| むかしむかし、あるところに変わり者のおばあさんと女の子が住んでいました。 おばあさんは魔女だったので村の人から忌み嫌われていましたが、村の人たちはけして おばあさんには危害を加えるようなことはしませんでした。何故なら、おばあさんはどんな 病気にも効く薬を作ることが出来たからです。 おばあさんと一緒に住んでいる女の子もちょっと変わっています。 とても不思議な力を持っているのです。手をつかわずに物を持ち上げたり、風をおこしたり、 動物と話せたり… 村の人たちはそんな女の子を恐れていました。だから、おばあさんの家に来るお客は薬を 作ってもらいに来る人くらいでした。 ある日,女の子はおばあさんに近くの森まで薬草を採りに行くよういわれました。女の子は、 服のポケットやかごに木の実や野菜を入れこみました。 薬草が沢山生えている場所を動物たちに聞いて、教えてくれたお礼にあげるのです。 女の子は軽やかな足取りで森の中に入って行きました。秋なので森の木達の葉は紅葉を むかえ、赤や黄に色づいてとてもきれいです。 そんな光景を眺めながら歩いていくと横からがさがさっと物音がしました。野ウサギです。 物言いたげに女の子に近づいてきました。 「どうしたの?」 と女の子が聞くと野ウサギは訳を話しました。 「まあ、人が倒れているの?…どこにいるの?」 女の子は野ウサギに人が倒れている場所を聞いて,そこに行ってみました。すると、小さな 男の子がうつ伏せになって倒れていました。 その様子を見て,女の子は近くの泉に水を汲みに行きました。 水をどうやって運ぶのかというと、女の子の持っている不思議な力を使って運ぶのです。 水を両手ですくって不思議な力で水をまあるくして宙に浮かせるのです。 そして男の子が倒れているところに戻って男の子の口に水をそっと流しこみました。 「ん…うんん…?」 男の子が目を覚ましました。 「お前は誰だ?」 「わたしは、ルィラっていうの。あなたのお名前は?」 「……おれに名前なんてない…」 女の子は驚きました。彼に名前がないなんて思いもしなかったからです。 「…名前…そうね…わたしがつけてあげるわ。……『ライ』っていうのはどう?」 「ありがとう、ルィラ。おれに名前をつけてくれて。」 「…あのね、ライ。名前のお礼の代わりに約束して欲しい事があるの。」 「なんだい?」 「大きくなったらね、あなたのお嫁さんにして欲しいの。」 「うん…約束するよ。」 |