 平成19年12月 第4回定例県議会 一般質問 答弁 |
1格差社会について 答弁者 知事
我が国は、いわゆる「失われた十年」の後、官民挙げての不良債権処理や、厳しい事業再編、構造改革などを行って幸いりました。その結果、日本経済は危機を脱し、今や戦後最長の景気拡大局面と言われるまでの回復を果たしました。
この間、経済活動や国民生活に関わる様々な制度を見直し、規制を緩和して、起業者に対するビジネス・チャンスの開放や市場原理による自由競争の促進を図ることで、経済を活性化させ、経済社会のグローバル化に対応する競争力を高めてまいりました。
規制緩和が格差の拡大など、我が国の社会に負の効果をもたらしたという意見もありますが、規制緩和が景気回復に一定の役割を果たしたことは事実であり、また、競争の結果として、格差が生じたということもあろうかと思います。
大事なことは、規制緩和のメリットを活かして県民一人ひとりが自らの未来を切り拓けるよう、誰にも平等なチャレンジのチャンスが与えられること、そして、何度でもチャレンジできる仕組みや、安心できる社会的なセーフティネットを整えることだと思います。
このため、まず、社会に巣立っていく若者の教育の機会均等を図るため、小中高の公教育において、子どもたちが努力をすれば自己実現.が図られるよう、学力向一上対策や高校改革に取り組んでいます。
また、雇用の機会や一地場企業のビジネスチャンスの拡大につながる企業立地を促進するとともに、ベンチャー企業へのハンズオン支援、地域資源を活用した商品開発や販路拡大への助成など地場中小企業のチャレンジを総合的に支援しています。
企業誘致により雇用が増えて有効求人倍率が改善されてくると、軍規雇一用へのシフトも起こってきますので、正規雇用を望む若者に対し、職業能力開発校で実施する職業訓練や、ジョブカフェにおけるキャリアカウンセリングなどを通じて、適性に応じた就職ができるよう積極的に支援しています。加えて、女性の自己実現に向けた起業を手助けするほか、将来の専門的職業人育成のための専門高校の'支援などを行っています。
一方、再チャレンジの仕組みとしては、不登校などの生徒の学び直しにも寄与する独立単位制高校の整備や、中高年離職者の再就職を支援する事業などに取り組んでいます。
また、市町村合併により活力の低下が懸念される旧町村部の活性化のほか、均衡ある地域の発展につながる社会基盤の整備、公共サービスの提供、誰もが安心できるコミュニティづくりなど、社会的セーフティネットの整備にも積極的に取り組んでいるところです。
地方財政についても議員から言及がありましたが、本県として行財政改革に取り組む一方で、国に対しては地方交付税の復元や偏在性の少ない地方税財政制度の確立などについて要望を行っているところです。
私は、県政を進める上で、県民の皆さんが地域や年齢、性別などにかかわりなく、安心して生き生きと暮らすことができる大分県を創っていくことが何よりも求められていると思います。
県民の皆さんの声を幅広く伺いながら策定した「安心・活力・発展プラン2005」に掲げた各種施策にしっかりと取り組むことによって.、格差の少ない社会、格差が固定化することのない社会の実現に努めてまいりたいと考えております。
2一(1)限界集落について
答弁者 企画振興部部長 観光・地域振興局
先に実施した第3回の.合併影響調査の中で、限界集落とならないか心配だという声がありましたので、早速10月末から11月にかけて、過疎化・高齢化が懸念される周辺部の32の小規模集落を対象に、新市と共同で実態調査に取り組んだところです。
対象は、人口が100名未満がつ高齢化率が原則50%以上の集落で、近隣に補完可能な集落のない集落とし、最も小さいものでは4世帯6名で全員が高齢者という集落もありました。
調査は、日用品の買い物や医療機関受診の際の交通手段、集落機能の現状や今後の見込み、現在、どのような問題を抱え、今後、問題となるのはどのようなことかといった内容について、職員が集落に赴き、自治会長等への聞き取りと、約300世帯の訪問調査を行ったものです。
聞き取りの中では、鳥獣被害、耕作放棄地の増大、生活道路等の維持管理、災害対応、交通手段の確保対策などが今後問題になるであろうとの声が多く聞かれました。
現在、データの集計・分析など報告書としてのとりまとめ作業を進めています。
県としては、集落の基幹産業である農林水産業の振興はもちろんのこと、コミュニティビジネスの立ち上げによる地域を担う核づくりや、生活の足を確保するコミュニティパスヘの支援等に引き続き取り組むとともに、今回の調査結果を踏まえ必要な対策の検討等も行った上で、市町村やNPOとも連携しながら、更に効果的・効率的な対策を講じてまいりたいと考えています。
2一(2)農地の保全について
答弁者 農林水産部部長 農村整備計画課
農地の荒廃が進行する中、農地を保全し、管理していくためには、その農地を守る農村集落を維持していくことが必要不可欠であります。
