我輩はジュンである

       8月3日  はれ
今日は地蔵盆。
白粉花(おしろい花)に囲まれて、
お地蔵さまがウットリ。
昔から今日でお盆行事がオシマイとなる。
台風一過、再び日中は強い陽射しだが、
暦の上の立秋で
朝夕は風が爽やかになった。
毎朝5時40分になると、
夜遊びに出ていた臨子の親子が
腹を空かせて帰ってくる。
品行方正な僕と違って、
毎日の朝帰りだ。
和尚さんが窓を開けて、
カツオ節や僕の食料を、
「お腹がすいたろ。さぁ食べナ」
と猫なで声で与えて、
6時の鐘を鳴らすのが習慣だ。
猫の奴が、ドッグフードを食って、
毛づくろい。
これも習慣だ。
今、お寺の境内では、
白粉花が満開だ。
この花は暑い夏の盛りに
次々と咲き続ける。
なぜか夕方になると花が開く。
そこで別名を「夕化粧」。
黒い種をつぶすと、
白粉(おしろい)のような
白い粉が出てくる。
名前の由来は、ここからだそうだ。
名付け親は、江戸時代の貝原益軒。
メキシコ原産で、
江戸時代に到来した由。
臨済寺に到来したのはいつの頃か、
和尚さんにもわからないらしい。
よく散歩に行く墓地公園の、
急な上り坂の竹やぶの側の
やせた土地にも沢山茂っている。
真夏の日照りに水ももらえないのに、
枯れもせず、逞しく
みるみる大きくなり花をつける。



雲行きがおかしくなったので
逃げ出すボク


「加勢人が足らんとか、
資金がないからとか、
暑いとか寒いとか、
いろいろ小言ばかり言う奴は、
この花を見ろ!
どんなに条件が悪くても、
黙って愚痴をこぼさず、
精一杯頑張って、
小さくても自分の花を咲かせ実を結び、
子孫につなげているではないか!
ジュンも、この花を少しは見習え」
と和尚さん。





とうてい白粉花にはなれませんワン


とどのつまりは、
ほこ先は僕に向けられる。
そこで僕も言い返した。
「この花は、夕方になると開いて、
赤や白や黄色の色で昆虫を呼び寄せ、
夜になると香りで、
また昆虫を招くんでしょう。
『夜の女』みたいだネ。
色香に迷ってよってくる昆虫は
和尚さんだネ。」

「・・・・・・・」

和尚さん、黙って向こうへ行っちゃった。
今日の晩メシが心配だ。
それではまた。

              おわり
                 
       もどる     とっぷへ