==================================== 気ままな雑文の雑誌 ◆Into the Blue◆ http://www.coara.or.jp/~miyashu/index2.htm vol.25 2004.4.12 ==================================== さて春号です。(笑)すっかり季刊化しました。 さて、春号は投稿2作。 中園さんの出版、その後の情報センター出版局訪問記もあります。 sweet_bluesはすでに3作、計24編をUPしてますが、完全企画出版は厳しいよう です。道は遠い。 ■■■■■■■■■■■■■■■おしながき■■■■■■■■■■■■■■■■    ●創作● 決断  夢野 華         ●エッセイ● 情報センター訪問記   中園 隆志    ●詩画● pastel rain sweet_blues   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  ■決断  夢野 華  もうすぐ死が近づいていた。死といっても本当の死ではない。この船で新しい 惑星を探す旅にでた時に先人(この船で死んだクルー)たちが決めたことだ。 20歳〜30歳の間に冷凍保存される時を自ら選ばねばならない。    旅は遙かに続いている。いくつかの惑星に辿り着いて必要な資源を集めながら もう300年も彷徨い続けている。船の中で本当の死を迎えたものもいるが、い つ頃か、ひとめ青い水をたたえた美しい惑星を見たいという思いが信仰のように 人の心を支配するようになった。ロボットの開発が進み人の手をあまり必要とし なくなったからだ。  長い時間を船という限られたスペースで過ごすより人は冷凍され夢を見ること を選ぶようになった。明日はわたしの30歳の誕生日である。わたしの死(冷凍 保存の時)は近づいている。この船の中で誰よりも長い時間を過ごしてきた。残 された時間はわずかだ。もう決断しなければいけない。そうでなければ権利を放 棄することになる。  わたしは外が見える窓に向かった。いまは恒星の近くを運行しているので太陽 電池のパネルが全部そちらを向いている。窓は黒いシールドで覆われていた。漆 黒の闇の中で光り輝いている水素の塊が熱核融合を起こしている。しかしこの太 陽系にも水の惑星はなかった。かりにあったとしても酸素があるとは限らない。 いや、条件は酸素だけではない。 我々が求めているのは、もはや奇跡なのかもしれない。わたしが後、仮に50年 生きたとしても可能性は0に近い。  しかし、ここ数年、ある考えが芽生えていた。冷凍されて、はたして本当に再 び目覚めることができるのだろうかと言うことである。とんでもない危険思想で あることは承知していた。 だから誰にも語らなかった。そして眠りたくない理由はもうひとつあった。 「ここにいたの」  振り向くとイオとベガが立っていた。イオはわたしの遺伝子の継承者である。 イオの瞳はわたしと同じダークブラウンだ。巻き毛の髪の毛はベガそっくりだ。 ベガはまだ25歳、けれどわたしが眠るなら一緒にと常々そう言っていた。ベガ のまっすぐな迷いのない瞳はわたしの答えを求めていた。 「決めたよ。わたしは眠らない」  ベガの瞳は一瞬見開かれ、そして静かに決意をこめて、こう答えた。 「そう、それなら、わたしも」 「どうして」 「あなたの側にいたいからよ」  この船で、かつてのような結婚という意識はなかった。わたしたちは皆、家族。 全員が親であり兄弟だった。もちろん、子どもという概念はなく、あえて呼ぶな ら「遺伝子の継承者」という呼び方をした。  二人の会話が何を意味するのかわからないイオが喜びの笑顔をたたえていた。 ふたりの決意は愚かかも知れない。でもゆっくりと年老いてゆけばいい。こうい う考えを遠い昔の「結婚」と呼ぶのかもしれない。そしてこの船で本当の死を迎 えるのだ。何故と問われれば、こう答えればいい。 「愛のために」 ■from 夢野華の森羅万象 http://homepage3.nifty.com/yumenohana/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ■情報センター訪問記 中園 隆志 情報センター出版局。 ここ、私が中学生の頃から愛読している椎名誠さんが「さらば国分寺書店のオバ バ」という本を上梓して「昭和軽薄文体」などと叩かれつつ鮮烈にデビューした 出版社です。シリーズものとはいえそんな出版社から本を出した私は偉い…と根 拠のないことで天狗になったりするわけですが。冗談はさておき、そんな出版社 を私は一度見てみたいと思ってました。何度も言いますが、あのシーナさんが本 を出したとこですよ。ねえねえ。 そんな訳で私の担当編集者の岩田さん(仮名)が「会社を見に来ますか」と言っ てくださった時には本当に嬉しかった。ほいほいほいとしっぽを振って見に行っ たわけです。 1月30日午後6時30分。中央線(総武線)の各駅停車で降り立ったのは四ッ谷駅。 そういえば何度も通過したことのあるこの駅、実は一度も降り立ったことがない。 新しい駅ビルを抜けるとそこにあったのは甲州街道と外堀通りがぶつかる交差点。 そこから甲州街道をてくてく新宿方面に向かって歩くと、そこにあったのは巨大 な「情報センタービルヂング」。「ビルヂング」という「ヂ」の使い方からもわ かるとおり、10階建てくらいのビル自体は実に古びている。とはいえさすがはシ ーナさんが本を出した出版社、自社ビルですよ。自社ビル。 意を決して中に入るとそこには巨大な吹き抜けがあり、エレベーターの脇に受付」 がある。さらに入口脇には制服姿のガードマンが構えている。確かに出版社もマ スコミ関係と言えなくもないから格好のテロの対象にならないとも限らない。ガ ードマン氏は目で「受付に行くように」と言う。 で、20代半ばの今時珍しい漆黒のストレートの黒髪の女性がひとこと。 受付嬢:「いらっしゃいませ。本日はどちらにご用ですか」 私:「恐れ入ります。編集部の岩田様とアポがありまして」 受付嬢:「岩田ですね。少々お待ちくださいませ」 数分後、岩田さんがエレベーターからさっそうと降りてくる。推定洋服の青山の スラックス2本つきで29800円のスーツ(邪推)。