これは僕が大学時代にサークル仲間3人で書いた脚本を基にしています。
実際に映画化され映画祭にも出品されました。受賞はなりませんでしたが
年月が経って今ならどういう風に書けるのか少し興味がわいてきましたので
ネット小説にしてみました。お時間のあるとき、読んでいただければ嬉しいです。


<前回までのあらすじ>
乙とtakは二人組の泥棒、今日も今日とて金融機関の金庫破りに挑むがガスバーナーで
焼き切る時点で中の紙幣も丸焦げにする始末。
彼らが住む町の博物館に世界最大級のダイヤモンド【ナイルの涙】が展示されることとなった。
次なるターゲットに決めた彼らは早速計画を立てる。
そんなとき、昔の悪友うさぽんがひょんなことから仲間に入る。
しかし、彼女は刑事だった。 疑いをかける乙とtakだが、彼女の仲間になりたい気持ちが堅いのを
知り和解。 凸凹3人組は力(?)を合わせてダイヤ強奪を目指すが。。。

第1巻はこちら♪  第2巻はこちら♪  第3巻はこちら♪


37.特別室内

展示台にたどり着く二人。赤いじゅうたんの上に脚立を広げ、またぐように置く。
ゆっくりと脚立にあがる乙、きしむ音。
精密ドライバーで展示台のパネルをはずす、中の回路が見えてくる。

tak「頼むぜ」
乙「おう」

うさぽんからもらった図面を元にニッパーで配線を切っていく乙。
takの耳のイヤホンからは「RICK’ん ISLAND」がかすかに聞こえてくる。
微笑するtak。

乙「何だって?」
tak「可愛いキツネの絵だって!」
乙「おっかしいなぁ」
tak「何描いたんだよ」
乙「ネズミと犬の絵」
tak「おめー絶対絵の才能ないよ」

笑いながら切断作業を続ける乙、ふと手が止まる。

乙「赤か青」
tak「何?」
乙「お前どっち好き?」
tak「青」
乙「よし」
tak「ちょ、ちょ、ちょっと!!」

覗き込むtak、同じ太さの線が2本同じところから配線されている。

tak「間違ったら鳴るってことか」
乙「だろうな、時間は?」
tak「巡回まであと16分」
乙「やべーな」
tak「うさぽんにメールするか?」
乙「時間がねぇしな・・・」
tak「・・・賭けよう!」
乙「そうしよう」
tak「・・・青だ!」
乙「青だな」

ニッパーを伸ばす乙。

tak「ちょ、ちょっと待って乙ちゃん」
乙、もの凄いため息。

乙「うっわぁ〜っもうお前、俺寿命縮まるよ!?」
tak「悪い悪い、いやお前はどう考えてんのかなって思ってさ」
乙「俺は赤」
tak「な!ほらぁやっぱり!意見まとまってないもの」
乙「いや実はね、手入れた後だんだん赤切りたくなってさ」
tak「俺の意見、全然反映されてないし!」
乙「はは・・・」
tak「・・・どうする?」
乙「・・・!両方切るか?」
tak「ええーっ!?」
乙「はは・・・」
tak「・・・それって恨みっこなしだなぁ」

乙とtak、顔を見合わせる。

乙「よしっ!」

乙、手を伸ばしニッパーで配線両方を切る。

二人、振り向き警報ランプを見つめる。
警報は鳴らない。ホッとする二人。

tak「急げ!時間がないっ!」
乙「おぅ!」

ガラスケースをこじ開け【ナイルの涙】をつかむ乙。
脚立から飛び降り、二人特別室を飛び出す。
途端、冷却が溶けてセンサーが作動。
けたたましく鳴る警報ベル。

38.警備室

うたた寝から目を覚ます警備員。
仮眠ベッドから飛び起きる警備員。
あわてて懐中電灯と警棒を持ち、廊下へ飛び出す。

39.美術館付近

美術館方面の音に気づき、車のエンジンをかけるうさぽん。
うさぽん「やったの!?バレたの!?」

40.美術館外

逃げる二人、後方から懐中電灯の光を激しく揺らしながら警備員が追う。

41.美術館付近

向かってくる二人を確認するうさぽん。
が、すぐ後に警備員が数名追いかけてくる。
焦るうさぽん。

途端、爆音と共に数十台の改造バイクが、二人と警備員の間に強引に割り込んでくる。
バイクに囲まれ身動きがとれなくなる警備員たち。
うさぽんの車にたどり着く乙とtak。
一台のド派手なバイクが車に近づいてくる。

