第17章 浮気がばれてしまった

 十月のある水曜日、俺は朝から京子とベッドの中にいた。前日祥子から、その日は法事に出かけるという電話が入っていた。俺はしめしめとばかりに、休暇を取って、仕事が休みの京子を呼び寄せたのだ。
 二ラウンド済ませたあと、疲れてベッドに横たわってうとうととしていた。目を開けると祥子の顔が目の前にあった。
 「祥子! 法事に行ってたんじゃあなかったのか?」
 「この前からどうもおかしいと思っていたら・・・・。しんちゃん! どういうことなの!!」
 俺の横には裸の京子がいる。申し開きができるわけがない。
 「祥子! これには訳があるんだ」
 「訳なんて聞きたくもないわ」
 唇を真一文字に結んで、祥子は今日ばかりは許してくれそうもない態度だった。
 「いいから黙って聞いてくれよ。お願いだから」
 俺は祥子に土下座し、目を覚ました京子と共にこれまでの経緯を話した。祥子は信じられないと言うような顔をしている。
 「あなた、ほんとに田岡君なの?」
 「あなたとは直接話したことがないけど、そうなの。信じて貰える?」
 「信じろって言われたって・・・・。信じられるわけがないわ。あなたは男には見えないもの」
 「だから、今は女だと言ったでしょう? 性転換したの」
 「・・・・見せて貰っていい?」
 「信じて貰うためにはそうするしかないわね。いいわよ」
 祥子がベッドの上で裸の京子を観察しているのを、俺はイスに腰掛けて見ていた。女が女の股ぐらを覗き込んでいる。何とも不思議な光景だ。
 「確かに本物じゃないわね。でも良くできてるわ」
 「信じて貰えた?」
 「で、どうするの? しんちゃん」
 祥子は俺の方を向いて意地悪そうな顔をして、そう言った。
 「どうするって」
 「わたしと京子さんと、どちらを取るの?」
 「どちらを取るって、俺はふたりとも愛しているんだ。選べないよ」
 「祥子さん、ちょっといい?」
 京子が後ろから祥子に声を掛けた。
 「いいわよ。何?」
 「わたし、あなたと伸太郎さんの邪魔をするつもりはないの」
 「じゃあ、別れてくれるのね」
 「別れられないわ。別れられないけど、あなたの邪魔にならない程度でいいから会わせてくれない?」
 「わたしの邪魔にならない程度?」
 「そうよ。邪魔にならない程度でいいの」
 「そうねえ」
 そう言って、祥子はしばらく考えている様子だった。部屋の中を行ったり来たり、そうしてから窓の外をしばらく眺めていた。そして、決心したように言った。
 「しんちゃん!」
 「はい!」
 俺は畏まって、祥子の顔を見た。
 「京子さん以外に女はいるの?」
 「いない、いないよ。京子に出会ってからは、おまえと京子だけだ」
 「ほんとね」
 「嘘じゃないよ」
 「京子さん!」
 「はい!」
 「絶対わたしの邪魔はしないと誓って」
 「誓うわ」
 「じゃあ、しんちゃん、良く聞いて! 京子さんをわたし公認の愛人にしてしてあげるわ。そのかわり、他の女には絶対手を出さないこと。約束できる?」
 「できる、できるさ。学生時代の約束もずっと守ってきただろう?」
 「まあね。京子さん、そういうことよ」
 「祥子さん、ありがとう」
 京子は裸のまま祥子に抱きついた。
 「祥子、ほんとにいいのか?」
 「あなたに京子さんがだめだと言ったら、必ず別の女に手を出すわ。どうせなら、京子さんの方がいいわ。京子さんが性転換者だという弱みを握っているし、子供ができたから、わたしと別れてくれって言うことが絶対ないもの」
 祥子の言うとおりだ。俺がこの先絶対浮気をしないと言う保証があれば、祥子は俺と京子とを別れさせるだろう。そんな保証がないことを祥子は良く知っている。京子は祥子にとって安全弁のようなものだ。
 「ところで、京子さん?」
 「何ですか?」
 「あなた女を喜ばすことができる?」
 京子はちょっとビックリしたような顔をした。
 「できないことはないけど」
 「わたし、前からレズに興味あったんだ。どう?」
 「わたし、ホントの女じゃないのよ。それでもいいって言うのなら」
 「あら? 京子さん、あなた、自分のこと、女だと思ってないの?」
 「思ってるわ」
 「じゃあ、レズでいいじゃない?」
 「そうね」
 祥子は俺の目の前で服を脱いで、京子と戯れ始めた。見ている俺のジュニアは、これまでになくガチガチになった。
 「俺も仲間に入れてくれ」

 と言うわけで、三人で食事も摂らずに夕方まで戯れた。祥子と京子はそれ以来、昔からの友人のように仲良くなった。
 京子は祥子との約束を守って、祥子がいるときには決して姿を現さなかった。祥子がいないと分かっているとき、俺が連絡もしないのに買い物袋をぶら下げて、マンションに現れることがあった。どうも、祥子が連絡しているらしかった。
 ごく稀に祥子と京子が一緒にやってきて、3Pを楽しむことがあった。ただ、俺がふたりの女を相手に楽しんでいると言うより、ふたりが俺を弄んでいるという要素の方が多かった。