そのためには、農業農村整備事業による、農業生産性の向上のための基盤整備と、安心・安全で快適な農村生活実現のための環境整備を総合的に実施することが重要であると考えます。
具体的には、集落全体で農地を守る集落営農につながるほ場整備、生活環境の向上や定住条件の改善に資する集落道路や排水路、CATV等情報網の整備、農家が安全・安心に暮らせる鳥獣害防護柵の整備、農地・農業用施設の災害復旧など、農村集落維持のための基盤整備を重点的に実施しています。
また、ハード事業のみでなく、中山間地域等直接支払や農地・水・環境保全向上対策のソフト施策をあわせて推進し、地域ぐるみによる農地や農業用施設、農村環境の維持、保全活動に対しても支援しています。
しかしながら、過疎化、高齢化等による集落人口の減少により、草刈りや用水路普請等、これまで地域で実施してきた共同活動が困難となっているところもあります。
このため、国では、当該集落だけでは草刈り等共同活動の実施が困難な集落を周辺集落が支援する施策を検討しています。
県としては、こうした国の支援策が導入可能かどうか検討するとともに、今後ともハード・ソフト対策を総合的、一体的に推進し、農村や集落機能の維持と農地の保全を図っていきたいと考えています。
2一(3)遊休農地について
答弁者 農林水産部部長 農村整備計画課
県内の遊休農地は、高齢化、労働力不足等により年々増加し、耕地面積6万4百haの13%にあたる約8千haとなっています。
遊休農地は、農業生産活動の停滞や、鳥獣被害の拡大、農業・農村の多面的機能低下の一因となることから、その解消は喫緊の課題と考えており、一定のまとまりのある遊休農地については、茶園の造成やおおいた型放牧等により、その活用に取り組んでいるところです。
しかしながら、将来に亘って活用が困難と認められる遊休農地については、非農業利用等も検討していく必要があると考えています。
本県では、昨年度、農林水産部内に、「農業企業立地等スピード・サポートプロジェクトチーム」を立ち上げ、農地情報の収集と現地調査を実施し、土地の集積・確保を支援することにより、農業企業の誘致や、他産業からの農業参入の促進に取り組んでいます。
こうした中、本年10月には、広島県の企業が、国東市の遊休農地24haを活用して、かぽす農園を建設することが決定しました。
このような遊休農地を再生する農業を展開するためには、情報の収集が何よりも重要であることから、国や市町村、農業委員会等と.連携して、県下全域の農地に関する詳細な情報の整備を21年度までに行うこととしています。
今後とも、こうした取組を加速させ、遊休農地の活用に努めてまいりたいと考えています。
2一(4)森林の整備について
答弁者 知事 農林水産部森林整備室
農山村の過疎・高齢化による小規模集落の衰退や集落の機能低下が、住民の暮らしや県土の保全といった面に様々な悪影響をもたらすことが危惧されており、心を痛めているところです。このような集落の活力を維持していくためには、農業や林業が地域においてしっかりと営まれ、その地域での生計が成り立っていくことが重要であると考えています。
特に本県は、72%が森林であることから、山村の維持と森林保全は密接に関連しており、間伐や再造林などの森林施業が適切に行われていくことが肝要であります。
さて、ご質問の間伐が必要な山林ですが、本県の民有林のうち、スギ・ヒノキの人工林は18年度末で19万8千haあり、このうち、間伐対象となる11年生から45年生までの面積は12万6千haと全体の63%を占め、人工林を育成していくうえで間伐の実施が重要な課題となっています。
このため、これまでも国の緊急対策等に基づき計画的に間伐を実施してきたところですが、今後24年までに、地球温暖化防止に係る森林吸収源対策として、6万3千haの間伐が必要とされており、今年度は、咋年度の1.4倍に当たる9千2百haを実施することとしております。
具体的な推進方策としては、本庁及び振興局挙げて森林所有者への啓発や要請活動を行うとともに、低コスト間伐等の普及、さらには事業の進捗管理の徹底などを行っているところです。また、通常の造林補助事業に加え、売却収入の見込めない若齢林の保育間伐について、県費で上乗せ補助を行い、目標達成に努めています。
また、伏期に達した人工林の伐採が進む中で、伐採跡地が放置されていることにも憂慮しております。
持続的な森林経営には、植林、下刈、間伐、伐採、そして確実な植林が不可欠ですが、県内には伐採後3年を経過しても植林をしない、いわゆる再造林政乗地が見られ、森林の多面的機能の低下が懸念されております。
県では、次の3点から、再造林放棄地対策を進めてまいります。
