ドストエフスキーの小説の典拠

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ドストエフスキーの小説の、登場人物のモデル、内容の典拠、どういう背景や影響のもとに創作されているか
について、次のACに分けて整理。

〔記:Seigo


A.
各小説の登場人物の造型
には、次の場合がある。

a.
当時の社会に実在した人物をモデルにしている場合
そのモデルとしては、
a-1
ドストエフスキーの身辺の人物(家族、親族、親しくした友人知人)
a-2.
ドストエフスキーの生涯のある時期においてドストエフスキーと交渉のあった人物(愛人、師、知人、仲間)
a-3
.
ドストエフスキーとはあまり交渉はなかったものの、当時のロシアで知られた人物、
などが指摘されている。
b.
ドストエフスキー自身が投影されている(ドストエフスキーの分身である)場合
b-1.
ほとんどドストエフスキー自身である場合。
b-2.
ドストエフスキー自身の一面が投影されている場合。
c.
ロシアまたは外国の小説の登場人物をモデルにしている場合。
d.
聖書に出てくる人物をモデルにしている場合。
e.
ロシアで古来民間信仰として伝えられている、伝説的人物や国民的英雄をモデルにしている場合。
f.
その前に書かれた自分の小説の登場人物の形を変えた何らかの継続(継承)として書かれている場合。 
g.
ドストエフスキーの長年の
人間観察から生まれた典型的な人物として描かれている場合。


B.
各小説のストーリーや内容の造型
には、次の場合がある。
         
a.
 
ドストエフスキー自身の身に過去に起こった体験や出来事や人間関係を描いている場合。      
b.
当時や過去に
ロシア社会で起こった事件や流行(はやり)に取材して描いている場合。
c.
ドストエフスキーが
知人や仲間から聞いた話を借りて描いている場合。
e.
ロシアまたは外国の
小説のストーリーや箇所を借りて描いている場合。
f.
聖書に出てくる人物関係や出来事を借りていたり、暗に重ねている場合。
g.
その前に書かれた自分の小説の続き(形を変えた何らかの継続)として書かれている場合。
h.
ドストエフスキー自身が、インスピレーションにより、あるいは、意識的に、
新たに作り出している場合。

       
C.
その他、重要と思われる要素
として、次など。

a.
同時代のロシア社会を舞台とした小説であり、当時の欧化を受けて変動する帝政ロシアの社会状況を背景にしているという点。
b.

多くが、ペテルブルグという独自の都会を舞台にしているという点。 
c.
ドストエフスキーの独自の創作過程(創作ノートの活用、後半生の妻の協力による口述筆記という形態など)。 
d.
掲載する出版社や雑誌社からの催促や検閲、知人や当時の有力者からの働きかけ。
e.
当時の作家の大作(トルストイの『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』など)に対するライバル意識。   


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