思ったよりも若い。…そう、こ の本の打ち合わせはすべてインターネットとファクスを使って行われており、本 が出版されるまで一度も会ったことがなかったのだ。私と同い年くらいだろうが なぜか貫禄を感じさせる。 で、岩田さんと一緒にエレベーターに乗り七階の編集部へ。編集部は古いビルに もかかわらず壁のないオープンスペースになっており、窓からは新宿の新都心の 高層ビルの一部が見渡せる。30個程度ある机はさすが編集部雑然としているがそ れでも全く無秩序というわけでもない。ちょっと気になったのはタバコ。タバコ のせいでか白かった壁紙がやや黄色がかっている。 応接室に通された私はちょっとびっくり。今までに情報センター出版局から出さ れたおびただしい数の出版物が本棚にびっしりと並び、壁の一面に情報センター 出版局から本を出した有名人の写真とサインが飾ってある。こんな立派な出版社 から本を出したかと思うとなんだか自分がすごいことをしたような気になってく る。 …と言うところで夢から醒めた(夢オチかよ)。という訳で話は戻ります。 1月30日午後6時30分。中央線(総武線)の各駅停車で降り立ったのは四ッ谷駅。 そういえば何度も通過したことのあるこの駅、実は一度も降り立ったことがない。 新しい駅ビルを抜けるとそこにあったのは甲州街道と外堀通りがぶつかる交差点。 そこから甲州街道をてくてく新宿方面に向かって歩くと、そこにあったのはどこ にでもありそうな古びた雑居ビル。いわゆる「エンピツビル」とかいわれるやつ でいちおう7階建てくらいだけど1フロアはすごく狭い。通りに面した縦長の看 板に「情報センター出版局」と書いてるし、住所も間違いない。 …ここ、なんだよな? 通りから数メートル引っ込んだところに入口のドアがあり、そのドアは閉まって おり「部外者は絶対ここからは入れんけんね」と無言の圧力をかけてくる。…が ドアを押すとあっけないほど簡単に開いた。テロ対策など必要ないのだろうか? 古くさいエレベーターで4階へ。エレベーターを降りるとそこは狭いホールになっ ており荷物が雑然と置いてある。そこには二つのドアがあり、ひとつは「情報セ ンター出版局編集部」と書いてありもうひとつは「情報センター出版局販売部」 と書いてある。 …きっと編集部だろうなあと思い右側のドアを開くと、そこは、本や古新聞がと ころ狭しと並べられた部屋。受付も何もない。ドアから向かって左のほうで忙し そうに作業している帽子をかぶり、カジュアルな格好をした今時のお兄さんに 私:「あのー、岩田さんにアポがあって…」 すると、その今時の男性は… 男性:「ああ、Snigelさん!」 …え?あなたが編集者?はっきり言ってバイトの兄ちゃんだと思った。 で、よく見ると、左側の「販売部」と右側の「編集部」はつながっており、何の ために左右二つのドアになっているのか分からない。 岩田さんは「ああ、すいませんね。今、会議室がふさがってまして」と申し訳なさ そうに入口の脇にあるテーブルを私を案内する。で、よく見ると「会議室」は150 センチくらいの高さの本棚の向こう。そこからはなんだか業界の「それっぽい」会 話が漏れ聞こえてくる。 で、フロア中を見回してみると、狭いフロアーに机がおよそ15程度。それから「会 議室」に「資料室」(というか売り物の本が並べてあったので勝手に私が名づけた)。その程度。ま、私が見えないところに「局長室」やら「重役会議室」があったか知 らんが、そういうものは見える範囲にはなかった。 うーん、情報センター出版局は私が思ったほど大きい会社ではないようだ。 ただ考えてみるとこの程度の広さのオフィスの会社から毎月かなりの数の出版物が 刊行されているという事実はけっこうすごいのではないかと思う。そして何よりも 午後7時になろうかというのにけっこう多くの人が会社に残っている。ご苦労様です。 私が勤める会社に7時に来てもたぶん掃除のおばさんすらいないと思う…。 頑張れ情報センター出版局どうか印税を振り込むまで潰れないでいてくれ…と願わ ずにはおれない会社訪問でした。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ■pastel rain sweet_blues http://homepage.mac.com/sweet_blues/pastel/index.htm ■from sweet_blues  http://homepage.mac.com/sweet_blues/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ■編集後記&次号予告■ どうにもこうにも、投稿がほしい。 なんでもいいからくださいっ。 ●御感想・投稿は   メール miyashu@art.coara.or.jp   掲示板 http://www65.tcup.com/6504/miyashu.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 編集発行人:宮永 修治(みやなが・しゅうじ) ■Into the Blue■ http://www.coara.or.jp/~miyashu/index2.htm ■風に吹かれて■ http://www.coara.or.jp/~miyashu/ ■本箱の片隅で■ http://www.amy.hi-ho.ne.jp/s-miyanaga/ see you next! ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ -------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して 発行しています。( http://www.mag2.com/ ) -------------------------------------------------------------------- まぐまぐID 0000027390 です。 購読・解除は http://www.coara.or.jp/~miyashu/mm.htm でどうぞ。 --------------------------------------------------------------------