これは乙が学生時代、映画サークルに所属していた頃の
幾つかのエピソードを交えて描いていく【映画シナリオ風小説】です。
映画を撮るってどういうことをするのか、どんな苦労、どんな歓びが
あるのか、その面白さが少しでもわかってくださって興味をもって
頂ければ幸いです。

あ、登場する名前は架空(?)の人物です。僕が勝手に名づけてる
だけなんで。ええ、あの、その、すんません。




<登場人物>
乙・・・東洋国際大学2年生。映画が好きで将来の夢はハリウッドに通用する映画監督。
Ryuzi・・・乙の親友、同じく2年生。同じく映画が好きで夢はハリウッドに通用するアクション俳優。
りっく・・・二人の共通の友人、2年生。女優志望。
うさぽん・・・女子大生。ひょんなことから二人の映画製作にかかわることになる。撮影担当。
イギー・・・二人の共通の友人、2年生。学校より遊びとバイトに夢中な男。
Misa・・・りっくの友人、衣装・メイク担当。
REI・・・うさぽんの友人、記録担当。

ワビスケ・・・居酒屋「ワビスケ」店主。主人公たちの父親的存在。
カズ・・・BAR「カズ」マスター。元映画カメラマン。
tak・・・乙の友人、軽音楽部に所属。通称「東洋国際大学のクラプトン」
minori・・・りっくの友人、無線部に所属。
バーンズ・・・大学の教授。
グラサン仮面・・・イギーお気に入りのヒーローものの主人公。らしい。
御子神・・・りっく、Ryuzi少年時代の悪ガキグループ一員。
河童・・・同上。
ぞんざい・・・同上。

ちま・・・Misaの友達。
とーみ・・・Misaの友達。
きゃめる・・・Misaの友達。
直子・・・Misaの友達。

てく・のすけ・・・超人気のスター。フェスティバルの審査員として出席が決定。

<前回までのあらすじ>
大学生の乙は大の映画好き、親友のRyuzi、りっくとともにコンテストに出品するべく映画作り
をすることに。 撮影担当のうさぽん、遊び人のイギー、衣装・メイク担当Misa、記録担当REIを
メンバーに「乙さんシネマ倶楽部」を結成。 いよいよクランクイン!
行動を共にしている間、お互いに恋愛感情を持ち始めるイギーとMisa、そして乙とうさぽん。
撮影は快調に進んでいるかに見えたが様々なアクシデント、出来事に巻き込まれるメンバーたち。
しかし『いい映画を撮りたい!』の気持ちはみんな同じ、力を合わせて遂に完成!!
いよいよ上映会です。


<ACT.1「映画を作ろう!」>
巻之一はこちら♪  

<ACT.2「クランク・イン」>
巻之二はこちら♪  巻之三はこちら♪

巻之四はこちら♪  巻之五はこちら♪  巻之六はこちら♪

巻之七はこちら♪  巻之八はこちら♪

<ACT.3「編集」>
巻之九はこちら♪

<ACT.4「上映会」>
巻之十はこちら♪

101.会場内

大ホール1階。最前列部が審査員席、その後ろに出品者席がある。
乙たちメンバー、席につく。周りを見回すイギー。Ryuziが突っ込む。
Ryzui「きょろきょろすんなっつーの、田舎もんみてーだろ」
イギー「ほら見てYO!どんどんお客さんも入ってくるYO!」

1階席中部・後部はほぼ満席、2階席も埋まり始めている。
一般席に座る直子、とーみ、ちま、きゃめる。
そわそわして落ち着かない様子。
きゃめる「すっごい人よねー、てく様人気もあるだろーけど」
直子「もう来てるのかなてく様?」
ちま「(舞台そでを指差し)あそこから出てくるのかなー」
とーみ「案外私たちの後ろからにっこり笑って歩いてくるかもよ!」

出品席で深呼吸する乙、Ryuziが肩をもむ。
Ryuzi「落ち着けって、どーんとしてようぜ」
乙「うん、はぁ〜でもこんなに緊張するとは思わなかった」
Ryuzi「あ、ところでよ」
乙「ん?」
Ryuzi「撮影で使ったコンドーム、一個足りないんだけど使った?」
乙、あわてる。
乙「(口に人差し指をあてて)しぃ〜!!」
Ryuzi「ぶははは、わかりやすいなぁホントお前!」
乙の隣のうさぽん、不思議そうな顔で
うさぽん「どないしたん?」
Ryuzi「いやいや、男同士の話!そーそーリラックスリラックス」

102.会場内・ステージ

ステージに照明が当たる。司会者が登場する。自然と会場から拍手。
司会「ご来場まことにありがとうございます、只今より【ヤングMOVIEフェスティバル】開会いたします!」
審査員の紹介。メジャーの映画監督、撮影監督、映画配給会社、女性タレント等が連ねている。
司会「そして、本日は特別ゲストをお迎えしています。てく様ことてく・のすけさんですっ!」
会場より黄色い悲鳴、歓声。「夏のサンバ」のテーマにのって舞台そでよりてく・のすけ登場。

