親は子に何を教えたらよいか

                        坂本光男講演
                                   1998.11.30   於:安心院文化会館
 

 現在の子どもは、イざわめき、動き回る子 ロすぐ切れる子、パニックを起こす子
ハ攻撃的だが、もろい子 ニ友達と交われない子 ホ無表情で黙っている子が多くなりました。では、私たち親や教師はどうすればいいのでしょうか。
 子育てで大事なことは、人間的自立をめざしていけるようにすることです。そのためには@「安心」できる家庭・学校に A「生活力」を育てる家庭・学校に B「友だちづくり」を支える家庭・学校 C「対話と学びあい」の豊かな家庭・学校に することが求められます。
 坂本光男先生の講演とレジュメを参考にして要点のみ書き抜きました。
 

 この表を見て下さい。1.働く 2.衣食住 3.つきあい 4.文化と書いてあります。これを不登校の子どもの集会のときに示して「さて、これは何だと思いますか」と聞きました。すると、小学生は「小さいときからいろいろ経験した方がいいこと」、中学生は「人間が生活していくうえで絶対必要なもの」、高校生は「今の学校にないもの」と答えたのです。合ってます。子どもはしっかりしてるなあと思いました。
 「親は子に何を教えたらよいか」というと、この4つを教えればいいのです。
 まず、働くもとになるものを育てることです。
 そして、つき合いのできる子に育てることです。・友達のある子は元気がいい ・20万人はいるという不登校の子は友達がない子が多い ・大学を出て就職してもすぐ辞めるのも友達のない子が多い ・神戸の震災で11人の孤独死が出ましたが、そのうち男性が9人でした。男子の方がつき合いが出来ないようです。つき合いの上手な人ほど長生きしているという実態があります。
 次は、文化を持つ子に育てることです。テレビや漫画で殺傷場面や低俗場面ばかり見て、殺伐とした心になったり、顔やスタイルで人気男優や女優を評価したりするようになります。これでは文化は育ちません。「まじめでな人がいい」「一生懸命働く人がいい」「人に対して役に立つ人がいい」などと常に語ることです。「文化とは対話である」ということです。
 では、家庭ですることは何でしょうか。
 一つ目は、「働く」ことです。それは、小さいときからいろいろ活動させることです。「はい」とすなおに返事出来るようにすることです。働かせながら「大きくなったら役に立つのよ」と話してやることです。物を作ることをさせるのもとってもいいことです。ものを作ったりする子は働く基礎を身につけることのできた子です。
 二つ目は、友達とつき合いのできる子にすることです。友達を作る力をつけることが大事になります。高校に入っても友達が作れなくて途中退学した例がよくあります。つき合い方を教えるのは、対話です。例えば、母親が子どもに「お父さんが疲れて帰ったよ。お風呂を沸かしてあげなさい」、祖母が子どもに「夕方はお母さんが忙しいのよ。少しでも手伝おうね」と言う。大人が変わらねば子は変わらないし、先生が変わらねば生徒は変わらない。文化の元は対話です。
 こんな対話はいい例です。自分のうちがいいなあ、ホッとするなあと思わせる対話を産み出しましょう。
○勉強は終わったの?ジューースでも飲みなさい。
×勉強はもう終わったの。早いね。
○勉強してるの?無理しないでね。←×勉強しての?もっと頑張りよ。
○今日の予定は?←早く宿題しなさい。
