度について、電子たばこを使用する若者の場合、10代の喫煙者に関する従来の研究で報告されていた値よりも高いことが判明した。ゴニエビチ氏によると、電子たばこメーカーは「ニコチンソルト」の生成によりニコチン含有量を増やしている可能性もある。これによりニコチンに特有の不快な味を覆い隠し、人体による吸収を早めているかもしれない。ニコチンそのものの化学成分だけでなく、電子たばこ会社がリキッドに心地よく甘い風味を加えていることにも批判が向けられている。一方、電子たばこ大手ジュールは風味について、燃焼式たばこからの切り替えを大人に促すうえで有効な手段だと主張。昨年にはジュール・ラブズの管理責任者アシュリー・グールド氏がCNNの取材に、「若者による使用は全くの驚きだった」と語っていた。ただ、レビー氏は、10代の間で人気が出るのは「完全に予測できた問題」だと指摘する。
レビー氏によると、こうした現状を受け、ニコチン製品に関する考え方にも変化が出ている。喫煙は多くの場合、がんなどの身体疾患を引き起こしかねない「医学上の問題」とみられていた。それが今や、電子たばこの使用は精神医学の問題とみなされることが増えている。ニコチンが子どもたちの間で中毒行動を引き起こし、脳の発達の妨げとなっているとの懸念からだ。南カリフォルニア大学医学部の保健・感情・依存症研究所の責任者、アダム・レベンサル氏は、「若者の脳はニコチン中毒の影響を受けやすいのではないかと懸念されている」と語る。「快楽や新しい楽しみの追求の背後にある脳の回路は、意思決定や衝動制御、合理的思考を促す回路に比べて発達が早い」レベンサル氏によると、子どもたちが特に電子たばこの影響を受けやすい背景には、生物学的な要因だけでなく、心理学的な要因もある。仲間うちの同調圧力やストレスにより、依存行動に走る可能性が高まる場合があるという。ゴニエビチ氏によると、子どもと大人では電子たばこに手を出す理由も異なる傾向にある。大人はたいてい高用量のニコチンを扱える元喫煙者で、不眠や集中力不足といった離脱症状を避けたいという場合が多い。しかし子どもの場合、電子たばこで初めてニコチンに接するという場合もある。「ニコチンは強力な化学物質であり、私たちの脳を変えてしまう」(ゴニエビチ氏)
レビー氏によると、プログラムに参加する若者は「ほぼ全員」が電子たばこの使用経験を持っている。ただ、「現象として新しいのは、現在はニコチンしか摂取した経験のない患者が薬物使用プログラムにいることだ」専門家は、早い段階でニコチン中毒になると、それが紙巻きたばこやドラッグへの入り口になりかねないと懸念している。相手が10代の場合、実証済みの対策法は少ない。一部の親は医師の指導の下、ニコチンガムなど認可外の禁煙ツールを試している。ただ、レビー氏は、子どもによっては喫煙の合間での「つなぎ」に使う可能性もあるため、落とし穴になりかねないと指摘する。中毒が進行した場合には薬も重要だが、それだけでは十分でない。子どもには「しっかりとしたカウンセリング」も必要だ。最終的には、喫煙者に囲まれた状況への対処法を教える必要が出てくる。しかし現実には、大半の子どもは治療後に学校に戻さざるを得ない。学校でトイレに行くと、誰もが電子たばこを使っているのが実情だ。こうした状況にもかかわらず、子どもや親は多くの場合、危険性に気付いていないようだ。「いまだに『安全だと思った』『紙巻きたばこに比べれば安全性は高いはず』と言う子どもがいる」とレビー氏。「『紙巻きたばこに比べれば安全』というのでは基準として余りに低い」
〜CNNより〜


2019年3月16日
「「突然の腹痛や下痢どう防ぐ ストレス緩める生活習慣を」
ストレスがかかるとおなかが痛くなり、トイレに行きたくなる――。過敏性腸症候群は、内視鏡などで調べても腸に炎症や潰瘍といった異常が見られないのに、腹痛を伴う便通異常を起こす慢性の病気だ。2008年の調査によると、国内の推定患者数は約1200万人に達する。症状別に見ると、下痢型が29%、便秘型が24%、両方起こる混合型が47%を占める。男性は下痢型が、女性は便秘型が多い傾向にあるという。
腹痛が起こるきっかけはストレスだ。「消化管の運動は自律神経でコントロールされている。ストレスが原因で自律神経が乱れると便通に異常が起こり、下痢や便秘になる」と慶応義塾大学医学部医学教育統轄センターの鈴木秀和教授は説明する。「緊張すると下痢をしやすい」という程度なら深刻に考える必要はないが、通勤時や仕事中など症状が頻繁で日常生活に支障を来すなら、内科や消化器内科を受診したほうがよい。下痢型には腸の動きを抑えるラモセトロン(商品名イリボー)など、便秘型にはリナクロチド(同リンゼス)などが処方されることが多い。ただし、「自律神経の乱れが原因なので、単に薬だけで治る病気というわけではない」(鈴木教授)。日ごろからストレスをためないように注意し、自律神経のバランスを整える生活を心がけることが必要だ。
自律神経を安定させるには、規則正しい生活が基本。毎日同じ時間に起き、同じ時間に食事を取り、同じ時間にベッドに入るようにしよう。定期的に体を動かす習慣を持つのも大切だ。さくらライフ錦糸クリニック(東京・墨田)の松枝啓院長は「体を動かす機会の少ない現代人にとって、運動は一番のストレス解消法」と話す。「体温が上がり、汗をかくことで自律神経のバランスが整う」。半身浴やサウナで汗をかくのもおすすめという。さらに「食事で食物繊維を積極的にとってほしい」と松枝院長は話す。特に、大麦などに含まれる水溶性食物繊維は有効。腸内で水分を吸収して下痢を防ぐほか、便を軟らかくするので便秘も改善する。下痢型の人は牛乳やアルコール、香辛料といった刺激物は控えたほうが無難だろう。
過敏性腸症候群に悩む人は、神経質で完全主義な傾向が見られる。素晴らしい成果を出そうとするあまり、必要以上のストレスを感じやすい。「常に100点を目指すのではなく、75点でいいと考えて」と松枝院長は助言する。受験や試合、人前での発表など強いストレスがかかる場面は、最も症状が起こりやすくなる。緊張をやわらげるために、時間的余裕を持って行動しよう。時間に追われると、ストレスが一層強くなる。試験会場など緊張が予想される場所には早めに到着し、その場の空気になじんでおく。いざというときに備えて、トイレの場所もしっかり確認しておこう。
突然の便意が心配な人は、市販されている即効性の下痢止め薬を持ち歩くようにする。「常用すべきではないが、持っているだけでも安心感が得られ、結果的に症状が抑えられる」(鈴木教授)。電車の中や試験会場で症状が起こったときは、くれぐれも無理をしないこと。我慢して悪化させるよりも、まずはトイレに行こう。生活リズムや食事に気を配りつつ、重要なイベントがあるときは特に、気持ちと時間にゆとりを持つことが大切だ。
〜日経Goodayより〜


2019年3月15日
「認知症の7つの危険因子、発生リスクへの影響は」
認知症発生の主要な危険因子として、糖尿病、高血圧、肥満、身体不活動、重度の精神的苦痛、喫煙、低学歴がある。東北大学の小瀧 由美香氏らは、大崎コホート2006研究において、これらの7つの危険因子の総数で人口寄与割合(PAF)を推定した。その結果、危険因子総数を減らすことが認知症発生リスクの減少に有意に寄与することが示唆された。
本研究は65歳以上の8,563人の地域在住者が対象のコホート研究である。ベースライン調査(2006年)では、7つの主要な危険因子(糖尿病、高血圧、肥満、身体不活動、重度の精神的苦痛、喫煙、低学歴)に関するデータを収集した。危険因子の総数を曝露変数とし、危険因子の総数(0、1、2、3以上)により参加者を4群に分類した。認知症発生に関するデータは、介護保険データベースを参照した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(95%CI)は、Cox比例ハザードモデルを使用して推定した。さらに、HRとコホートデータにおけるリスク保有割合からPAFを計算した。
主な結果は以下のとおり。
・577人(6.7%)で認知症が発生した。
・危険因子の総数と認知症発生との間に用量反応関係が観察された。
・年齢・性別で調整したHR(95%CI)は、危険因子がなかった群と比べ、危険因子が1つの群で1.25(0.92~1.70)、2つの群で1.59(1.18~2.15)、3つ以上の群で2.21(1.62~3.01)であった(傾向性のp<0.001)。
・参加者の危険因子の総数が全員0個になった場合、PAFは32.2%となる。
・参加者の危険因子の総数の分類が全体的に1段階改善した場合、PAFは23.0%となる。
 〜CareNetより〜


2019年3月14日
「”死ぬまで幸せ”を目指す抗加齢学」
慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科教授の伊藤裕氏に聞く。
――「幸福寿命」を提唱されています。どのような考え方でしょうか。
超高齢社会を迎え、寿命に関する医学的な関心は、平均寿命の延伸から健康寿命の延伸へと変化してきました。それは、老化のプロセスをなるべく遅くして、健康でいられる期間を延ばそうという意図を基調としています。一方、私が提案する「幸福寿命」は、人の一生に流れる時間の質を大事にしたいという考え方です。過ごしている時間が幸せであるならば、たとえ50年の人生であってもその人にとっては満足であるかもしれません。もちろん幸せに暮らし、その結果として長生きできたらいいですが。今は、100歳まで生きることが当たり前の社会になっていますが、いかにその100年の時間をよく生きるか、演出できるかということを主体的に考えていきたいです。
――「幸福寿命」実現のためには、どのような方法があるのでしょうか。
医療そのものの在り方としては、先制医療や未病へのアプローチなど、病気を発症する前の患者予備軍に対する介入が進むことを期待しています。
「上医治未病、中医治欲病、下医治已病(孫思邈『備急千金要方』)という言葉があります。下医は病気を発症した患者に普通の治療を行う。中医は、変調し病気が起こりかけている患者予備軍に医療でもって介入していく。そして、上医は病気が発症していないのに治すということです。中医から上医へと引き上げていこうというのが、現在、先制医療が目指している段階です。上医は、一般的に私たちが考える医療とはいえないかもしれません。しかし、その人の健康状態を心身ともによりポジティブな状態に導き、維持していくための支援を行うという意味で「ポジティブ医療」と私は呼んでいます。医師の介入する比重が比較的低い世界ですが、非常に広い意味での医療として提供していきたいと考えています。そして、「幸福寿命」の実現には、医療だけでは不十分です。人工知能(AI)、情報技術(ICT)やロボットなどの新しいテクノロジーを活用し、スマートシティに代表されるような生活環境を国家レベルで整備することで実現するのではないでしょうか。私たちの感性や考え方、リテラシーを変化させていくことも重要だと思います。
――そうした社会や意識の変革に医療が関わる余地はありますか。
例えば、抗加齢医学の分野では、他の学問とのコラボレーションによる新たな医療の創出が期待されます。AIなら工学、腸内細菌であれば理工学部などとの連携ですね。あるいは、メディアや芸術家と協働するといった広がりは有望だと考えられます。日本抗加齢医学会は、食品企業や化粧品企業など、さまざまな業界から参加者が集まる学会ですが、今後はさらに裾野を広げ、多くの人が入ってくる学会にしたいと考えています。もともと、「抗加齢」という言葉には、「見た目のアンチエイジング」というニュアンスが強いですが、今後は、超高齢社会という視点から生活環境全体を見渡し、そこにいる人が幸せになれる仕組みやまちづくりを議論するような学会を目指せたらと思っているんです。 ――確かに抗加齢医学というと、「見た目の美しさの追求」というイメージがあります。
美しさとは幸せの根源だと思います。その人が幸せであるために、見た目が美しいことが重要である場合もあります。しかし、私が考える美しさとは、バランスの調和です。人間関係がうまくいっていることがバランスなのかもしれませんし、「なんか今日は調子がいいな」と感じる日には体調のバランスが整っている。ある物事が、全体に対して絶妙なバランスを持てたとき、そこに美しさを見いだせたら幸せだと感じるのではないでしょうか。哲学的な思想など、物事の捉え方や考え方にリテラシーを持ち、そこまで踏み込んで美しさの探究をしていくことは大切だと思います。
――その他に、抗加齢医学の分野から「幸福寿命」にアプローチする際に重要となる考え方はありますか。
次世代をいかに育てるかということです。欧米では最近、「最初の1,000日が大事」だと言われています。つまり、受精後、胎児期、出生後1,000日の間に起こる劇的なエピゲノム変化が、その人の体質、性格に影響を及ぼすということです。体質や性格は、その人の老後の健康状態を決定する一因となるでしょう。ですから、未来の高齢者の健康を考慮するのであれば、出生前までさかのぼって介入する必要があるのです。抗加齢というと、50歳を過ぎて小じわが増えた人たちが対象というイメージがあります。それももちろん大事ですが、若い人たちを考慮することはもっと大切です。若い人たちの未来を操作することにもなりかねないから、慎重に行わなければいけませんが。超高齢社会以後の、未来の高齢者を考える。そういう目的も持った抗加齢医学であるべきだと考えています。
――抗加齢は医学にとどまらず、学問横断的アプローチが重要だと感じました。
もともと面白い学問なんです。われわれも1年に1回行われる総会には特別な思いで臨んでいます。リフレッシュするんです、身体も心も。頭も、いつもとは違うことに触れて。参加者もきらびやかだし(笑)。
一般的な学会では「その分野を深くやっていこう」と掘り下げていきますが、日本抗加齢医学会ではそれらを違う側面から検討するんです。専門分野の学会に参加すると、聴講した演題から自身のテーマに結び付けて考えていく必要性がありますが、日本抗加齢学会では、楽しみながら情報を頭にインプットする。そして、頭の中で無意識的に情報が統合されて新しいテーマが浮かび上がってくるといった感じです。そういうポテンシャルを上げてくれるという意味でも、参加する意義がある学会です。
――最後に加齢に関する、先生の思いをお聞かせください。
「百寿」って、いい言葉ですよね。100歳は「寿」だと。では、寿とはなんでしょうか?いわゆる「ハッピーに生きたい」ということではないでしょうか。人間の寿命は115歳で尽きるといわれています。人間である以上、絶対に死にます。Googleが15億ドルの予算を投下して不老の研究をしていることはご存じの通りです。ハダカデバネズミから不老遺伝子を探そうとしていますが、私は不可能だと思いますし、そうした実験が成功して人間の寿命が延びたら、幸せを感じられなくなると考えるんです。死ぬという事実があるから、幸せがあって、美しさも感じられる。そうした感性を持って、有限な人生を楽しく生きようと。それが今、一番言いたいことです。
〜Medical Tribuneより〜


2019年3月13日
「腹筋が衰えやすい女性に! おすすめトレーニング ”ドローイン”」
ぽっこりお腹やたるみを引き締めたい…と考えたとき、対策として真っ先に思い浮かぶのは腹筋という方が多いのではないでしょうか。とは言うものの、日ごろ運動不足の人にとってはたとえ1回の腹筋でもキツイ。その上腹筋によって鍛えられるのは、身体のもっとも表面に近い「腹直筋」が中心です。腹筋だけでぽっこりお腹を改善するのは容易なことではありません。そこで昨今注目されているのが、プロスポーツ選手なども取り入れている「体幹トレーニング」です。体幹の定義は諸説あって、広義には胸からお尻までの胴体を指します。ご紹介する「体幹トレーニング」では、とくに内臓まわりを包む深い部分にある筋肉の鍛錬を意図しています。お腹まわりは「腹直筋」のほか、「内腹斜筋」「腹横筋」「横隔膜筋」「多裂筋」「骨盤底筋群」といった筋肉で構成されています。これらの筋肉が背骨と内臓のまわりで機能することで、私たちの姿勢は保たれ、安定した呼吸ができるように調整されているのです。しかし、加齢や運動不足によって筋肉が衰えてくると、姿勢が悪くなる、お腹がぽっこりでる、さらには腰痛を起こしやすくなるなど、多くの問題が生じてきます。
「ドローイン」は、体幹を鍛える最も基本的なトレーニングとされています。英語の表記は「draw in」、直訳すると「引っ込める」という意味です。簡単に言ってしまうと、お腹を引っ込めて呼吸するトレーニングです。ドローインでは、腹筋群の中でもとくに内臓近くにある「腹横筋」が鍛えられます。普段の生活で意識することはなかなかありませんが、この筋肉が鍛えられると体幹が安定し姿勢がよくなります。ドローインを継続して行い習慣化すれば、ぽっこりお腹や腰痛の改善にもつながるのです。それでは早速、ドローインの具体的な方法についてご説明しましょう。ドローインの手順はさまざまな方法が提唱されており、習得段階によって難易度も異なります。
ここでは初心者でも取り組みやすい方法をご紹介します。
1. 仰向けになり、体の力を抜く
2. 両膝を立て、手は下腹部に軽く当てるか、床に自然に下ろしておく
3. 3〜5秒かけて息を吸い、お腹をふくらませる
4. 5〜10秒かけてゆっくりと息を吐き出しながら、お腹をへこませる
5. お腹の動きを意識しながら、3・4の呼吸を繰り返し行う
この手順に沿って、まずはドローインの基本的な呼吸をマスターしてください。慣れてきたら、少し難易度は上がりますが立って行うことも可能です。ただしその際は必ず正しい姿勢を保ってください。猫背になったり、逆に腰が反りすぎたりしないように気をつけましょう。ドローインの呼吸をマスターできたら、次の目標は、常にお腹をひっこめてドローインした状態をキープしつつ呼吸をすることです。ここまで到達すれば、呼吸によって腹横筋まで収縮させることができます。つまり、日常的な呼吸が身体の奥にある筋肉を鍛えるトレーニングになるのです。しかしながら、ドローインの呼吸をマスターして日常的に行う…というのはなかなか難しいかもしれません。まずは次項で説明するポイントを押さえながら、ドローインを無理なく取り入れることをお勧めします。
日々何かと忙しい私たちにとって、ドローインの最大のメリットはいつでもどこでも、お金をかけずにトレーニングできる、という点にあります。基本的な呼吸法の習得後は、たとえば朝コーヒーを入れるとき、通勤電車の中、午後の休憩時間など、ちょっとした隙間時間を見つけて実践しましょう。このトレーニングは、時間をかけるよりも、回数や継続が大切とも言われています。負担のかからない程度からスタートして、慣れてきたらタイミングを増やして習慣化できると良いでしょう。ただし、一生懸命取り組むあまり、必要以上に身体に力が入る状態は逆効果です。肩の力が抜けているか、正しい姿勢を保てているか、ときどきチェックしてみてください。また、食後は腹筋を動かしづらく、消化の妨げにもなりやすいため、食べてすぐのドローインは控えるようにしましょう。腹筋の鍛錬を疎かにしていると少しずつ衰え、ボディラインも崩れていきます。
若々しい健康な身体をキープするために、今日からドローインを取り入れてみませんか。ぽっこりお腹の解消や腰痛の予防のみならず、ドローインは姿勢を改善する効果もあります。美しい姿勢で過ごせるようになると、気持ちも前を向きパフォーマンスも向上するはずです。
 〜NewsCafeより〜


