昔々、まだ地球上には人類の祖先である猿が群れを作って住んでいる頃、
超高度な文明を持った知的生命体がやってきました。
全知全能である彼らは、きっと人間から見ると『神』に見られるでしょう。
彼らは来訪した証拠に石碑(モノリス)を置いて行きました。
太陽系に3つ、この地球と月、そして木星です。


ある朝、猿たちは眠りから覚めると目の前に不思議な石碑が立っています。
彼らにも異様に思えたらしく、おびえたように遠巻きにして見ています。


しかし、中には勇気のある奴がいて腕を伸ばし、触ってみるものもいます。
すると石碑は猿たちを『進化』させ、道具を使うことを教えました。


それは地上に横たわる獣の骨に過ぎませんでした。
しかし、それを握った猿たちは前よりもずっと強くなり、同族の猿たちとの水場の争い
でも、これを振るって撃退、戦うことを覚えたのです。


一度道具を手にした人間は、『進化』の道を凄いスピードで突き進んでいきました。
人間に近くなった猿が空高く放り投げた骨はやがて宇宙船にまで発展したのです。


2000年、人間は自由に宇宙旅行を楽しめるまでに『進化』しました。
ある時、月の火口で不思議なものが発見されました。
それは『神』と見られる知的生命体が名刺替わりに置いて行った石碑でした。
21世紀の科学者たちはそれを遠巻きにして見ています。
しかし、中には勇気のある人物もいて腕を伸ばし、触ってみるものもいます。

石碑は木星に向って信号を送りつづけていました。
まるで『進化』してここまでたどり着いた人間に向って
「もっと『進化』したいなら木星まで来てごらん」と言っているかのように。
そして2年後、人間はディスカバリー号で木星に向うのでした。


ディスカバリー号には人間の他に優秀なコンピューターHAL9000が搭乗しています。
時には間違いをおかす人間に代わって宇宙船の隅々まで監視、異常が見つかれば
即座に対応の指示が出せるし、思考も持っており自由に会話も出来るのです。


ディスカバリー号が木星に向けて順調な旅を続けていたその時、
HALは恐ろしいことを思い立ちました。
「このままでは人類は私より『進化』してしまう。木星に行かせるわけにはいかない」
乗組員の中で木星にあるものの正体を知っているのはHALだけでした。
次々と乗組員を殺していくHAL、生き残ったボウマン飛行士はHALの電子頭脳室に侵入し、
彼の哀願を聞かず、航行に支障のない機能だけ生かして停止させました。
この時、ボウマンはHALの最後の言葉で今回の任務を初めて知りました。
「石碑が人類を呼んでいる。『ここまで来れるなら来てごらん』と」


やがて木星の軌道に入ったボウマンは、数個の衛星の間に石碑が浮遊しているのを発見しました。
宇宙艇で進んでいくボウマンは、宇宙の急流にはまって恐ろしいスピードで流されていきました。
今とまったく違う時間と空間、今の人類の知識・理解力では想像もつかない世界へ。
何かに例えるとするならば、卵巣の中を進んでいく一個の精子のよう・・・
何かが生まれるのでしょうか。


我に返ったボウマンは16世紀あたりの古風で優雅な部屋の中にいました。
しかも不思議なことに、その広い部屋の中には年老いた自分が住んでいるのです。
ここは宇宙の全知全能の知的生命体が、ボウマンのために用意した部屋。
「よくぞここまで来たね、地球の人よ。太陽系の果てまでを極めた今、
もう今の『生き方』『知識』『欲』は無用だよ。一段高いレベルへ進みなさい。」
静かにベットに横たわるボウマンの前にこれまで人間に様々な『進化』を与えてくれた
石碑が立っています。


腕を伸ばし、触れようとするボウマン。
すると彼は、胎児となって生まれ変わりました。
それは宇宙の果てを極めて、絶対の力に出会った人類の『経験』と『知恵』を
そのまますべて体内に貯えた一段高いレベルの人間なのです。
今、この子は何を思っているのでしょうか?
地球や宇宙を眺めているところを見ると、やがて世に出るときをじっと待っているようです。


乙がこの作品を観て、感じたストーリーです。
みなさんはどうご覧になりましたか?
ご感想をよかったら聞かせてください。

BGM:ヨハン・シュトラウス「美しく青きドナウ」より