〜わが輩はジュンである〜
風もなく 爽やかな一日
木漏れ日が夏の陽になっている
丸山さんや女性群は、暑さに弱い
お兄ちゃんは割合強いが
僕はサッパリ駄目だ。
和尚さんや副住さん
順海さんや広瀬さんは
夏のサンサンと照る太陽の下で
汗をビッショリかいての
作業が好きだ。
PM3:00
お兄ちゃんは、和尚さんから
体を櫛で毛をすいてもらっていた
気持ちがいいのか ジッとしている
僕は一度もこんな事をしてもらったことがない。
僕は時々変なお店に連れて行かれて
体中バリカンという奴で
毛を刈り取られる
くすぐったくて嫌だ。
お兄ちゃんは、和尚さんに毛をすいてもらうだけで済むのでうらやましい。
カラアゲの奴がまた、けたたましく
「ジュンちゃん ジュンちゃん
ちょっと来てヨ〜」
と注進してきた。
扇国土庁長官に似ているので
「長官」と名付けられている、
ヒヨコちゃんのお母さんや、
ヒヨコちゃんがビックリして
何事が起こったのかと寄ってきた
「あわてるナ 静かにしろ
何が起こったんダ?」
と尋ねると
「広瀬さんが庭木を
バリカンで刈ってるヨ」
と言う。
「・・・・・・・・・」
バリカンで木を刈ってるとは??
僕だけじゃなかったんだ、と驚いて
きれいに咲いている花を
横目にみながら
その現場に走っていった。
鐘楼門の下で、
ツツジの生け垣を剪定している
広瀬の兄貴がいた。
使っている道具が
庭木剪定用のバリカンとの事。
僕の体毛を刈り取るバリカンとは
全然違っていた。 
あアー驚いた。
浄土院の前では、
丸山さんが梅ノ木の剪定をしていた。
脚立の上に登っておっかなそう。
わざと 「加勢しようか?」と
声をかけたら
「オチョクルナ!!」 と言われた。
坂本瓦屋さんが来て
東門の屋根瓦をふいていた。
みんな天気がよいので
仕事を気持ちよさそうにしている。 
順海さんは、
龍のヒゲの草取りをしている。
比叡山の修行の根本が
「一にそうじ  
 二に勤行(仏様にお経をあげる)
 三.四が無くて 五が学問」だ。

まず仏様のまわりのそうじが
第一だと教えている。
その実践実行だ。

オッ!!これは和尚さんじゃないか
バリカン持って剪定している
「お手伝いしましょうか〜」
「やあ〜ジュン君か
ありがとう 暑いなア
後で一緒に一服しようナ」
えらく 愛想がいいんで驚いた。               
「和尚さん
せかせかすると怪我をしますヨ
バリカンてのも
いろいろあるんですねエ〜」
「ジュン君を刈るバリカン 
木の剪定用のバリカン
世の中の悪い奴を
刈り取るバリカン・・・
いろいろあるヨ」
「和尚さんは バリカンの親分ですネ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
いろいろ話して
楽しいひとときを過ごした。
そうする内に
暑いので、だんだん 
喉が乾いてきた
鼻の頭も干からびてカラカラ。
あゝ冷たい鉄カンビールを
キューッとやりたい。
「和尚さん
 ゆっくり早く済ませて下さい。
 僕、一足お先に下に降りますヨ。
 一服しましょうヨ〜」
木陰でお兄ちゃんと出会った
二人(?)で和尚さんの降りてくるのを
まだかまだかと待った。
やっと和尚さんが降りてきた
3人で冷えた麦茶を飲んだ。
喉の乾いたときの水のおいしさ、
腹の減ったときの握り飯のおいしさ。
健康に働いていただく物は
何でもうまい。
おいしく物を喰えないのは、
仕事ぶりが悪いからだと思う。
お兄ちゃんが 甘えて
和尚さんの手から 水をもらっている
つい僕も 幼い頃 お母ちゃんの
お乳を飲んだのを想い出した。
懐かしくなって お兄ちゃんのお腹の下をのぞいた
何もなくて 現実にもどった。
一服の後、和尚さんは
大石のそばから
ツツジの刈り込みを始めた。
お寺は一にそうじで
仏様が一番お喜びになるそうだ。
独りで手持ちぶさたにしていたら
貴美ちゃんが加勢にやってきた。
一緒にやってきたお兄ちゃんと
久しぶりに相撲をとった。
お兄ちゃんは
「俺は貴の花で
ジュンは幕下だ」という。
突っかけたけど
「はたき込み」で負けた。
何回やっても勝てない。
シャクだ。
PM5:00
陽照りが強い上に
相撲で疲れて
さすがのお兄ちゃんも
木陰に入ってズル休み。
無論 僕も一番涼しいところに
もぐり込んで 再び一服。
と思ったのが、
晩飯で起こされるまで
眠り込んでしまった。
今日はこれといった仕事を
しなかった。
明日こそは。

             おわり