THE ART OF AKIRA KUROSAWA

製作・・・本木荘二郎
脚本・・・黒澤 明・橋本 忍・小国英雄
撮影・・・中井朝一
音楽・・・早坂文雄

監督・・・黒澤 明


菊千代・・・三船敏郎
勘兵衛・・・志村 喬
七郎次・・・加東大介
勝四郎・・・木村 功
平八・・・千秋 実
久蔵・・・宮口精二
五郎兵衛・・・稲葉義男

毎年麦の借り入れが終わる頃、その村は野武士の一団に襲われていた。
「やるか!!この村も!!」
「待て待て!去年米をかっさらったばかりだ!今行っても何もあるめぇ!!」
「ようし!!あれが実ったらまた来るべ!!」
疾風のように駆けていく野武士の群れ、また絶望の季節がやってきた・・・





思いあぐねた村人たちは長老に相談する。
長老は、村を守る道はただひとつ、侍を雇って闘うことだと決断する。
「・・・やるべし!!」
「爺様!そら無茶だ!おらたちゃ百姓だ!米の作り方はわかるが人の殺し方は
知らねえ!」
「侍雇うだ!」
「だどもおらたちの村のために命投げ出すお侍がいるだか?」
「腹減ってる侍雇うだよ、腹減ってりゃ熊だって山降りるだ!」

黒澤監督は既成の時代劇を一掃し、侍の一日を正確な調査に基づく時代考証で
映画化しようと考えた。 調査しているうちに浪人した侍がどうやって生活したか、時には百姓に雇われて野武士
の襲撃と闘ったらしいということがわかった。 ここから作品の構想が始まったという。
4人の村人は侍探しに出発した。 しかし、飯が腹いっぱい食えるというだけの
仕事を引き受ける侍などどこを探してもいなかった。
彼らは庄屋に押し入った盗人を退治した歴戦の古豪、勘兵衛に頼み込む。
困惑した勘兵衛だったが彼らの必死の懇願に人肌脱ごうと決心する。
村を守るためには最低七人の侍が必要だと考え、村人と侍探しを始める。
彼の人柄に惚れた五郎衛、陽気な平八、弟子入り志願の若武者勝四郎、
勘兵衛の古女房七郎次、剣の達人久蔵が加わり、更に野人のような菊千代
が勝手についてくる。
七人の侍が揃った。

前半のこの侍集めで黒澤監督はそれぞれのキャラクターをとてもうまく描いている。 
特に注目は七郎次と久蔵のシーン。

七郎次は勘兵衛とはおそらく様々な戦(いくさ)を共にしたのだろう。
「貴様、生きとったのか!わしはもうこの世におらんと思っておったわ」
七郎次は頭をかきながら笑う。 
「ところで、あれからどうした?」
「はっ、夜になるまで堀の中で水草をかぶっておりました。 二の丸が焼け落ちたときには、もはやこれまでと
 思いました」

「(うなづきながら)そのときどう思った?」
「・・・さあ・・別に・・・」
「実はな、金にも出世にもならん難しい戦があるのだが・・・ついて来るか?」
「はい」
「・・・今度こそ死ぬかもしれんぞ」
七郎次、無言で微笑む。

剣の達人、久蔵の描き方は真剣での腕比べのシーンが圧巻。
真剣でどちらが強いか勝負だと執拗に食い下がる侍相手にゆっくりと刀を抜く久蔵。
勘兵衛は双方をじっくり見つめてぽつりと一言。
「・・・おろかな!勝負は見えておる!」
久蔵の一太刀で勝敗はついた。
村に着いた勘兵衛たちは刈り入れが終わると村に防護柵や堀を作らせ
村人に竹やりを持たせて戦闘訓練を行う。
村には数件の離れ屋があった。 長老の家も川の向こうにある。
村を救うためには離れ屋の村人をこちらに移住させることしかなかった。
離れ屋の村人が反発したことで村を守る足並みも乱れた。
勘兵衛は竹やりを捨てた村人に対して刀を抜き、大声で叫ぶ。
「離れ屋は三軒!その三軒のために二十軒を焼くわけにはいかん!!
いいか!戦とはそういうものだ!人を守ってこそ自分も守れる!
己のことばかり考える奴は己をも滅ぼす奴だ!!
                   今後そういう奴は・・・!!」全員に緊張が走る。