2019年3月12日
「”腕立て40回以上”で中年男性の心疾患リスク減」
腕立て伏せを40回以上続けてできない40歳代の男性は、これからトレーニングを始めた方が良いかもしれない。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院環境衛生学教授のStefanos Kales氏らによる研究で、健康な中年男性では、腕立て伏せをできる回数が心臓の健康状態の指標となり得ることが分かった。
Kales氏らは今回、身体活動レベルの高い18歳以上の男性消防士1,104人を対象に、心臓の健康状態を2000年から10年間にわたって後ろ向きに追跡した。対象者の研究開始時における平均年齢は39.6歳で、平均BMIは28.7と過体重レベルだった。研究開始時には、腕立て伏せ運動の能力(一度に可能な回数)を測定し、トレッドミル負荷試験により有酸素運動能力を評価。さらに、健康診断を毎年実施した。
10年間の追跡期間中に、37人が心筋梗塞や脳卒中、心疾患を発症した。対象者を腕立て伏せができた回数に基づいて5つの群に分けて分析した結果、年齢とBMIで調整した後でも、腕立て伏せを一度に40回以上できた男性では、10回以下しかできなかった男性と比べて心血管疾患リスクが96%低いことが分かった。腕立て伏せをこなせる回数が増えるほど、心血管イベントリスクは低下するという、用量依存性の関連が認められたという。
また、腕立て伏せの回数は、トレッドミル負荷試験で評価した有酸素運動能力よりも、心血管疾患リスクと強く関連することも明らかになった。
Kales氏は「腕立て伏せをこなせる回数は、全般的な体力の指標となる可能性がある」と話す。また、「世界レベルのマラソンランナーでも腕立て伏せはそう多くはできないという人がいる一方で、腕立て伏せは何十回もできるが走るのは苦手だというボディビルダーもいる。しかし、今回の研究や、これまでにわれわれが実施した研究では、全般的に腕立て伏せをできる回数と有酸素運動の能力には相関関係が認められた」と説明している。
ただし、専門家の一人で、米レノックス・ヒル病院の循環器医であるSatjit Bhusri氏は、腕立て伏せの回数とトレッドミル負荷試験の結果が関連するというKales氏らの研究結果を認めながらも、「豊富なデータと蓄積された情報量を考慮すると、今後も心血管の健康状態の評価には、トレッドミル負荷試験は引き続きゴールドスタンダードに位置付けられるだろう」と述べている。
また、今回の研究対象は男性に限定されていたため、この結果が女性にも当てはまるかどうかは不明だ。同じく専門家の米メイヨー・クリニック循環器学教授のGerald Fletcher氏は、筋骨格系の障害や上腕に問題があるために腕立て伏せがうまくできない人もいると指摘。「腕立て伏せの回数を測定するだけでは、全ての人で心臓の健康状態を正確に予測できない可能性がある」と指摘している。なお、同氏は、心臓の健康を維持するためには、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を25~30分、ほぼ毎日行うことを勧めている。
 〜CareNetより〜


2019年3月11日
「かつては違った新常識  タマゴは一日2個以上食べてもOK」
「完全栄養食品」と呼ばれるほど十分な栄養が備わっているタマゴ。一羽のニワトリの生命を作り出すのですから、人が生きていく上で欠かすことができない栄養素も豊富に含まれています。たんぱく質をはじめ、糖質や脂質、ビタミンA、B1、B2、D、Eなどのビタミン類、カルシウムや鉄分などミネラル類と、5大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)のほとんどを含む優秀食材なのです。
一方で、含まれていない栄養素が2つあります。ひとつめは「ビタミンC」。ニワトリは体内でビタミンCを作り出せますが、人にはできません。もうひとつは植物性の食品に含まれる「食物繊維」です。いずれも外から取り入れる必要があり、つまり、タマゴを食べるときには、ビタミンCと食物繊維を一緒に摂るように心がけると、さらに栄養価が高まるのです。これまで、タマゴの食べ過ぎに注意喚起が促されたのは、血中コレステロールが上がるという理由からです。かつて日本人の食事摂取基準(厚生労働省が発表する、日本人がどれくらいの栄養素を摂ったらよいかを定める基準)において、コレステロールは男性750mg、女性600mg未満と定められていました。タマゴ1個のコレステロール含有量は大きさによって差はあるものの、おおよそ210mgで、2個食べると一日の摂取量の半分をオーバーしてしまうため、一日1個までとされてきました。しかし、コレステロールは体内で合成され、その合成量を調節しながら一定量に保たれており、食品に含まれるコレステロールを摂取しても、血液中のコレステロールへの影響はわずかであることが判明したのです。その結果、食事摂取基準からコレステロールの摂取基準値は削除されました。さらに、卵黄に含まれる脂質のひとつ「レシチン」は、コレステロール値を下げる作用を持つことが明らかになっています。タマゴそのものにコレステロール値を下げる成分があるなんて、過去の常識からすると驚きですね。
健康な人であれば、一日に食べるタマゴの数に決まりはありませんが、身体によいからといっていくら食べてもよい…という理屈にはなりません。どんな食材も適量を守って摂取することが大切です。食事バランスを考えると、タマゴの適量は一日1~2個と覚えておきましょう。食事は毎食、「主食(ご飯、パンなど)」「(主菜)メインのおかず」「副菜(サブのおかず)」をそろえるとバランスが整います。タマゴは良質なたんぱく質を補うことができますので、食事では「メインのおかず(主菜)」に取り入れたい食材です。主菜グループには、肉や魚、大豆製品などが含まれますが、毎食1~2品とることが理想です。食材ごとに栄養素の特徴を持っていますので、朝はタマゴと豆腐、昼は魚、夜は肉…のように、できるだけ多くの食材を取り入れることでバランスのよい献立につながります。これを実践するには、タマゴは一日1~2個を目安にするとよいでしょう。ただし、現在コレステロール値が高い方や、今は高くなくても家系的にコレステロールが高い方は一日1個までにとどめ、食べ過ぎには注意してください。
ひと口にタマゴと言っても、色や大きさなどはさまざまです。その違いを知ると選び方も変わってくるかもしれません。殻の色は大きく分けると白と茶色があります。一般的に茶色の方が白よりも値段が高く、栄養価も高いと思われているようですが、実は殻の色によって含まれる栄養素が違うことはありません。殻の色はニワトリの種類の違いによるものです。例外もありますが、「白色レグホン」など羽の色が白いニワトリは白いタマゴを、「名古屋コーチン」など羽の色が茶色いニワトリは茶色いタマゴを産みます。白い羽のニワトリの方が小柄で、与える飼料が少ないうえに多くのタマゴを産み続けることができます。そのため、白いタマゴは流通量が多く、値段も安くなります。黄身の色も濃淡はいろいろですが、濃いオレンジ色に近いほうが濃厚で栄養価が高い…というイメージを持たれるかもしれせん。しかし実際には、黄身の色の濃淡で栄養価が大きく異なることはありません。黄身の色は「カロチノイド」という黄色い色素で、ニワトリが食べるエサによって含有量が異なります。つまり、エサの種類によって濃淡が違ってくるのです。ニワトリの主食はおもにトウモロコシで、トウモロコシだけを食べさせると比較的薄めの黄色になります。トウモロコシの代わりに米や麦などの穀物を与えると白色になり、赤い色素の多いパプリカなどを混ぜたエサを食べさせれば、濃いオレンジになります。より黄色を濃くするために、マリーゴールドなどカロチノイドを多く含むものを混ぜることもあります。エサによって栄養価に違いが出ますが、必ずしも色の濃淡で変わるわけではないのです。
日々の食卓に重宝する身近な食材「タマゴ」。最近では、飼育方法や飼料にこだわりを持つ養鶏所も増えてきています。「平飼い」や「有精卵」、「自家配合飼料」など、時にはちょっと特別な「タマゴ」を選んで食べ比べてみてもまた楽しいでしょう。
 〜NewsCafeより〜


2019年3月9日
「ナッツ摂取、糖尿病患者でCVD・全死亡減」
心血管疾患(CVD)合併や早期死亡の予防に、ナッツ類(とくに木の実)の摂取を増やすことは、糖尿病診断後いつからでも遅くはないのかもしれない―。これまで、CVDをはじめとした慢性疾患発症に対するナッツ摂取の効果が報告されてきたが、2型糖尿病とすでに診断された患者に対するナッツ摂取の長期的ベネフィットについては、エビデンスが十分ではなかった。米国・ハーバードT.H.Chan公衆衛生大学院のGang Liu氏らが、看護師健康調査(1980~2014年)と医療従事者追跡調査(1986~2014年)の参加者のうち、ベースライン時あるいは追跡期間中に2型糖尿病と診断された1万6,217例について行った試験で明らかにしたもので、Circulation Research誌オンライン版2019年2月19日号で発表した。
本研究は、ナッツ摂取量と冠動脈疾患(CHD)や脳卒中を含むCVDリスク、全死因死亡率と疾患特異的死亡率の関連を調べることを目的として行われた。ナッツ摂取は総量のほか、木の実やピーナッツといった、特定種類の摂取量についても検討された。なお、ナッツ摂取量は食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価され、2~4年ごとに更新された。 主な結果は以下のとおり。
・延べ追跡期間は22万3,682~25万4,923人年。その間に3,336例がCVDを発症し、5,682例が死亡した。
・総ナッツ摂取量の増加は、CVD発生率および死亡率低下と関連した。
・週5サービング(1サービング=28g)以上のナッツ摂取量が多い参加者は、月に1サービング未満の少ない参加者と比較して、総CVD発生率(多変量調整後のハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[95%CI]:0.71~0.98、傾向のp=0.01)、CHD発生率(HR:0.80、95%CI:0.67~0.96、傾向のp=0.005)、CVD死亡率(HR:0.66、95%CI:0.52~0.84、傾向のp<0.001)、全死因死亡率(HR:0.69、95%CI:0.61~0.77、傾向のp<0.001)が低かった。
・総ナッツ摂取量は、脳卒中発症やがんによる死亡率と有意な関連はみられなかった。
・木の実(クルミ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、マカダミア、ヘーゼルナッツなど)の摂取量が多いほど、総CVDおよびCHD発生率、CVDとがんによる死亡率、全死因死亡率が低下していた。一方、ピーナッツ摂取量の増加は、全死因死亡率の低下のみと関連していた(すべて、傾向のp<0.001)。
・糖尿病と診断後に総ナッツ摂取量を変えなかった参加者と比較して、診断後に摂取量を増やした参加者は、CVDリスクが11%、CHDリスクが15%低かった。また、CVD死亡率は25%、全死因死亡率は27%低かった。
・これらの関連は、性別/コホート、糖尿病診断時のBMI、喫煙状態、糖尿病罹患期間、糖尿病診断前のナッツ摂取量、または食事の質によって層別化されたサブグループ分析においても持続した。
 〜CareNetより〜


2019年3月8日
「人生を支配するホルモンとは」
『できる男』と言われて何を思い浮かべるだろうか?年収、地位や名誉、そして女性にモテること…。これらをすべてクリアするには何がカギなのだろうか。2019年2月18日、日本抗加齢学会が主催するメディアセミナーに、井手 久満氏(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授)が登壇し、「男性のための理想的なライフスタイル」について講演した。
井手氏によると、『できる男』の象徴は、冒頭でも述べた事柄のほか、「スポーツ万能」、「性機能が強い」、「健康寿命が長い」などであり、これらに共通するのがテストステロン値の高さだという。証券会社に勤務するイギリス人男性の年収を比較した研究によると、テストステロンが高い男性の年収は、低い男性と比較して3~5倍も多いことが明らかになった。また、テストステロン量は骨格でも判定が可能で、人指し指より薬指の長い男性で高値ということが、さまざまな人種のデータによって確証を得ている。
テストステロンは、造血作用や男性ホルモンを合成しているとされる海馬での認知機能制御など、多くの作用が報告されている。しかし、個人差や日内変動がとても大きく、ストレスや飲酒などにも左右される物質である。たとえば、恋愛過程でも、デートから真剣交際、婚約から結婚に至る過程で徐々に分泌が減少し、子供が生まれ、添い寝をするなどでも低下することが立証されている。
近年、男性の更年期が取り沙汰されるようになり、うつとの関連が理解されるようになった。さらには、糖尿病をはじめとするメタボリックシンドロームや心筋梗塞にも影響を及ぼすことが徐々に明らかになってきている。
そこで、同氏は健康な中年男性のメタボリック因子と心血管疾患・心不全との関連について解説。メタボリック因子が多く、テストステロンが低下している症例にテストステロン補充療法を行った症例の体重、HbA1c、収縮期血圧などのデータを示した。「テストステロンの補充によって、それぞれが体重や腹囲の減少、血圧やHbA1cが有意に改善した。さらに骨密度や排尿状態の改善にも効果がある」とする一方で、「補充による有害事象として、多血症、睡眠時無呼吸症候群、肝障害、不妊症などが挙げられるので注意が必要」と、コメントした。
テストステロンの管理にはメタボリックシンドローム予防が重要であることから、医療機関を介した食管理システム(ヘルスログ)の開発が進められている。患者には、活動量をチェックするためのUP2(ブレスレット型装置)を身に付けてもらい、日々の食事記録をスマートフォンで記録。写真から摂取カロリーが計算される。将来的にはLINEを活用することで、共有した情報を基に管理栄養士から食事アドバイスも受けられるようになるという。
このような背景を踏まえ、まずは、「自身によってテストステロンを低下させるリスク因子(喫煙や肥満)を理解し、リスク因子を排除することが大切である」と、同氏は締めくくった。
 〜CareNetより〜


2019年3月7日
「偽物多いエキストラバージン・オリーブオイル 選び方のコツは?②」
(日本オリーブオイルソムリエ協会理事長・多田俊哉さんに聞く)
品質の優れたエキストラバージンであれば、酸度の表示がラベルに大きく表示されていなくても、IOCの基準をはるかに下回る値でクリアしているという。「酸度の値がきちんと記載されていて、それが低ければ低いほどいい」というのはシロウトの思い込みのようだ。
ちなみに、「風味に欠陥がない」ことは、先ほどの表にもある通り、エキストラバージンの条件の一つだが、そもそも「風味に欠陥がない」「ある」とはどういうことだろう。オリーブの実は傷みやすく、収穫後なるべく早く、できれば12時間以内に搾油しなければ、腐敗や、発酵が進んでしまう。「広大な畑を持つ生産者でも、収穫後すみやかに搾油所まで運び、2時間ほどで搾油を終えないとエキストラバージンとなるようないい品質の油はできません。そのため、収穫期になると収穫して搾油するという作業を24時間続けるような状態になり、これが1、2週間にわたるという過酷な現場になります」。一方で、こうした手間を避ける生産者は、摘んでから何日分かため置いたオリーブから油を作る。こうしたことなどから、完成した油からは酸っぱい香りやカビ臭さがまとわりつくようになる。つまり「風味に欠陥あり」となるわけだ。
そうしたわけで、勘のいい方であればすでにお気づきだろうが、商品を選ぶ際の一番の目安は「生産者」だ。「生の果実を用いて作るオリーブオイルは、言ってみればワインと同じ。手間を惜しまず作る生産者は、いつも安定した質の製品を作る」からだ。これと思う生産者と出会うためには、専門家のいるショップで相談したり、日本や海外で開かれるコンテストの入賞者を参考にしたりするのが近道だ。コンテスト入賞者の製品の多くは瓶にその旨が記されるので店頭でも探しやすい。
「ただし、中には過去の栄光にあぐらをかいている生産者もいるので、古い受賞歴ではなくなるべく新しい受賞の表示をしている製品を選ぶようにしてください。『エキストラバージン』と名乗るだけでは差別化できないオリーブオイルは、受賞が生産者にとって大きな販促に結びつくので、同じ生産者が毎年のように色々なコンテストに出品します。秋に収穫された果実は春にはオリーブオイルとして店頭に並び、コンテストはだいたいその頃開催されるので、春以降に買うならその年の入賞者を選ぶのがベストでしょう」
エキストラバージン・オリーブオイルの中には、1本で数千円、1万円とするような高額なものもあるが、「値段が高いからいいというわけではありません。ただ、先に説明したような手間暇をかけて作るので、極端に安いものはまずない。価格は正直目安にはなりませんが、あえて金額を明示するとしたら、ポリフェノールの含有量が多いトップレベルのエキストラバージンならば、250ミリリットル瓶で2000円ぐらいから上が価格の目安です」と多田さん。日常使いの油としては少し値の張る買い物だが、日本の厚生労働省にあたる米食品医薬品局(FDA)の指標によれば、毎日大さじ2杯をとるだけでも心臓疾患の予防が期待できるという。
「本物のエキストラバージンの世界はワインのように豊かです。メロンのようにフルーティーで甘いものがあるかと思えば、驚くほど辛いものもある。品種もバラエティーに富んでいるので、異なった品種を比べると味の違いが分かりやすく面白いですよ」と多田さんは楽しみ方を提案する。
風味の違いを実感するためには、100ミリリットルぐらいの小さな瓶を複数そろえるのも一つの方法。色々な油を実際に比べることで、風味の微妙な個性の違いも次第に分かるようになるという。多田さんによると、風味の特徴が一番よく分かる料理は、エキストラバージンと塩をかけただけのパスタだそうだ。ちなみに、少し生臭くなってしまった刺し身も、エキストラバージンを少量振りかけるだけでグレードアップするという。「肉に合うもの、魚の味を引き立てるものなど風味の違いが分かると楽しみが広がります。ぜひオリーブオイルを使い分けてほしい」。ちなみに、エキストラバージン・オリーブオイルは加熱してはいけないという誤解もあるが、先述した通り、酸化に強い油であるため、火を使った料理に用いるのもOKだ。
最後に気を付けたいのは保管方法。いくらいいエキストラバージンを手に入れても、保管が悪ければあっと言う間に酸化してしまう。家庭で気を付けたいのは、次のような項目だ。
・冷蔵庫に入れない
油が固まってしまう。常温下でも自然には元の油の状態に戻らないため、使用するには30℃以上まで温める必要があり、これを何度も繰り返すとどんどん酸化してしまう。
・ガス台の周囲、流しの下に保管しない
いずれも、繰り返し熱を帯びることで酸化が進んでしまう。流しの下はお湯を使うことなどで意外に暖かくなりやすい。理想的な保管場所は床に近い涼しいところ。生産者のタンクは大方15~18℃で温度コントロールされているので、それが管理温度の目安。
・光が入らないようにする
透明瓶に入っているものは、放っておくと2、3日で光により酸化してしまうため、瓶が入っていた箱に入れて保存するかアルミホイルを巻いておく。健康効果だけでなく味わいの楽しみもイメージすることが、エキストラバージン・オリーブオイル選びのコツとなりそうだ。
 〜日経Goodayより抜粋〜


