〜わが輩はジュンである〜



10月30日 晴れ

季節はすでに晩秋
お寺では八千枚護摩の準備に
追われて、皆気ぜわしそう。
和尚さんはいつも浄衣
(護摩祈願の服装)
ですごしている。

この花は信者の
長野喜代子さんが
もって来てくれた。
僕は名前を知らない。
尋ねたら長野さんも
「・・・・・・・・・・・・。」でした。

七福神様の上はもちの木の実が
赤く熟れている
この花もお参りの人が
持ってきて植えてくれた。
可愛いコスモス。
秋の花は七草をはじめとして
みんな清楚でキリっとして
山椒は小粒でピリッと辛いの
感じ。
僕と似ているワ。

秋の色といえば、陽に映える
「照紅葉」(てるもみじ)
「照葉」(てりば・てりは)
のくれない色、柿色。
秋に染まった比叡山
日本大乗仏教発祥のみ山
比叡山の静かな山路を
わけ入ると、そこは
秋の香りが一杯。

晩秋を染めあげる木々の紅葉は
花暦の最終章を静かに、しかも燃え上がるような
華やかさで締めくくる。
1200年の昔、
若き修行僧 最澄様も、くれないに輝く紅葉や
照葉を眺めて疲れた心を癒し、
明日への勇気をふるい起こしたのでしょうか。
時には散りゆく落ち葉に世の無常を感じ、
里に残してきた齢老いた父母に思いを寄せて、
里恋しさに涙することもあったのでしょうか。

いにしえの面影を伝える
比叡のみ山を歩いて
秋に染まるのもいい。


「ちょっと、カラアゲちゃん、
いつも空威張りしているジュンの奴、
えらく感傷的になってるワネ」

「ガラにもないワネ!」と手羽ちゃん。





ハラハラと散りゆく落葉に、
「秋の音」を感じるといった
偉い坊さんがいたそうダ。

浄土院の前のケヤキの落葉を
かき寄せながら、丸山さんが
「秋は落葉のそうじで大変ダ・・・・」
と言った。


「秋の陽に柿の実が染まり、
山から紅葉が下りてきて
ケヤキの木の葉がハラハラと散る。
夜の帳と共に寒さが身を包む頃になると
カン酒が恋しくなる。

「熱燗徳利の首をつまんで、
とくとくと注ぐ音に
秋の音を感じるゼ」と
和尚さんが言った。
坪庭の中にも 天地宇宙の自然のうつろいが感じられる

「八千枚護摩の前行中に
不謹慎では!」
と俺様がハタとにらんダ。
「浄土院の前庭のケヤキの葉が
黄色になって散る頃になると
鮎の産卵が近づいてきて
美味しいのヨネ」
とお昼の用意をしてくれる
田北のオバチャンが言った。
このオバチャンは、
皆の食事の用意ばかり
毎日しているので
つい食べることに
気が向くのだろう。
大分県 日田市 豆田町にある
財津さんの自慢料理
ワッパンメシ
「輪箱飯」 ¥1500
鮎一尾分が 蒸し上げた飯の上にのっている。
うまいと好評     0973-24-0310
「ハラハラと散る、
落葉を眺めていたら
何を思うかい?」
とお兄ちゃんに聞いてみた。
開山堂の改修工事をしている
鶴原さんの飲み残したコーヒー缶を
後生大事に抱えながら
お兄ちゃんが言った。
徒然草の有名な一節に

『花は盛りに、
    月は隈なきをのみ、
         見るものかな』

というのがある。
花見は満開の時だけが
いいもんじゃない。
月見の時だって
こうこうと輝く満月じゃなくても、
雲に隠れていても欠けていても
いいじゃないか、ということ。
つまり自然のあるがままの
うつろう姿を楽しもうじゃないか、
華やかさの陰の静けさに
眼を向けよう、ということで、
俺は田舎の人里離れた
ひなびた温泉宿で、
秋色を愛でながら
温泉を楽しみたい。
熱い湯じゃなくて、
ぬるまめの湯に、欲を言えば、
そ〜っと寄り添う人が
居てくれたら・・・・」

ボーっとしている兄貴が
オツなことを妄想しているゼ
・・・・・驚いたワン。

兄貴もエッチな処があるんだなア。

毛布も秋色 頭の中をいろいろ去来するゼ
だいすけさんは
温泉に行ったそうだけど
ベッピンさんが居たのかなア?

僕は散りゆく落葉を
眺めていると
別れて以来一度も
会ってない親父やオフクロが
どうしているのかナア〜と、
感傷的になる。

このお寺に ご縁を結ぶ前の僕はこんなんだったのかなア〜?
俺様の変身願望かな?過去に こだわる妄想は 今日限りでヤ〜メタ。
「手を打てば 鯉は寄り来る鹿は逃ぐ
          下女は茶を汲む 猿沢の池」

散りゆく秋の風情も、見る人人で
それぞれ違うんだナア〜と思った。

世の中の出来事は、
見方、受け取り方でいろいろある。
なるべく楽しい方へ、明るい方へと
受けとめてゆかねばならないと考えた。
もう今日を限りに過去の自分に
こだわることはやめよう。
お寺にご縁を結んだこのご縁を大事にして
今日の一日を精一杯前向きに
頑張ろうと決心シタ。

頑張るゼ

ヒナちゃん、風邪よくなったかナ?
これから寒くなる。
皆 風邪に気をつけてネ。
        
                 おわり