やがて野武士が姿を現し始めた。 物見の3人を久蔵と菊千代が倒す。
村人の利吉の案内で野武士の砦に夜襲をかけ、火を放つ。
そこには野武士に奪われた利吉の妻もいた・・・。
その夜、侍の一人平八が野武士の鉄砲に撃たれ死んだ。







夜が明けると野武士は村を襲撃してきた。
侍たちを中心に村人たちも必死で戦うが、野武士は離れ屋に火をつける
老人と子どもを助けるため危険を顧みず飛び出す菊千代。止める勘兵衛。
子どもを抱いた母親が水車小屋からよろけ出て菊千代に子どもを渡して
生き絶える。 子どもを抱きしめ、その場を動かない菊千代。
彼もこの子どもと同じ過去だったのだ。




必死の闘いが続く。
菊千代などの働きで野武士は次々とその数を減らしていくが味方も
数人と五郎兵衛を失う。

残るは十三騎、決戦の朝はどしゃぶりの雨だった。

戦闘のシーンはカメラを3台使って同じ動きをそれぞれ違う距離と角度で
撮影し、それを編集した。 激しく入り乱れる多くの人間と馬をショットを変える毎に
同じように繰り返すことは不可能であり、しかも勢いに乗った迫力を損なうという
理由からである。 また、最後のどしゃぶりの決戦シーンは雪が降り出す2月の 寒い日に俳優たちは頭からお湯をかぶりながら撮影に臨んだ。 監督自身も身体半分泥に浸かりながらの演出に 足の指が破傷風寸前にまでなったという。

降りしきるどしゃぶりの雨の中、残った野武士の一団がなだれ込んでくる。
残るは十三騎、勘兵衛はこれを全部村に入れて中で挟み撃ちにする作戦
に出た。







侍と村人は死に物狂いで迎え撃つ。
敵の銃弾により久蔵が倒れる。








村の女を人質に立てこもった野武士の首領を追い詰め
撃たれる菊千代。 しかし最後の力を振り絞り首領と刺し違えて息絶える。








「野武士は!?野武士はー!!」
泣き叫びながら走る勝四郎に勘兵衛は「野武士はもうおらん!!」と一喝する。
号泣する勝四郎。
闘いは終わった。
勘兵衛は七郎次に「・・・また、生き残ったな」と声をかけた。





今年も田植えの季節がやってきた。
勘兵衛は、村人たちののどかな田植え風景を眺めながら
「勝ったのはあの百姓たちだ、我々ではない」とつぶやくのだった。







「七人の侍」は製作面においても、空前のものとなった。 約1年間に及ぶ撮影期間。 費やした製作費
2億1000万円。
  これは現在の30億円に相当、当時の通常の作品であれば7本分の製作費である。
余りにかかる時間とお金に東宝は業を煮やして「今、撮影したまでのフィルムを編集して公開する」と決定、
黒澤監督に
伝えて試写室でまず見せろと依頼した。 ところが試写したフィルムはいよいよ野武士が村に
攻めてくる!となったシーンで
終わった。 「!この先は?!」という重役連中の問いに黒澤監督は
「まだ撮ってません」と答えたという。

「どうぞ、存分に撮ってください」と東宝が答えるまでさほど時間はかからなかったらしい。

いろいろな映画を観て来ましたし、これからも観ることでしょう。
でも「今まで観た最高の映画は?」と聞かれたら僕はこの作品を挙げます。
最後まで読んで頂いてどうもありがとうございました。
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BGM:「七人の侍」より「侍のテーマ」