三重東クリニック


last up date
2019/3/18
   

since Sep.2010


診療受付
月〜土曜
(水・土は午前)

午前
内科・小児科
8:30〜12:00

午後
内科
13:30〜17:00
小児科
15:00〜18:30

休診日 日曜・祝日・年末年始

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■社会医療法人
 関愛会

■関愛会 清川診療所


<検査情報>
下記の検査が出来ます。
血液検査など、当日に検査結果をご説明できる検査が多いので、スタッフにご相談ください。

  • MRI検査
  • ヘリカルCT検査
  • 骨密度検査
  • エコー検査
  • 睡眠時無呼吸症候群検査(SAS)
  • 胃内視鏡検査
  • 大腸内視鏡検査
  • ホルター検査(24時間心電図)
  • 頸動脈エコー、血圧脈波検査
  • 各種血液検査
  • その他
     各種予防接種、禁煙外来、もの忘れ外来、肺機能検査、心電図検査、便潜血検査

    〒879-7104
    豊後大野市三重町小坂4109-61
    TEL 0974-22-6333
    FAX 0974-22-6341

    統括管理者・院長
    内科
    宇都宮 健志
    副院長
    内科
    飯尾 文昭
    副院長
    小児科
    別府 幹庸

    清川診療所
    院長
    内科
    坪山明寛
    (火曜午後・水曜午前)

