十月のある水曜日、俺は朝から京子とベッドの中にいた。前日祥子から、その日は法事に出かけるという電話が入っていた。俺はしめしめとばかりに、休暇を取って、仕事が休みの京子を呼び寄せたのだ。
二ラウンド済ませたあと、疲れてベッドに横たわってうとうととしていた。目を開けると祥子の顔が目の前にあった。
「祥子! 法事に行ってたんじゃあなかったのか?」
「この前からどうもおかしいと思っていたら・・・・。しんちゃん! どういうことなの!!」
俺の横には裸の京子がいる。申し開きができるわけがない。
「祥子! これには訳があるんだ」
「訳なんて聞きたくもないわ」
唇を真一文字に結んで、祥子は今日ばかりは許してくれそうもない態度だった。
「いいから黙って聞いてくれよ。お願いだから」
俺は祥子に土下座し、目を覚ました京子と共にこれまでの経緯を話した。祥子は信じられないと言うような顔をしている。
「あなた、ほんとに田岡君なの?」
「あなたとは直接話したことがないけど、そうなの。信じて貰える?」
「信じろって言われたって・・・・。信じられるわけがないわ。あなたは男には見えないもの」
「だから、今は女だと言ったでしょう? 性転換したの」
「・・・・見せて貰っていい?」
「信じて貰うためにはそうするしかないわね。いいわよ」
祥子がベッドの上で裸の京子を観察しているのを、俺はイスに腰掛けて見ていた。女が女の股ぐらを覗き込んでいる。何とも不思議な光景だ。
「確かに本物じゃないわね。でも良くできてるわ」
「信じて貰えた?」
「で、どうするの? しんちゃん」
祥子は俺の方を向いて意地悪そうな顔をして、そう言った。
「どうするって」
「わたしと京子さんと、どちらを取るの?」
「どちらを取るって、俺はふたりとも愛しているんだ。選べないよ」
「祥子さん、ちょっといい?」
京子が後ろから祥子に声を掛けた。
「いいわよ。何?」
「わたし、あなたと伸太郎さんの邪魔をするつもりはないの」
「じゃあ、別れてくれるのね」
「別れられないわ。別れられないけど、あなたの邪魔にならない程度でいいから会わせてくれない?」
「わたしの邪魔にならない程度?」
「そうよ。邪魔にならない程度でいいの」
「そうねえ」
そう言って、祥子はしばらく考えている様子だった。部屋の中を行ったり来たり、そうしてから窓の外をしばらく眺めていた。そして、決心したように言った。
「しんちゃん!」
「はい!」
俺は畏まって、祥子の顔を見た。
「京子さん以外に女はいるの?」
「いない、いないよ。京子に出会ってからは、おまえと京子だけだ」
「ほんとね」
「嘘じゃないよ」
「京子さん!」
「はい!」
「絶対わたしの邪魔はしないと誓って」
「誓うわ」
「じゃあ、しんちゃん、良く聞いて! 京子さんをわたし公認の愛人にしてしてあげるわ。そのかわり、他の女には絶対手を出さないこと。約束できる?」
「できる、できるさ。学生時代の約束もずっと守ってきただろう?」
「まあね。京子さん、そういうことよ」
「祥子さん、ありがとう」
京子は裸のまま祥子に抱きついた。
「祥子、ほんとにいいのか?」
「あなたに京子さんがだめだと言ったら、必ず別の女に手を出すわ。どうせなら、京子さんの方がいいわ。京子さんが性転換者だという弱みを握っているし、子供ができたから、わたしと別れてくれって言うことが絶対ないもの」
祥子の言うとおりだ。俺がこの先絶対浮気をしないと言う保証があれば、祥子は俺と京子とを別れさせるだろう。そんな保証がないことを祥子は良く知っている。京子は祥子にとって安全弁のようなものだ。
「ところで、京子さん?」
「何ですか?」
「あなた女を喜ばすことができる?」
京子はちょっとビックリしたような顔をした。
「できないことはないけど」
「わたし、前からレズに興味あったんだ。どう?」
「わたし、ホントの女じゃないのよ。それでもいいって言うのなら」
「あら? 京子さん、あなた、自分のこと、女だと思ってないの?」
「思ってるわ」
「じゃあ、レズでいいじゃない?」
「そうね」
祥子は俺の目の前で服を脱いで、京子と戯れ始めた。見ている俺のジュニアは、これまでになくガチガチになった。
「俺も仲間に入れてくれ」
と言うわけで、三人で食事も摂らずに夕方まで戯れた。祥子と京子はそれ以来、昔からの友人のように仲良くなった。
京子は祥子との約束を守って、祥子がいるときには決して姿を現さなかった。祥子がいないと分かっているとき、俺が連絡もしないのに買い物袋をぶら下げて、マンションに現れることがあった。どうも、祥子が連絡しているらしかった。
ごく稀に祥子と京子が一緒にやってきて、3Pを楽しむことがあった。ただ、俺がふたりの女を相手に楽しんでいると言うより、ふたりが俺を弄んでいるという要素の方が多かった。