2019年3月6日
「偽物多いエキストラバージン・オリーブオイル 選び方のコツは?①」
(日本オリーブオイルソムリエ協会理事長・多田俊哉さんに聞く)
オリーブオイル市場が拡大してきたのは、その健康効果への期待が大きいと言っていい。特に、消費者が注目するのは「エキストラバージン・オリーブオイル」。オリーブオイルの中でも最高品質の規格で、「なんとなく健康にも良さそう」と感じている読者は多いはずだ。しかし、エキストラバージンが具体的にどういうものを指すかを知る人は少ないだろう。そこで、まずはオリーブオイルの種類から整理してみたい。実は想像以上にこれが複雑なのだ。
通常、食用オリーブオイルには、「バージン・オリーブオイル」という分類の油が使われる。国際オリーブ協会(IOC)の規定によれば、これは油を変質させない条件下で機械的、物理的手段のみにより果実から油を抽出したもので、洗浄、遠心分離、ろ過、デカンテーション(上澄みオイルをすくい取るなどの油水分離法)以外の処理を経ていないオリーブオイルのこと。「つまり、生の果実から作る“一番搾り”のようなものです」と多田さんは解説する。
そう聞くと、バージン・オリーブオイルは基本的にすべて「上質のオイル」に思えるが、実際はこれには4つの種類があり食用と非食用に分かれる。最上級のものが「エキストラバージン・オリーブオイル」(酸度0.8%以下、風味欠陥なし)、次が狭義の「バージン・オリーブオイル」(酸度2.0%以下、若干風味欠陥あり)で、食用はこの2種のみ。その下のランクとなる「オーディナリーバージン・オリーブオイル」(酸度3.3%以下、風味欠陥あり)、「ランパンテバージン・オリーブオイル」(酸度3.3%超、同上)は、いずれも日本では非食用だ(日本で販売される食用オリーブオイルの規格基準はJASが定めた「酸度2.0%以下」をクリアした「オリーブオイル」、もしくは酸度0.6%以下の「精製オリーブオイル」)。ただし、非食用油も精製されることで「精製オリーブオイル」(IOC基準では酸度0.3%以下)となり食用とされることもある。日本でよく見かける「ピュアオリーブオイル」と呼ばれる油は、この「精製オリーブオイル」にバージン・オリーブオイルを混ぜたものだ。
こうした中、健康効果が特に期待できるのは、エキストラバージンだと多田さんは指摘する。なぜか。健康に寄与するオリーブオイルの成分は大きく分けて2つ、オレイン酸とポリフェノールだが、「バージン・オリーブオイル以下の油ではポリフェノールの含有量が減り、これに由来する特有の辛み、苦みがほぼ感じられなくなるほど」だからだ。抗酸化成分であるポリフェノールには、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を酸化から守る働きがあり、2011年には、欧州食品安全機関(EFSA)が、オリーブオイルに含まれるポリフェノールの抗酸化作用に関する健康機能表示を許可した。
一方のオレイン酸はオリーブオイルの主成分。オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸は酸化しにくいため加熱調理に向き、善玉コレステロール(HDLコレステロール)の値を下げず悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値を下げる働きがある。ポリフェノールやオレイン酸が豊富なエキストラバージン・オリーブオイルをたっぷり使った地中海食が動脈硬化や心臓病のリスクを減らすことはよく知られており、最近では、エキストラバージン・オリーブオイルが認知症予防につながることを示す研究も報告されている。
さて、健康効果を期待して、エキストラバージン・オリーブオイルを選ぶというだけであれば、一見簡単なように思える。ちまたにはこの表示がある輸入製品があふれているからだ。ところが、ここに厄介な問題がある。「エキストラバージンとの表示がある場合でも、それ以下のバージン・オリーブオイルや精製オリーブオイルが混ぜられているなどの偽物がほとんどで、本当に基準を満たすものは2割もない」からだ。
「日本にはそもそもエキストラバージン・オリーブオイルに関する法規定がないので、表示は生産者任せになる。海外製品は本来ならIOCや各国の基準などに準じて表示されているはずですが、認証には第三者ではなく生産者自身も関わっているため、エキストラバージンを少し混ぜただけの低品質の油を最高グレードとして表示する例などが後を絶たないのです」。そのため、知らない生産者による製品の瓶やそこに表示された情報を見ただけで品質を判断するのは、プロでも不可能だという。
例えば、酸化を防ぐために暗い色の瓶を用いている――良い油の選び方として紹介されることが少なくないが、「中には、きれいな油の色を見てほしいと、わざわざ透明な瓶を使う高品質エキストラバージンの作り手もいます」と多田さんは指摘する。ただし、光による酸化を防ぐためこれらは必ず箱などに入っているので、むき出しの透明瓶に入った製品は避けるべきだろう。
また、油の色も品質の基準にはならない。オリーブオイルのテイスティングを行う際は、色による先入観を持たないよう濃い青色グラスが使われるほどだ。それでも、辛み、苦みがエキストラバージンが含有するポリフェノールの特徴であるがゆえに、いかにもポリフェノールをたっぷり含んでいそうな鮮やかな緑色の油の方が高品質だと思っている人は多い。しかし、実際には品質と色は関係なく、「むしろ、いいエキストラバージンは黄色いものが多い」そうだ。
加えて、しばしば瓶に記載されている「酸度」についても、指標にならないと多田さんは説明する。これは、IOCが定めるエキストラバージンの酸度0.8%以下という基準がもとよりゆるいためだ。「酸度が低いということは、新鮮さを表しているのでは」と思ってしまうが、バージン・オリーブオイルのレベルでもエキストラバージンの基準に収まる数値になるものも多く、非常に低い酸度が表示されていても風味に欠陥があるケースが少なくないという。
 〜日経Goodayより抜粋〜


2019年3月5日
「認知症と間違われやすい「高齢発症てんかん」ってどんな症状?」
「てんかん」というと、「小児に起こる病気」「発作を起こすと、意識を失い全身がけいれんする」といったイメージが強いが、成人になってから発症する場合や、全身けいれんを伴わない場合もある。特に年をとってから発症する「高齢発症てんかん」は、急にボーッとした顔になったり、ふらふらと歩き回ったりすることから認知症と間違えられやすく、治療が遅れることも……。知っておきたい高齢発症てんかんの特徴と治療法を紹介する。
てんかんは小児に特有の病気と思われがちだが、全患者数の約4割を高齢者が占めるといわれ、高齢化により、その割合は年々増加している。全国の急性期病院からなる医療情報データベースを用いた研究によれば、てんかん患者の年齢分布は、18歳未満は17%、18歳以上65歳未満は39%、65歳以上は44%だった。もともと、てんかんの発症は小児に多く、成人になると減少するが、加齢とともに再び増加することが知られている。
65歳以上の高齢者のてんかんには、小児期や青年期に発症して完治していない「てんかん患者の再発による高齢てんかん」と、65歳以上の高齢者になってから、初めててんかんを発症する「高齢発症てんかん」がある。てんかんの原因は、小児期は先天性が最も多く、成人では脳腫瘍や外傷、高齢発症てんかんでは脳卒中や動脈硬化などによる脳血管障害や神経変性疾患が多くなるが、画像検査等を行っても明らかな異常が見つからない場合も少なくない。つまり、高齢発症てんかんは、それまでてんかんとは無縁だった人でもなり得る病気というわけである。
そもそも、てんかんとはどういう病気だろうか。私たちは通常、大脳の神経細胞から発せられる電気的なシグナルによって、思い通りに手足を動かしたり、考えたりするなどの活動を行うことができる。この電気的なシグナルが何らかの原因により乱れることで、一過性のてんかん発作が起こる。てんかんは、このてんかん発作を繰り返し起こす脳の病気である。てんかん発作というと、意識を失って全身がけいれんを起こすイメージが強いが、それは小児の場合に比較的多く見られる症状で、高齢発症てんかんでは、体の一部のみがビクンとするもの、意識がぼやけてボーっとするもの、夢遊病者のように歩き回るものなどが多く、激しい全身けいれんなど特徴的な症状が出ない場合も多いという。こうした、高齢者に多い、けいれんなどを伴わないてんかん発作を「意識減損焦点発作」(旧名は複雑部分発作)と呼ぶ。意識減損焦点発作の多くは、側頭葉に原因がある「側頭葉てんかん」である。
「高齢発症てんかんの発作では、ボーッとして何をしていたか覚えていないときもあるため、認知症と間違われることも少なくありません」と話すのは、国際医療福祉大学医学部神経内科教授で、福岡山王病院脳神経機能センター神経内科の赤松直樹さん。
例えば、60代半ばのある女性患者の場合。職場で言われたことを忘れてしまうので、「自分は認知症になったのではないか」と思い退職して故郷に戻り、姉と同居。姉と一緒に物忘れ外来を受診した。姉によれば、週2~6回、ボーッとして意識がはっきりしない状態が1~2分続くことがあったといい、その際、手や口をもぞもぞ動かす症状があるということだった。また、本人によれば、発作が起こる前に、以前見たことのあるような風景が頭の中に10秒間くらい浮かんでくるということだった。赤松さんは、「この患者さんは入院して脳波を検査した結果、てんかん特有の脳波が出たため、てんかんと診断しました」と話す。
てんかんの検査は、発作時の脳波を調べ、てんかん特有の脳波が出れば、てんかんと診断する。ただし、てんかん発作が起こっているときでないと異常な脳波を捉えられないため、診断は難しいという。「認知症と診断され、長年、認知症の治療薬を処方されながらも異常行動が改善されなかった人が、てんかんの検査をしたところそのように診断され、てんかんの治療によって症状が改善した、という事例はいくつもあります」と赤松さんは話す。
また、高齢発症てんかんはてんかん以外の病気を合併している場合も多く、その場合、さらにてんかんと診断するのが難しくなると赤松さんは話す。特に認知症と合併している場合、てんかんの症状が認知症の症状に似ているため、識別は困難となる。
高齢発症てんかんは見つけるのが難しい病気ではあるが、てんかんが発見されれば、程度によっては治療により病気をコントロールすることが可能となる。てんかんの治療は内科的治療と外科的治療に分けられる。内科的治療には、薬物療法、糖類を極力抑え、脂肪を増やした食事を取るケトン食療法、副腎皮質刺激ホルモンの注射を行うACTH療法などがある。薬物療法を行っても発作をコントロールできない場合は、発作を起こす部位が分かっていれば、その部位を切除する手術、あるいは発作がほかの脳部位に広がるのを防ぐ手術も考慮される。高齢発症てんかんの治療では、主に薬物療法が行われ、診断により、早期に見つけることができれば、症状が改善され、日常生活への支障を防ぐことも可能だ。そのためには、本人はもちろん、家族など周囲の人も高齢発症てんかんの症状を知り、てんかん発作を見逃さないようにすることが大切である。
高齢発症てんかんは診断が難しい病気なので、ご自身、ご家族が高齢発症てんかんかもしれないと思ったときは、かかりつけ医に相談するか、てんかん診療ネットワークのホームページに日本てんかん学会専門医名簿があるので、近くの専門医を受診・相談するとよいだろう。
 〜日経Goodayより抜粋〜


2019年3月4日
「週1回の筋トレでも心筋梗塞・脳卒中の予防が期待できる」
1週間に1~2回、計60分までのレジスタンス運動(筋力トレーニング)を行うと、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクや死亡のリスクが下がる可能性があることが、米国で行われた研究で明らかになりました。
心筋梗塞や脳卒中などの、心臓や血管に関わる病気(心血管疾患)は、先進国における主要な死亡原因になっており、リスクを低減するための有効な対策が求められています。これまで、有酸素運動については、心臓や血管に良い影響をもたらすことが分かっていましたが、レジスタンス運動(筋力トレーニング)については一貫した結果は得られていませんでした。
そこで、中国華東師範大学のYanghui Liu氏らは、心血管疾患と死亡のリスクにレジスタンス運動が及ぼす影響を、有酸素運動とは切り離して分析することにしました。
●レジスタンス運動
筋肉を増やすことを目的として、例えば大腿部や腹筋など、目指す筋肉に負荷(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動。筋力トレーニングとも呼ばれる。
●有酸素運動
長時間続けて行うことが可能な軽度~中等度の運動。体内に酸素を取り入れて、エネルギーを消費させる。メタボリックシンドローム(メタボ)の改善や減量を目的とした人に適しており、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどが代表例。
Liu氏らは、米国テキサス州Dallasのクリニックでボランティアを募集しました。登録された人々のほとんどが白人で、学歴は高く(80%超が大学卒業以上)、社会経済的地位は中~高レベルでした。これらの人々は、定期的に、心血管疾患の予防を目的とする健康診断と生活習慣(運動、栄養、ストレス管理など)に関するカウンセリングを受けました。
1987年から2006年までに2回以上診察を受けており、登録時点で、心筋梗塞、脳卒中、がんの病歴がなかった1万2591人(18~89歳、平均年齢47歳、21%が女性)を分析対象としました。
有酸素運動については、米国のガイドラインに従ったレベル(500MET-分/週以上、具体的には、中強度の有酸素運動を週に150分、または高強度の有酸素運動を週に75分以上)を実践しているかどうかを尋ねました。
レジスタンス運動については、フリーウェイトトレーニング(ダンベルやバーベルなど器具を使ったトレーニング)、またはマシンを使ったウェイトトレーニングを1週間に何回、1回ごとに何分くらい行っているかを尋ねて、1週間の総運動時間を計算しました。レジスタンス運動の頻度に基づいて、「週に1回」、「週に2回」、「週に3回」、「週に4回以上」に分類し、さらに、1週間の総運動時間に基づいて、「0分」、「1~59分」、「60~119分」、「120分以上」に分けました。
平均5.4年の追跡で、心血管疾患の発症または心血管疾患による死亡(これらをまとめて「心血管イベント」)は、205人に発生しました。うち127人は追跡終了まで生存していました。あらゆる死因による死亡(総死亡)は、平均10.5年の追跡期間中に276人に発生していました。
登録時の調査では、全体の27%(3438人)がレジスタンス運動を実施していました。レジスタンス運動を全く行っていなかった群と比較すると、レジスタンス運動を行っている群には男性が多く、年齢は若く、非喫煙者が多く、有酸素運動の実施者が多く、BMI(肥満度を表す体格指数)は低く、さらに、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、親が心血管疾患を経験している人の割合も少なくなっていました。
レジスタンス運動の頻度または実施時間に基づく各分類群を対象に、レジスタンス運動の実施が「心血管イベント」、「心血管疾患による死亡」、「総死亡」に及ぼす影響を検討しました。結果に影響を与える可能性のある要因(有酸素運動実施の有無も含む)を考慮して分析したところ、統計学的に意味のあるリスク減少が見られたのは、「週に1~2回程度、計60分未満(1~59分)のレジスタンス運動」でした。各評価項目で、35~70%のリスク減少が認められました。
Liu氏らは、ガイドラインが推奨しているレベルの有酸素運動を実施している人々とそうでない人々を分けて検討しましたが、上記の「心血管イベント」と「心血管疾患による死亡」のリスク低下は、有酸素運動の実施の有無にかかわらず認められました。一方で、「総死亡」については、ガイドラインが指示するレベルの有酸素運動と並行してレジスタンス運動を行っている人についてのみ、リスク減少が認められました。
たとえ週1回でも、または、1週間に1時間未満でも、レジスタンス運動を行うことは、心筋梗塞や脳卒中の予防に役立ちそうです。
 〜日経Goodayより抜粋〜


2019年3月2日
「インフルエンザ診療で不要なこと:医師会の見解」
2019年2月27日、日本医師会の釜萢 敏氏(常任理事)が、今季における季節性インフルエンザについて、診断方法や治療薬の選択、“隠れインフルエンザ”への対応など、世間の話題も踏まえた見解を記者会見で発表した。昨季に続き、今季もインフルエンザは大規模な流行となったが、患者数は2019年第4週(1月21~27日)をピークに収束をみせている。ピーク時の患者数は昨年を上回ったものの、累積の推計受診者数は、昨季の推計全罹患者数を下回る見通しだ。ワクチンの供給がより円滑に行われた結果とも考えられるが、最も需要が高かった11月の供給量は必ずしも十分でなかったという。ワクチンについては、引き続き対策を講じていく必要があるだろう。
釜萢氏は、インフルエンザの診断に関して、「迅速診断検査は、必ずしも全例に実施する必要はない」と世間における認識の是正を求めた。「検査はあくまでも補助なので、一番大事なのは患者さんの症状をしっかり把握すること。周辺の流行状況や罹患者との接触の有無などを踏まえて、総合的に判断すべき」とコメントした。迅速診断キットの判定について、最近の傾向としては、急激な発熱などの発症から約6時間以降で検出される場合が多いという。しかし、確実な判定が出るまでの時間については一概に言えないため、最終的には医師の判断となる。
「処方薬は、患者さんの希望にかかわらず、医師がきちんと判断し、同意を得たうえで処方するもの。新たな作用機序を持つバロキサビル(商品名:ゾフルーザ)については、まだ十分な知見が揃っていない。耐性ウイルスの出現など考慮すべき点もあるので、従来の薬の使用も併せて検討すべき」と、新規抗インフルエンザウイルス薬については慎重な姿勢を示した。児童生徒などの出席停止期間については、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」と学校保健安全法施行規則によって定められている。医師は、その基準を踏まえたうえで診断し、出席可能となる条件と日数を患者に伝えなければならない。インフルエンザに関しては、治癒証明書のために再度受診させる必要はなく、自治体や学校が作成した証明書に保護者または本人が記入して、学校に提出すれば問題ない。
インフルエンザに罹患した場合の対応は職場においても同様で、周りに感染を拡大させないことが重要である。抗インフルエンザ薬の内服によって、症状が出る時間を短縮できるが、症状がなくてもウイルスは排出されるため、感染拡大を防止するには、基準日数を厳守したほうが確実だ。
世間の話題として、特徴的な症状がみられないにもかかわらず、抗原検査をすると陽性判定の“隠れインフルエンザ”に対する不安が強まっている。しかし、こういった症状は流行地域でみられる場合が多く、流行していない地域では少ないという。原因としては、ウイルスと接触することで抗体が作られ、通常より症状が抑えられることなどが考えられる。しかし、患者本人は元気でも、他人にうつしてしまう危険性を理解し、通常のインフルエンザと同様の対策が求められる。
〜宇都宮院長提供:CareNetから抜粋〜


2019年3月1日
「揚げ物フェチの死亡リスクは上昇する可能性高い?」(解説:島田 俊夫 氏)
私達は生きるために、食物を摂取することによりエネルギーを獲得している。ところが、現代社会では、昔と異なり自宅で食事をする習慣が希薄になり、外食産業への依存が増していることは明らかな事実である。なかでも揚げ物は、調理の簡便性や嗜好の視点から好まれる傾向がある。とくにファストフードの普及で、フライドチキン、フライドポテトらが、世界中の多くの国々において、日々の生活の中で愛用されている。このような食生活環境の変化の中で、揚げ物、とくにフライドチキンや魚介類フライの摂取量増加が死亡リスク高めている可能性を、米国・アイオワ大学のYangbo Sun氏らが、閉経後女性を対象とした大規模前向きコホート研究のデータ解析結果から明らかにし、揚げ物による深刻な死亡率への影響を2019年1月23日のBMJ誌に報告した。この論文に関して私的見解をコメントする。
研究要約
全米40ヵ所の臨床施設で、1993年9月~1998年9月にかけWHIに登録された50~79歳の女性10万6,966例を対象として、2017年2月まで追跡調査が行われた。自己記入式食事調査に基づき、揚げ物摂取と死亡リスクの関連性、揚げ物の種類と健康被害の大きさ、揚げ物がなぜ死亡率上昇につながるのかを調査・検証した。
結果
揚げ物をまったく食べない人は、揚げ物を食べる人に比べ、多変量調整ハザード比は全病因死亡率で1.08(95%信頼区間[CI]:1.01~1.16)、心血管死亡率で1.08(95%CI:0.96~1.22)と有意であった。
フライドチキンを1週間に1食分以上食べる人のHRは全病因死亡率で1.13(95%CI:1.07~1.19)、心血管死亡率で1.12(95%CI:1.02~1.23)と有意であった。魚介類揚げ物のHRは全病因死亡率で1.07(95%CI:1.03~1.12)、心血管死亡率で1.13(95%CI:1.04~1.22)と有意であったが、がん死亡率上昇に関しては、揚げ物の総摂取量・種類別摂取量ともに関連性を認めなかった。
コメント
揚げ物が全病因死亡率、心血管死亡率を増加させるとの報告は、大きな反響を社会に及ぼす可能性がある。本研究のみでは、揚げ物と死亡率の上昇の因果関係を解明することは難しいが、報告を深刻に受け止め、外食では揚げ物の摂取は極力控えることが現段階での予防策として好ましいと考える。揚げ物に使う油の使いまわしによる油質の劣化(酸化)・変性を引き起こすこと、およびサクサクした食感を出すために好んで使用されているトランス脂肪酸の添加が、このような事態に深く関与している可能性が推測される。家庭での新鮮な油の使用で同様の結果が起こるか否かは疑問で、さらなる検証が必要である。即断するのではなく、今のところは古い油や油の使いまわしを避け、油種吟味および揚げ物を食べる機会を減らす配慮が必要と考える。疑わしきは回避することが保身につながると考える。揚げ物過剰摂取の健康被害への警鐘と受け止めるべきメッセージではないか。しかしながら、異なる結果報告もあり、結論を出すには時期尚早かもしれない。
 〜CareNetより抜粋〜