    関連施設
    清川診療所
    きよかわリハビリテーションセンター もみの木
    きよかわ介護サポートセンター 三つ葉

  •  



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    スタッフからひと言

    「電子たばこ吸引、10代にとって危険な理由」
    10代のニコチン中毒に関する私たちの知識の大半は、紙巻きたばこから来ている。しかし専門家の間では、電子たばこ吸引にまつわる技術や化学反応により、全く別種の脅威が生じる可能性が指摘されている。ボストン小児病院のシャロン・レビー医師は、「子どもによる電子たばこの使用は様相が全く異なる」と説明。「ニコチンの送達方法や送達量など、あらゆる変化が重要だ」と話す。レビー氏のプログラムに参加する電子たばこ常用者の子どもたちは、従来の紙巻きたばこの使用者や大人では滅多に見られない精神症状を呈している。一例を挙げれば、不安が募って集中できない、といった具合だ。そんな中、多くの高校では電子たばこ吸引が広がっており、米食品医薬品局(FDA)が対策に乗り出す事態に発展した。電子たばこを巡っては当初、大人の喫煙者にとって害が少ない代替品になるかもしれないと盛んに宣伝されていた。だが、専門家はむしろ若者への影響が大きいと指摘する。背景には電子たばこでのニコチン送達の方法や、子どもの脳の配線と発達の仕方、ガジェット特有の魅力といった要因が絡み合っている。専門家によると、高濃度の液体ニコチンが入ったカートリッジ1個には、紙巻きたばこ1箱と同量のニコチンが含まれている。レビー氏は、子どもたちが頭痛や腹痛など「ニコチン中毒そっくり」の症状を訴えることも珍しくないと説明。電子たばこでは従来の紙巻きたばこに比べ、血中ニコチン濃度のピーク値が上昇するのではないかと疑っている。ただし専門家は、人体や脳への影響を理解するには、さらなる研究が必要だとしている。
    米ロズウェルパーク包括的がんセンターのマチェイ・ゴニエビチ准教授は「ジュールのような新世代の電子たばこは実際に高濃度のニコチンを送達している。紙巻きたばこよりも高濃度かもしれない」と語る。昨年の研究では、ニコチン代謝物質「コチニン」の尿内濃度について、電子たばこを使用する若者の場合、10代の喫煙者に関する従来の研究で報告されていた値よりも高いことが判明した。ゴニエビチ氏によると、電子たばこメーカーは「ニコチンソルト」の生成によりニコチン含有量を増やしている可能性もある。これによりニコチンに特有の不快な味を覆い隠し、人体による吸収を早めているかもしれない。ニコチンそのものの化学成分だけでなく、電子たばこ会社がリキッドに心地よく甘い風味を加えていることにも批判が向けられている。一方、電子たばこ大手ジュールは風味について、燃焼式たばこからの切り替えを大人に促すうえで有効な手段だと主張。昨年にはジュール・ラブズの管理責任者アシュリー・グールド氏がCNNの取材に、「若者による使用は全くの驚きだった」と語っていた。ただ、レビー氏は、10代の間で人気が出るのは「完全に予測できた問題」だと指摘する。
    レビー氏によると、こうした現状を受け、ニコチン製品に関する考え方にも変化が出ている。喫煙は多くの場合、がんなどの身体疾患を引き起こしかねない「医学上の問題」とみられていた。それが今や、電子たばこの使用は精神医学の問題とみなされることが増えている。ニコチンが子どもたちの間で中毒行動を引き起こし、脳の発達の妨げとなっているとの懸念からだ。南カリフォルニア大学医学部の保健・感情・依存症研究所の責任者、アダム・レベンサル氏は、「若者の脳はニコチン中毒の影響を受けやすいのではないかと懸念されている」と語る。「快楽や新しい楽しみの追求の背後にある脳の回路は、意思決定や衝動制御、合理的思考を促す回路に比べて発達が早い」レベンサル氏によると、子どもたちが特に電子たばこの影響を受けやすい背景には、生物学的な要因だけでなく、心理学的な要因もある。仲間うちの同調圧力やストレスにより、依存行動に走る可能性が高まる場合があるという。ゴニエビチ氏によると、子どもと大人では電子たばこに手を出す理由も異なる傾向にある。大人はたいてい高用量のニコチンを扱える元喫煙者で、不眠や集中力不足といった離脱症状を避けたいという場合が多い。しかし子どもの場合、電子たばこで初めてニコチンに接するという場合もある。「ニコチンは強力な化学物質であり、私たちの脳を変えてしまう」(ゴニエビチ氏)
    レビー氏によると、プログラムに参加する若者は「ほぼ全員」が電子たばこの使用経験を持っている。ただ、「現象として新しいのは、現在はニコチンしか摂取した経験のない患者が薬物使用プログラムにいることだ」専門家は、早い段階でニコチン中毒になると、それが紙巻きたばこやドラッグへの入り口になりかねないと懸念している。相手が10代の場合、実証済みの対策法は少ない。一部の親は医師の指導の下、ニコチンガムなど認可外の禁煙ツールを試している。ただ、レビー氏は、子どもによっては喫煙の合間での「つなぎ」に使う可能性もあるため、落とし穴になりかねないと指摘する。中毒が進行した場合には薬も重要だが、それだけでは十分でない。子どもには「しっかりとしたカウンセリング」も必要だ。最終的には、喫煙者に囲まれた状況への対処法を教える必要が出てくる。しかし現実には、大半の子どもは治療後に学校に戻さざるを得ない。学校でトイレに行くと、誰もが電子たばこを使っているのが実情だ。こうした状況にもかかわらず、子どもや親は多くの場合、危険性に気付いていないようだ。「いまだに『安全だと思った』『紙巻きたばこに比べれば安全性は高いはず』と言う子どもがいる」とレビー氏。「『紙巻きたばこに比べれば安全』というのでは基準として余りに低い」
    〜CNNより〜



    お知らせ

  • 増改築工事で騒音が大きくなることがあります。どうぞご理解いただきたくお願い申し上げます。

  • 飯尾副院長の休診のお知らせ
     4月18日(木)午前中休診です。午後から診療いたします。

  • ゴールデンウィークの診療
     4月30日(火)は自主診療、
     5月4日(土)は日曜輪番です。
      ※ただし、検査とレントゲン等はできません。

  • 「風疹の抗体検査が受けられます」
     昨今、風疹ワクチン未接種による妊娠中の罹患・胎児奇形の危険性について報道がなされています。
     同ワクチン未接種の方で、挙児希望の方・またそのパートナーの方は是非接種されるようお勧めします。
     なお、当医院では風疹に対する免疫(抗体)の有無についても検査を行っています。
     結果は数日後にご報告出来ます。
     国や市町村の補助事業もありますので、詳しくはご連絡ください。

