第4章 チャットセックスにはまってしまった

 その後、2,3日おきにJohnnieとチャットした。ぼくが舌を使ってると言うと、いい気持ちだと言ってくるが、Johnnieがモニターの前でいったいどんなことをやっているのかぼくには分からない。まあ、およその見当は付くけれど。
 ぼくは女になりきってJohnnieとのチャットを楽しんでいた。ぼくの方は、乳首を触っていると言われれば乳首を、クリトリスを触っていると言われれば亀頭を指で触り、襞を嘗めていると言われれば、陰嚢をそっとなぞってみた。
 問題は、彼の23センチ近くあるという巨根を腟に入れたと言われたときだ。最初は、何にもしていなかったのだけれど、ホモは肛門を使うんだったなと思いついて、そっと指を肛門に入れてみた。結構気持ちがいいもんだ。女物の下着を着て、肛門に指を入れて快感を得ているぼく。ホントにホモになりそうで、ちょっと心配になったけど、指だから大丈夫と自分に言い聞かせていた。

 久しぶりに友永がぼくのアパートにやってきた。着ているものが以前と違ってかなり高級品になっていた。
 「羽振りがいいみたいだね」
 「小遣いたっぷり貰えるからな」
 吸っている煙草も、セブンスターからケントに変わっていた。
 「まだ、あの未亡人と続いているのか?」
 「ああ」
ふうと煙を吐き出す。
 「大丈夫かよ」
 「何が?」
 友永は、はや二本目の煙草に火をつけた。
 「ヒモみたいな生活じゃないのか?」
 「卒業するまでさ。卒業したら、おさらばさ」
 「そんなの、いいのかな?」
 「お互い利用しているだけだから、いいに決まってるさ。彼女は若い俺に満足させてもらい、俺は小遣いをもらう」
 「おまえはさらに性的に満足する」
 「俺の方が、得してるかな?」
 友永はにやりと笑った。
 「絶対得してるよ」
 「でだな。この前、俺が国際電話をしてしまって請求された分だけど」
 「あっ、すっかり忘れてた」
 「あれ? 言わなきゃ良かった」
 「払ってくれるのか?」
 「半分って言ったけど、結構実入りがいいから、全額払ってやろうと思ってさあ」
 そう言いながら、友永は後ろポケットから財布をとりだした。
 「ほんとに?」
 「ほんとさ」
 「悪いな」
 「俺とおまえの仲だからな」
 そう言って、友永はぼくに2万円を手渡した。
 「釣りがないよ」
 「釣りはいい。利子だと思って取っててくれ」
 「助かるよ」
 気が変わって、釣りをよこせと言われないうちに、渡された2万円をすぐさま財布にしまう。
 「ところで、友田は彼女はまだできないのか?」
 「できない、できない」
 「そうか。まだ童貞って訳だ」
 ぼくはちょっと下を向く。大学の中では、友永だけが知っているぼくの秘密だ。
 「人に言うなよ。恥ずかしいから」
 「紹介しようか?」
 「いいよ。自分で見つける」
 「そうか。じゃ、また来る」
 「今日は、コンピューターは使わないのか?」
 「写真より、本物がいいって分かったよ」
 「そりゃそうだ」
 「そうだ。忘れてた。俺のコレクションの入ったMOをやるからな。いらなかったら、捨てろよ」
 「無料無修正画像か?」
 「そうだよ」
 「そこいらに置いてけよ」
 「じゃあな」
 MOのディスクをベッドの上に放り出すと、友永は肩で風切って出ていった。

