乙・・・東洋国際大学いかがわシネマ倶楽部の部長、映画監督になるのが夢。ダブリの三年生。
りっく・・・女子大生。倶楽部に次回作のヒロインに、とスカウトされる。芝居経験なしの一年生。
tak・・・大の映画ファン。次回作の主役に抜擢。一年生。
カズ・・・シネマ倶楽部の撮影・脚本担当。普段から結構すちゃらかで女好き。ニ年生。
河童・・・シネマ倶楽部の音響・照明担当。人数不足のため役者としても参加。ニ年生。
うさぽん・・・シネマ倶楽部の記録担当。三年生。
ちま・・・シネマ倶楽部の美術・渉外担当。役者としても参加。二年生。
Ryuzi・・・シネマ倶楽部の道具担当。二年生。
ぺぺりん・・・シネマ倶楽部の経理担当。人数不足のため撮影・音響も担当。三年生。

REI・・・りっくの友達。女子大生。
和夏・・・りっくの友達。女子大生。

ワビスケ・・・takの友人。

きゃめる・・・ラーメン屋の若妻。倶楽部のメンバーの良き理解者。

夢珠・・・いかがわシネマ倶楽部OB。乙の良き相談相手。

てくのすけ・・・スナック・フレディのマスター。
りり・・・スナック・フレディで働いているキレイなお姉さん。

ぞんざい・・・乙たちの友人。映画のエキストラで協力してくれる。
イギー・・・乙たちの友人。映画のエキストラで協力してくれる。

和田直樹・・・新進気鋭の映画監督。
minori・・・今、最も旬な女優。

出演者はまだまだ増えます。皆さん出演よろしく。

<前回までのあらすじ>
東洋国際大学の映画集団「いかがわシネマ倶楽部」。いい映画を撮りたい、の志を持つ
学生たちは今日も全日本アマチュア映画祭の作品を思案中。
部長の乙はキャンパス内で映画ファンのtakと出会い、次回作の構想を思い立つ。
相手役の女性を模索中、後輩と共に計画したコンパでりっくと出会う。
倶楽部のメンバーの映画に対する情熱に出演を決意する二人、
作品の脚本も完成し、いよいよ撮影開始が始まった。
馴れない演技にとまどいながらも、takとりっくは次第に映画の世界に魅了されていく。

一方、乙は念願がかない、東京の一流プロダクションに採用が決まる。
去って行く者とその意志を受け継ぐ者・・・。
撮影も進み、りっくとtakの恋も芽生え、映画製作はクライマックス。
そんなおり、乙の応募したデモフィルムがメジャーに認められた。
苦労の末、完成した作品。いよいよ上映会の日がやってきた!

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54.会場ロビー

ロビーでくつろぐメンバー、上映が終わったばかりの安堵感もあって話がはずむ。

ちま「ちょっと反響良かったと思わない〜?凄い拍手だったじゃん」

ちまの言葉に同調するぺぺりん、乙に向かって話し掛ける。

ぺぺりん「部長、絶対大丈夫だヨ、グランプリ!」
カズ「どーしよ」
ちま「何が?」
カズ「俺、撮影だぜ」
ちま「それが?」
カズ「いやもうあの、なんって言うんでしょーねー、自分の才能ってちょっと怖いって言うか」
河童「はいはい、わかったから静かにしようね、ここは大人の人いっぱいいるから」
カズ「てめーこのやろ、俺をそこら近所のアホガキ扱いしやがったな!」

みんな笑う、乙にも笑顔。

乙、takとりっくに向かって

乙「・・・ありがとな」

りっくとtak、笑いながら首を横に振る。

tak「お礼はこっちが言わないと・・・」
りっく「ホントです!こんなステキな経験させていただいて・・・」

乙「お前たちがいなかったら、こんないいシャシン撮れなかった」

りっく、下を向く。

乙「ありがと」

河童、笑顔で

河童「部長ぉ!お礼はグランプリとった後にしてくださいっ!」
Ryuzi「そーそー!そんときゃ部長の奢りでぱーっと!」
ちま「ぱーっと何よ!?またストリップ!?」

みんな爆笑。
会場アナウンス。

アナウンス「まもなく休憩時間が終わります、皆様席にお戻りください」

55.会場内

休憩時間終了、観客が戻ってくる。
メンバーも席につく。 カズたち、深呼吸。

司会者「それでは三作品を続けてごらんいただきます。フリーダム・シネマの「青春の暴走」、
 九州芸術大学映画研究部の「ある映画監督の憂鬱」、そして関西芸術学院の「REPEAT」です」