ちま「姐さん!!ちょっと水臭いじゃないスかぁ!!」
うさぽん「ちま?!」
バリバリメイクのちま、嬉しそうに笑っている。
ちま「【血美怒路】のうさぽん姐さん親衛隊のアタイにぃ!一言くらい言ってくれてもぉ!」
うさぽん「ちま・・・!」
ちま「ここはアタイらの特攻隊にまかせて!お行きなさいやぁ!!」

うさぽん、涙ぐみながらうなづく。
発進する車。

ちま、クラクションを鳴らす。
ちま「いいかい!!【走り】をやるよっ!!特攻にここは任せて!親衛隊はついといで!!」
猛然と車を護衛追走するちま以下10数台のバイク。

42.公道

走る車とバイク。 途中バイクが先導に変わり、車の屋根にパトランプが灯る。

乙「なるほどぉ、こうすりゃ誰が見ても【族】を追ってる覆面だ!」

高速のランプに到着。 ちま、軽く手を振り別方面へ走り去っていく。
車は湾岸へ走り去る。

フェードアウト

43.海岸

フェードイン

波の音。 たたずむ乙、tak、うさぽん。
ハンカチを広げるtak。 光り輝く【ナイルの涙】に魅せられる三人。

うさぽん「ところでこのダイヤ、どこでお金に換えるわけ?」

tak、首を振る。
tak「こんな有名すぎるダイヤは換金なんかできねぇだろうなぁ、すぐ
  アシがついちまうだろうし」
うさぽん「え!?じゃ、じゃあなんであんな苦労までして盗んだのよぉ!?」
tak「なんでかねぇ」
乙「うはは、俺たちにもわかんねーや」

うさぽん、苦笑する。
うさぽん「アンタたちはもぉ!・・・じゃあそのダイヤどうする?」
乙「おめーにやろうか」
うさぽん「冗談よしてよーっ!」
tak「どうする?」
乙「いい考えがある」
tak「何?」
乙「俺たちを随分助けてくれた人に」
tak「?・・・あっ!それいいかも!」
うさぽん「え?何?」
乙「俺たちにすげー協力してくれた人にプレゼント!」

車のラジオのアップ。

りっくの声「今日もラストの曲になってしまいましたぞー!!
  来週も聴いてね「RICK’ん ISLAND」!!お別れの曲は
  なっつかしいナンバーRCサクセションの『雨上がりの夜空に』
  お相手は貴方のりっくでしたぁーっ!!おやすみぃ〜!!」




出演者・スタッフの順でエンドロール





ED.ラジオ局

出社してくるりっく。 プロデューサーが声をかける。

プロデューサー「りっくちゃん、おはよ♪」
りっく「あ、おはよーございまーす」
プロデューサー「ファンからかな?荷物が届いてるよ」
小包を渡すプロデューサー。
プロデューサー「誕生日だっけか?」
りっく「いえ〜違うけどなんだろ?」

スタジオのデスクに座り、包みを開ける。
【ナイルの涙】が光り輝いている。
驚くりっく。
ダイヤの下に小さなメモ。


「THE END」と書いてある。

おしまい♪  

この映画は実際に製作されて第二回ふくおか映画祭で上映されました。
作品賞、特別賞にノミネートされたけど落選しちゃいまして。
最後までお読みくださってありがとうございます。
また出演(?)を快諾してくれた皆様、ありがとうございます。

ネット小説、次回作もボチボチ考えてます。

BGM「雨上がりの夜空に」〜RCサクセション〜