  • もの忘れ外来は、内科で対応していますので、どうぞご相談ください。

  • 小児科での受診はWEB予約をお願いいたします。
     予防接種の際は必ず「母子手帳」をご持参ください。

  • 各種検査のお問い合わせが多いので、下記に検査情報を掲載いたしました。スタッフにお気軽にお尋ねください。

  • 火曜の午後・水曜の午前は、清川診療所の坪山明寛医師が三重東クリニックで診療いたします。専門は血液学です。

  • 禁煙外来の治療を行っています。
     予約制で、月曜・木曜・金曜の午後受診可能です。
     詳細は電話でご連絡ください。

  • 甲斐ジムチョーの読書日記
     時々更新いたします。


    ご案内
  • 清川診療所は坪山明寛医師が月曜日から金曜日まで診療いたしますが、火曜の午後と水曜日の午前は三重東クリニックで診療(完全予約)いたします。

  • 三重東クリニック、清川診療所では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を実施しております。
  • 三重東クリニック、清川診療所では、健康診断を実施しています。事前にご相談ください。
  • 小児科 予約システムを導入しました。携帯電話やパソコンから診察の順番取りができます。
    「小児科の待ち時間について(お知らせ)」 (pdf) です。ご一読ください。
    ここからお入りください。→小児科自動順番予約システムへ

  • 予防接種は予約制です。必ず電話をしてください。

  • 特定健診が受診できます。予約制です。受診券と保険証を必ずご持参ください。
  • 予防接種等自費料金(接種名称・料金・ワクチン名)

    接種名称 料金ワクチン名
    🍒インフルエンザ 1回目 3,500円インフルエンザワクチン
    🍒 2回目 2,500円(小児)
    🌿おたふくかぜワクチン 5,500円
    🌱水痘ワクチン 7,100円
    🍒麻疹風疹混合ワクチン 9,800円MRワクチン
    🌴子宮頸がんワクチン(二価)16,200円サーバリックス
    🌵子宮頸がんワクチン(四価)16,200円ガーダシル
    🍓肺炎球菌ワクチン(十三価)10,300円プレベナー
    🍏ヒブワクチン7,800円アクトヒブ
    🍑肺炎球菌ワクチン(二十三価)8,300円ニューモバックス
    🌷二種混合ワクチン4,700円DTビック
    🌸日本脳炎ワクチン6,800円
    🌼BCGワクチン6,500円
    🌺ロタウィルスワクチン(1価)13,400円ロタリックス
    🌈ロタウィルスワクチン(5価)8,500円ロタテック
    🌿B型肝炎ワクチン(0.25ml)5,000円ビームゲン
    🌱B型肝炎ワクチン(0.5ml)5,000円ヘプタバックス
    🍒A型肝炎ワクチン7,000円エームゲン
    🌴不活化ポリオワクチン8,300円
    🍓四種混合ワクチン10,300円
    🍏血液型検査(自費)2,160円


  • 健康診断、特定健診を実施しています。
     法定健康診断 Aコース 7,000円(消費税込) 35歳、および40歳以上の方が対象となります。
     法定健康診断 Bコース 4,000円(消費税込) 34歳以下、および36歳〜39歳の方が対象となります。
     予約が必要ですので、ご連絡ください。


    <更新情報>
  • ほぼ毎日更新しています。

    ■スタッフからひと言(過去の記事です)
    2019年/ 2018年


    ■甲斐ジムチョーの読書日記


    ■患者さまからの声


    ■スタッフのエッセイ集です
    過去記事: /2018年(13篇) /2017年(17篇) /2016年(18篇) /2015年(17篇) /2014年(19篇) /2013年(17篇) /2010年〜2012年(41篇)

