ドストエフスキーの小説 (10)

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これから読む人は、以下、ネタ
ばれの箇所(
の箇所)に注意!     


『おかみさん』 について
(
※、別のタイトル訳「家主の妻」「女あるじ」「主婦」)

< 概要 >
中編。
間借りしていた家の家主の未亡人が田舎に戻ることになり新しい間借り部屋を探さなくてはならなくなったオルディノフ(大学は卒業したものの職には就かずに間借り部屋で独り学問や執筆を続けている青年)は、その部屋探しの途中、教会で若い女性カチェリーナを連れた老人ムーリンと視線を交わす。わけありげなその二人に惹かれた彼は二人の跡を追い、二人の住むアパートの小部屋を間借りすることを決める。彼女(間借りの女あるじとしての「主婦」)の世話を受ける形でそこに住み込んだ彼は二人との交流や出来事が重なるにつれ、二人へ向けての当初の好奇の心は彼女を救い出したいという憐れみの心と老人への敵対心へと変わってゆく。結局、彼は、ムーリンの画策によりその住まいから閉め出されまた別の下宿へと移ることになる。夢想家の青年を主人公とした一種の恋愛小説
その他、
別の下宿へと移ることを勧めた旧知の
ヤロスラフ・イリッチ(その地区の警察署長)も配されている。

《所収》
河出書房版全集(巻1「主婦」)
筑摩版全集(巻1「おかみさん」)
新潮社版全集(巻1「家主の妻」千種堅訳)
 



『弱い心』 について
(他のタイトル訳「かよわい心」「弱気」)

< 概要 >
短めの中編。
ペテルブルグの役所に勤める下級官吏青年シュムコフが、上司から厚遇を受け、彼女も出来るという幸せな状態の到来に対して、身体が不自由な自分には身に余るものだと自責呵責の念にとらわれ役所の仕事にも粗相が多くなり、なんと、しまいにはとうとう発狂してしまう
その他、
そうなった彼を手助けする友人
アルカージーも配されている。

、末部に置かれている、アルカージーがネワ川を見て生じる幻影
「ネワの幻」でもこの中編は知られている。

《所収》
前期短篇集(「初恋」米川正夫訳)
河出書房版全集(巻2「弱い心」)
筑摩版全集(巻1「弱気」)、新潮社版全集(巻2「弱い心」)



小さな英雄 について 
(他のタイトル訳「小英雄」等。)

< 概要 >
短めの中編
モスクワ郊外の田園豊かな村里を訪れた少年の
わたしが、そこでM夫人(人妻の貴婦人)と知り合い、わたしは彼女に片思いをして恋こがれてしまうが、彼女にはじつは(M)のほかに愛人がいて、わたしはその彼女の秘め事をかいま見て驚き、失望し、やがてM夫人は夫とともにその村を去りモスクワへと戻る
彼女が見守る中、荒馬に飛び乗って走った体験など、大人の世界を知って一つの成長を遂げた自身の少年期の出来事を回想する
回想小説という形を取っている。

※、
ペトラシェフスキー事件に連座して逮捕されペテロ・パヴロフスク要塞の獄中で書かれた小品。のちに、タイトルは「初恋」から「小英雄」と改題された。

《所収》
前期短篇集(「初恋」米川正夫訳)
河出書房版全集(巻5「初恋」)
筑摩版全集(巻2「小さな英雄」)
新潮社版全集(巻2「小英雄」木村浩訳)


 
『鰐』 について
(他のタイトル訳「わに」「クロコディール」)

< 概要 >
短めの中編。
店の水槽に入れて見世物にしていた鰐にイワン・マトベーイチ(役人の男)が呑まれてしまう騒動の始終を描いている。彼の妻とともに同行していた友人のわたしがこの出来事を語り、当時の様々な時事や社会問題を鰐の腹の中でのイワン・マトベーイチののんきなつぶやきや騒動にからませて示していくという手法を採っている。

ユーモア小説・不条理小説・社会風刺小説・シュール小説。

《所収》
前期短篇集(米川正夫訳)
講談社文芸文庫(「鰐」原卓也訳)

青空文庫(全文・「鰐」森鴎外訳)

河出書房版全集(巻5「鰐」)
筑摩版全集(巻5「クロコディール())
新潮社版全集(巻6「鰐」原卓也訳)


  

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