場内暗転、上映が始まる。

時間が進むにつれ、画面に夢中になる観客。
いかがわシネマ倶楽部のメンバーの表情も険しくなる。
斬新な映像、カット割、テンポ、演技力、驚きの連続で言葉もないtak、りっく。
カズに2〜3言話し掛ける河童、頷くカズ。
うさぽん、そっと乙の様子をうかがう。
乙は表情も変えず画面に見入っている。

三本の上映が終了、観客に心地よい鑑賞後の疲労感。

司会者「これですべての上映が終了致しました、審査結果の集計に入ります。
 今しばらくお待ち下さい」

56.ロビー

コーヒーを飲んでいるカズ、河童、Ryuziの三人。
みな口々に観た作品の感想を興奮して話している。

Ryuzi「俺、2番目のやつすげーと思った!」
河童「だよな。カーチェイス、あれってどうやって撮ったんだろ?」
河童、カズに振る。
カズ「わかんねー、あのスピードでカメラぶれないんだぜ?!」
Ryuzi「な〜!」

三人の横で別のグループが談笑している。

A「俺、今回はフリーダムが獲ると思う!」
B「あ、俺も!」
C「俺は映画監督の話のが好きだったなー」
B「いかがわの作品は?」
A「面白かったけどぉ・・・」
B「うん」
A「ちょっとなー、後の三本に比べたら力不足っていうか・・・」
C「そーだな、以前に比べて情熱がしぼんじゃったってカンジ」

耳にしたカズ、表情が変わる。 気づく河童。
河童「カズ、待て!」

カズ、立ちあがって三人にむかって口を開こうとした瞬間、

りっく「あなたたち、映画作ってる人たちに情熱がないなんてよく言えるわね!!」

カズ、驚く。 続けるりっく。

りっく「批評してもいいわよ!でも作ったこともない人が一所懸命な人たちを軽々しく言わないでよ!!」

takら、りっくをなだめる。 A、B、C、勢いに押されきょとんとしている。

57.会場内

続々と入場してくる観客たち。
いかがわのメンバーたちも席につく。
takとりっく、少し緊張ぎみ。ちまが声をかける。

ちま「とれたらいいね!」

二人、笑ってうなづく。
乙、沈黙。 心配そうに見つめるうさぽん。

司会者「集計結果がまとまりました。それでは全日本アマチュア映画祭、受賞結果の発表です!
まずは『男優賞』、フリーダム・シネマ「青春の暴走」のバーンズさん!!」

受賞のスタッフ、大喜び。 受賞者、ガッツポーズで壇上へ。
会場内、拍手。 女優賞、脚本賞、優秀作品賞と進んで行く。

司会者「『監督賞』の発表です!」

うさぽん、乙を見つめる。

司会者「『監督賞』、九州芸術大学映画研究部「ある映画監督の憂鬱」を監督したとーみさん!」

会場内、どよめき。 口々に「やっぱり」と話し声。

司会者「おめでとうございます、プレゼンテーターはゲストの和田直樹監督です」

会場内、更にどよめき。 盾を受け取るとーみ、感激。

司会者「それでは皆様、『グランプリ』の発表です!!」

静まり返る会場内、目を閉じるメンバー、祈るりっく。

司会者「最優秀作品『グランプリ』…九州芸術大学映画研究部「ある映画監督の憂鬱」です!!」

場内大歓声、抱き合って喜ぶスタッフたち。

乙、席を立ち外へ。
心配そうに後を追ううさぽん。

58.会場ロビー

ロビーで表の景色を見つめている乙。
うさぽん、努めて明るく声をかける。

うさぽん「なんや〜!元気ださんかい!」

乙、少し振り返り微笑む。

乙「…駄目だったな」
うさぽん「…」
乙「こないだの…」
うさぽん「え…?」
乙「お前に話した…いっしょに東京に行く話…」
うさぽん「うん…」
乙「考えて…くれたか?」

59.会場内

受賞の興奮が一息ついた会場、司会者が口を開く。

司会者「皆様、実は今回もう一作品受賞がございます。」

司会者を見つめる観客。

司会者「(和田監督とminoriを指し)特別審査をお願いしておりましたお二方より申し出がありました。
 我々も同意見でしたので今回『審査員選定優秀製作賞』を急遽設定致しました。」

うなづく和田監督とminori。 続ける司会者。

司会者「面白い映画を作りたい、みんなを感動させる映画を作りたい、映画に対する情熱と愛は
 今日出品してくださった皆様が持っている共通の気持ちです。 そしてすでにメジャーで活躍
 されている方々にもその心は今でも生きています。 そこには様々な苦労、葛藤、想い出が
 あることでしょう。 そしてその想いは自然とスクリーンを通して観客に伝わります。
 映画は一人で作れるものではない、同じ志しを持った仲間と作るもの。 脚本を書く人がいる、
 撮影をする人がいる、演じる人がいる、音を入れる人がいる、記録する人がいる、道具をつくる人が
 いる、そしてそれをまとめる人がいる。」