    ■「103歳の心音」清川診療所 所長 坪山明寛 2019.2.25
    ■「己亥に思う」清川診療所 所長 坪山明寛 2019.1.24
    ■「診察室の椅子」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.11.27
    ■「樹木希林さんに思う」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.10.25
    ■「大切にしたいこと」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.9.27
    ■「地域行事の手伝いをして」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.8.27
    ■「災害と伝統の躓き」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.7.23
    ■「生きよ!生きぬけ!」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.6.25
    ■「心を寄せる媼」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.5.28
    ■「燕の振る舞い」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.4.26
    ■「春の夜の色談義」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.3.26
    ■「なんにもできない・・・」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.2.26
    ■「戊戌の幕開け、あれこれ」清川診療所 所長 坪山明寛 2018.1.26
    ■「地域包括ケアに必要なネットワーク」三重東クリニック 事務長 甲斐敏幸 2018.1.19







    2019年2月25日(月)
    「103歳の心音」 清川診療所 所長 坪山明寛 

     2月19日は24節気のひとつ、雨水(うすい)の日だ。天の神はタイミングよく柔らかい雨を降らせた。雨水の日は、空から降るものが雪から雨に変わり、氷が溶けて水になるという意味だ。草木が芽生える頃で、農耕の準備を始める目安とされて、春の兆しを知らせる風物詩のひとつだ。これから春一番が吹き、三寒四温を経て春本番となる。そう思うからか、雨水の日の雨は、少々濡れても身震いすることはなかった。
     出勤前に庭に出てみたら、沈丁花は香りを振りまき、椿の蕾が大きく膨らみ、翁草の鉢には土のふくらみが見えた。
      そこここに土の膨らむ雨水の日 明寛
    春の香りといえば梅だ。水戸の偕楽園で梅林を散策した時の花の可憐さと爽やかな薫を思い出す。梅と言えば、冬の寒さを耐え凛とした姿で、穏やかに登場してくる姿に、ふわっとした心地になる。
     診察室でこんな心地になる方がいる。毎月一度家族に付き添われて受診される。診察の様子はこんな具合だ。「○○さんどうぞ」と声をかける。看護師さんに支えられながら、診察室に登場される。そこで立ち止まって、私に顔を向け、ちょこんと会釈、それから2,3歩進み椅子に腰を下ろされる。両手を膝に揃えて、首を垂れながら「お早うございます」と挨拶される。そして背筋を伸ばし、口元に笑みを浮かべ、また会釈される。私もまっすぐに座りなおし「○○さん、おはようございます」と挨拶する。この5年余、診察の始まりのしきたりに、狂いは微塵もない(歩く時の支えが、ちょっといるようになったが・・・)。
     この方は御年103歳の媼(おうな)です。私が診察している患者さんのなかで最高齢者です。しかし所謂老いの雰囲気を感じないのです。とても小柄な方ですが、瞳は透きとおり目元には優しさが漂い、口元には微笑みが絶えません。その表情には、齢という年月しか醸すことのできない古酒のような、味わい深さ、気品さが漂っているのです。
     この雰囲気は、103歳の今を、風のゆらぎ、太陽のおおらかさに委ね切って生きておられるかのようです。まさに心身脱落の心境で日々を過ごしておられるのでしょう。
    心身脱落とは、道元禅師の教えで「只管打坐」と並ぶ教えだ。すなはち「身も心も一切の執着を離れて、自由で清々しい境地への解脱(五欲煩悩が取り除かれた状態)」と言われる。この103歳の媼と会い話していると、まさに心身脱落の雰囲気を感じるのだ。
    103年を生きてこられたことに対してもそうですが、その立ち居振る舞いの品格を目の当たりにすると、思わず手を合わすことがある。
     挨拶が済むと、聴診器で呼吸音と心音を聴く。私はリズミカルな103歳の心音を聴くと、感動する。心臓が血液を力強く全身に拍出しているのだ。ふと考えたことがあった。この方の心臓は何回動いているのだろうと。心臓は一日約10万回動くから、この方の心臓は、約37億6千万回動いてきているのだ。しかしいささかも動きは乱れてもいないし、弁の閉じる音も確かだ。
     103年間、寂しい時にはゆっくり、通学列車の中で恋した時にはときめき、農作業の時には早鐘のように打ち、老いた今は淡々と命を支えている。
    私は医師として、103歳の心音を聴けていることに、言い知れぬ有難さを感じる。またこの方の心音を聴くと、103歳7カ月で亡くなった私の母親の心音を思い出す。ひと月に一度、これからも103歳の心音を聴き、命の不思議さ尊さを噛みしめていきたい。
    窓辺を見ると診察室で孵化したメダカが、射しこむ光にキラキラ輝いて泳いでいた。