2019年2月28日
「画期的なエコシステム!? ゴミ処理センターでゴキブリ10億匹を養殖、50トンの残飯処理させる」
現代社会ではまるで人類の敵のような扱いを受けているゴキブリだが、中国では彼らを益虫として役立てようという試みが行われている。
「聯合新聞網」(2月20日付)などによると、その処理センターは山東省済南市章丘区にある。ゴキブリを飼育している約6,300平方メートルもの広大な部屋は室温が30度以上に保たれ、ひとたび足を踏み入れると、熱風と強烈な臭いに襲われる。同センターに搬送された生ゴミは、まず水と油と固形物に分離されると、ゴキブリが食べやすいように従業員が箸でガラスやプラスチックなどの異物を取り除く。残った固形物は機械で粉砕・攪拌。ペースト状になったところで、ゴキブリの好みに合わせて油脂や水、おがくずなどを加え、水分量70~80%の粘度に調整して、ようやくゴキブリに提供するという手間のかけよう。朝昼晩に加え、午後のおやつに夜食と、1日5食が提供される恵まれた環境だ。
この施設の運営会社会長によると、8年前、300人分の残飯を処理できなくて困っていたところ、娘が見ていたゴキブリのアニメを思い出した。油と腐敗物を好むゴキブリの習性に目をつけ、残飯処理させることを思いついたのだ。早速、さまざまな実験を行ったところ、米州種のゴキブリが、好き嫌いせず、なんでもよく食べることがわかった。このゴキブリを使い、2014年から試験的に毎日1トンの残飯処理を開始すると、章丘区環境衛生センターから処理を依頼され、16年には3億匹のゴキブリで毎日15トンの残飯を処理できるようになり、現在は10億匹に50トンの残飯を処理させている。これは同区で毎日出される残飯の83%に当たるという。
これだけ多くのゴキブリがいると死骸も大量に発生するが、それらは300℃の熱で殺菌し、乾燥させたのちに添加剤を加え、ニワトリの餌にするという。そのニワトリが食用に回されるという部分については抵抗を感じるが、同センターでは食物連鎖が成り立っているのだ。
三重扉などでゴキブリが逃げられないような態勢は整えられているが、専門家は、地震など不測の事態への対策が取られていないと指摘する。確かに地震や台風で建物が損壊すれば、大量のゴキブリが逃げ出しかねない。章丘区が、ゴキブリの街にならないことを祈りたい。
〜飯尾副院長提供:日刊サイゾーより〜


2019年2月27日
「インフルエンザワクチンの有効性は昨シーズンを上回る、米調査」
今シーズン(2018/2019)のインフルエンザワクチンの有効性は、ウイルス感染の拡大によって大きな打撃を受けた昨シーズン(2017/2018)をはるかに上回るという報告を、米疾病対策センター(CDC)が「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」2月15日号に掲載した。
この調査は、2018年11月~2019年2月に、インフルエンザワクチン有効性ネットワーク(Influenza Vaccine Effectiveness Network)に登録された計3,254人の成人および小児を対象としたもの。報告書によれば、インフルエンザA型(H3N2)が主として流行した昨シーズンのインフルエンザワクチンの有効性は25%に過ぎなかった。しかし、今回の調査から、今シーズンのワクチンの有効性は、全てのウイルス株に対して47%の効果を発揮していることが分かった。研究を率いたCDCインフルエンザ部門のJoshua Doyle氏らによれば、これは、今シーズンのインフルエンザワクチンを接種すると、重症インフルエンザに罹患する確率が半減することを意味するという。
また、インフルエンザワクチンの効果は、成人よりも子どもの方が高いことも分かった。Doyle氏は「生後6カ月から17歳までの小児では、全体的なワクチンの有効性は61%に上っていた」と報告している。
CDCによると、2月2日現在、インフルエンザは47州で流行しており、24州では高いレベルで流行している。さらに、インフルエンザによる入院も増加を続けている。統計情報によれば、米国ではインフルエンザの流行は継続中で、いまだピークに達していない可能性があるという。CDCインフルエンザ・サーベイランスチームリーダーのLynnette Brammer氏も「インフルエンザウイルスは活性化し続けている」と指摘している。
また、今シーズンは、依然としてA型(H1N1)が最も流行しているが、A型(H3N2)の流行も広がってきている。しかし、今シーズンには、いずれのインフルエンザ株もワクチンに含まれているという。
CDCは、生後6カ月を過ぎたら、全員がインフルエンザワクチンの接種を受けることを推奨している。インフルエンザが猛威をふるい、ワクチン効果が比較的低かったときでも、ワクチンは多くの命を救ってきた。Doyle氏らによれば、昨シーズンには、ワクチン接種により710万人のインフルエンザ罹患と370万件の医療機関への受診、10万9,000件の入院、8,000人の死亡が予防できたと推定されるという。
今年のインフルエンザシーズンは、今後さらに3週間は続くと予想されている。そのため、Brammer氏は、ワクチン接種をまだ受けていない人は、これからでも受けるようにと助言する。
ワクチン接種の利点の一つは、インフルエンザに罹患してもワクチン接種を受けていれば、より軽症で済むことにある。インフルエンザの重症度が軽ければ、特に高齢者や子どもの肺炎などの合併症を防ぐことができる。さらに、同氏は、ワクチン接種を受けることは、自分自身だけでなく、家族や周囲の人々を守ることにもつながると強調している。
Brammer氏は、これまでのところ、今シーズンはH3N2が優勢だった昨シーズンよりもはるかに流行レベルは低いとしている。なお、昨シーズンには、インフルエンザにより約100万人が病院を受診し、約8万人が死亡したと推計されている。
宇都宮院長提供:CareNetより〜


2019年2月26日
「日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスク」
椙山女学園大学の西田 友子氏らは、高校生の男女ごとのスマートフォン使用とうつ病との関連性について評価を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2019年1月26日号の報告。
日本の15~19歳の高校生295人を対象に、自己管理質問票を用いて、横断的研究を実施した。うつ病は、CES-Dうつ病自己評価尺度を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・女性は、男性と比較し、1日のスマートフォン使用時間が長かった。
・スマートフォン使用時間が1日3時間であった割合は、女性で44.3%、男性で22.5%であった。
・女性では、オンラインチャット、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、インターネット閲覧に長時間費やしていた。
・長時間のオンラインチャット(オッズ比:1.74、95%CI:1.18~2.56)およびSNS(オッズ比:1.41、95%CI:1.04~1.92)使用は、うつ病との関連が認められた。
・男性は、女性と比較し、ゲームに多くの時間を費やしていた。
・男性では、スマートフォン使用とうつ病との関連は認められなかった。
著者らは「スマートフォン使用には性差があり、女性ではソーシャルコンタクト、男性では娯楽のためにより多くの時間を費やす傾向が認められた。女性がオンラインコミュニケーションを使い過ぎると、うつ病リスクが高まる可能性が示唆された」としている。
 〜飯尾副院長提供:CareNetより〜


2019年2月25日
「女性の脳は男性よりも老化速度が遅い?」
女性の脳は男性の脳に比べて老化速度が遅い可能性があることが、米ワシントン大学医学部マリンクロット放射線医学研究所のManu Goyal氏らによる研究から明らかになった。女性の脳は同じ年齢の男性よりも約3歳若いことが分かったという。
Goyal氏は「女性は高齢になるほど、認知機能検査のスコアが男性よりも高くなる傾向がみられる」と説明する。今回の研究結果は、男性よりも女性の方が、高齢になっても明晰な頭脳が長く保たれる傾向がある理由の一端を説明しうるものだとしている。
Goyal氏らは、コンピュータプログラムを用いて脳の代謝変化による人の年齢の予測能を評価するため、今回の研究に乗り出した。研究では、20~82歳の男女205人を対象に、脳画像検査により脳内の酸素やブドウ糖の流れを測定した。次に、この脳画像データをコンピュータプログラムに取り込んだ。
さらに、男女それぞれの年齢と脳の代謝データをコンピュータアルゴリズムに取り込んで学習させた。その結果、男性の年齢と脳代謝パターンを基準とすると、女性の脳の年齢は実年齢と比べて平均で3.8歳若いと判定された。次に、女性の年齢と脳代謝パターンを基準に設定したところ、男性の脳の年齢は実年齢よりも平均で2.4歳年老いていると判定された。また、こうした脳年齢の男女差は、20歳代の男女を比較した場合にも認められた。
脳は、エネルギー源として大量のブドウ糖や酸素を必要とするが、その取り込み方がこうした差を生んでいるのではないかと、Goyal氏らは推測している。「脳がどのようにブドウ糖や酸素を消費し、脳のどの部位でこれらを最も利用しているのかは、加齢に伴って変化する」と同氏は説明している。
また、Goyal氏らは、このような男女差は思春期に既に生じたものではないかとも推測している。「思春期の脳の変化には男女差がある。男性では脳の血流がわずかに減少するのに対し、女性ではそれほど減少はみられない」と説明し、こうした男女の脳の発達の違いが、その後の脳の老い方に影響しているのではないかと指摘している。ただし、その影響は比較的小さいため、加齢に伴う認知機能の低下度の違いをこれだけで直接説明することはできないとしている。
さらに、Goyal氏は「この研究結果は、男性よりも女性の方が加齢に伴う脳の特定の変化への抵抗力がわずかに高いことを示したものだ。ただし、逆に新たな脆弱性が生じる可能性もある。認知症は複雑な過程をとる疾患であり、この結果がどのような意味を持つのかは、結論を急ぐべきではない」と話している。
今回の研究には関与していない米レノックス・ヒル病院の神経科医であるGayatri Devi氏は「実際には、脳代謝は認知症などにはほとんど影響していないのではないか」と指摘する。同氏は「一般的に男性よりも女性の方が脳は若々しいとされているが、アルツハイマー病を発症するリスクは女性の方が高い。これには、閉経後に急激に減少するエストロゲン以外にも、さまざまな因子が関与している可能性がある」と話している。
 〜CareNetより抜粋〜


2019年2月23日
「病気と健康の境目は? コレステロールの目標値を考える」
100年前は病気と健康の区別は明瞭でした。苦しくて痛くて死ぬのが病気です。現在では、まったく自覚症状がなくても、血圧や血糖値が高ければ病気とみなされます。自覚症状がないうちから治療して将来の苦痛や死亡のリスクを減らすことは患者さんにとって大きな利益ですが、一方で、自覚症状もないのに「病人」をつくってしまう不利益についても心にとどめておくべきです。医学の進歩によって病気の基準も変わります。前回は高血圧についてお話をしましたので、今回は血圧と同じぐらい関心が払われているコレステロール値についてお話をしましょう。「コレステロールが高すぎるのは体に良くない」ことはよく知られています。テレビや週刊誌でもコレステロールを下げる食品や習慣がしばしば話題になります。
コレステロールにも種類があり、よく問題になるのがいわゆる「悪玉」と呼ばれているLDLコレステロールです。LDLコレステロールが高いと心筋梗塞をはじめとした動脈硬化性疾患にかかりやすくなり、治療をして数値を下げるとリスクも下がります。選別の基準値として、空腹時の採血で140mg/dL以上なら高LDLコレステロール血症、120~139mg/dLなら境界域高LDLコレステロール血症ということになっています。ただ、以下に述べるように、これは治療開始基準や目標値ではありません。
LDLコレステロールがすごく高い人は治療したほうがいいのは、はっきりしています。ただ、血圧と同じで、どこから治療介入すべきか、治療の目標値をどのぐらいに設定するかは難しい問題です。動脈硬化性心疾患だけを考えれば、LDLコレステロールを下げれば下げるほど良いと主張している専門家もいます。ただ、人は心臓のみで生きているわけではありません。すべての死因においては、コレステロールが低い人ほど死亡しやすいことがわかっています。おそらくは死にやすい人のコレステロールが低いことを反映しているのであって、コレステロールを下げれば死にやすくなるとは単純には言えませんが、それでもコレステロールを下げ過ぎることには注意が必要です。
現在の日本のガイドラインではリスクによって治療の目標値を変えています。一度でも心筋梗塞になったことのある人はリスクが高いので、LDLコレステロール値の目標は厳しめに、100mg/dL未満を目指します。高血圧や糖尿病や喫煙といったリスク因子がなければ、低リスクなので160mg/dL未満が目標です。リスク因子を持っている人はリスク因子の数や年齢に応じて目標値が変わります。LDLコレステロールが110mg/dLであっても、リスク因子の数によって治療対象になったりならなかったりするのです。複雑ではありますが、一律に基準を設けて治療するよりはずっと合理的です。
実際の治療では、さらに個別の事情を考えなければなりません。主治医と相談してください。一般的には、禁煙する、適正体重を維持する、運動をするなどの生活習慣の改善を試みて、それでもLDLコレステロール値が高ければ、薬物治療を検討することになります。
〜朝日新聞アピタルより〜


2019年2月22日
「なぜ早期発見が大事? がんについて知っておくべき基礎知識②」
「がん検診が重要なことは分かったが、どんな検診を受ければよいか分からない」という人も多いだろう。国が推奨しているがん検診は、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸(けい)がん、乳がんの5つで、対象年齢と受診間隔は下図の通りだ。これらのがんは、いずれも日本人の罹患(りかん)率、死亡率が高いがんなので、検診を受けることをぜひ習慣化したい。ちなみに、日本人のがんの死亡率を見ると、男性は1位肺がん、2位胃がん、3位大腸がん。女性は1位大腸がん、2位肺がん、3位胃がんとなっている(2015年人口動態統計によるがん死亡データ)。
なお、「1センチのがんが2センチになるのにかかる時間は、乳がんのように遅いもので2年、肺がんのように早いもので1年」(中川さん)だ。そのため、乳がんの検診は2年に一度、肺がんの検診は毎年とされている。がんの種類によって受診間隔に違いがあるのは、こうした理由による。
がんが見つかった場合、どんな治療が可能なのかについても知っておきたい。一般的ながん治療には、「手術」「放射線療法」「化学療法」の3つの方法があり(*2)、がんの種類と進行度などを踏まえ、これらを単独、また組み合わせて行うことが推奨されている。
「手術」はがんを外科的に切除する治療法で、「放射線療法」は放射線を当ててがんを消滅させる治療法、「化学療法」は抗がん剤を使用する治療法だ。
血液がん以外の、いわゆる「固形がん」の完治を目指す場合は、手術か放射線療法が選択肢となるが、「日本では同じ治癒率が見込まれる場合でも圧倒的に手術を選ぶ人が多く、欧米に比べて放射線療法が浸透していない」と中川さんは言う。「例えば、子宮頸(けい)がんのII期では欧米では8割が放射線療法だが、日本では8割が手術。同じ子宮頸がんのIIB期の場合、日本以外の先進国のガイドラインには手術がなく放射線しかないが、日本では手術も入っている」(中川さん)という。
「放射線療法は1回の治療にかかる時間が数分で、通院で行うことができ、がんを切らずに治療するので、その意味では体への負担も比較的少ない。欧米ではがん患者さんの60%が放射線療法を受けているが、日本では25%程度にとどまっているのが実情。その一番の理由は、『放射線という選択肢を知らない』人が多いからでしょう」と中川さんは見る。 日本では過去に胃がん患者が多かった。胃は、がんになった場合に全摘(組織あるいは器官全体を摘出する外科手術)が可能なため、胃がんの治療には手術が適している。「そのため『がん治療=手術』という図式が一般に浸透したのだと思われる。放射線療法という選択肢があることも知ってほしい」(中川さん)。
中川さんが開いたセミナーでは講演に続いて、9人のがんサバイバー(がん経験者)が登壇し、自らの体験談を語った。9人のうち、男性は2人、女性は7人で、がんの種類は胃がん、乳がん、肺腺がんなど様々だ。人間ドック、職場の検診、自らの触診などでがんを見つけて治療し、治療を続けながら、また治療後に仕事に就いている。
その中で、広島市に住む柳田真由美さんが強調したのは、「早期発見、早期治療すること。がんと診断されたとき、すぐに会社を辞めないこと」の2点だ。柳田さんががんと診断された10年前は、がんになったら会社を辞める、というのが暗黙の社会通念としてあったという。柳田さんは「自分は、20数年間勤めた会社を早期退職してしまったが、今でも非常に後悔している。40歳過ぎての転職は過酷そのもので、新しい職場に慣れる大変さを身をもって感じている」と話す。中川さんも、「がんでも仕事を辞めない、辞めさせない」を標語にしたいと言い、がん治療と仕事の両立推進が重要と語った。
2013年の男女の年代別がん罹患数を見ると、30代、40代では女性のがん患者数が多く、50代以降では男性のがん患者が急増している。今後は企業に勤務するがん患者、がんサバイバーが増えることは必至だ。がん対策推進企業アクションでは、従業員ががんになっても安心して働ける環境を整えるため、勉強会や出張講座などのサポート事業を行っている。
〜日経Goodayより抜粋〜


2019年2月21日
「なぜ早期発見が大事? がんについて知っておくべき基礎知識①」
日本人のがんによる年間死亡者数は2015年には約37万人(厚生労働省「人口動態統計」)で、死亡者の数は年々増え続けている。しかも、「先進国でがん死亡が増えているのは日本だけ」と東京大学医学部附属病院放射線科准教授中川恵一さん。例えば、日本では近年大腸がんが増え、年間5万人強が亡くなっているが、日本より人口が約2.6倍多い米国での大腸がんによる死亡者数は5万人弱だという。がん死亡が増えている理由には、高齢者が増えていることもあるが、「がんに関する教育が不足しているのも大きな要因と考えられる」と中川さんは指摘。「がんは、わずかな知識の有無によって、その人のその後の人生が大きく左右される病気。それだけに予防法、早期発見の方法、治療法など、がんに関する様々な知識を得ておくことがとても大切」と強調する。「がん=不治の病」というイメージを持っている人は多いかもしれないが、実は早期に発見されるほど治る可能性が高くなり、中川さんは「多くのがんで、早期に発見すれば約9割が治る」と話す。
実際、がんと診断された患者の5年相対生存率はがん全体で約66%(国立がん研究センター調べ)だが、胃がん、大腸がん、子宮頸(けい)がんなどでは、ステージIという早期に発見された場合の5年生存率は約95%、乳がんでは100%となっている。「『5年相対生存率イコール治癒率』ではないが、多くのがんでは5年後に再発することはまれであり、治療後5年間再発しなければ、がんはおそらく一掃されたと考えてもいい」(中川さん)。
では、どうすればがんを早期に発見することができるのだろうか。がんの種類によっても異なるが、「おおまかに言うと、見つけることのできる早期がんは1~2センチの大きさ」(中川さん)だ。だが、1~2センチの大きさのがんでは、自覚症状はまず出ない。つまり、早期でがんを見つけるためには定期的にがん検診を受けるしかない、ということだ。「がんが検査で見つけられる1~2センチ大になるまでに10年から20年かかります。つまり、がん検診で10年間一度も引っかからなかった人でも、あるときがんが見つかることもあるということです。早期でがんを見つけたければ、たとえ絶好調であっても、がん検診を定期的に受けることが大切です」(中川さん)。
しかし、日本人のがん検診受診率は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最低レベルだ。例えば、乳がんや子宮頸がんの受診率は、米国では約8割に上るが、日本では4割程度にとどまっている。欧米では乳がん検診を徹底することで実際に死亡が減ってきているという話もあり、日本もぜひ見習いたいものだ。
〜日経Goodayより抜粋〜