4人組「てく様ーーーーーっ!!!!!!!!」
女性陣狂喜。にこやかに手を振るてく様。
軽く挨拶をして壇上より降りて席につくてく様。

司会「それでは早速上映を始めたいと思います。最初の作品は【映像集団・映写室】が製作した
 『黄昏の海』です」

照明が暗くなる。上映開始。

映像技術、テンポに息を呑む乙たち。

次々と上映作品が進む。映画を観て会場で起こるどよめき、笑い声、拍手。

103.会場内・出品者席

休憩時間。
メンバー、鑑賞した作品について話している。
うさぽん「アレどないやって撮ってんのやろ?走ってる人と平行に動いてるのにその上を飛び越えてくんやで!?」
乙「クレーンとか使ってんのかな?カメラのファインダー覗いてるだけでも大変そうなのに」
Ryuzi「3本目のやつ!あんな演技出来たらすげーよなぁ!目だけで主人公の気持ちが伝わってくるし!」
りっく「編集とかみんなうまいよねぇ」
REI「そうね、絵コンテとかしっかり描いてるんでしょうね」
Misa「絵コンテって?」
REI「脚本をマンガみたいに描いたものよ、それを見たら監督がどう撮りたいのか演技者にも撮影者にも
 わかりやすいのね」
乙「えーっ!?REIさん教えてよ!早く!」
REI「あらら、監督知っててわざと使わないんだろうって思ってたのよ♪」
乙「全然知らねー!!」
REI「ウチの映画は独特の実験映画に近かったから♪」
乙「そっかー、くそーっ知らねーことばっかりだよ」
乙、苦笑する。
イギー、そわそわ。
Misa「大丈夫?」
イギー「ちょ、ちょっとトイレ行ってくるわ!だんだん自分たちの上映が近づいてくるとさぁ」
イギー、笑いながら走っていく。
乙、それを見て深呼吸。

104.会場内

9本目の作品上映終了。
司会者、マイクを持つ。
司会「【SHINE CLUB】の『GO!GO!ピクニック』でした!それでは10本目の作品です」
一般席の4人組、tak、minori、身を乗り出す。
とーみ「いよいよだわっ!」
きゃめる「ドキドキしてきたー!」
直子「てく様には悪いけどねー、待ってました!ってカンジ!!」
ちま「行けーっ!!グランプリー!!」

司会「【乙さんシネマ倶楽部】の作品、『Bullet』です」

場内暗転、大スクリーンにタイトル『Bullet』の文字。
何度となく数え切れないほど観た場面が上映されていく。
射殺シーン、繁華街の逃走、パトカーのゲリラ撮影、りっくを何度も走らせた公園・・・。
観客が自分たちの作った映画を真剣に観てくれている。
自然と乙やRyuziの目から涙。
Ryuzi「(乙を少し見て)何・・・泣いてんだよ」
乙「・・・おめーも・・・ダメだ、スクリーンが見えなくなる」
Ryuzi「・・・いいよな・・・映画って」
乙「(うなづいて)ああ・・・賞なんてもうどうでもいいや」
うさぽん、目に涙をためて乙の頬にキス。
りっく、Ryuziの手をしっかり握る。目に涙。

ラストシーン、号泣して抱きつくりっくが映し出される。
エンドタイトル。
会場のところどころで小さいざわめき、次第に拍手に変わる。小さな拍手から大きな拍手へ。

「ラストしかセリフがないんだ!」
「すげー」等の声が小さく聞こえる。
涙を拭きながらガッツポーズで笑う乙、涙を拭きながら笑ううさぽん、手を握り合って喜ぶMisaとREI。
抱き合って泣くりっくとRyuzi。感動で嗚咽するイギー。

一般席の4人組も感動中。
直子「・・・私、てく様どーでもいい」
ちま「てくさまぁ、ごめんねぇ」
とーみ「映画っていいよねぇ」
きゃめる「ホント、いいよねぇ」

拍手、拍手。

場面フェードアウト(暗転)、司会者の声だけ響く。

司会「グランプリ受賞作品は・・・【関東映画クラブ】の『青春の暴走』です!おめでとうございました!!」

歓声。

105.会場外

メンバー、輪になっている。そばには4人組、tak、minoriもいる。
乙、笑顔で話している。
乙「みんな・・・今までありがとう!」
メンバーも口々にねぎらう。
乙「みんな、がんばってくれてすげー作品作れたんだけど、賞獲れなくてゴメン・・・
 他の人たちの作品観てたらさ!なんかこう圧倒されちゃうよな!みんなプロじゃないんだもんな!
 アマチュアでもすごい人たちっているんだなぁ・・・」
りっく、クスクス笑っている。
乙、気がつき
乙「何?俺変なこと言った?」
りっく「言いたいことはそれだけぇ?」
乙「え?」
りっく「まさかチーム解散だなんて言い出すんじゃないでしょうねぇ!?」
乙「!」
REI「そうよ監督!!次回作は何撮るのよっ!!」
うさぽん「リベンジやで!乙!!」
笑うメンバー、涙を貯めながらも嬉しそうに頭をかく乙。

乙「おう!!次回作はなぁ!!」

カメラ、パンアップ。青空。

END



執筆者謝辞・・・最後まで読んでくださってありがとうございます。
        学生時代、経験した映画作りのいろいろなエピソードを通じて
        映画の面白さ、楽しさが少しでも伝われば・・・と思って描き始めた
        「映画のススメ」。登場するキャラに出演を快諾してくださった皆様には
        感謝しきれません。いろいろとイジラせて頂きました、ここにお詫び申し上げます。
        執筆する毎に一度もお会いしていない皆様ですが、なんだかず〜っと前から
        とてもよく知ってるような気持ちにもなりました。これを感情移入というんでしょうね。
        皆様方なくしてはこのネット小説は書けませんでした、本当にありがとう。
        そして【出演】お疲れ様でした、ギャラはありません。


※次回作、また書きたくなるかもしれません。そのときはまた・・・