    2019年1月24日(木)
    「己亥に思う」 清川診療所 所長 坪山明寛 

     清川町の皆さま 明けましておめでとうございます。今年も診療所、三つ葉、もみの木をよろしくお願い致します。
    通勤路の庭先に、蝋梅の花が春の水先案内人となる数多の光を抱き育てていた。
      蝋梅やあまたの光うごめいて 明寛
     さて今年は「亥年(つちのとい)」、猪の年ですね。イノシシについては、診療所に来られる方々から「稲がやられた」「野菜が荒らされた」「電柵代もバカにならない」「もう農業はやっちゃおれん」・・と聞かされてきた動物です。干支には十二の動物がいますが、こんなにも憎まれている動物はいません。
    そうなると「己亥」という今年、何だか不安になり、どんな年になるか調べてみた。
     己は草木が十分に生い茂って整然としている状態で、亥は草木が枯れ落ちて種の内部に草木の生命力が籠っている状態とあった。
    つまり2019年は、何事も次の段階に踏み出すために、知識や心や体を育て成長を期する年で、決して暗澹たる年ではなかった。猪にめげることなく力強く生きていくのが今年という歳のようです、頑張りましょう。
     今年の正月は、故郷鹿児島へ帰省することもなく過ごした。室生犀星に「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの よしや うらぶれて 異土の乞食となるとても 帰るところにあるまじや ・・・(小景異情―その二―)」という詩があるが、決して犀星の詩ほど故郷が嫌なわけではなく、両親や弟を亡くしたからか、何となく故郷を遠くに感じるようになっている。
     今年も3社参りをした。昨年お賽銭をいれたらブザーが鳴った大国社(今年は鳴らなかった)、杵築の奈多宮、近くの松坂神社に初詣して、家内安全・健康と幸せを祈願し、気持ちがすっきりした感じになり良かった。
     正月3日には孫が遊びに来たので、双六、福笑い、紙独楽まわし、トントン相撲などに興じた。今流行りの電子ゲーム遊びではなく昔風の遊びだったが、孫も喜んでいた。子供の心をくすぐる遊びに今昔はないようだ。そのことを一番感じるのは昔話だ。今でも「ももたろう」「舌きりすずめ」「うらしま太郎」などは面白がる。昔物語と言えば、「猿カニ合戦」を読んでいた時に、昨年患者様から頂いた1個の柿が思い浮かんだ。尖った形でやや赤味を帯びていた。「これは、“じゅうれんじかき“。今は少なくなった」と聞いた。その名を聞いたのは初めてだった。「じゅうれんじかき」は「十連寺柿」と書く。珍しい柿だなと思いながら調べたら、この柿には悲しい物語があることを知った。
     この柿のルーツは、祖母傾山を越えた隣町の高千穂町土呂久集落だ。この部落では、猛毒亜ヒ酸中毒により100人近くの人が、平均39歳で亡くなっていた。水俣病より古い公害病だ。人は勿論だが、大気や土壌の汚染で蜜蜂は消え、椎茸も芽をつけず、十連寺柿も実をつけなくなったのだ。現在は鉱毒対策で自然が回復し、十連寺柿も再び実をつけ始めている。十連寺柿という紙芝居が作られており、その中に患者さんの言葉「たとえ根治の見込みはないと言われましても、生きていく権利があります。また、生きとうございます」があった。公害病を知る中で悲しいのは、水俣病裁判を含め公害病裁判の過程で、一時的にせよ医療者が公害の加害者側に立つことがあることである。土呂久公害裁判でもその傾向が見て取れたのは、悲しみを増幅させた。頂いた十連寺柿は、医療者は常に病む人の側に軸足を置いて、揺らぐことがあってはならないことを再度教えてくれた。
     平成最後の正月は、三社参り、孫との戯れ、十連寺柿の教えと清浄な空気の中で過ごせた。
     己亥の今年、イノシシも清浄心の境地に浸り、清川の自然と人の心を、猪突猛進に駆け回り荒らし乱さないで欲しいと祈りたい。



