平成17年6月 第2回定例県議会 一般質問
42番、県政クラブの梶原九州男です。通告に従い質問をいたします。
 今回の議会から、ケーブルテレビでの放送が始まりました。お茶の間からご覧いただき大変光栄に存じます。まだ大分・別府市とその周辺にとどまっていますが、随時拡大されてまいります。お聞きいただくと同時にご意見を寄せていただければ幸いです。
質問に入る前に、現状での県政に対する若干の感想を述べたいと思います。
 さて広瀬知事は、県財政の健全化に向け、平成16年を初年度として、行財政改革に取り組んでいます。平成16年の結果としては、当初予定を78億円(内50億円は県税収入増)上回る実績を残す事が出来たとの報告であります。このことを始め、各施策について高く評価しておりますが、同時に幾つか心配なところもあります。一つは、50億円の県税収入の増加は、評価できるものの大手企業の法人県民税の収入増であり、県民に景気回復感が少ないことであります。二つは、昨年から今年にかけて大手企業の進出が相次ぎ、心から歓迎をいたしております。しかし、雇用の状況は質の改善に繋がってないところもあり、心配しているところです。三つ目は、市町村合併が他県に比べて大きく進展しています。それだけに県のこれからの新市に対する対応は、一層きめ細かな努力が必要と考えています。
 一方自然環境の悪化は、異常気象と言う形であらわれています。また、自然環境のみならず、生活環境も事件・事故の多発と言う形で課題を投げかけています。これらは、全国的な問題であると同時に、私達の身近な問題でもあると感じています。出来ることから環境改善の取組を始めなければといまさらながらに感じております。
以上前置きが長くなりましたが、現状私の感想を申し上げ質問に入ります。

1.森林整備による災害対策等について
 昨年は、梅雨時の集中豪雨と近年にない台風の上陸とによって、全国各地で大水害が発生し、川の氾濫で多くの人が亡くなっています。
 そこで、昨年の水害を検証しながら、本県の災害対策について考えてみたいと思います。
 先ず、死者15人、全半壊の家屋約5,400棟、床上・床下浸水約8,300棟という大惨事となった昨年7月の新潟豪雨についてでありますが、このような大被害をもたらした最大の要因は、信濃川の支流である五十嵐川と刈谷田川の堤防が決壊した事であります。通常、豪雨災害では、土砂崩れの犠牲になる事が多いようですが、この場合人家の多い地域で堤防が決壊し、濁流があっという間に民家を襲って、高齢者が逃げる間もなく亡くなっています。なぜこのような事が発生したのでしょうか。「7.13新潟豪雨洪水災害調査委員会」によると、「記録的な豪雨によって2つの川の流量が急増し、堤防の低い箇所からあふれた水が、堤防の裏側(民家側)の法面やのり肩付近を削り、それが拡大して堤防決壊にいたった。」と結論づけています。五十嵐川は当時毎秒1900トン〜2000トンの水が流れていたと見られております。ところが、この川の流化能力は、計画高水位で毎秒1200トン、堤防満杯で毎秒1700トンだったとされており、その能力を超えたため堤防は決壊したのであります。
 一方、この川の治水計画は100年に一度の豪雨になった場合、基準値で毎秒3600トンの流量になるという想定で作られています。そのうち1200トンを上流に建設した県営の2つのダムによって調節し、残り2400トンを堤防整備など河川改修で対処する計画でありました。このことから計画段階でもダムの貢献度は33%に過ぎない事がわかります。災害が起こった際、まず2つのダムは約4時間で満杯になり、その後は流入量と同量だけ放出する「垂れ流し」状態だったこと。しかも、毎秒2400トンの流量を受け持つはずの河川改修が遅れて、1200トンの能力しかなかった事が災害を大きくした原因であります。
 水資源開発問題全国連絡会の島津代表は「ダムが治水機能を発揮するのは想定以下の洪水の場合に限られ、それを超える洪水になれば機能を失う。ところが下流では、ダムが有効に機能することを前提に堤防などの高さなどが決められる。その意味でダムに依存した治水計画は危険だ。」と言っています。
 また、国土交通省は深刻な被害を受け、「豪雨災害対策総合政策委員会」を発足させ、昨年12月に緊急提言を発表しています。それによると、