2019年2月20日
「定年退職後も働く人の方が健康で寿命が長い」
定年退職といえば、これまでは60歳が一般的でしたが、今は、それ以降も働く人が増えています。慶應義塾大学の岡本翔平氏らは、日本人男性を対象として、60歳以降も仕事を継続している人とそうでない人の、死亡と認知機能低下、脳卒中、糖尿病のリスクを比較する研究を行いました。その結果、就労が健康に利益をもたらす可能性が示されました。
この研究は、一般に公開されている全国高齢者パネル調査の情報を利用しています。岡本氏らは今回、分析対象を60歳から75歳までの男性にしました。この年代の男性に限定したのは、60歳以降に賃金労働をしている女性は男性に比べかなり少なく、男女問わず75歳を超えて働いている人も非常に少なかったからです。
条件を満たした男性1288人(就労者644人と非就労者640人)について、1987年の初回調査から最長で15年後までの、死亡、認知機能の低下、脳卒中、糖尿病の発生の有無を調べました。
非就労者、就労者のなかで、追跡期間中に死亡、認知機能低下、脳卒中、糖尿病(これらを「イベント」と呼びます)を経験していた人の割合を比較すると、就労者のほうが死亡した人は少なく、認知機能の低下を経験した人と、脳卒中を発症した人の割合も少なくなっていました。ただし、糖尿病発症者の割合には差がありませんでした。
対象となったこれら2群の人々の特性を比べると、いろいろな項目に差が見られました。たとえば、予想されたように、調査時点で健康状態が悪いと回答した人の割合は、就労者が7%、非就労者は17%で、後者のほうが高くなっていました。そこで、分析結果に影響を及ぼすと考えられるさまざまな要因を考慮した上で、就労者と被就労者を比較し、働き続けることが健康に及ぼす効果を推定しました。その結果、4つの評価項目の全てに、就労によるイベント発生までの時間の延長が認められました。
なお、今回分析対象となった就労者644人のうち、被雇用者は83人に留まり、561人が自営業者でした。そこで、被雇用者と自営業者に分けて、それぞれ非就労者と比較したところ、自営業者のほうが余命は長くなっていたものの、糖尿病または脳卒中の発症を遅らせる効果は、被雇用者のみに認められることが明らかになりました。
 〜日経Goodayより〜


2019年2月19日
「激しい運動は中年男性の心臓に危険を否定、米研究」
中年期の男性は激しい運動を行っても、心臓に悪い影響はないことが、米テキサス・ヘルス・プレズビテリアン病院付属運動・環境生理学研究所のBenjamin Levine氏らによる研究で示された。週に8時間以上の激しい運動をする比較的年齢の高い男性アスリートは、運動強度がより低い男性と比べて早期死亡リスクが上昇するわけではないことが分かった。中でも動脈硬化が進んでいない中年男性では、激しい運動を習慣的に行っていると早期死亡リスクが半減したという。
これまでの研究で、激しい運動をするアスリートは、動脈硬化の指標とされる冠動脈石灰化(CAC)のレベルが高い傾向がみられており、こうした運動は健康に有害ではないかと疑問視されていた。Levine氏によれば、特に男性アスリートで冠動脈プラークが蓄積する傾向があり、その多くは石灰化していることが分かっていた。しかし、CACレベルの高さと死亡リスク上昇との関連については、ほとんど検討されていなかったという。
そこでLevine氏らは今回、1998~2013年に40~80歳だった2万1,758人(平均年齢51.7歳)の健康な男性のデータを収集して分析した。対象とされた男性は身体活動レベルについて報告し、CACレベルを測定されていた。そのほとんどがランナーで、自転車競技や水泳、ボート競技、トライアスロンの選手も含まれていた。
研究では、「激しい運動」は平均で平均で6METsの運動を週8時間以上(3,000METs・分/週以上)と定義した。なお、6METs以上の運動には毎時9kmの速さでのジョギング、毎時22km以上の速さでのサイクリング、競技としてバスケットボールやテニスをプレーすることなどが含まれた。Levine氏によれば、これらの激しい運動はレクリエーションとして楽しむレベルではなく、競技レベルに相当するという。
対象とした男性アスリートをCACスコアで2つの群に分けたうえで、身体活動レベルに基づいて比較検討した。平均で10.4年間追跡した結果、激しい運動を行う男性は、身体活動レベルが低い男性に比べてCACスコアが高かった。解析の結果、CACスコアが低く激しい運動を行う男性群では、CACスコアが同程度で身体活動レベルが低い男性群と比べて死亡リスクが半減したことが分かった。また、CACスコアが低く激しい運動を行う男性群では、心臓病で死亡するリスクも61%低かった。
さらに、CACスコアが高い男性においても、激しい運動を行うアスリートでは、身体活動レベルが低い男性と比べて死亡リスクが約23%低かった。しかし、死亡例が少なかったため、統計学的な有意差は認められなかった。
これらの結果から、Levine氏は、動脈硬化が進んでいない中年男性では、「ハイレベルなアスリートであることは明らかに心臓に保護的な作用があり、有害ではないようだ」と話している。
今回の研究では、対象に女性が含まれていなかったが、この点についてLevine氏は「女性でも男性と同様の傾向がみられる可能性が高いが、中年女性では死亡率がもともと低いため、断定はできない」と説明している。また、激しい運動が心臓への保護効果をもたらす理由として、同氏は、長期間にわたる運動で心臓や血管は柔軟性を増し、若さを保つことができる可能性などを指摘している。
さらに、何歳になったら激しい運動を控えるべきかという点について、同氏は「メリットが得られる年齢に上限はない。今回検討したほどの激しい運動を行う必要はないが、生涯にわたって有意義な運動を続けることが重要だ」と助言している。
 〜CareNetより〜


2019年2月18日
「”1日30分でも立ち上がって運動”が長生きの秘訣?」
1日に30分ほど椅子から立ち上がって運動するだけで、余命が延長する可能性があることが、米コロンビア大学のKeith Diaz氏らの研究で示された。同氏は「デスクワークや座りがちな生活習慣の人は、できる限り立ち上がって動くことで、早期死亡リスクを減らすことができる。運動はランニングなどの高強度のものでも、ウォーキングなどの軽めのものでもよい」と述べている。
この研究は、脳卒中のリスク因子などの検討を目的とした大規模な観察研究であるREGARDS(REasons for Geographic and Racial Differences in Stroke)研究に参加した45歳以上の男女7,999人を対象としたもの。2009~2013年に、参加者には活動量計を4日間以上装着してもらい、座位時間を測定した後、2017年まで追跡した。
その結果、座り続ける代わりに、1日30分でも軽い運動を行っていた人は、そうでない人に比べて早期死亡リスクが17%低いことが分かった。また、運動の強度を高めると、より大きなベネフィットが得られることも明らかになった。座っているよりも中強度の運動を1日30分行うと、早期死亡リスクは35%低減することが示された。
これらの結果から、Diaz氏は「どんな強度であっても、運動は健康にベネフィットをもたらすようだ」と述べている。
最近の研究から、米国成人の4人に1人は1日に8時間以上座って過ごしていることが明らかになっている。専門家の一人で、米レノックス・ヒル病院のSatjit Bhusri氏は「運動は余命延長だけでなく、心筋梗塞や脳卒中の予防にもつながると期待される」と話している。
同じく専門家の米ノースウェル・ヘルス・サンドラ・アトラス・バス・ハート病院のGuy Mintz氏は「座りがちな生活を改善する方法には多くの選択肢がある」と指摘する。例えば、米国心臓協会(AHA)は「中強度の有酸素運動を週150分以上、または高強度運動を週75分以上」行うことを推奨している。また、Google社などの一部の企業は、肥満や糖尿病、心臓病の予防のため運動を重視し、仕事中でも立ち上がって、ストレッチ、卓球、ウォーキング、トレッドミルやエアロバイクでの運動などをするよう勧めている。
Mintz氏は「従業員が運動するようになれば、生産性が向上し、病気による欠勤や医療コストが減り、モチベーションが上がるなどの効果が得られるという考え方が広まってきている」と話し、「いずれ他の企業もこうした取り組みを始めるのでは」との見方を示している。一方、Diaz氏は「今後は、座りがちな生活を続けた場合と座位時間を減らして運動を行った場合で、心筋梗塞や心不全、心血管死など特定の心血管転帰に差が出るのか検証していきたい」と展望している。
 〜CareNetより〜


2019年2月15日
「インフル罹患で脳梗塞や頸動脈解離リスク上昇か、米調査」
インフルエンザに罹患すると脳梗塞や頸動脈解離のリスクが高まる可能性があることが、国際脳卒中学会(ISC 2019、2月6~8日、米ホノルル)で発表された2件の研究で明らかになった。これらの研究結果は、インフルエンザの感染だけでなく、重篤な合併症から身を守るためにも予防接種を受けるよう注意を促すものだという。
最初の研究は、米コロンビア大学のAmelia Boehme氏らによるもの。ニューヨーク州全域の入院患者および外来患者のデータベースを用いて、2014年に脳梗塞を発症した男女3万912人(平均年齢71.9歳、男性49%)を対象に調査を実施した。
その結果、インフルエンザ様疾患の罹患から15日間にわたり、脳梗塞リスクが約40%上昇することが分かった。脳梗塞リスクはこの期間が最も高く、時間の経過とともに低下したが、最大で1年間続いていた。また、Boehme氏らの予測に反し、インフルエンザ様疾患と脳梗塞発症との関連は、性別や住居地域(都市部と地方)、人種(白人と黒人)による差はみられないことも明らかになった。
これまでの研究で、重症感染症に罹ると脳梗塞リスクが高まることが示されていた。Boehme氏は「脳梗塞リスクがもともと高い人は、インフルエンザの罹患が発症のきっかけになる可能性がある」と指摘する。ただし、この研究はインフルエンザの罹患で脳梗塞リスクが高まることを証明するものではない。
専門家の一人で米レノックス・ヒル病院のSalman Azhar氏は「この研究で重要な点は、インフルエンザに罹ると脳梗塞のリスクが高まるだけでなく、そのリスクが数カ月の長期にわたることだ」とし、「だからこそ予防接種が重要で、インフルエンザの罹患後には患者を慎重に観察する必要がある」と述べている。また、同氏は、インフルエンザなどの感染症に伴う炎症が、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくするのではとの見方を示している。
もう一つの研究は、同大学のMadeleine Hunter氏らが実施したもの。Boehme氏らの研究と同じデータを用いて、非外傷性の頸動脈解離を起こした男女3,861人(平均年齢52歳、男性55%)を対象に調査を実施した。頸動脈解離を起こす前の3年間で、対象者のうち1,736人がインフルエンザ様疾患に罹患し、そのうち113人がインフルエンザと同定された。その結果、頸動脈解離を起こす1~2年前に比べて、発症から30日以内にインフルエンザ様疾患に罹患する確率が高いことが分かった。
これまでの研究で、非外傷性の頸動脈解離は15~45歳の脳卒中の主な原因であることが明らかになっている。ただし、大きな外傷もなく、頸動脈の解離がどのように起こるのかは分かっていないという。Hunter氏は「頸動脈解離のリスクはインフルエンザ様疾患を発症後、時間の経過とともに消失していくことが示された。この結果は、インフルエンザ様疾患が頸動脈解離の引き金になる可能性を示唆している」と説明している。
これら2つの研究をレビューした米ニューヨーク大学医学部内科教授のMarc Siegel氏は「インフルエンザに罹患すると過剰な免疫反応を引き起こし、血液凝固や頸動脈の損傷につながる可能性がある。インフルエンザの問題は、インフルエンザに罹ること自体ではなく、生命に危険を及ぼす合併症を引き起こすことだ」と述べ、予防接種が重要だと呼び掛けている。なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
 〜飯尾副院長提供:HealthDay Newsより〜


2019年2月14日
「つらい花粉症に 効果続きやすい貼り薬も登場②」 日本医科大学耳鼻咽喉科学教室准教授の後藤穣さんに聞く
 「『治療薬では非鎮静性抗ヒスタミン薬が中心になっている』ことを強調したのは、医師によっては、『使い慣れている』『強い効果・即効性』といった理由で、眠気が出やすい第1世代や、非鎮静性ではない第2世代の抗ヒスタミン薬を、まだ処方しているケースが少なくないからです。また、市販薬においても、まだ鼻炎薬の8割程度が、眠気が出やすい薬となっている。こうした現状は少しずつ改善していかなくてはならないでしょう」(後藤さん)
後藤さんは、「花粉の時期くらい、多少の眠気が出ても仕方ないのではと言う医師もいるが、眠気がより出やすい薬は、安全性や作業効率の低下などに注意して処方する必要がある。また、第1世代の抗ヒスタミン薬は、睡眠の質や学習能力が低下しやすいことが懸念されるといった報告もある。働き盛りのビジネスマンには、比較的眠気が出にくい第2世代の抗ヒスタミン薬が適切だろう」とアドバイスする。今の薬が合わない、眠気が出やすい、効き目が弱いなどと感じていたら、医師に相談してみるといいだろう。
2016年の鼻アレルギー診療ガイドラインでは、理想的な抗ヒスタミン薬として「即効性があり効果が持続する」「副作用(眠気、作業効率の低下など)が少ない」「長期投与ができる(安全性)」「投与回数が1日1、2回でアドヒアランスが良い」の4点を挙げている。
こうした条件のもと、2018年4月に発売されたのが、世界初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬「アレサガテープ」だ。第2世代抗ヒスタミン薬に分類される「貼る花粉症薬」だ。本格的な花粉の飛散時期を初めて迎えるため、今季から本格的な活用が始まる。貼付薬とは皮膚に貼りつける薬で、有効成分が皮膚から吸収されるしくみ。内服薬とは代謝経路が異なるため、特に次のようなメリットがある
。 ・皮膚吸収であるため、胃腸・肝臓に負担をかけずに済む。
・薬効の血中濃度がフラットに安定するため、効果が持続することが期待できる。
 ただし、同じ場所に続けて貼ると、かゆくなったり赤くなったりしやすいので、貼る場所を毎日変更するなどの工夫が必要だ。
「貼る薬は、皮膚からの吸収でじわじわと血中に浸透していくため、効き目が安定し症状が変化しにくいという利点があります。『1日1回の内服薬では、朝飲んだら夕方に効き目が落ちる気がする』といった場合に、医師に切り替えを相談するのも一策かもしれません。また、ほかの抗ヒスタミン薬と比べて眠気がより抑えられたり(眠気が起きないということではない)、肌に貼るので、内服薬と違って貼り忘れに気付きやすいなど、使い勝手の面でもメリットを感じる人は多い。こうした貼る薬ならではの特徴は、アドヒアランスの向上につながるのではないでしょうか」(後藤さん)
つらい花粉症シーズンを楽に乗り切るには、効き目に優れた薬剤を使うだけでなく、薬剤を使うタイミングも重要であることをご存じだろうか。
まず、抗ヒスタミン薬などは、使い始めてから効果が出るまでにタイムラグがあることを押さえておきたい。また、花粉症では、繰り返し花粉を吸い込んでいるうちに、炎症が進み、症状が悪化する。症状がひどくなってから薬を使うのでは、症状が改善するまでにより多くの時間がかかってしまう。よって、花粉が飛ぶ前から薬での治療を始める(初期療法)ことが、シーズンを楽に乗り切る何よりのコツだ。そうすることで、症状が出る時期を遅らせ、ピーク時の症状を軽くすることができるという。
2019年は、広い範囲で例年より花粉の飛散量が「やや多い」との報告もある。早い地域では2月中旬から飛散開始となるため、そろそろ今年の花粉対策をどうするか、検討を始めよう。
〜日経Goodayより抜粋〜


2019年2月13日
「つらい花粉症に 効果続きやすい貼り薬も登場①」 日本医科大学耳鼻咽喉科学教室准教授の後藤穣さんに聞く
アレルギー性鼻炎のうち、花粉が抗原(原因物質)となり花粉が飛ぶ季節にだけアレルギー性鼻炎の症状が現れるものを「花粉症」という。近年では、ダニやペットの毛などによる通年性アレルギー性鼻炎と花粉症の両方を持つ人や、複数の花粉に反応するケースも増えている。
後藤さんによると、アレルギー性鼻炎の中でも、重症例が多いのが花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)だ。また、スギ花粉症患者の重症度を年齢別に調べたデータでは、20~39歳で「重症/最重症」の割合が最も多く約6割、40代で5割超と、働き盛りの人に重症度の高い患者が多いことが分かっている。
花粉症によるくしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状は、抗原(原因物質)が鼻腔に入ることで、肥満細胞がヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質を放出することから引き起こされる。ヒスタミンはくしゃみや鼻水を、ロイコトリエンなどは血管を刺激して鼻づまりを起こすと考えられているが、どんな症状が強く出るかは、個人差がある。また、繰り返し抗原が入ると、症状が強くなり慢性化してくる。
花粉症の治療法として、一般的に多く用いられているのは飲み薬や点鼻薬などの薬物療法だ。近年、レーザー治療、根治的な治療法としてアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法などがある)などが普及し、選択肢は広がっているが、手軽かつ即効性があるという点で、花粉症の症状緩和に薬の果たす役割は大きい。
花粉症で使われる主な薬剤としては、化学物質遊離抑制薬(肥満細胞からの化学物質の放出を抑える)や抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬などの抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬などが挙げられる。さらに、抗ヒスタミン薬は、第1世代、第2世代に分類され、いくつもの種類がある。
ここでまず押さえておきたいポイントは、「現在、スギ花粉症の薬物療法で使われる治療薬としては、より眠気が少ない『第2世代抗ヒスタミン薬』、その中でも集中力低下などの鎮静作用がより少ない『非鎮静性』のものが中心となっている」(後藤さん)ということだ。その理由として、より新しい第2世代抗ヒスタミン薬は、第1世代の欠点とされた副作用(眠気、口の渇きなど)が軽減されていることや、抗ヒスタミン作用に加えて抗アレルギー作用を持ち、鼻づまりにも効果が期待できることなどが挙げられる。
また、適切な薬剤を選択する上では、症状だけでなく重症度も重要であるが、第2世代抗ヒスタミン薬は、軽症から重症まで幅広く使用可能な薬剤であることが、ガイドラインにも記載されている。
 〜日経Goodayより抜粋〜