    2018年12月25日(火)
    「忠恕の精神」 清川診療所 所長 坪山明寛 

     10月22日冬至の夜、いただいた柚子2個を入れた柚子湯を楽しんだ。湯船に入ると、ほんのりと甘酸っぱい香りを放ち、柚子は浮き沈みしながら湯船を動いていた。
      柚子ふたつ浮き沈みして冬至かな  明寛
     柚子湯に浸りながら来し方を振り返ると、柚子のように浮き沈みがあった。でも今何とか浮いていることを喜びたい。
     三木清は「人生論ノート」の中で、「人生は運命であるやうに、人生は希望である。運命的な存在である人間にとって生きてゐることは希望をもってゐることである」と述べている。私も沈んだ時には、“とにかく生きぬこう!医師という生業は、神が私にくださった『神の用』。疾苦の人に寄り添い続けることが生きがい・希望”と覚悟し歩んできた。そして72歳の今なお、人生の波間に、やっとながらも浮いておられることを幸いと思っている。
     患者さんと話をしていると、自分の歩みの中での疾苦・沈みが些細に思えることがある。
     85歳の媼が、開墾の話を聞かせてくれた。働き者のご主人と山に入り、鍬や鋸で山林を切り開き斜面を削り、畑や田んぼを作ったというのだ。写真を趣味にする自分が、美しいと感じる段々畑は、媼のような難儀の結実だということを、体現者から直に聞き身が震えた。開墾作業には、数十分では語りつくせない苦労があったことは推察できた。私は腰の曲がった小柄な媼の大きな生命力に、心からの畏怖と尊敬の念を禁じ得ず、診察室を出ていく後姿に頭を垂れた。
     頭を垂れるといえば、媼の診察をした翌日23日、天皇誕生日記者会見での御言葉に居ずまいを正し頭を垂れて聞き入った。
     特に胸の詰まる思いをした言葉を列記する。
    “私は即位以来、日本国憲法の下で象徴と位置付けられた天皇の望ましい在り方を求めながらその勉めを行い・・”“多くの犠牲者が生まれ、多数の難民が苦難の日々を送っていることに心が痛みます”“沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくとの私どもの思いは、これからも変わることはありません”“心に残るのは災害のことです。・・被害を受けたことに言葉に尽せぬ悲しみを覚えます”“障がい者を始め困難を抱えている人に心を寄せていくことも、私どもの務めと思い、過ごしてきました”“天皇としての旅を終えようとしている今、私はこれまで、象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けてくれた多くの国民に衷心より感謝するとともに、自らも国民の一人であった皇后が、私の人生の旅に加わり、60年という長い年月、皇室と国民の双方への献身を、真心を持って果たしてきたことを、心から労いたく思います”
     これほど胸を打つ言葉を最近聞いたことがない。日本国憲法の象徴天皇として初めて即位され、象徴天皇のあるべき姿を深く思慮され行動してこられた真摯な姿勢を表した言葉だ。天皇の真摯な姿には、天皇教育係の小泉信三の薫陶が影響している。小泉が象徴天皇のあり方に示唆を受けたのが、福沢諭吉著「帝室論」の一節、「わが帝室は日本人民の精神の収斂する中心・・帝室はひとり万年の春にして、人民がこれを仰ぎ見れば悠然として和気を催すであろう」だ。小泉が天皇に強く求めたのは、自分の良心に忠実で、他人のことをおもいやる精神「忠恕」だ。天皇は平成の30年間、師の教えを体現せんと、国民の様々な疾苦をわがものとして、忠恕の精神で沖縄の人々、戦没者、被災者、障害者に真心を寄せ続けられ、癒しと慰霊の旅を皇后陛下とともに歩んでこられたのだ。天皇陛下の「心を寄せる」姿勢、忠恕の精神は、医師として生きる私にとって大きな道しるべとなった。
     さて清川町の皆様には、今年一年、診療所・三つ葉・もみの木をお世話いただきありがとうございました。来年が皆様にとって良き年であることをお祈りいたします。







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