俺と祥子は相変わらず、学業とセックスに励んでいた。コンドームもうまく着けられるようになり、危険日を気にしなくて良くなって、俺は一段と勉強に身が入りだした。セックスだけにのめり込まなかった俺は偉い! なあ、みんな。そう思わないか?
二年になって最初の実考で、俺は180番、祥子は189番の好成績を取った。俺の通う高校のレベルでは、200番以内だったら、国立大学に悠々通るのだ。親父たちの喜び様は、例えようもなかった。別に私立が悪いという訳じゃあないんだ。国立の方が費用がかからないだろう? うちは、しがない地方公務員だから、経済的にそんなに裕福じゃあないからな。
一方、二年になっても本間と静香の仲は好転しなかった。成績もだ。ふたりとも二桁の成績だった。もっともふたりとも二十番以内ではあるんだけれど。どうしてしまったんだろう。みんながそう思った。
追い打ちを掛けたのが、本間の父親の死だった。肝臓癌になっていたそうだ。俺は本間を見ていられなかった。何と励ましていいものやら分からなかった。本間は大学に行けるのだろうか? 俺のようなぼんくらが大学に行けて、本間が行けないかもしれないなんて、世の中間違っている。
葬式の後、本間一家が引っ越すという情報が入った。隣町の繁華街にある豪華なマンションらしい。そんな金がどこにあるのかといぶかっていたところ、どうも母親は、父親が死ぬ前からある男の愛人になっており、父親が死んだのを契機に本式に?囲われるようになったというのだ。三人の子供も一緒に暮らすという条件で。
そのある男というのが、俺の伯父である高田源治郎だと言うことを俺はしばらくして知った。本間の母親が働いていたスナックで知り合ったらしい。俺の親友の母親を伯父が囲うなんて、何と言うことだろう。俺はその事実を本間には隠していた。そんなこと俺の口から言えるわけもない。そうだろう?
ただ、本間は学費の心配がなくなった。本間は父親の葬式のあと、高校をやめて働くと言い出していた。しかし伯父に、『金は出してやるから、大学に行け。大学に行った方がいいところに就職できるぞ。その方が先々家族のためになるぞ』と説得されたようだ。伯父は土建屋で、女癖は悪いが、金だけはある。それだけは、万歳だった。
初七日が過ぎて、本間は青白い顔をして元気はなかったが、学校に顔を出した。
二週間ほどして、通学が大変だと言うことで、本間は高校の近くに独りで住むには広すぎる2LDKのマンションを与えられ、一人暮らしを始めた。俺は、本間に頼んで、本間が母親のマンションに帰っているときなどに、時々祥子との逢い引きに使わせて貰った。もちろん一緒に勉強するという明目で。