〜わが輩はジュンである〜
水子堂の二階を、土谷のお姉さんと
龍現寺さんが掃除をしていた。
僕も加勢しようと急いで階段を登った。
息が切れて 座り込んで、
雨の鐘楼門や浄土院を眺めた。
本堂の前の掃除小僧さんも、
雨に濡れている
これから、夕べ勉強したことを
お話ししましょう
この小僧さんの名前は
「修利盤特」(シュリハンドク)
という名前。
お釈迦様のお弟子で、
馬鹿の物忘れの有名な人だった。
どれ程馬鹿であったかというと、
自分の名前さえ満足に覚えられずに、
仕方がないので
名札を背負って歩いていたという程。


シュリハンドクには、マカハンドクという
兄貴がいたんダ。
兄貴もお釈迦様のお弟子の
一人であったが、聡明な人でした。
この兄貴から ある日
「お前みたいな物忘れのひどい馬鹿では
悟りを開くのは無理だから、
修行をやめなさい」
と言われた。



以来、前途を悲観して泣いていたシュリハンドクに、お釈迦様がおっしゃった。
「何も泣くことはないんだ。 
世の中には馬鹿でありながら、
自分の愚かさに気づかない人が沢山いる。
お前は自分の愚かさを知っているのだから
私は決してお前を見捨てたりはしないヨ」
とおっしゃって一本の箒を与えたっテ。
そして「塵を払わん、垢を除かん」
とつぶやきながら
毎日お堂の周りを掃除しなさいと命じられた。
シュリハンドクは非常に喜んで、
教えられたことを忠実に実行した。

一年 二年 三年、その間にシュリハンドクの
心身はすっかり生まれ変わった。
忠実な実践を通して、悟りを開き
「尊者」とあがめられたんダ。





この様なわけで、お寺の境内に
箒小僧さんの像を置いて、
シュリハンドクさんの修行の心におもいをよせて
ひたすら一途につとめることの
大切さを学ぶのダ。

僕も 毎日コツコツと コツコツと・・・・・
他人様からジュンの馬鹿と言われようが
黙々とつとめよう。
ただ一途につとめよう、と思っているのダ。

PM2:00
お昼頃から お陽様が
サンサンと照りだした。
青葉が 生き生きとして
精気を発散しているようダ。
梅雨も終わりに近づいたことを
境内の木槿(むくげ)が開花して報せてくれる。

「道のべの 木槿は馬に くはれけり」 芭蕉

木槿の花は、
どうせ夕べには落ちてしまうのに、
馬に一瞬にして食べられてしまうという
まことに はかない 無常を歌ったものだ。
木槿は、枝を折ろうとしても、
樹皮が強くてなかなか折れない。
そして夏から秋に至るまで、次々と咲き続ける。
木槿の生命力の強さ
朝鮮半島で 「無窮花」(ムグンファ) と呼ばれ
韓国の国花に指定されているんダ。
インドや中国の原産。
花は紅紫色だが、白色、
八重咲などいろいろある。
樹皮をはぎ取った枝は白くて良質の為、
昔から行李(こうり)を編むのに、
よく用いられてきたんダ。

僕は、皆が寝た頃
起きあがって勉強するのダ。




※行李・・衣類などを入れる収納箱みたいな物
今日は和尚さんは出張で不在だ。
けれども、わが寺の男衆は、皆働きものだ。
尊勝院護摩堂の庭の手入れを始めた。
お寺は、一にそうじだ。
副住さんが頑張ってるワ。
これは 広瀬の兄貴だ。
バリカンが気に入ったようだ。
今日もブンブン音を響かせて剪定している。
HP作りもうまいが、バリカン操作も上々だ。
オッ!丸山のオッチャンは
涼しい処でサボっている・・・・。
失礼
崖の上の竹を切っていた。
丸山さんは 一番正直で働き者だ。
その次が僕ダ。
お寺で一番太っていて
少し「減量しろ!!」と言われ続けて
出来ない人が、順海さんと僕なのダ。
危なくない処でボツボツやってるワ。
「もっと汗を流せ!」 
僕が言っても知らん顔。


僕は、自分では太っているとは意識していない。
トキ婆がうるさいんだ。
シャクにさわるんで、今日のお昼 皆が
ライスカレーを食っているときに
わざと尋ねたんだ。
「カレーライスとライスカレーの違いを
知ってるかい?」
トキ婆がモジモジしてるんダ。
僕が大きな声で説明してやった。
「カレーとライスが、別々の器に入って出てくる
高級そうなのがカレーライスだ。
カレーを、ご飯の上にかけたのが
ライスカレーってんだ。
ただ その中身はどちらも同じなんダ」

食い物の恨みは 怖いんだゾ〜
ひょいとお兄ちゃんを見ると
立ち止まってジーっとしている。
お兄ちゃん、 いつもいるか居ないか
わからない程静かだ。
トキ婆に言わせれば
「人間(?)が出来てる」ていうんダ。
そのお兄ちゃんが
何やら一点を凝視して動かない。
何か いい物を見つけたのかな?
気になる仕草だ。
あっ!地面に自慢の高い鼻をすりつけた。
うまい物でも落ちていたのかナ?
僕だったら お腹が減っていても
武士は食わねど ツマヨウジだ。
何喰ってるのか?
たまらなくなって飛んでいった。
ノドが乾いたのか 敷石の上に残っていた
わずかな水滴をなめていた。
これでも
「人間が出来ている」というのか!!
そうじの加勢にいったけれども
あほらしくなって
早々に帰って 
晩飯まで惰眠した。
僕の一途な生活態度を
知ってか知らずか、
お地蔵さんはいつもおだやか。

明日は気分を直して
頑張ろう。
               おわり