我輩はジュンである

       8月3日  はれ
9月に入ると11月8日の
八千枚大護摩の準備が始まる。
特別にしつらえた護摩木に印押しや、
お札の用意だ。
副住さんや順英さん、
順教さんの担当だ。
ご加勢をしましょうかと
一応言ってみたが、無視された。
和尚さんは、佐伯建設の
設計の渡辺さんと
何やら打ち合わせに余念がない。
浄土院納骨殿の増築計画に
頭をこねくりまわしているようだ。




走り行く夏に惜別のおもいをこめて
今を盛りに咲く花は・・・
昨日から、お寺の中があわただしい。
あまりなじみのない顔が
次々出たり入ったりしている。

台風シーズンの210日が来たが、
静かだ。
蝉も、ツクツク法師蝉や、
山里近くでは、ヒグラシが鳴いている。
いよいよ秋到来。
今日9月2日は、和尚さんの
姪の絵梨子ちゃんの結婚式だ。
それで東京や横浜等の
遠くの叔父叔母連中が
お寺に帰ってきて、騒がしいのだ。




「孝ちゃんと連れて行って!」
ってお願いしてみた。

かつての若かりし頃の懐かしい
思い出がよみがえるのか、
みんな嬉しそうな顔をしている。
いつもこんな顔をしていればいいのに・・・。
「孝ちゃんはオリコウさんに
していれば連れて行くよ。」
と、孝ちゃんのママ。

「僕は?」
「ジュンは留守番だって。
可哀想に・・・・・」

「差別だ! 不平等だ!」

ButuButu言ってみたが、
だめだった。
悲しくなって、フテ寝しちゃった。
孝ちゃんが
「写真撮ってきて、
見せるからネ。」
と、横でなぐさめてくれた。
快晴!
結婚の誓いが済んで、
出て来たところだそうだ。
新郎29歳、新婦25歳。
清潔なよいカップル誕生だ、
と皆がほめていたとのこと。
新婦側を代表して、
和尚さんが挨拶したそうだ。
「新婦のお父さんに、
新婦をほめてくれと言われたので・・・」
なんてなつまらん事を言っていたらしい。
右から2番目が和尚さんの孫の
一番大きい六年生の仁美ちゃんだ。
和尚さんが、
「仁美の結婚式まで、爺ちゃん
生きていた方が良いかなァ〜?」
と尋ねたら、
「どっちでもいいョ」
と答えたといって、
和尚さんはがっかりしたらしい。
いよいよ披露宴も
終わりが近づいてきたようだ。
僕も、生涯独身ではなくて、
結婚したいなァ〜と思った。
新婦がお礼の挨拶をする
クライマックスだ。
三重野のオイチャンも
涙を拭いていたそうだ。
美人で心の優しい、
絵梨ちゃんならではと思う。
「絵梨ちゃん、お幸せに」と
僕も心から思った。
終ってお寺に帰ってきた和尚さんに、
「旨いものを一杯喰ったんだろう、
このヤロウ〜。」
とイッパツかませた。
それではこの辺で。


             おわり
                 
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