 大学でもうなずいたり、笑ったりしないで無表情の人が多くなりました。笑うところから指導しなければならい状態です。大学生でも褒めたり、励ましたりするとやる気になります。ましてや子どもは、褒めたり、励ましたりしてあげてください。
 夕食が一番対話ができるチャンスです。「今日のおかずはおいしいね」「みんなが揃って食べる夕食は格別だ」とお父さんが言って盛り上げてください。母親が自分で自分の料理を褒めても盛り上がりませんから。ある高校生の一行文にこなのがありまし「父よ、何か言ってくれ。母よ、何も言わないでくれ」
 中学生のこんな作文もありました。「ぼくの父は毎日帰りが遅い。僕が寝ていると部屋を覗いて『今帰ったよ』、朝まだ僕が寝ているとき、父が出かける前に部屋を覗いて『行ってくるよ』と言っていく。僕は眠っているけど分かる。だから、僕は寂しくない。」
 反対にこんなのはどうでしょうか。子どもが「お父さんどうしたの」と聞いたとき、母親が「どうせどこかで飲んでるんでしょう。うちは母子家庭だから」なんて。こんなときも、「お父さんは、今日は会議で遅くなるらしいよ。毎日大変だね。その分私たちが家を守らないとね」と言ったらどうでしょう。
 「私はお前を産んでよかったよ」という言葉は効果があります。誕生日に「あんたを産んでよかったよ」と言えばそれがいいプレゼントです。成績が上がったら「あなたを産んでよかったよ」と喜んであげる。こうして子どもはやる気になるのです。注意や叱ることばかりで育った子どもがピアスをしたり煙草をやったりしてたけど、「私はお前を産んでよかったよ」という一言で立ち直った例もあります。
 三つ目は、我慢することを教えることです。子どもが「ファミコン買ってよ」と言ったとき、「私の家も食べるもの、着るもの、住む所と大変なのよ。もうちょっと我慢してね。そして、外で友達と遊べるものを見付けてね。」と言って、親も遊びを考えてやるようにするのです。
 勉強など分からないときは、「分かりません」と言える子にすることです。子どもが勉強してるとき、「お父さんはここで新聞を読んでるから、そこでゆっくりやりよ」とか「おまえも復習してからやってごらん。お母さんは本を読んでるからね」と雰囲気作りをすればいいのです。分からなければ一人で悩まないで友達に電話で「どうするの」と聞けばいいと言ってあげるのです。すると、教えてくれるかも知れないし、「私も分からない」と言えば安心もするし、「じゃあ学校で明日先生に質問しようね」となればいいのです。勉強が分からないときは、@勉強をする雰囲気を作ってやる、対話する A分からないままにしないで質問する B繰り返しやるように励ますなどが有効です。
 我慢を教えるのには食事のときがチャンスです。特においしい物を食べるときはみんなで分けて食べることです。「もっと食べたい。」「あれが欲しい。これは嫌」と言うわがままをさせないことです。おいしい物は小皿で一人ずつ分けないで、大皿に盛ってみんなでつつくのがいいのです。すると「おいしい物ばかり取ってはだめよ。みんなで分けあうのよ」と対話する。貰い物などは子どもにやってしまったり、多くやったりしないで、家族人数だけ均等に分けて「お父さんの分よ」と我慢させるのです。
 順番を守らせるのも我慢するのを教えることです。子ども優先にする習慣がついていると、学校に通うようになって友達の中に割り込んでわがままを言う子になります。わがままや要求だけではダメです。みんなの要求を守りながら、自分の要求を通す子どもに育てねばなりません。