これまで洪水予測などをしていなかった「中小河川」で多く発生した。
記録的な降雨等自然の力が、ダムや堤防といった施設の能力を超える事があった。
破堤により多くの人命・財産が失われ、堆積した泥の処理などの負担を強いられた。
地域コミュニティが衰え、水防団員も減少・高齢化して、災害時の「共助体 制」が弱くなっている。
などを指摘するとともに、具体的な対策として次の5点をあげています。
豪雨の際、住民が理解しやすい洪水予測や氾濫情報を地域別にきめ細かく発表できる体制を整える。
浸水が想定される区域や避難時の心得などを記した「洪水災害予測図」を中小河川の流域でも作成配布するなど平時から準備を怠らない。
施設の能力を超える豪雨になっても、破堤などの壊滅的な被害を受けないよう、施設の設計・運用を工夫する。
土地利用状況によって、施設の安全度を変えたり、操作ルールを変更したり、従来からの計画・慣行に捉われない整備手法を導入する。
自助、共助、公助のバランスの取れた防災力を地域ごとに強化する。
 この指摘を受けた国土交通省は、「豪雨災害対策緊急アクションプラン」を公表していますが、このプランによりますと、
水防法を改正し、主要な中小河川でも流域自治体に洪水ハザードマップの作 成を義務づける。
高い水位が続いても決壊しないよう堤防を強化する事にし、直轄河川につい ては5年間で全ての堤防の詳細点検を終える。
水防法改正により、NPOと水防団が連携する制度を創設する。
など、ソフト重視のプランとなっております。
 今回、国土交通省が取り組むものに異論はありませんが、問題は「ソフト重視」を隠れ蓑に、「施設整備の質的転換」を怠っているように見えることであります。私は、質的転換とはこれまで予算を大食いしてきたダム建設などから撤退し、堤防の強化や森林の整備により多くの予算をつぎ込むことだと考えます。
 そこで、森林の整備を新しい公共事業として推進する事について考えてみたいと思います。国土交通省は、「これまで国土の67%を占める森林面積はここ数十年変っていない。」そして、「総雨量が200ミリを越えればどんな森林も保水能力が頭打ちになる。」と言っています。
 これに対して、最近では、「広葉樹林のようなふかふかした土は大雨を速やかに地中に吸収するため、川の増水はなだらかになる。」という研究成果が出されています。これは、徳島県の吉野川可動堰建設の攻防時に研究された「緑のダム」構想であります。それによると、「自然林は放置人工林に比べて2.5倍、伐採したままの跡地に比べて5倍の浸透能力があること。また、適切な間伐をして10年以上経過した人工林は、放置人工林に比べて2倍の浸透能力があることがわかった。」とあります。研究結果では、「適切な間伐で森林の治水機能を向上させれば、吉野川流域では150年に一度の洪水にもダムなしで対応できる。」としています。
 また、熊本県川辺川ダム建設に反対する住民グループの「体系的代替案」によれば、流域の森林整備で約800人の雇用が創出されるとしています。
 こうした森林整備による治水対策は、過疎に悩む山村に雇用を作り出し、持続的な林業を起こす手助けにもなります。
 一方で森林の荒廃は、年を追う毎にひどくなっています。林業が産業として自立しにくい現状では、公がつまり行政が何らかの手助けをしなければ、この窮状を救うことが出来ない状況であります。森林の持つ機能、多面的機能については今回多くを語りませんが、河川の水質が悪化し、水量が減少している中、しかも温泉の恩恵を他の県よりも多く受けている本県としては、何としても森林を守り育てる手立てを考える必要があります。
 また、森林の持つ機能の一つに二酸化炭素の吸収があります。地球温暖化が加速している中、京都議定書も発効しました。企業も、森林の持つ二酸化炭素吸収能力に関心を持ち、森林整備に取り組んでいます。今こそ、行政は大きな声を出して、森林整備を県民あげて取り組む施策を考えるときだと思います。

