私の好きな松尾芭蕉の名句(20句選) 〔
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松尾芭蕉が残した1000余りの句の中から、私Seigoの好きな句を20句選び、各々、〔背景〕〔語注〕<感想>を、自分なりに
勝手な解釈をしている部分は、今後、御教示をお願いします。>皆さん
なお、他の有名な句は、《
番外―1〜20から外した有名な句 》として、最下部に掲げました。
1.命(いのち)二つの/中に生きたる/桜哉(かな)
〔背景〕芭蕉が、滋賀の水口(みなくち)の満開の桜の木の下で、芭蕉が大津を発ち東海道を下ったこと
を聞いてぜひ会いたいと慕って追ってきた服部土芳(とほう。同郷出身の友人。のちに、芭蕉の
門人となる。)と20年ぶりに再会した時に詠んだ句。芭蕉42歳の時の作。
〔語注〕・命二つ=生命が再会の喜びにひたっている芭蕉と土芳の二人のこと。
※芭蕉は、句や文章で、自己や人間を「物」として表現することがしばしばあった。
・の中に=の中で。の目の中に。
・生きたる桜=よりいっそう生き生きと目に映えた、目の前の桜。
<感想>
旧友との再会の喜びのいのちにひたっている二人の目で再度見上げると、見上げていた満開の
桜がいっそう生き生きと二人の目に映えた、ということであり、自然の光景に作者の感動を反映さ
せた、実にしみじみとした印象鮮やかな名句。
2.若葉して/御目(おんめ)の雫(しづく)/ぬぐはばや(ぬぐわばや)
〔背景〕芭蕉が、初夏の青葉あふれる奈良の唐招提寺(とうしょうだいじ)の境内(けいだい)にある鑑真
の座像を拝した時に詠んだ句。芭蕉45歳の時の作。
鑑真は、幾度もの難破の末、ついに日本渡航を成功させ、日本に仏教(律宗)を伝えた奈良時
代の中国の高僧。渡航中に失明し、盲目のまま日本の仏教の興隆に尽くした。本国には再び
帰ることなく、日本の地で没した。
〔語注〕・若葉して=初夏の境内に照り映える若葉を用いて。
・御目の雫=あなた(目を閉じている座像の鑑真)の御目ににじんでいる悲しみの雫(=涙)を。
※「雫」は、「若葉」の「縁語」になっていて、「涙」の意味を含めている。
・ぬぐはばや=ぬぐってさしあげたい。
※「ばや」は古い助詞。(・・・)ばや=(〜し)てあげたい。〔 ・・・は、未然形となる。〕
<感想>
鑑真の悲しみや苦労・鑑真の成した仕事に対する芭蕉の深い思いやりといたわりが表現されてい
る句だと思います。鑑真和尚は、この若葉あふれる美しい奈良の自然を、さぞかしその目で見たか
ったのに違いない、家族のいる故郷の中国にも戻りたかったのに違いない、ということも、芭蕉は思
ったのでしょう。
3.あらたふと(とうと)/青葉若葉の/日の光
〔背景〕「おくの細道」の旅中の日光東照宮に詣(もう)でた際に詠んだ句。芭蕉46歳の時の作。
〔語注〕・あら=ああ。※感嘆語。 ・たふと=尊いことよ。※「尊し(たふとし)」を簡略化して書いた用法。
・青葉若葉の日の光=初夏の境内(けいだい)の青葉や若葉が、真昼の太陽の光を浴びて照り映
えているさま。 ※「日の光」は、寺名の「日光」の意味も含めている。
<感想>
徳川家康をまつっている日光東照宮と安泰たる徳川幕府の威光への賛嘆も含めて、境内の初夏の
青葉若葉が真昼の光あふれる中で輝かしく照り映えている一大光明の世界への感動が表現されて
いて、実に印象鮮やかな名句。
4.菊の香(か)や/奈良には古き/仏達(ほとけたち)