 次は「活動」の話をしましょう。家庭でする活動は、家の手伝いをさせる お使いをさせる 近所の方との交流をさせる→回覧板を回したり、配り物を配布させたりする 親が子どもと遊ぶことです。
 いじめる子やいじられっ子は遊んだ経験のない子が多いのです。それは手加減することを知らないからです。友達が後ろからポンと肩を叩くと「痛いなあ」と言うのは遊んだことのない子、「何か用?」と言うのは遊んだことのある子です。首を絞められると、前者は「殺す気か」と叫ぶ。後者は、「苦しいよー」と言う。首を絞めるの手加減出来るのは遊んだ子です。相撲だけでも10種類の方法があります。試してみてください。@指相撲 A足相撲 B腕相撲 C突き相撲 Dケンケン相撲 F棒相撲 G綱相撲 H腹相撲 I座り相撲などがあります。
 もう一つ紹介しましょう。近所の人と手を重ねてください。そして一人は30センチ開けて上で構えます。数字を唱えますので、5と言ったら構えた人は打ってください。他の人はすばやく逃げてかまいません。とても盛り上がったでしょう。お互いに心が通じあってるからです。昔はいじめや不登校が少なかったのは友達と交流ができていたし、一緒に遊んでいたからです。こんな遊びに熱中できる子は安心です。ウソかホントゲームなども親子でするといいですよ。
 「活動」として行事を大事にすることも求められます。そして、地域を大事にすることです。この行事を成功させて「成功させたのだから、力が付いた」「みんなと一緒にやれたんだね」「大きな声が出たね」「役に立つようになったね」と評価してやり、次への飛躍につなげるようにしたらいいですね。
「〜できたから、勉強に頑張ろう」「〜できたから、これからは何事にも頑張ろう」「〜ができたんだから掃除も上手にやろうね」と、行事の評価と次に取り組むことを関連づけてやればいいのです。
 紐が結べない、脱いだ服をたためない・かごに入れない、使った物を片づけない子がいるけどきちんとできるようにすべきです。これらを「環境を作る」と言います。
また5歳までに大根の皮むき、5年生までに梨の皮むき、中学生でリンゴの皮むきというように刃物を使わせるのが子育てには効果があります。
 四つ目は、友達とのつき合い方を教えることです。例えば、物を借りて返すとき、×「ありがとう」→「ありがとう。使いやすかったよ」、人の前を通るとき、×「ごめんなさい」→「ごめんさい。通らせてください」「おじいちゃんにお茶を持っていってあげなさい。おじいちゃんは、お茶が好きだからね。」「お父さんが疲れた帰ったよ。肩を叩いてあげなさい」と、つき合い方と関連づけて対話しながら教えるのです。
 大人のつき合い方をも教えねばなりません。廊下を子どもが走るとき、×「走るな」→「何か急ぐ用事があるの?なら、ゆっくり歩くのよ。曲がり角は危険だから気をつけるのよ」と関わりかたを教えるのです。中学卒業までにこんな関わりかた、交わりかたを身につけるようにしなければなりません。苦労して手をかけた子は育ちます。金をかけて育てた子はダメになります。「勉強より仕事」「勉強よりまじめに働くこと」を教えるのです。子育てに哲学を持つことです。手がかかって苦労するから親子になれるのです。「みんなは、お父さんとお母さんの宝物だよ。だから頑張ろうね」大学生には、「君たちが大学を卒業するのに少なくとも600万円はかかる。でも、親はその金はもったいないとは思わない。それは君たちが宝物だと思ってるからだよ」と、言ってみて下さい。効果がありますよ。
 大人は勇気を持って子どもに言うべきことは言いいましょう。真実は訴えるべきです。
 