 そこで質問ですが
(1)災害対策における森林整備の位置づけについて
 災害対策における森林整備の位置づけをどのように考えているのか、私は、今以上に重点化すべきと考えますが、当局の考えをお聞かせください。

(2)森林整備による土木予算の充当について
 森林整備は、過疎地域の活性化にも繋がると考えますが、林業予算のみならず、土木予算でも整備をする事が求められると考えますが所見を伺います。

(3)緊急アクションプランの取組について
 国交省が打ち出した「豪雨災害対策緊急アクションプラン」について、県としてどのように受け止め、取り組んでいくのか所見を伺います。

(4)河川改修について
  昨年の災害を受け、とりわけ河川について今後どのような改修、対策を講
ていくのか伺います。また、現在の河川の改修状況については、どのようになっているのか伺います。

(5)地球温暖化対策に伴う森林整備について
 「地球温暖化対策地域協議会」を発足させるべく取り組みを行っていますが現在の進捗状況はどうなっているのかお伺いします。
 また、温室効果ガス排出抑制も大切ですが、二酸化炭素吸収のための森林備もあわせて協議してはどうかと考えますが、ご所見を伺います。

2.地方機関の再編等について
 大分県における市町村合併の進捗状況は、他県に比べて大きく進んでいます。来年3月末には14市3町1村になる予定であり、全国的にも3,200を越えていた市町村が、1,822市町村に再編されます。新しく誕生する自治体は557団体となっており、大分県においても12の新市が誕生します。つまり地方自治体も、多くの課題を抱えながらも新しい街づくりに向け、スタートしたわけであります。
 市町村合併は、行政が住民にとって何が大切なのか考え行動する原点に帰るときであります。住民一人ひとりから自治体を見た場合、県だから市だからという区別はなく、住民福祉の向上にとって県や市の役割分担は、便宜上のものであります。どの機関がサービスを提供しようと、その内容が住民ニーズに合っているかどうかが住民の関心事であり、大切なことであります。
 大分県は、再編された基礎自治体である市町村との役割分担や行財政改革の一環として、地方機関の再編に取り組むことを発表しました。その基本的な考えについては、
基礎的な住民サービスは市町村が担う、県は高度な専門性が求められる分野特に高い行政能力が必要な分野に特化する。
アクセスの向上と社会経済圏の広域化
職員定数削減などの行財政改革への推進

また、地方振興局のあり方について
地方振興局が一市のみを管轄するような、所管区域の設定はしない。
アクセスへの配慮
県民の社会経済活動の実態を踏まえる。

などと述べていますが、これらについては、私共としても共通の認識に立っております。
 それらを踏まえ幾つか質問を致します。

(1)地方機関の再編のあり方等について
 県の地方機関については総合支庁方式とし、管内の地方機関全てを統合したらと考えますが、地方機関の再編のあり方と権限をどうするのか伺います。
(2)市への権限委譲のあり方について
 県と市町村の役割分担を見直すにあたっては、市への権限委譲が必要と考えますが、県から市への権限委譲のあり方をどのように考えているのか伺います。
(3)パブリックコメントについて
 地方機関再編に際し、市町村や住民の意見また、職員や議員の考えをどのように聴き施策に反映するのか伺います。

