〜わが輩はジュンである〜

 
 
 
 
 
 

 

大分も梅雨に入ったのか
よく雨が降る  
新緑に紅の傘
そして雨・・・・・僕が見ても
女の人が一段ときれいに
見えるから妙だ。
お寺の境内のあちらこちらに
雨に濡れて小さな花が咲き始めた
赤い色の花 白い花
皆 それぞれ美しい。
そーっと静かに咲いている姿
美しさを競うこともなく
己の美しさを自慢することもなく
ただ 無心に咲いて散る花の命
まさに僕のような存在だ。

この花の美しさに比べて
人間どものみにくさよ
恥を知れ
僕の爪のアカを煎じて飲んだら
少しはましになるゼ。

雨の日は外に出られなくて
たいくつだ
僕はいつも何かに打ち込んで
心身共に緊張している状態が
生きてる〜ッテいう気持ちで
充実しているんだけど・・・・・・。
ボーっとしていたら 
何やら本堂の方が騒がしい
覗いて見ると 白いハッピを着た
不動霊場巡拝の人たちが
本堂でお経をあげている
大阪から二度目のおまいりだそうだ。
お年寄りの人が多い
何をお願いしているのか
皆一心に拝んでいる。
亡き父母の菩提を弔っているのか
子供やお孫さんの
身体健康をお祈りしているのか
いづれにしろ 
お祈りをささげている姿は美しい

僕もお寺に来て早2年
門前の小僧の何とかで
暇なとき、お経の練習をするか。

和尚さんが他所行の顔で話しているゼ
ユンボに乗っているときとは違うゼ
「人生は巡拝だ 
巡拝には人生がある・・・」
いいことを言ってるワ
僕の人生も巡拝かな??
皆お詣りして良かった、というような顔をしているワ
降る雨のなか、傘をさして帰り支度
爺婆ばかりかと思ったら
割合若い女の人も居るワ
結構美人だ  
僕好みの人だ。
九州一円に三十六不動霊場が
あるそうだ
僕の居るこのお寺は、第十番の札所
僕もいつか和尚さんと一緒に
巡拝してみたいなア
お兄ちゃんは留守番だ
ヒヨコちゃんの番があるもの。
皆さん道中お気をつけて
だれも僕が見送っているのを
気づかずに帰ってゆきました
けれども僕はその後ろ姿に向かって
無事を祈りました
丸山さんから「ジュンは感心だ!!」と
ほめられて、うれしくなった。
午後雨があがった
浄土院の前庭の南点に
花が咲いている 満開だ

「この道 この人
ただひとすじに・・・・・」
和尚さんの言葉だ
ただひとすじに が大切だ
僕は和尚さんと
このお寺で、皆のために頑張るんだ
ただ一途に。
 

もっともらしいことを いろいろ考えていたら
カラアゲが「ジュン君 おりておいでよ
面白い物が見られるヨ〜」
雄の烏骨鶏が、僕を呼んでいるんだ
いつも騒々しく鳴くので
「やかましい!!カラアゲにするゾ」
と脅かすと静かになる
それで カラアゲと呼び名をつけたんだ
ちなみに黒の雌烏骨鶏は厚かましく
よく食うので「手羽先にするゾー」
と叱っているんだ
だから呼び名が「手羽先」
もう一羽の雌鳥はボーっとして
卵を生まないんで「スープにするゾー」
と、脅かしているんだ
それで 付けてる名前が「スープ」だ
僕のことを こいつらは「九州の白熊さん」テ
呼んで一目 おいているんだ。
白熊は真っ白だけど
九州は陽照りが強いので
茶色も混ざって「九州の白熊」様だ。
カンロクがあるでしょうが。
体重7100g  身長25p
スマートじゃないのは確かだ。
幸い寺務所の人が皆 出払っている
僕にテンプラをよくくれるおばちゃんが
来て僕を見ているが、このおばちゃんは
優しいので内緒にしてくれる

今の内に カラアゲが呼ぶんで
どんな面白いものがあるのか
ちょっと 見てみよう。

お兄ちゃんは何処に行ったのかナ

僕一人で行っても 
         大丈夫なんだけど・・・
僕は力が強いんで
         怖くないけど・・・
僕は「九州の白熊」と 
         呼ばれる男だ・・・

けど やっぱり兄ちゃんを探して
一緒に行こう。

浄土院の前庭に
可憐に咲く花・・・
僕のつぶらな瞳にも似て・・・
僕の心を癒してくれるなア。
蓮を眺めていたお兄ちゃんに
一緒に行こうと 声をかけた

お兄ちゃんは 臆病なんで
僕がいつも連れて歩くんだ

  もの好きな凝り性の和尚さんが育てている蓮がだいぶ大きくなってきた
こしゃくにも僕の背よりも高くなった
昨日の夕方 ここの池に住んでいるカエル君をつかまえようとして、泥の中に落ち込んでどぶネズミの王様みたいになった
もちろん、和尚さんから大層叱られた
「お兄ちゃんを見てみろ。おとなしいものだ」
僕に言わせたら、こんな叱り方は駄目だと思うんだ

お兄ちゃんと優劣を比べ、僕に 劣等感を植え付けてしまう
お兄ちゃんにはお兄ちゃんの良さ、僕には僕のよさを きちっとわきまえて注意してもらいたいもんだ。

カラアゲと手羽先が、ヒヨコちゃんの処に僕とお兄ちゃんを連れていった
ヒヨコちゃんは皆可愛い
心が純真で真っ白だ
僕と同じだ

ヒヨコちゃんのお母さんは
おっとりしていて
やさしくて僕は好きだ
顔が扇国土庁長官に似ているんで 「長官」と 呼んでんだ。

その長官が、僕に
「ジュンちゃん これ見てヨ
何かわかる?」
黒いのが動いている
ビックリしたなア
生まれて初めて見た
未知なる物体
気持ちが悪い
ヒヨコちゃんは
怖がって近づかない。
お兄ちゃんはと見ると
車庫の処の自分のおウチに早々と帰って浮かない顔
「この生き物はいったい何?」長官が教えてくれた
「那賀さんが今朝連れてきた ハトの赤ちゃんヨ
おウチに巣を作って産んだんだって.
糞を沢山するし、他のハトも来るし、困ったんで
私に預かってテ、青いかごに入れてここに連れてきたノ
私だって気持ち悪いし
いい加減迷惑しているのヨ」
「長官さんが育てるノ?」
「まあ そういうことになるんでしょうネ」
変な声で鳴いているハトの赤ちゃん
僕キライだ。
そうだ。早く帰らないと・・・
皆の目を盗んで出てきたんだった
見つかったら叱られるゾ
カラアゲがつまらんことで呼ぶから悪いんだ。
あア〜 息があがる
心臓がドクドクする
坂道をかけ上がって来たのと、和尚さんに見つかりはしないかと心配で・・・
僕は少しオッチョコチョイだ
反省しながら帰りました。
今日は疲れた
変な物を見たし・・・・・
晩飯までぐっすり寝込んで
今日もこれという仕事はしなかった。
明日はきちっと頑張ろう。
  
                         終わり