次は坂本先生が配布したレジュメを書き直したものです。
1.今、子どもたちは
 イざわめき、動き回る子
 ロすぐ切れる子、パニックを起こす子
 ハ攻撃的だが、もろい子
 ニ友達と交われない子
 ホ無表情で黙っている子
2.人間らしさといきる力を
 人間的自立をめざして
  @「安心」できる家庭・学校に
  A「生活力」を育てる家庭・学校に
  B「友だちづくり」を支える家庭・学校に
  C「対話と学びあい」の豊かな家庭・学校に
3.いま子どもに何をしてやることが大切か
 活動 学びあい・自主活動 家事の共同・できること
 生活力・物品の自主管理 買い方・使い方。貯めかた
 友だち 集団遊び・交わり・班がえ 家族のつき合い。近所のつき合い
 対話・文化 対話・討論・書くこと
4.いまこそ、教育協同の拡大を
 @悩みの語り合いと励まし合い  子育てに手遅れはない
 A学校と家庭の協力、共同    父母・教師は味方同士
 B「希望のある学校」「ホッとできる家庭」を子どもたちに
 
 
 

                                        子育て支援講演会

「子育てに、今こそ大切なこと」
                                                                       講師:長崎大学教授 広木克行氏
                                                                                        1999,3,14

子育ては手作りでなければならない。そのいくつかを紹介してみたい。

紙おむつが子育ての元凶

布おむつでは、「シッコして気持ち悪い」→「泣く」→「母親が来る」→「取り替える」→「気持ちよくなる」
子どものリズムに母親が自分のリズムを中断して対応する。
1日20回はシッコするので、泣くことで要求がかなうことを体で覚える。
やがて、「(要求したいことがあると)泣く」→「母親が来る」→「満足する」ようになる。泣いたら来てくれるという親子の信頼関係ができあがる。
紙おむつでは、「(シッコしても)気持ち悪くない」→「泣かない」→「母親が来ない」
→「満足感がない」
こんな親は何時取り替えるかというと、子どものリズムに関係なく、母親のリズムの都合のよいときに3回のシッコで1回取り替える人が多い。子どもが泣いたから取り替えるのではない。こうしてくると、子どもは泣いて何かを要求しなくなり、サイレントベビーになってくる恐れがある。


かしこい子どもを育てるためなら

かしこい子どもを育てたいなら夫婦が仲良くなること、そして、こどものことで夫婦が語れることである。


よい夫婦の関係とは

例えば、母親が父親に「お帰りなさい」「お疲れさま」と一言声をかける関係。
父親が母親の愚痴や悩みを聞いてやれる関係。
父親は母親を甘えさせてあげることでエネルギーを充電。母はまた子どもにエネルギーをあげることができる。
母親は父親を甘えさせてあげることでエネルギーを充電。仕事に頑張れる。
 
母親のスキンシップが必要
ある先生が宿題に「お母さんにだっこして貰って、感じたことを詩に書きなさい」と言った。すると、「おかあさんの胸はあったかかった。ずっとだっこしていたい。」というのがあった。これが子どもの本音であることを考えれば、いかに母親のスキンシップが大切かが分かる。(実はこの子どもはは親のことを「あんな人はこわい」と言っていた)
 
テレビ(ビデオを含め)視聴は2時間以内にすべき
テレビやビデオを見過ぎると
・友達と視線を合わせることができなくなる
・対話ができなくなる
・集中力がなくなる
・人の話が聞けなくなる           ことがある
 
脳ができるまで
30年前は9才、現在は12才
 
五感は五本の指
五感は5本の指である。親指は、手(触覚) 後の人差し指、中指、薬指、小指が目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(薬指)、口(味覚)である。
親指の触覚だけは全ての指と合わすことができる。それだけに大事な感覚なのである。どんな下等動物でも触覚だけは持っていることからお分かる。
9才までに五感を鍛えるのがいい。いろいろなものを聞き(聴覚)、触れる(触覚)、見(視覚)、嗅ぐ(臭覚)、味わう(味覚)すると、脳のしわがたくさんでき、バランスよく脳が発達する。そうした子は、ブレーキをかけることができるようになる。考えや行動ができるようになる。昔は脳の興奮は2年生がピークだったが、今では6年生がピークになっている。
 ※触覚として、粘土、水遊び、砂遊び、泥遊びなど特に手を使う経験をたくさんさせ  るもがいい。
幼児の頃から勉強させると脳の一部だけしか発達せず、(バランスが悪い)生きていく上で必要なことが身に付かず勉強しかできない大人になる。
 
幼稚園、保育園の考え方
稚園、保育園は小学校に行くための準備をする所ではない
小学校は、中学校へ                  〃
中学校は、高校へ                    〃
日本は、学校で学ぶことによっても、将来自分が何になりたいのかが分からないが、
デンマークでは、1年間何をやってもよい。テーマは、「自分は何をやりたのか、」を見付け、自分の夢をかなえるために今頑張ることをできる。そのことにより将来自分が何になりたいかが分かる。