3.道州制の導入等について
 市町村合併が一段落したら、次は県の合併なり、県連合や道州制移行への話が本格化すると思います。先日の新聞では、「九州北部4県(大分・福岡・佐賀・熊本)が連携して、自動車関連産業を誘致し、九州・山口地域を自動車関連の一大集積地に育てる。」とあり、「企業誘致でブロックが連携するのは全国でも珍しい。」と報じられ、一部では県同士の連携が進められています。
 そのような中、「九州・山口経済連合会」の地方制度研究会が去る5月に、『地方から道州制の推進に向けて〜「九州モデル」の検討〜』と題して、検討結果を発表しています。それによると、第一段階は、「九州地域連絡会議」などを組織して県間連携を強化し、地方分権の推進や、市町村機能の強化を図る。また、第二段階として、県連合の形成へと発展させる。第三段階として、州への移行を行なう。となっています。
 九州知事会も既に検討に入っていると聞いており、本県においても、県の合併や道州制への移行について、県民の意見を聴きながら具体的検討に入る時期ではないかと考えます。
 私は、昨年の12月議会でも質問いたしましたし、毎回の質問で恐縮ではありますが、次の点について当局の見解を伺います。
(1)道州制に対する今後の取組について
 九経連をはじめ他の団体でも、道州制議論が多く聞かれますが、大分県としての道州制に対する取組を今後どのようにするのか伺います。
(2)市町村機能の強化について
 九経連の第一段階にあります、市町村機能の強化については、私も取り組むべき喫緊の課題だと考えますが、県としてどのように取り組もうとするのか伺います。

4.「大分安全・安心農産物」認証制度について
BSEや鳥インフルエンザ、乾しいたけを始めとした食品の偽装表示、食品添加物など、昨今、「食」をめぐるさまざまな問題が発生しています。「食」は、人の健康ひいては、命にかかわる重大な問題であるため、県民の「食の安全・安心」に対する関心は非常に高まっています。
 食の安全・安心は、行政だけでなく、食品の生産から消費に至るまでの全ての関係者が、それぞれの立場で努力するとともに、関係者の相互理解と協力のもとに進めることが大切であり、本県においては、「みんなで創る食の安全」、「みんなで感じる食の安心」、「みんなが誇れるTHEおおいたブランド」を基本とした「大分県食の安全・安心推進条例」を3月に制定したところであります。
 こうした中、本年10月からは、化学肥料や化学農薬を慣行栽培基準より3割以上減らし、土づくりや環境負荷の低減に取り組む農家を対象に、県の「安全・安心」の認証を受けていることを示す認証マーク(愛称e-naおおいた)を交付する「大分安全・安心農産物」認証制度を導入し、「大分ブランド」の統一イメージを図っていく予定であります。
 食に対する消費者の不安を解消し、農産物の需要を拡大することを目的とした県独自の認証制度は、鹿児島県が平成16年10月から全国に先駆けて導入しています。
 鹿児島県の場合、認証の対象は、県内で生産される農産物、畜産物、林産物、水産物全般で、肥料や農薬の使用量、残留農薬検査、トレーサビリティ体制整備など「安全・安心」を確保できる基準(生産、出荷、管理体制)を設定し、それに従って生産・出荷されていることを第三者機関が中立的な立場で審査、認証を行っています。書類審査や現地調査を実施して審査に合格すれば、県の「安全・安心」の認証を受けていることを示す認証マークを交付しています。

 そこで質問ですが

(1)認証の手続きについて
 化学肥料や農薬の使用量削減の判断を誰が行うのかなど、「安全・安心」の認証を受けていることを示す認証マークを交付するまでの手続きはどのように考えているのか伺います。

(2)認証制度の対象について
 鹿児島県の場合、具体的な認証は基準をすでに策定した野菜と果樹から実施しているものの、いずれは畜産物、林産物、水産物全般を対象とするようであります。
 本県においても、農業、林業、水産業を一体的に捉え、施策を進めるために、本庁や試験研究機関の再編統合を行ってきたところであります。
 ついては、認証制度の条件にトレーサビリティ体制の整備などを盛り込み、農産物だけでなく、畜産物、林産物、水産物についても県独自の食の安全認証制度を導入し、県民の食に対する不安を払拭するとともに、全国に「安全・安心の食料供給県おおいた」をアピールしてはどうかと考えますが、ご所見を伺います。

(3)エコファーマー制度との関わりについて
 環境保全型農業を推進する農家を認証する制度として、エコファーマー制度があり、県はこれまで減農薬や減化学肥料で環境負荷を低減する農業者を「エコファーマー」として認定し、「エコファーマーマーク」の使用を認めてきたところですが、今後、県独自の認証制度を進める上で、エコファーマー制度との関わりをどのようにしていくのかお伺いします。

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