2019年2月12日
「糖質オフで話題の”カリフラワーライス”ってどんなもの?」
最近、話題に上がることの多い糖質オフ。中でも、ご飯をはじめとする炭水化物は、糖質オフのキーワードと言われている。そこで登場したのが、野菜をライスに見立てた食品だが、特に注目を集めているのが「カリフラワーライス」である。その正体を解明していこう。
1. カリフラワーライス登場の背景、糖質オフと炭水化物
糖質とは・・・糖質オフ、糖質制限など、糖質にまつわる言葉を耳にすることが増えた昨今。そもそも糖質とは何なのか?これは、人間が食事によって吸収する三大栄養素、炭水化物・たんぱく質・脂質の中でも、炭水化物と深い関わりがある栄養素だ。炭水化物は糖質と食物繊維からなるものだが、糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたものということになる。
糖質オフの意味・・・糖質が体内に入るとブドウ糖に分解され、まずは血液に吸収される。その後、肝臓に蓄えられ、血液を通してエネルギー源として利用される。糖質自体は、身体を動かすために必要不可欠な栄養素だが、問題になるのは、その量と質である。糖質の摂りすぎは、結果として肥満をもたらす可能性が高い。そのため、糖質の摂取量をきちんと守ることが重要だと言われるようになり、カリフラワーライスなどの糖質オフを可能にする食品が注目を集めるようになったのだ。
糖質の量と質・・・糖質の必要摂取量は、総エネルギー量の約半分が目安と言われているが、実際のところ大きく上回っているケースが多い。また、糖質の中でもお菓子やジュースなど、体内に入るとすぐに吸収され、血糖値を急激に上げる単純糖質と呼ばれるものの比率が高いことも問題視されている。
2. カリフラワーライスとはどのようなものか
糖質オフの救世主・・・糖質過多の状況は、日本に限らず世界でも問題視されており、おのずと糖質オフに注目が集まっている。そんな中、アメリカで生まれたのがカリフラワーライスである。米やパン、パスタといった主食の代替え食品として注目を集め、今ではスーパーでカリフラワーライスが商品として販売されているほどである。
カリフラワーライスの正体・・・カリフラワーライスは、その名の通り、カリフラワーをライス状にしたもの。ライス状と言っても、実際は細かく刻んだだけで、正体はカリフラワーそのものである。カリフラワーライスは、米に比べると糖質が4分の1と少なく。ビタミンやミネラルの含有量も多い。特にカリフラワーにはビタミンCが多く含まれていることでも知られている。色も白いので、細かく刻むとライス風に見えないこともない。市販品には、ブロッコリーを使用したものもある。
3. カリフラワーライスの上手な使い道
自家製も可能!・・・カリフラワーライスは、自宅で作ることも可能。フードプロセッサーが利用できると便利だ。作り方としては、小房に分けたカリフラワーをフードプロセッサーに投入して、細かくするだけ。そのままだとやや野菜臭さが気になるので、オイルで炒めると美味しい。
かけご飯がおすすめ・・・カリフラワーライスは、あくまでもカリフラワー。白米のような味わいが楽しめるわけではないので、食べ方に工夫をするとよい。おすすめはかけご飯。カレーやシチュー、チキンやラム肉のトマト煮込み、中華あんかけなど、具材をかけて食べる料理がおすすめ。初心者でも、抵抗なく食べることができるはずだ。
サラダにもアレンジできる・・・カリフラワーライスは、ライスサラダ感覚で食べるのもおすすめ。クスクスにも似た雰囲気なので、タブレ風にするとよいだろう。さいの目にした野菜とカリフラワーライスを和えて、塩胡椒とオイルで味付けをする。レモンをたっぷり絞ると、味が引き締まってより美味しい。
結論・・・糖質オフの概念から登場した、カリフラワーライス。これを毎日の主食にするのは、なかなか難しいが、たまの置き換えなら難なくトライできそうだ。味の濃い具材をかけたり、サラダ感覚で調理する方法が食べやすいので、おすすめ。一度にたくさん作っておけば冷凍保存ができるので、まずはカリフラワー1房で作ってみるのがよいかもしれない。
 〜飯尾副院長提供:NewsCafeより〜


2019年2月9日
「糖質オフで話題の”カリフラワーライス”ってどんなもの?」
最近、話題に上がることの多い糖質オフ。中でも、ご飯をはじめとする炭水化物は、糖質オフのキーワードと言われている。そこで登場したのが、野菜をライスに見立てた食品だが、特に注目を集めているのが「カリフラワーライス」である。その正体を解明していこう。
1. カリフラワーライス登場の背景、糖質オフと炭水化物
糖質とは・・・糖質オフ、糖質制限など、糖質にまつわる言葉を耳にすることが増えた昨今。そもそも糖質とは何なのか?これは、人間が食事によって吸収する三大栄養素、炭水化物・たんぱく質・脂質の中でも、炭水化物と深い関わりがある栄養素だ。炭水化物は糖質と食物繊維からなるものだが、糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたものということになる。
糖質オフの意味・・・糖質が体内に入るとブドウ糖に分解され、まずは血液に吸収される。その後、肝臓に蓄えられ、血液を通してエネルギー源として利用される。糖質自体は、身体を動かすために必要不可欠な栄養素だが、問題になるのは、その量と質である。糖質の摂りすぎは、結果として肥満をもたらす可能性が高い。そのため、糖質の摂取量をきちんと守ることが重要だと言われるようになり、カリフラワーライスなどの糖質オフを可能にする食品が注目を集めるようになったのだ。
糖質の量と質・・・糖質の必要摂取量は、総エネルギー量の約半分が目安と言われているが、実際のところ大きく上回っているケースが多い。また、糖質の中でもお菓子やジュースなど、体内に入るとすぐに吸収され、血糖値を急激に上げる単純糖質と呼ばれるものの比率が高いことも問題視されている。
2. カリフラワーライスとはどのようなものか
糖質オフの救世主・・・糖質過多の状況は、日本に限らず世界でも問題視されており、おのずと糖質オフに注目が集まっている。そんな中、アメリカで生まれたのがカリフラワーライスである。米やパン、パスタといった主食の代替え食品として注目を集め、今ではスーパーでカリフラワーライスが商品として販売されているほどである。
カリフラワーライスの正体・・・カリフラワーライスは、その名の通り、カリフラワーをライス状にしたもの。ライス状と言っても、実際は細かく刻んだだけで、正体はカリフラワーそのものである。カリフラワーライスは、米に比べると糖質が4分の1と少なく。ビタミンやミネラルの含有量も多い。特にカリフラワーにはビタミンCが多く含まれていることでも知られている。色も白いので、細かく刻むとライス風に見えないこともない。市販品には、ブロッコリーを使用したものもある。
3. カリフラワーライスの上手な使い道
自家製も可能!・・・カリフラワーライスは、自宅で作ることも可能。フードプロセッサーが利用できると便利だ。作り方としては、小房に分けたカリフラワーをフードプロセッサーに投入して、細かくするだけ。そのままだとやや野菜臭さが気になるので、オイルで炒めると美味しい。
かけご飯がおすすめ・・・カリフラワーライスは、あくまでもカリフラワー。白米のような味わいが楽しめるわけではないので、食べ方に工夫をするとよい。おすすめはかけご飯。カレーやシチュー、チキンやラム肉のトマト煮込み、中華あんかけなど、具材をかけて食べる料理がおすすめ。初心者でも、抵抗なく食べることができるはずだ。
サラダにもアレンジできる・・・カリフラワーライスは、ライスサラダ感覚で食べるのもおすすめ。クスクスにも似た雰囲気なので、タブレ風にするとよいだろう。さいの目にした野菜とカリフラワーライスを和えて、塩胡椒とオイルで味付けをする。レモンをたっぷり絞ると、味が引き締まってより美味しい。
結論・・・糖質オフの概念から登場した、カリフラワーライス。これを毎日の主食にするのは、なかなか難しいが、たまの置き換えなら難なくトライできそうだ。味の濃い具材をかけたり、サラダ感覚で調理する方法が食べやすいので、おすすめ。一度にたくさん作っておけば冷凍保存ができるので、まずはカリフラワー1房で作ってみるのがよいかもしれない。
 〜飯尾副院長提供:NewsCafeより〜


2019年2月8日
「糖質オフで話題の”カリフラワーライス”ってどんなもの?」
最近、話題に上がることの多い糖質オフ。中でも、ご飯をはじめとする炭水化物は、糖質オフのキーワードと言われている。そこで登場したのが、野菜をライスに見立てた食品だが、特に注目を集めているのが「カリフラワーライス」である。その正体を解明していこう。
1. カリフラワーライス登場の背景、糖質オフと炭水化物
糖質とは・・・糖質オフ、糖質制限など、糖質にまつわる言葉を耳にすることが増えた昨今。そもそも糖質とは何なのか?これは、人間が食事によって吸収する三大栄養素、炭水化物・たんぱく質・脂質の中でも、炭水化物と深い関わりがある栄養素だ。炭水化物は糖質と食物繊維からなるものだが、糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたものということになる。
糖質オフの意味・・・糖質が体内に入るとブドウ糖に分解され、まずは血液に吸収される。その後、肝臓に蓄えられ、血液を通してエネルギー源として利用される。糖質自体は、身体を動かすために必要不可欠な栄養素だが、問題になるのは、その量と質である。糖質の摂りすぎは、結果として肥満をもたらす可能性が高い。そのため、糖質の摂取量をきちんと守ることが重要だと言われるようになり、カリフラワーライスなどの糖質オフを可能にする食品が注目を集めるようになったのだ。
糖質の量と質・・・糖質の必要摂取量は、総エネルギー量の約半分が目安と言われているが、実際のところ大きく上回っているケースが多い。また、糖質の中でもお菓子やジュースなど、体内に入るとすぐに吸収され、血糖値を急激に上げる単純糖質と呼ばれるものの比率が高いことも問題視されている。
2. カリフラワーライスとはどのようなものか
糖質オフの救世主・・・糖質過多の状況は、日本に限らず世界でも問題視されており、おのずと糖質オフに注目が集まっている。そんな中、アメリカで生まれたのがカリフラワーライスである。米やパン、パスタといった主食の代替え食品として注目を集め、今ではスーパーでカリフラワーライスが商品として販売されているほどである。
カリフラワーライスの正体・・・カリフラワーライスは、その名の通り、カリフラワーをライス状にしたもの。ライス状と言っても、実際は細かく刻んだだけで、正体はカリフラワーそのものである。カリフラワーライスは、米に比べると糖質が4分の1と少なく。ビタミンやミネラルの含有量も多い。特にカリフラワーにはビタミンCが多く含まれていることでも知られている。色も白いので、細かく刻むとライス風に見えないこともない。市販品には、ブロッコリーを使用したものもある。
3. カリフラワーライスの上手な使い道
自家製も可能!・・・カリフラワーライスは、自宅で作ることも可能。フードプロセッサーが利用できると便利だ。作り方としては、小房に分けたカリフラワーをフードプロセッサーに投入して、細かくするだけ。そのままだとやや野菜臭さが気になるので、オイルで炒めると美味しい。
かけご飯がおすすめ・・・カリフラワーライスは、あくまでもカリフラワー。白米のような味わいが楽しめるわけではないので、食べ方に工夫をするとよい。おすすめはかけご飯。カレーやシチュー、チキンやラム肉のトマト煮込み、中華あんかけなど、具材をかけて食べる料理がおすすめ。初心者でも、抵抗なく食べることができるはずだ。
サラダにもアレンジできる・・・カリフラワーライスは、ライスサラダ感覚で食べるのもおすすめ。クスクスにも似た雰囲気なので、タブレ風にするとよいだろう。さいの目にした野菜とカリフラワーライスを和えて、塩胡椒とオイルで味付けをする。レモンをたっぷり絞ると、味が引き締まってより美味しい。
結論・・・糖質オフの概念から登場した、カリフラワーライス。これを毎日の主食にするのは、なかなか難しいが、たまの置き換えなら難なくトライできそうだ。味の濃い具材をかけたり、サラダ感覚で調理する方法が食べやすいので、おすすめ。一度にたくさん作っておけば冷凍保存ができるので、まずはカリフラワー1房で作ってみるのがよいかもしれない。
 〜飯尾副院長提供:NewsCafeより〜


2019年2月7日
「糖質オフで話題の”カリフラワーライス”ってどんなもの?」
最近、話題に上がることの多い糖質オフ。中でも、ご飯をはじめとする炭水化物は、糖質オフのキーワードと言われている。そこで登場したのが、野菜をライスに見立てた食品だが、特に注目を集めているのが「カリフラワーライス」である。その正体を解明していこう。
1. カリフラワーライス登場の背景、糖質オフと炭水化物
糖質とは・・・糖質オフ、糖質制限など、糖質にまつわる言葉を耳にすることが増えた昨今。そもそも糖質とは何なのか?これは、人間が食事によって吸収する三大栄養素、炭水化物・たんぱく質・脂質の中でも、炭水化物と深い関わりがある栄養素だ。炭水化物は糖質と食物繊維からなるものだが、糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたものということになる。
糖質オフの意味・・・糖質が体内に入るとブドウ糖に分解され、まずは血液に吸収される。その後、肝臓に蓄えられ、血液を通してエネルギー源として利用される。糖質自体は、身体を動かすために必要不可欠な栄養素だが、問題になるのは、その量と質である。糖質の摂りすぎは、結果として肥満をもたらす可能性が高い。そのため、糖質の摂取量をきちんと守ることが重要だと言われるようになり、カリフラワーライスなどの糖質オフを可能にする食品が注目を集めるようになったのだ。
糖質の量と質・・・糖質の必要摂取量は、総エネルギー量の約半分が目安と言われているが、実際のところ大きく上回っているケースが多い。また、糖質の中でもお菓子やジュースなど、体内に入るとすぐに吸収され、血糖値を急激に上げる単純糖質と呼ばれるものの比率が高いことも問題視されている。
2. カリフラワーライスとはどのようなものか
糖質オフの救世主・・・糖質過多の状況は、日本に限らず世界でも問題視されており、おのずと糖質オフに注目が集まっている。そんな中、アメリカで生まれたのがカリフラワーライスである。米やパン、パスタといった主食の代替え食品として注目を集め、今ではスーパーでカリフラワーライスが商品として販売されているほどである。
カリフラワーライスの正体・・・カリフラワーライスは、その名の通り、カリフラワーをライス状にしたもの。ライス状と言っても、実際は細かく刻んだだけで、正体はカリフラワーそのものである。カリフラワーライスは、米に比べると糖質が4分の1と少なく。ビタミンやミネラルの含有量も多い。特にカリフラワーにはビタミンCが多く含まれていることでも知られている。色も白いので、細かく刻むとライス風に見えないこともない。市販品には、ブロッコリーを使用したものもある。
3. カリフラワーライスの上手な使い道
自家製も可能!・・・カリフラワーライスは、自宅で作ることも可能。フードプロセッサーが利用できると便利だ。作り方としては、小房に分けたカリフラワーをフードプロセッサーに投入して、細かくするだけ。そのままだとやや野菜臭さが気になるので、オイルで炒めると美味しい。
かけご飯がおすすめ・・・カリフラワーライスは、あくまでもカリフラワー。白米のような味わいが楽しめるわけではないので、食べ方に工夫をするとよい。おすすめはかけご飯。カレーやシチュー、チキンやラム肉のトマト煮込み、中華あんかけなど、具材をかけて食べる料理がおすすめ。初心者でも、抵抗なく食べることができるはずだ。
サラダにもアレンジできる・・・カリフラワーライスは、ライスサラダ感覚で食べるのもおすすめ。クスクスにも似た雰囲気なので、タブレ風にするとよいだろう。さいの目にした野菜とカリフラワーライスを和えて、塩胡椒とオイルで味付けをする。レモンをたっぷり絞ると、味が引き締まってより美味しい。
結論・・・糖質オフの概念から登場した、カリフラワーライス。これを毎日の主食にするのは、なかなか難しいが、たまの置き換えなら難なくトライできそうだ。味の濃い具材をかけたり、サラダ感覚で調理する方法が食べやすいので、おすすめ。一度にたくさん作っておけば冷凍保存ができるので、まずはカリフラワー1房で作ってみるのがよいかもしれない。
 〜飯尾副院長提供:NewsCafeより〜


2019年2月6日
「高カロリーなのはファストフードだけではない」
外食のエネルギー量は、フルサービス食およびファストフード食のいずれもきわめて高く、むしろファストフード食のほうが低い傾向があり、これは広範な地域でみられる現象で、世界的な肥満の下支えとなっている可能性が、米国・タフツ大学のSusan B. Roberts氏らの調査で明らかとなった。肥満の有病率は多くの国で増加し続けている。大規模にチェーン展開しているレストランの栄養情報によると、ファストフードは世界的な肥満の最も重要な寄与因子とされるが、他の形式のレストランの食事については、エネルギー量の測定データがなく、肥満への寄与の程度はほとんど知られてないという。
研究グループは、5ヵ国のフルサービスおよびファストフードのレストランの、注文数の多い食事のエネルギー量を測定し、米国と比較する横断的調査を行った。
モデル解析では、中国を除くと、現在のフルサービス食またはファストフード食を毎日1食摂ると、追加食や飲み物、間食、前菜、デザートを摂らなくても、あまり体を動かさない女性に求められる1日のエネルギー量の70~120%が供給される可能性が示唆された。
著者は、「一般的な思い込みに反し、ファストフード食のエネルギー量は、フルサービスのレストランの食事よりも3割以上も低かった」とまとめ、「高エネルギーのレストランの食事は、世界的な肥満蔓延の重大な寄与因子であり、公衆衛生的介入における影響力の大きい標的として妥当である」と指摘している。
 〜CareNetより抜粋〜


2019年2月5日
「半年間のウォーキングで脳が若返る?」
記憶力や思考力に衰えを感じたら、ウォーキングなどの適度な運動を半年間ほど続けると脳が若返るかもしれない-。こんな研究結果を、米デューク大学医学部教授のJames Blumenthal氏らが「Neurology」オンライン版に発表した。記憶力や思考力が低下した55歳以上の男女が運動を6カ月間続けたところ、目前の状況を把握し、物事を整理して考えて行動する「実行機能」が特に向上することが分かった。
この研究は、客観的な検査で記憶力や思考力に低下がみられた55歳以上の男女160人を対象としたもの。参加者にはアルツハイマー病などの認知症はみられなかったが、実年齢の平均は65歳だったにもかかわらず、実行機能の成績は90歳代の前半に相当していた。また、参加者は高血圧などの心血管リスク因子を有していた。
この結果について、専門家らは、一般的に考えられている「健康的な生活習慣は脳の老化を防止する」という説を裏付けるものだとしている。その一人で米アルツハイマー病協会のKeith Fargo氏は「今回の研究に参加した人は高齢で、既に認知機能の低下がみられ、心血管リスク因子もある人だった」と指摘した上で、「運動を始めるのに遅すぎることはない」と述べている。また、同氏は「ランダム化比較試験で運動による認知機能への効果が示されたことは意義深い」と付け加えている。
Blumenthal氏は、運動や食生活の改善が認知機能に好影響をもたらした理由は明らかではないが、「今回の結果では、運動による体力向上とテストの成績の間には関連がみられたほか、血圧などの心血管リスク因子を改善しても成績は向上した」と説明している。ただ、同氏は「運動や食生活の改善が認知症予防につながるかどうかは明らかになっていない」と強調し、これらの有効性を検証する大規模な研究を行う必要があるとしている。
また、Fargo氏は、運動することで血流が改善し、脳への酸素供給量が増えたことが認知機能の改善につながっているのではとの見方を示している。同氏によれば、同協会は今後、運動と食生活、社会参加、パズルやクロスワードなどの知的活動の組み合わせが、認知機能にどのような影響を及ぼすのかを検証する研究を実施する予定だという。
 〜CareNetより抜粋〜


2019年2月4日
「地域ぐるみで認知症予防を……茨城・牛久で研究スタート」
運動や脳のトレーニングを楽しんでもらいながら、高齢者の認知症や活力低下の予防を目指す研究が1月下旬、茨城県牛久市で始まった。企業と研究者が連携し、筋肉を鍛える、クイズに答えるなどのメニューを用意。高齢者が好みのメニューを選んで、積極的に参加できるように工夫した。
「『人生をカッコよく』プロジェクト」と銘打った研究は、認知症対策の普及を図る企業「知の啓発社」(茨城県)が厚生労働省の補助金を受けて主導。ネスレ日本(兵庫県)、ニッセイ情報テクノロジー(東京都)など6社が協力し、朝田隆・東京医科歯科大学特任教授が監修している。
近年の研究で、運動は筋力や体力の低下を防ぎ、さらに認知症発症のリスクを下げることが分かってきた。脳トレーニングも認知機能の低下を抑えられると期待されている。ただ、健康教室で単一のメニューが用意されても、楽しめなければ高齢者は参加しなくなるという課題がある。
今回、画面に映る講師の動きに合わせて高齢者がかかと上げなどの運動をする、タブレット端末で間違い探しや条件に合う図形の選択のゲームをするなど、計11種のメニューを研究チームは提供している。いずれも10~30分ほどででき、市内の集会所で実施してもらう。参加回数に応じてポイントがたまり、ポイントに応じてプレゼントが得られる。
対象は牛久小学校周辺の約5000戸。研究チームは3月下旬までの2か月間で、高齢者計300人の参加を見込む。各メニューへの参加状況や利用のしやすさを調べるほか、参加した個人の利用データを蓄積し、認知機能や筋力の改善具合も分析する。
研究の説明会が開かれた1月28日、高齢者たちがタブレット端末を手に取りクイズを体験した。市内の女性(74)は「面白い内容だった。こまめに参加し、認知症を防げるようにしたい」と話していた。
研究チームは集会所に、認知症が心配な人やその家族を対象に、支援団体が相談に乗る部屋も設ける。希望に応じて医療機関や地域包括支援センターを紹介し、認知症の早期発見や支援開始につなげたい考えだ。
〜飯尾副院長提供:Medical Tribuneより〜