1点目は、森林法の適正・厳格な連用です。無届伐採を解消するために、法令の遵守に向けた広報や県内外132の素材生産業者に対する文書指導を行うとともに、施業のガイドラインとなる森林計画によって、新たな規制強化などに取り組んでまいります。また、災害防止のために必要な森林については保安林への指定を推進し、その保全管理を強化してまいります。
2点目は、跡地の森林機能の回復促進です。再造林の推進にあたっては、森林所有者に対し、造林補助事業を活用した再造林を直接働きかけています。また、所有者による実施が困難で、防災上、早期に森林の機能を回復す
る必要が.ある箇所については、森林環境税を活用して広葉樹を植栽してまいります。
3点目は、地域ぐるみの取組の推進です。振興局毎に市町村、森林組合、素材生産業者等からなる再造林放棄地対策協議会を組織し、全ての伐採箇所の現況把握や森林所有者への対面指導などを行い、箇所別に具体的な対策を進めてまいります。
今後とも、間伐や植林などの森林整備を確実に実行し、健全な森林の育成と地域の林業振興に努めてまいります。
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3一(1)道州制について
答弁者 総務部部長 行政企画課
道州制を巡る議論が、昨年2月の第28次地方制度調査会の答申を契機として、国地方、官民を問わず活発化しています。
本県においては従来、「九州は1つ」との考えのもと九州地方知事会を通じて進められている「政策連合」の取組を各県と共に推進してきましたが、道州制については、こうした時代の流れに対応して、地域のことは地域が自らの権限と財源で決め実行するという、地方分権型社会を実現するものでなければなりません。
このような考えのもと、本県としては昨年来、各方面で活発化している道州制議論にも前広に参画してまいりました。例えば、全国レベルでは、全国知事会の道州制特別委員会やPTに知事が委員として参加しているほか、九州地域においては、官民一体で組織する九州地域戦略会議に設置された第2次道州制検討委員会の場に、知事が顧問として、私が委員としてそれぞれ加わり、「九州モデル」策定に向けた議論を重ねているところです。
こうした中でさらに、道州制を本県自らの問題として受け止め、県民の視点に立って考えていく必要があると考え、県内各界の有識者にご協力頂き、去る10月に大分県道州制研究会を立ち上げたところです。
この研究会は、道州制導入ありきではなく、県民視点からのニュートラルな「研究」を深めていく場と位置づけておりますが、第1回目の会合では、委員から、経済面や手続面でのメリットや期待が寄せられた一方で、地域間格差拡大への不安や、制度議論に入る前のインフラ整備の必要性といった指摘が寄せられるなど、まさに色々な議論がありました。
今後とも、政府の道州制ビジョン懇談会や全国知事会など各界の検討状況等を十分注視しながら、研究会を通じて県民の声を集約する中で、県民視点に立った道州制のメリットデメリットや、大分県としてどのような発展の可能性があるのか、九州全体としてどんな夢を持てるビジョンが描けるのかなどについて、調査研究していきたいと考えております。
3一(2)基礎自治体と権限移譲について
答弁者 総務部部長 行政企画課
本県では、全国でもトップクラスの市町村合併が実現し、これにより県内市町村の能力や行財政基盤は大幅に充実強化されるとともに、住民の多様な二一ズに応え、住民が合併して良かったと思える地域づくりに向けた取組が進められているところです。
また、地方分権改革や道州制議論の進展など、地方の時代の新しい流れが加速しており、今後、基礎自治体は、地域における総合行政の担い手として、ますますその役割も高まってくるものと思われます。こうした将来への展望という意味でも、市町村への権限移譲を推進する意義は深いものと考えております。
市町村への権限移譲については、住民に身近なサービスは住民に身近な基礎自治体で処理できるようにするとともに、市町村が自立性を高め、総合的な行政主体として、高度化する住民二一ズに的確に対応できることが望ましいとの認識に立って、市町村との協議を進めてきたものです。
移譲対象事務としては、「住民、事業者へのサービス・利便性の向上につながる事務」や、既に市町村が担っている事務・との一体的な処理による効率性向上が見込まれる事務」などを中心に掲げ、新市の受け入れ態勢なども踏まえながら、協議を重ねてきました。
この結果、先般、平成20年4月から移譲する事務として、受け入れ可能な市町村から順次移譲する「選択制」を導入した7事務も含め、19の法令事務について協議が整い、本議会に関連議案を提案させて頂いているところであります。
県としては今後とも、政府における分権改革を巡る動きや道州制議論の行方など十分注視しつつ、市町村がこれまで以上に自律性の高い行政運営を行うことが出来、地域住民の期待に応えられるよう、権限移譲の推進に努めてまいりたいと考えております。
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