〔背景〕九月九日の重陽(ちょうよう)の節句(菊の節句)に合わせて、奈良の各寺を参拝した際に詠んだ句。
亡くなる一ヶ月前にあたる晩年の51歳の時の作。
〔語注〕・菊の香や=ちょうど菊の節句の日で、境内や道すがら、菊が飾られ、菊の香が漂っているさま。
・古き仏達=参拝してまわった各寺の境内や道すがらの古い時代の仏像たち。
<感想>
訪れた奈良の各寺の境内や道すがらの仏像達と、各所に飾られ並べられている菊とそのまわりに漂う香
との組み合わせに芭蕉が心ひかれた様子が詠まれていて、不思議な奥行きと味わいを持っている句。
5.秋深き/隣(となり)は何を/する人ぞ
〔背景〕関西に旅行して、旅中の宿で詠んだ句。亡くなる一ヶ月前にあたる晩年の51歳の時の作。
〔語注〕・秋深き=秋は深いことよ。秋も深まってきたことよ。※連体形止めの用法。詠嘆表現となる。
・隣=隣の部屋に泊まっている見知らぬ旅客。
・何をする人ぞ=隣の部屋の泊まり客は、いったい、どういう身分・職柄の人であり、ひっそりとして声
も物音もたてないけれど、今、隣の部屋で何をしているのだろう。
<感想>
知られた有名な句。旅中のもの寂しい秋の夜の深まりのなかで、人間相互の孤立した孤独さ・他人との心の
触れあいを求めようとする心がしみじみと表現されている晩年の名句。
6.旅に病(や)んで/夢は枯野(かれの)を/かけ廻(めぐ)る
〔背景〕初めて九州に行く予定だった旅中、病気にかかり、投宿した大坂の宿の病床で詠んだ句。芭蕉は、
そのままその宿で亡くなるが、その亡くなる四日前に詠んだ51歳の時の作。この句を「辞世の句」
とみなさない学者も多い。
〔語注〕・旅に=旅中で。
・夢は枯野をかけ廻る=病床で見る夢は、自分が冬の木々の枯れきった野をかけめぐる夢ばかりだ。
※俳諧や旅への自分の夢(=元気になって好きな旅を続け、もっとすばらしい句を作りたいと
いう願いや執念)が、病床の心の中に思い浮かべる旅中の枯野をかけめぐる、と取るも可か。
<感想>
亡くなる直前の、病床にある芭蕉の内面の孤独な心象風景(しんしょうふうけい)と、病床にあってもやま
ない旅と俳諧への思いが詠まれた絶唱であり、読むたびに、いたく心を打たれます。
[ 残りの14句(7〜20)は、のちに記入します。]
《 番外 ― 上の1〜20から外した芭蕉の有名な句 》
・古池や蛙(かはず)飛びこむ水の音
・夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡
・閑(しず)かさや岩にしみ入(い)る蝉(せみ)の声
・五月雨(さみだれ)をあつめて早(はや)し最上川(もがみがわ)
・荒海(あらうみ)や佐渡に横たふ(よこたう)天の河(あまのがわ)
・山路(やまじ)来て何やらゆかし菫草(すみれぐさ)
・花の雲鐘(かね)は上野か浅草か
・この道や行く人なしに秋の暮
・物いへば(いえば)唇(くちびる)寒し秋の風
[語注]
・兵どもが夢=武士たちのいだいた野望。 ・閑かさ=ひっそりとした静かさ。 ・早し=流れが速い。
・最上川=
・横たふ=夜空に横たわるようにして、(佐渡ヶ島に)かかっている。
・山路来て=山道にやってきて。 ・何やらゆかし=なぜかしら心ひかれた。
・花の雲=高台から眺めて、雲のように広がっている江戸の町の桜の遠景。
・上野・浅草=ともに、鐘を打つ寺のある江戸の桜の名所。
・この道=「俳諧の道」の意も含めている。 ・行く人なしに=共に行く人がいなくて。
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