2019年2月2日
「ノンシュガー甘味料の健康への影響~メタ解析」
ドイツ・フライブルク大学のIngrid Toews氏らによる無作為化/非無作為化比較試験および観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、ノンシュガー甘味料(non-sugar sweeteners:NSS)の摂取群と非摂取群とでほとんどの健康上のアウトカムに差はみられないことが示された。ただし、著者は「NSSの摂取が有益であるという有力な証拠はなく、NSS摂取の潜在的な有害性が排除されたわけではない」とまとめている。これまでの研究では、NSS摂取による健康への影響(体重、糖尿病、がん、口腔衛生など)が示唆されていたが、一貫したエビデンスは得られていなかった。
研究グループは、Medline(Ovid)、Embase、Cochrane CENTRAL、WHO International Clinical Trials Registry Platform、ClinicalTrials.gov、および関連する参考文献リストを検索し、過体重/肥満の有無にかかわらず一般的な健康成人/小児を対象に、NSSの非摂取/低摂取と高摂取を直接比較した研究のうち、使用したNSSが明記され、摂取量が1日許容量の範囲内であり、介入期間が7日間以上の研究を特定し、標準的なコクランレビューの方法論に従いシステマティックレビューを実施した。
主要評価項目は、体重/BMI、血糖コントロール、口腔衛生、摂食行動、甘味の好み、がん、心血管疾患、腎疾患、気分、行動、神経認知機能、有害事象であった。1万3,941報がスクリーニングされ、56件の研究が今回のレビューに組み込まれた。このうち、35件が観察研究であった。成人では、症例数の少ない小規模な研究において、BMI(平均差:-0.6、95%信頼区間[CI]:-1.19~-0.01、2件の研究[174例])ならびに空腹時血糖(平均差:-0.16mmol/L、95%CI:-0.26~-0.06、2件の研究[52例])に関してNSSのわずかな有益性が示されたが、エビデンスの質はそれぞれ、低い、非常に低い、であった。
また、1件の研究(1万7,934例)において、NSSの低摂取は高摂取と比較し体重増加が少ないことが示されたが(平均差:-0.09kg、95%CI:-0.13~-0.05)、エビデンスの質は非常に低かった。他の評価項目についてはすべて、NSS摂取と非摂取ならびに摂取量の違いで有意差は認められなかった。
積極的に減量に取り組んでいる過体重/肥満の成人/小児において、NSSの有効性を示すいかなるエビデンスも確認されなかった(エビデンスの質は非常に低い~中程度)。
小児における検討で、NSS摂取は砂糖の摂取と比較し、BMI Zスコアのわずかな増加が確認されたが(平均差:-0.15、95%CI:-0.17~-0.12、2件の研究[528例]、エビデンスの質は中程度)、体重の差は認められず(平均差:-0.60kg、95%CI:-1.33~0.14、2件の研究[467例]、エビデンスの質は低い)、NSS摂取量の違いによる有意差は確認されなかった(エビデンスの質は非常に低い~中等度)。
なお、著者は、多くの研究は参加者が少なく、短期間であり、研究の方法論や質が限られていたことから、「今後は、適切な介入期間でNSSの影響を評価する必要があり、すべての報告で比較対照や介入法、評価項目について詳細に記述すべきである」と指摘している。
〜CareNetより〜


2019年2月1日
「揚げ物の摂取頻度が死亡リスクに影響」
揚げ物、とくにフライドチキンや魚介類のフライの頻回摂取は、全死因死亡および心血管死亡のリスクを高めることが、米国・アイオワ大学のYangbo Sun氏らによる、閉経後女性を対象とした大規模前向きコホート研究「Women's Health Initiative(WHI)研究」のデータ解析の結果、示された。北米成人の約25~36%が、毎日ファストフード店で揚げ物を食べているという。揚げ物の死亡への影響については、科学的エビデンスが乏しく議論の的になっていた。
研究グループは、1993年9月~1998年9月に米国の40施設で行われたWHI研究に登録された、登録時50~79歳の閉経後女性10万6,966例を、2017年2月まで追跡調査した。 自己記入式食事摂取頻度調査により、揚げ物の摂取頻度と1人前の分量について評価。揚げ物は、フライドチキン、魚介類(魚、エビ、カキ)のフライ、その他の揚げ物に分類した。主要評価項目は、全死因死亡、心血管死亡、がん死亡とし、Cox比例ハザードモデルを用いて、揚げ物の摂取との関連を解析した。
追跡した191万4,691人年において、3万1,558例が死亡した。揚げ物の総摂取量については、1日1人前以上を摂取している群は非摂取群と比較し、多変量補正後ハザード比が、全死因死亡1.08(95%CI:1.01~1.16)、心血管死1.08(95%CI:0.96~1.22)であった。
また、フライドチキンを1週間に1人前以上摂取している群は非摂取群と比較し、全死因死亡1.13(95%CI:1.07~1.19)、心血管死亡1.12(95%CI:1.02~1.23)であった。同様に魚介類のフライの摂取に関するハザード比は、全死因死亡1.07(95%CI:1.03~1.12)、心血管死亡1.13(95%CI:1.04~1.22)であった。
揚げ物の総摂取量および種類別摂取量と、がん死亡との一般的な関連は確認されなかった。
なお結果について著者は、揚げ方や揚げ油などに関する情報が限られていること、食物そのものの影響と揚げることによる影響を分けることができないこと、残余交絡の可能性があることなどを研究の限界として挙げている。
〜CareNetより〜


2019年1月31日
「子どもがなかなか薬を飲んでくれない時、どのくらい飲ませれば大丈夫?」
薬を子ども(特に乳幼児)に飲ませる苦労は、子育てを経験したことがない方にはなかなか分からないと思います。かく言う私も、薬局に勤務するようになるまで、自分の子どもに薬を飲ませたことはなく、その大変さには気付いていませんでした。
しかし、子育て中の同僚の薬剤師に聞くと、朝、保育園に連れて行く前に薬を飲ませるのはひと苦労だそうですね。「子どもは機嫌が悪いとそっぽを向くし、他のことをしていれば嫌がって泣き出すし……。仕事が始まる時間を気にしながら、身支度もしなくてはなどと毎日焦っています」。これは仕事をしているお父さん、お母さんにとってはよくある光景だと思います。
また、保育園で子どもが熱を出せば、仕事を中断して保育園に駆けつけ、その後、小児科を受診するわけです。そこで散々待って診察を受け、処方箋をもらって薬局に来ます。 その薬局で、「お薬は必ず飲ませてくださいね」と言われ、家に帰って子どもに飲ませようと頑張るものの、嫌がって泣かれる。そんなことをしていたら夕食の準備もできない……。
われわれ、小児科の処方箋を受け取る薬剤師は、何とか薬を飲んでもらいたいと思い、「ゼリーに混ぜて」とか、「ジュースに混ぜて」とか、「少量に分けて」とか毎回必死で説明します。でもある時ふと、「こういう指導はお父さんやお母さんを逆に追い詰めているのではないか」と感じたのです。
そう考えた時に、結婚式でよく聞く吉野弘氏の『祝婚歌』の一節を思い出しました。

「正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい」(『祝婚歌』より、一部を引用)

まじめな親御さんは、ジュースに溶かした時の残りかすも気にします。そんな親御さんに対して服薬指導という正論をかざして、追い詰めてしまっていないか――。
そう悩んでいた時に参考になったのが、患児の服薬アドヒアランス(*1)とその後の症状の変化を調べた研究です。予想通り、「服薬できた」子と「あまり服薬できなかった」子では、症状悪化や不変を訴えた割合が有意に後者の方が多くなっていましたが、興味深いのは、「服薬できた」子と「だいたい服薬できた」子の差には有意差がなかった点です。つまり、服薬はパーフェクトでなくても、だいたい飲めれば効果は得られるのです。
このことから私は、「お薬飲めていますか?」と聞いて、困った顔をする親御さんには「だいたい飲めていれば大丈夫ですよ」と言っています。「むしろ一度失敗しても諦めないことの方が大事ですよ」と伝えています。
ただ、安易に「だいたい飲めればいい」と言うのはやや言い過ぎなような気もします。個人的には、「だいたい飲めれば良くなりますよ、でも、しっかり飲ませてあげた方が早く保育園に行けますよ」とお伝えするのが一番かなと思っています。
*1 服薬アドヒアランス:薬の作用や副作用について納得した上で、患者自身が主体的・能動的に服薬を行うこと
 〜日経Goodayより抜粋〜


2019年1月30日
「便秘が、全死亡・心血管イベントリスクと関連」
便秘は日常診療で最も遭遇する症状の1つであり、アテローム性動脈硬化症の発症と関連している(腸内微生物叢の変化による可能性)が、心血管イベント発症との関連についてはほとんど知られていない。今回、米国退役軍人コホートにおける研究から、便秘であることと便秘薬の使用がそれぞれ独立して、全死因死亡、CHD発症、虚血性脳卒中発症のリスクと関連していたことを、米国テネシー大学/虎の門病院の住田 圭一氏らが報告した。Atherosclerosis誌オンライン版2018年12月23日号に掲載。
2004年10月1日~2006年9月30日(ベースライン期間)に、推算糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2以上であった米国退役軍人335万9,653例において、2013年まで追跡し、便秘の有無(診断コードと便秘薬の使用により定義)・便秘薬の使用(なし、1種類、2種類以上)と、全死因死亡率・冠動脈疾患(CHD)発症・虚血性脳卒中発症との関連を検討した。
主な結果は以下のとおり。
・335万9,653例のうち、23万7,855例(7.1%)が便秘と同定された。
・人口統計、一般的な併存症、薬物治療、社会経済的地位に関する多変量調整後、便秘の患者は、便秘ではない患者と比べて全死因死亡率が12%高く(ハザード比[HR]:1.12、95%CI:1.11~1.13)、CHD発症率が11%(HR:1.11、95%CI:1.08~1.14)、虚血性脳卒中発症率が19%高かった(HR:1.19、95%CI:1.15~1.22)。
・便秘薬使用なしの患者に比べ、1種類および2種類以上の便秘薬使用患者のHR(95%CI)はそれぞれ、全死因死亡率で1.15(1.13~1.16)および1.14(1.12~1.15)、CHD発症率で1.11(1.07~1.15)および1.10(1.05~1.15)、虚血性脳卒中発症率で1.19(1.14~1.23)および1.21(1.16~1.26)であった。
〜飯尾副院長提供:CareNetより〜


2019年1月29日
『高血圧患者が急増? 成人も「130/80」に目標変更へ』
血圧はどこまで下げた方がいいのか。米国で高血圧の診断基準が引き下げられたことを受け、国内でもガイドライン改訂を見据えて議論が進んでいる。現在のところ、日本では診断基準は変えないものの、治療の目標値が引き下げられる方向だ。現在治療を受けている約1千万人の高血圧患者はさらに薬が増える見込みで、厳しい服薬管理が求められそうだ。 昨年、米国の学会が24年ぶりに医師が「あなたは高血圧です」と診断する基準を変更し、大きな衝撃が走った。しばしば「上の数字」「下の数字」という血管の収縮期と拡張期のそれぞれの血圧を「140/90」から「130/80」に引き下げたからだ。
米国の高血圧患者は推計で7220万人。診断基準の引き下げで患者は一気に1億330万人に増えることになった。診断基準を引き下げた主な根拠は臨床試験の最新データで「130/80」以上でも脳卒中などのリスクが増えると分かったためだ。米国の基準引き下げを受け、今年の春にガイドラインの改訂を控える日本でも議論が進んでいる。もし米国と同様に引き下げれば、高血圧患者は現在の4300万人から2000万人増えて6300万人になる。日本の総人口の半分、成人の6割が「高血圧」になってしまう計算だ。 だが日本高血圧学会は昨年9月に開いた総会で「診断基準は変えない」という方針案を公表。議論に加わった学会関係者は「欧州の学会が6月に基準(140/90)を変えないと表明したので、日本でも変える必要はないとの意見が大勢を占めた」と説明する。正式な決定は春になるが、このままいけば日本で高血圧患者が激増するといった事態は避けられそうだ。東京都内で開業する60代の内科医は「患者が混乱せずに済みそうでよかった」と話す。
とはいえ、現在治療を受けている約1千万人の高血圧患者には、少なからず影響がある。なぜなら新しい方針案で治療の目標値が引き下げられたからだ。これまで高血圧の治療を受ける患者の目標値は75歳以上の高齢者が「150/90」、75歳未満の成人が「140/90」だったが、新しい方針案は高齢者が「140/90」、一般成人は「130/80」未満に下げることが目標となる。
引き下げ幅は米国と同様に10ポイントで、ほぼ降圧薬1種類を服用した場合の低下幅に相当し、降圧薬が1種類追加されるイメージだ。高血圧の治療に詳しい東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師は「多くの患者は今まで以上に積極的な治療が必要になってくる」と解説する。薬の種類や服用回数が増えると、飲まなくなる人も増えてくる。特に高血圧では薬が多く、一方で効果は実感しにくいため、治療目標値への到達率が低い。日本では男性で30%、女性で40%の患者しか到達していない。
到達率が低いのは世界共通で問題視されている。学会関係者は「高血圧は診断が簡単で優れた薬がいくつもあるのに、ここ10年低いままだ」とこぼす。こうした場合、2種類、3種類の降圧薬を1錠にまとめた配合剤を選択するのは1つの方法だ。従来のまま複数の薬を処方され、服用しやすい配合剤を医師から知らされていない患者も多い。最近は後発薬で安価な配合剤も増えている。一方で、夏場には血圧低下や脱水が起きやすく、季節に応じて薬の種類や量を調整する医師も多い。配合剤にはそうした調整がしにくいものもあるため医師との相談が必要となる。
日本高血圧学会の新しい基準案は、今後パブリックコメントを集めた上でさらに議論し、4月には正式に決定される予定だ。高血圧の患者はこれまで以上に定められた薬を飲む必要性が高まりそうだ。米国のガイドラインが改訂されたのは、降圧の是非に関する論争に終止符を打つ試験結果が発表されたことが大きい。
これまで、高齢者では血圧をあまり下げない方がいいという考えや、下げすぎるとかえって有害な結果を生み出すという考えがあり、議論がまとまらなかった。そこで「米国政府は決着をつけるために試験し、やはり下げた方がいいという結果を出した」(東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師)。
スプリント試験と呼ぶ臨床試験の結果、収縮期血圧を従来の140未満まで下げた群よりも、120未満に下げた群の方が心筋梗塞などが少なかった。過去にこうした降圧薬の臨床試験では一部の製薬企業が不正を働くなど不信感が残るが、桑島氏は「臨床試験の監視が厳しくなったのに加え、今は降圧薬はほとんど価格の低い後発薬に置き換わっており、製薬企業が不正を働いた結果ではない」と指摘している。
 〜日経Goodayより抜粋〜


2019年1月28日
「体重を毎日測定すべきに賛否両論」
2018年11月に開かれたAHAの年次集会で、毎日の体重測定が体重管理に有益とする研究結果が発表された。
1,042人の成人を1年間にわたり追跡した結果、週に1回以下の頻度で体重を測った人では体重が減らなかったのに対し、週に6~7回測った人では、体重が平均で1.7%減少したことが分かった。
この結果について、米セント・ルーク・ヘルスシステム・ハンフリーズ糖尿病センターのAmy Walters氏は「こうした行動はセルフモニタリングと呼ばれ、あらゆる種類の行動変容に適用できるエビデンスに基づいた方法の一つだ」と指摘する。同氏は「自分の行動の変化を把握することは、責任感を持つようになるだけでなく、フィードバックを得てモチベーションの源にもなる。つまり、“計画通り実行すれば、変化は本当に現れる”ということが理解できるようになる」と説明している。
ただし、頻繁に体重計に乗り過ぎると、体重のことが頭から離れなくなってしまうこともある。Walters氏は「測定値にこだわり過ぎず、体重の変化に注目することが重要だ。体重を毎日測定しても変化がみられないと、気分が落ち込んだり、モチベーションが落ちたりする可能性がある」と指摘する。健康的な生活習慣や減量をテーマに4冊の著書がある米メリーランドの医師、Pamela Peeke氏も、Walters氏の意見に同意し、「体重を毎日測るのは減量目標の達成に有用だが、それにより不安を感じるのであればやめた方がよい」と話している。
不安やモチベーションの低下には、いくつかの要因が関与すると考えられる。体重計の種類や測定するタイミングが違うと測定値にも影響するため、専門家らは同じ体重計で、毎日同じ時間帯に測ることを勧めている。Zerner氏によれば、「朝起きたらまず測定するのがベスト」だという。
また、Walters氏は「同じ体重計でも水分の摂取量やホルモン値、身体活動量などに応じて測定値が上下する可能性もある」と説明し、数字にこだわり過ぎないでほしいと呼び掛けている。一方、Zerner氏は、体重計はたくさんあるツールの中の一つに過ぎないとしながらも、体重測定はフィードバックになり、自分の健康状態に気を配るきっかけになるとしている。その上で、同氏は、体重だけでなく、体脂肪率とウエスト周囲長も測ることが望ましいと助言している。
 〜CareNetより抜粋〜