シーンと静まる会場内、司会者の声に耳を傾けている。

司会者「『審査員選定優秀製作賞』、いかがわシネマ倶楽部の皆様です!
 あなたたちは我々に映画作りの原点とも言える『情熱』を思い出させてくれました。 
 ありがとう! そしておめでとうございます!!」

場内大歓声、抱き合って喜ぶりっくとtak。
カズ&河童&Ryzui、乙たちを呼びに飛び出す。

60.駅のホーム

画面、フェードイン。
駅のホーム。行き交う乗客たち。
荷物を手にホームに立つ乙、メンバーが見送りに来ている。

ちま「先輩、連絡くださいよぉ!」
乙「おう」
ぺぺりん「忘れちゃいやよぉ!」
乙「バーカ、忘れるわけねーじゃん!」
ちま「いい映画、いっぱい撮ってくださいね」
乙「うん」

乙、後方の三人組に向って
乙「先に行って待ってる!来いよ!」
カズ「(涙目でも笑顔で)はい!」
Ryuzi「待ってなきゃ知らないんだからもぉ!!」
河童「必ず行きますから覚悟しといてくださいよ!」
乙「わかった、わかった!そんときゃお手柔らかにな」

乙、takとりっくに

乙「ホントありがとう、二人とも!」
tak「いえ、お礼を言うのはむしろこっちです!」
りっく「ありがとうございました!」
乙「お前たちのおかげで本当にステキな映画が撮れたよ!俺の最高傑作だ!」

二人、恐縮する。

乙「これからもラブラブで、なっ!」

二人、更に照れ笑い。

乙「…うさぽんは…?」

メンバー、一様に左右を見て寂しげな表情。
乙、小さく頷きながら

乙「…うん、なんかあったんだろ。また俺から連絡しとくわ!」

列車出発のアナウンス、ベル。
乙、乗り込む。
メンバーに向って明るく

乙「…じゃっ!!」

ドア閉まる。
口々にお別れをするメンバー。
動き出す列車、小走りに追いかけるメンバー。
走り去る列車。

60−2.ホーム

ホームにたたずむメンバー。
河童「行っちゃったな…」
カズ「うん」
ちま「寂しいね…なんか」
Ryuzi「そうも言ってられないよ、新入部員の勧誘もそろそろ準備しとかなきゃいけないし。
 ポスターとかチラシも」
河童「あ、そーだ」
ぺぺりん「じゃ、急がなきゃ!学生課って土・日はいないよ!」
カズ「やべーじゃん!とりあえず戻るか」
ちま「もー、全然感傷にひたるひまもないよぉ!」

立ち去ろうとするメンバー、呼びとめるtak。

tak「あ、あの!!」

振り向く一行。

tak「新入部員なら、ここに…2人!」

りっくも笑って頷く。
カズと河童、顔を見合わせる。

カズ「え?」
河童「何言ってんのお前ら!?」

tak、少し驚き

tak「いえ、あの…」
カズ、吹き出しながら

カズ「なーにとぼけたこと言ってんだよ!」
tak「え…」

カズ「お前ら、もう仲間じゃん!!」

tak、りっく顔を見合わせ、笑って

tak・りっく「はい!!」
ちま「ほーらっ!!ボヤボヤしないっ!あんたたちにもやってもらう仕事がいーっぱい
 あるんだからねっ!!」

階段を走って降りるメンバーと2人。

61.列車内

ぼんやり窓の外を見ている乙。
車両の後部ドアが静かに開く。
一人の女性がボストンバッグを両手に持ち入ってくる。
女性、乙の前の席に座る。
気がつき正面を向く乙、前にうさぽんが座っている。
驚く乙にうさぽん微笑みながら

うさぽん「私さぁ、映画はハッピーエンドに限ると思うのよぉ!」

笑いながら続けるうさぽん。

うさぽん「ま、あんたはそういうジャンルって好みやないと思うけどな!」

乙、笑って

乙「そうだな」

見つめあう二人。

乙「これからはそんな映画も観ることにするよ」

乙に近づくうさぽん。

二人抱き合ってキス。

走って行く列車。
フェード・アウト。

キャスト、スタッフの順にスクロール

CRANK UP!


最後まで読んでくださってありがとうございました。出演してくださった皆様、またまた
ギャラはありませんが本当にありがとうございます。

またすぐに次回作、書きたくなると思います。 そのときはまた。。。