2019年1月25日
「妊娠中のインフル罹患は新生児の健康に悪影響」
妊娠中の女性は、自分自身だけでなく胎児のためにもインフルエンザの予防接種を受ける方がよい―。こんな研究結果を、米疾病対策センター(CDC)傘下の国立出生異常・発達障害センター(NCBDDD)のKim Newsome氏らが「Birth Defects Research」1月9日オンライン版に発表した。この研究では、妊婦がインフルエンザに罹患すると重症化しやすい以外にも、早産や低出生体重児などのリスクが高まることが示された。
Newsome氏は「この結果は、妊婦はインフルエンザのワクチンを接種する必要があり、もしインフルエンザに罹患した場合は、迅速かつ適切な治療を行う重要性を裏付けるものだ」と述べている。
CDCは、生後6カ月を迎えたら全員がインフルエンザの予防接種を毎年受けることを推奨している。特に、妊婦や乳幼児、高齢者、慢性疾患のある患者は合併症リスクが高く、ワクチン接種が重要となる。妊娠中は免疫系や心臓、肺などに変化が生じるため、妊娠中と産後2週間はインフルエンザに罹ると重症化しやすいとされる。CDCによると、米国では、今シーズン(2018/19)はA型のH1N1とH3N2が流行しているが、今年のワクチンはいずれの株にも有効性が高いと考えられ、今から接種しても遅くはないという。
今回の研究では、2009年4月~12月に、5つの州でインフルエンザに感染した妊婦490人と感染しなかった妊婦1,451人、妊娠の前年にインフルエンザに感染しなかった妊婦1,446人のデータを調査した。なお、2009年はH1N1新型インフルエンザが大流行し、全米で6000万人が罹患し、40万人が入院、1万8,000人が死亡したと記録されている。 解析の結果、インフルエンザに罹患していない女性に比べて、重症化したインフルエンザが原因で集中治療室(ICU)に入院した妊婦では、妊娠37週未満の早産や低出生体重児、低アプガースコア(新生児の健康状態を評価する指標)のリスクがそれぞれ高いことが分かった(調整後の相対リスクはそれぞれ3.9、4.6、8.7)。また、インフルエンザに罹っても入院に至らなかった女性や、ICU以外の一般病棟に入院した女性では、これらの合併症リスクの有意な増大はみられないことも明らかになった。
研究には参加していない非営利団体「March of Dimes」のRahul Gupta氏は、「出産可能な年齢の女性では、特に妊娠初期の女性におけるワクチン接種率は受け入れがたいほど低い」と指摘する。ワクチンはインフルエンザを100%防ぐものではないが、接種していれば罹っても軽症で済むと同氏は説明し、「妊娠初期のワクチン接種は、妊婦が自分の体を守るためにできる最も重要なことの一つだ」と述べている。
米国では近年、反ワクチン運動が活発化し、妊娠中のインフルエンザワクチン接種は有害とする誤った考え方が広まっている。しかし、妊娠初期にインフルエンザに罹ると、脳や脊椎、心臓に先天異常を抱えた子どもが生まれるリスクが2倍になるとも報告されている。そのため、Gupta氏は、「ビタミン類の摂取や健康に良い食習慣、運動、禁酒や禁煙に加えて、ワクチン接種は胎児の健康を守るためにできる手段として重要だ」と述べ、ワクチン接種に迷う場合は専門家に相談するようにと助言している。
  〜飯尾副院長提供:Healthy Day Newsより抜粋〜


2019年1月24日
「太れば太るほど、GFR低下・死亡リスク増」
肥満は、慢性腎臓病(CKD)の有無にかかわらず、糸球体濾過量(GFR)の低下および死亡のリスク増大と関連することが明らかにされた。米国・Geisinger Health SystemのAlex R. Chang氏らが、40ヵ国のコホートを基に分析した結果で、BMJ誌2019年1月10日号で発表した。これまで肥満と末期腎疾患(ESKD)との関連は示されているが、関連の程度は試験間でばらつきがみられていた。また、CKDのコホート試験で、肥満はリスク増大とは関連せず、死亡リスクは低いことが示されていた。BMI値とCKDの関連を検討したメタ解析では、被験者データが不足しており、ウエスト囲など体幹部肥満の計測値が含まれておらず結果が限定的だった。研究グループは、肥満計測値(BMI値、ウエスト囲、ウエスト身長比)とGFR低下および全死因死亡との関連を調べた。
研究グループは、1970~2017年の40ヵ国における、39の住民コホート(被験者総数:545万9,014例)と、高心血管リスクコホート6件(同:8万4,417例)、CKDコホート18件(同:9万1,607例)を基に、肥満とGFRとの関連を検証した。
全コホートにおいて、ウエスト囲やウエスト身長比の増加とGFR低下との関連は、BMI値上昇とGFR低下との関連と同様に認められた。一方、BMI値でみられたような死亡との関連はウエスト囲やウエスト身長比ではみられず、死亡リスク増大とウエスト囲やウエスト身長比の低下は関連がみられなかった。
〜CareNetより抜粋〜


2019年1月19日
「第8回認知症勉強会 〜糖尿病と認知症の関係〜」
一昨年の11月から始まって、これで8回目。講義する飯尾先生は説明が分かり易く、しかも興味が湧く内容に仕立ててくれる。終わりの質問コーナーでは、事例をあげて平易で丁寧。また宇都宮先生も、飯尾先生から意見を求められて交錯しない知識で論理的で納得。
さて、今回の勉強会は「糖尿病と認知症の関係」。これは聞いて奥が深いと思った次第で、それは認知症が生活習慣病から派生していることだ。もっと原点から、生活の視点から自分の生活習慣、とくに重要なことは毎日の食事を考えて下さいということだ。糖質摂取による脳の糖尿病化、高血糖になる糖質摂取、良好なタンパク質摂取、アルコールの制限、フレイル(虚弱)の悪循環。悪いと分かっていながら自分で自分をいじめる必要ないでしょ。でもそれが人間の弱く儚い性かもしれない。
フレイルにならないためにはどうすればいいか。毎日の食事に工夫を重ねること。主食や果物を減らすか、食べない。おかずをしっかり食べる。つまり、炭水化物を食べずにタンパク質をしっかり取ること。若年者と高齢者の体組成において、筋肉量と骨量は25%から15%まで落ちてくる。逆に脂肪は15%から30%に上がってくる。タンパク質をたくさん取って筋力をつけるのは当然の理屈。
オススメ書籍では白澤卓二先生の「認知症は脳のメタボだった!」を紹介。参考にしてください。
印象的だったのは、病型診断だけでは片手落ちという飯尾先生の診察資料を読んで考えさせられた。粗暴で、診察室で何を聞いても「元気が宝!」と返す90歳の患者さん。CT画像では言語を司る側頭葉がかなり萎縮している。患者の不機嫌や粗暴は、会話の無理解で悪口という思い込みかもしれず、それに起因する疎外感かもしれない。
語義失語がADLを疎外していると理解すれば、①言葉が分からないのであれば、相手の行動を前提としない声掛けを工夫してみよう。②機嫌良く同じ言葉を繰り返す常同行動があるのなら、粗暴な行動という困り事を、機嫌の良い常同行動に繋げて無害化できるのでは?
あとで訪れたケアマネさんから、問題行動がピタリと止まったと知らされた。
これを読んで以前読んだ平田オリザさんの「わかりあえないことから~コミュニケーション能力とは何か~」という本を思い出したので、概略を引用する。
“ホスピスに末期がんの患者が入院。奥さんが付きっきりで看護している。解熱剤を投与するが効かない。奥さんが看護師さんに「効かないようですが?」と聞く。 看護師さんは懇切丁寧に説明し、奥さんも納得するが、翌日もまた同じ質問をする。 看護師さんも親切に答えるが、それが毎日1週間近く繰り返された。優秀な看護師さんも嫌気がさしてくる。 そんなある日、ベテランの医師が回診に訪れたとき、やはりその奥さんが「どうしてこの薬を使わなきゃならないんですか?」と、くってかかった。 ところがその医師は一言も説明せずに、「奥さん、辛いねぇ」と言ったのだそうだ。 奥さんはその場で泣き崩れたが、翌日から二度とその質問はしなくなった。 奥さんの聞きたかったことは、薬の効用などではなく、「自分の夫が、なぜ、今がんに侵され、死んでいかなければならないのか」を誰かに訴えたかった、誰かに問いかけたかった。 しかし、その問いかけの答えを、近代科学、近代医学は持っていない。 科学は、HowやWhatについては、結構答えられるが、Whyについては殆ど答えられない。 昔は病気や怪我を治していれば患者から感謝された、いい商売だったが、今は医療が高度化しすぎて、治すことや、患者さんや家族の気持ちも複雑になってきた。 それを汲み取れる人材を育てるのがコミュニケーション・デザインだ。 今までのように強いリーダーシップは人々を力強く引っ張り、説得する。 しかし、時代に必要なもう一つのリーダーシップは、こういった弱者のコンテクストを理解する能力だと考えている。 社会的弱者と言語的弱者は、ほぼ等しい。 論理的に喋る能力を身に付けるよりも、論理的に喋れない人々の気持ちを汲み取れる人間になりたいと思う。”


2019年1月18日
「味覚障害の原因は鼻にあるは本当か?」
食事をしても味を感じないなどの味覚障害の原因は、必ずしも口の中にあるとは限らない―。
こんな研究結果を、米バージニア・コモンウェルス大学耳鼻咽喉科教授のEvan Reiter氏らが「International Forum of Allergy and Rhinology」2018年12月10日オンライン版に発表した。全く味を感じない味覚消失などを訴える患者の多くは、味覚機能ではなく嗅覚機能に問題があることが分かった。
Reiter氏らは、1980~2017年に、同大学ヘルスシステム味覚・嗅覚クリニックを受診した患者1,108人のうち、全く味を感じないなどの味覚障害やにおいを感じないなどの嗅覚障害を訴え、味覚や嗅覚の検査を受けた358人を対象に分析を行った。その結果、味覚と嗅覚の両方に異常があった患者295人では、86.8%に嗅覚機能の異常がみられたのに対し、味覚機能の異常が確認されたのは9.5%に過ぎないことが分かった。一方、味覚異常のみを訴えた63人では、44.4%に嗅覚機能の異常がみられ、25.4%に味覚機能の異常が確認された。
Reiter氏は「この結果は、味覚の異常を訴える患者の多くは、味覚ではなく嗅覚機能に問題がある可能性が高いという仮説を裏付けるものだ」と述べている。同氏は「食べ物を味わう味覚には、味覚と嗅覚という2つの感覚系がともに関与することはあまり知られていない。今回の結果からも、味覚に異常を訴える患者の多くは、その原因が嗅覚の消失や異常にある場合が多いことを認識していないことが示された」と付け加えている。
Reiter氏によれば、「甘味、苦味、塩味、酸味」それぞれに反応する受容体は舌にあり、これらの味を感じるには味覚が重要な役割を果たすと考えられている。しかし、食べ物の複雑な「風味」を感じるには、味覚よりも嗅覚が大きく関与し、鼻にある受容体が風味に反応することで味覚を補っているという。 なお、米国国民健康栄養調査(NHANES)によると、米国成人の10%以上が過去1年以内に食べ物の味を全く感じなくなった経験があると回答している。また、23%が生涯に1度はにおいを感じなくなった経験があるという。
 〜CareNetより〜


2019年1月17日
「糖尿病と認知症の関係」
健康講座を開催いたしました。昨年の9月に次いで三重原公民館で2回目となります。
当日は午前中に老人会が開かれて、午後からのお話だったので、寒い中を何度も足を運んでいただき、ありがとうございました。
飯尾副院長のお話は、福岡県の久山町研究のご紹介、糖質制限の有用性、糖と認知症発症との関連などのご説明がありました。食後高血糖が糖代謝異常を悪化させます。主食や果物を減らしたり、食べないこと、つまり炭水化物を食べない、タンパク質をしっかり食べることが虚弱(フレイル)の悪循環に陥らない方法だと言えます。
質問コーナーでは、疑問点を率直にお話して今後の生活に役立てようとする方々からたくさんの質問がありました。同席の宇都宮院長もご質問に答えていました。


2019年1月15日
「タミフルDSの後発品の薬剤費と味を調べてみた」
12月中旬からここ中津でも、インフルエンザの患者さんがパラパラと来局するようになりました。年の瀬、全国各地で流行がみられたようなので、年明けに学校が始まると、患者さんは一気に増えると思います。
国立感染症研究所の発表によると、2018年36-51週に報告されたインフルエンザのウイルス型は、検体470例中、AH1pdm09が339例(72.1%)、A/H3N2が112例(26.0%)、B型が9例(1.9%)と、AH1pdm09(09年に大流行したいわゆる新型インフルエンザ)が7割を超えています(18年12月28日時点)1)。前シーズンと同様に、これからA/H3N2やB型が流行するかもしれません。
さて、18/19シーズンのインフルエンザ診療で最も話題となっているのは、17/18シーズンの終わりに発売されたゾフルーザ(バロキサビルマルボキシル)ですが、タミフル(オセルタミビルリン酸塩)の後発品の登場(18年9月発売)も、もう1つの大きな変化です。
19年1月7日現在、タミフルの後発品(カプセル剤とドライシロップ)を製造販売しているのは、ご存知の通り、沢井製薬1社です。
オセルタミビルDSは生後2週齢から使用できますが、新生児の場合は用量が異なるので注意が必要ですね。リレンザは4歳以下には使えません。気になるのは薬価ですが、一番安いのはオセルタミビルDS3%「サワイ」です。あとは、使いやすさで薬剤が選択されます。吸入薬はどうしても使用できない子がいるので、その場合はDSや錠剤に変更となります。
小児科の処方箋が多い当薬局では、やはり、ドライシロップ(DS)の味が気になります。各薬剤のインタビューフォームを見ると、先発品のタミフルDSの味は、「ミックスフルーツ風味」とあります。一方、オセルタミビルDS「サワイ」の味は、「フルーツミックス様芳香を有し、味はわずかに甘い」とあります。両者は、ボトルの外観や、散剤の形状や色が似ていますが、よく見ると、オセルタミビルDS「サワイ」の方が、細粒のきめが細かいような気がします。
試食してみると、いずれも、舐めた瞬間は甘いフルーツ味がします。タミフルDSは、苦味を消すために少し強めの味付けがされている印象です。一方、オセルタミビルDS「サワイ」の味は、タミフルDSより淡い気がします。早速、薬局の薬剤師やスタッフに聞いてみましたが、それぞれタミフルDS派とオセルタミビルDS「サワイ」派に分かれました。個人的には、タミフルDSの方が濃い味がするので、小児では、これを嫌がる子がいるかもしれないと思いました(私見です)。
休み明けからどれくらいインフルエンザの患者さんが増えるかーー。それが小児科の処方箋を多く応需する当薬局の、現在の一番の関心事です。
 〜飯尾副院長提供:日経GIオンラインより抜粋〜


2019年1月11日
「よく歩く高齢者は肺炎やインフルエンザで死亡するリスクが低い②」
11.9年(中央値)の追跡期間中に死亡した人のうち、1203人(男性731人、女性472人)の死因が肺炎またはインフルエンザでした。参加者を、心筋梗塞と脳卒中の経験の有無によって3つのグループに分け、1日の平均的な歩行時間が0.5時間のグループを参照群として、肺炎またはインフルエンザによる死亡リスクの検討を行いました。
・心筋梗塞と脳卒中の経験がない人たち
1日の歩行時間が0.5時間のグループと比較して、1時間以上歩行していたグループの肺炎またはインフルエンザによる死亡リスクは10%低くなっていました。反対に、歩行時間が0.5時間未満のグループのリスクは、参照群より33%高くなっていました。
・心筋梗塞の経験者
1日の歩行時間が0.5時間のグループに比べ、1時間以上歩行するグループの肺炎またはインフルエンザによる死亡リスクは34%低いことが分かりました。
・脳卒中の経験者
1日1時間以上歩行していたグループに、参照群と比較したリスク低下は見られませんでした。一方、1日に0.6~0.9時間歩行するグループの肺炎リスクは35%低くなっていました。なぜこうした結果になったのかは、明らかにならなかった、と著者らは述べています。
以上の結果は、心筋梗塞歴のある人を含め、高齢者が1日に1時間以上歩くと、肺炎またはインフルエンザによる死亡リスクが下がる可能性を示しました。
 〜飯尾副院長提供:日経Goodayより抜粋〜


2019年1月10日
「よく歩く高齢者は肺炎やインフルエンザで死亡するリスクが低い①」
1日に1時間以上歩く高齢者は、肺炎やインフルエンザで死亡するリスクが低いことが、日本人を対象とした大規模な疫学研究で明らかになりました。
肺炎は、先進国における死因の上位に位置しており、特に65歳以上の高齢者に肺炎による死亡が多いことが知られています。これまでにも、よく歩く人や活発に運動する人は肺炎リスクが低いという報告はありました。しかし、高齢者には慢性疾患の患者が多いため、積極的に運動するのは難しい人が少なくない可能性があります。そこで北海道大学(所属は論文掲載時)の鵜川重和氏らは、日本の高齢者を対象に、心筋梗塞または脳卒中の経験があるかどうかを考慮しながら、日常的な歩行時間が肺炎またはインフルエンザによる死亡と関係するかどうかを検討しました。
分析対象になったのは、日本人のがんリスクの評価を目的とした疫学研究「JACCスタディ」に参加した、65~79歳の日本人2万2280人(男性9067人、女性1万3213人)です。参加者には、この研究への参加を決めた時点で、さまざまなライフスタイルに関する質問とともに、1日の歩行時間を尋ねました。質問は「平均すると1日にどのくらい屋内または屋外を歩いていますか?」で、回答は「0.5時間未満」、「0.5時間」、「0.6~0.9時間」、「1時間以上」の中から選択してもらいました。
また、心筋梗塞または脳卒中の経験についても尋ねたところ、1894人がこれらのいずれかを経験していました。内訳は、心筋梗塞のみが1210人、脳卒中のみが604人、これら両方が80人でした(したがって、心筋梗塞の経験者は1290人、脳卒中の経験者は684人)。1日の歩行時間が1時間を超えていた人の割合は、心筋梗塞と脳卒中のいずれも経験していない人では50.4%、心筋梗塞の経験者では41.8%、脳卒中の経験者では33.9%でした。
 〜飯尾副院長提供:日経Goodayより抜粋〜


2019年1月9日
「電子レンジ熱傷の原因となる食材は!?」
皆さんは、電子レンジで熱傷を起こして救急を受診した人がいるとすると、どの食材を頭に思い浮かべますか? みそ汁? カレー?
さて、「電子レンジ熱傷」の定義ですが、基本的に電子レンジで加熱した食材が爆発して熱傷を負ったものとします。電子レンジ自体の不具合で、機械そのものが爆発したものは含まれません。まぁ、どうでもいい定義ですが…。
「電子レンジ熱傷」自体が非常にまれなので、過去の文献を探してみても、症例報告かケースシリーズのいずれかです。今回は、電子レンジ熱傷の世界では最も新しいと思われる、2016年に報告されたケースシリーズを紹介しましょう。
これは、英国の熱傷センターで後ろ向きに「電子レンジ熱傷」を集めたものです。6年間で、たった8例しか見つかりませんでした。とはいえ、「電子レンジ熱傷」界では8例でも十分過ぎるほど大規模な報告なのであります!
8人のうち、4人がジャガイモ、4人がたまごでした。すごい! 引き分け! 基本的に熱傷面積は体表の2%未満と狭いエリアで、受傷者の平均年齢は41歳でした。6人(75%)に眼外傷がみられました。爆発した食材が眼に飛んできたのです。1人は永続的な視力障害を残してしまったそうです。
さて、「ジャガイモvs.たまご」で考えたとき、どちらの文献的報告が多いでしょうか。実は、これはたまごなんです。いや、たぶん。調べた感じでは、たまごの報告のほうが多いです。よくテレビでも「ゆでたまごを電子レンジでチンするな」と紹介されていると思うので、皆さんも注意してくださいね。
 〜飯尾副院長提供:CareNetより〜


2019年1月4日
「減量後の低炭水化物食、代謝量を増大/BMJ」
低炭水化物ダイエットは、体重減少維持中のエネルギー消費量を増大することが明らかにされた。
米国・ボストン小児病院のCara B. Ebbeling氏らが行った無作為化試験の結果で、BMJ誌2018年11月14日号で報告された。
エネルギー消費量は、体重の減少とともに低下し、体重再増加を促す要因となるが、この代謝反応に、長期間にわたる食品構成がどのような影響を与えるのかは明らかになっていなかった。今回の検討で示された関連性は、炭水化物-インスリンモデルで一貫性を持ってみられ、著者は「示された代謝効果は、肥満治療の成功を改善する可能性があり、とくにインスリン分泌能が高い人で効果があると思われる」と述べている。
総エネルギー消費量の変化は、高量ダイエット群との比較において、中量ダイエット群で91kcal/日 大きく、低量ダイエット群で209kcal/日 大きかった。per protocol解析(120例)では、それぞれの差は、131kcal/日、278kcal/日であった。
 〜飯尾副院長提供:CareNetより〜



copyright
  ©Miehigashi Clinic
  all right reserved