 友永が帰ってから、何分もしないうちにドアが叩かれた。
 「はい。誰?」
 「すみません。宅配便なんですけど、ここに、えっと・・・・、ナオミと言う名前の人、いますかね?」
 ナオミという名前にちょっとビックリする。
 「ナオミですか?」
 「そう。エヌ、エー、オー、エム、アイだから、ナオミだと思うんだけど」
 「ちょっと見せてください」
 配達人の持つ荷物に『naomi』の文字が見えた。ぼくは考える。ぼくがチャットの時に使っている名前だなと。
 「ああ、ナオミならここです」
 「住所はちゃんとしてるんだけど、名字を書いて貰わないとですね」
 「すみません」
 「あ、いや。送り主の所為ですから、あなたの所為じゃないですから」
 「判がいるんですか?」
 「ああ、お願いします」
 ぼくは、三文判を配達人に手渡した。
 「あれ? 友田ですか。友田じゃ困るな。ローマ字でnaomiってサインして貰っていいですか?」
 「ぼくで良かったら、しますけど」
 「けっこうです。このナオミさんて、あなたの何なんですか?」
 「えっ! あ、ああ。妹です。バンドやってて、ナオミって、名前だけ名乗ってるんです。最近の歌手で、そんなのが多いでしょう?」
 咄嗟に思いついた嘘を付いた。
 「ああ、なるほどね」
 ぼくの言い訳を信じてくれたようで、配達人はぼくのサインした伝票を受け取ると階段を下っていった。

 小包に張られている伝票には、大阪の業者が差出人として書かれていた。
 (naomiと言う名前は、チャットの中だけしか使っていない。naomiとしてチャットしたのは、tosiとJohnnieだけだ。と言うことは、tosiが送ってきたのだろうか? どうやって住所を調べたんだろうか? 訳が分からない)
 ぼくは小包をじっと眺めた。
 (包みの中には、一体何が入っているんだろうか? まさか、時限爆弾じゃないだろうな)
 ぼくは包みに耳を当てる。時計の音はしなかった。誰が送りつけてきたか分からないnaomi宛の小包。気持ち悪さよりも好奇心が勝って、ぼくは、包みを開いてみることにした。
 小包の中には、なんとふたつのディルドーが入っていた。ひとつは、直径が3センチあまりのブルーのスケルトン系のもの。もうひとつは、直径5センチ弱のイボイボ付きのペニスそっくりに形成されたもの。クリトリスとアヌスを刺激する突起が付いていた。
 細い方はただのまっすぐな棒だが、太い方は電動で、スイッチを入れると、ブーンとバイブレーションが掛かるモードと亀頭部分がぐるぐる回るモードがあった。
 (すげえ。初めて見た)
 ぼくは、太いディルドーを感慨を持って眺めた。しばらくして我に返り、そのふたつを包みの中に戻すと、押し入れの中に放り込んだ。
 (誰かの悪戯に決まってる。・・・・誰かの悪戯? いったい誰の悪戯だろうか? naomiというチャットネームを知っているのはふたりしかいないのに・・・・)

 今日も洗って綺麗になった女物の下着を着て、Johnnieにコンタクトを取った。この頃は、時間を決めてJohnnieと直接チャットする事にしている。
 Johnnie> naomi、まってたよ
 naomi> しゃわーをあびてたから、おそくなちゃった。ごめんね
 Johnnie> ぼくからのぷれぜんと、とどいたかな?
 (ぼくからのプレゼント? まさか、昼間のあれのことか?)
 ぼくは、押し入れの方を見た。
 Johnnie> ぼくとおなじおおきさのものは、にほんにはないらしい。それでがまんしてくれ
 (やっぱりJohnnieから贈られてきたものだったのか)
 naomi> あなただったの。だれからおくられてきたのかとおもったわ
 Johnnie> きにいってもらえるといいけど
 ぼくは押し入れのドアを開けて、ディルドーを手元に置いた。ぼくのは一応人並みだと思っている。小さい方には勝つけれど、大きい方にはとても敵わない。Johnnieのものは、さらに大きいという。ホントにそんなに大きいのか確かめたくなった。
 naomi> これって、かなりおおきいけど、Johnnieのはもっとおおきいの?
 Johnnie> naomiにおくったものとおなじものがここにある。くらべてみよう
 naomi> どうするの?
 Johnnie> でじかめでとって、そちらへおくってあげるよ
 しばらく待っていると、画像が送られてきた。その画像を見て絶句した。ぼくの手元にあるディルドーより遙かに大きなペニスが股間に下がっていたのだ。ぼくは呆気にとられて、口をポカンと開けていた。
 naomi> ほんとに、おおきいのね
 Johnnie> ぼくは、うそはつかないよ
 ぼくはもう一度手元にあるディルドーを見つめる。
 (これより大きなペニスが入るなんて、女は痛くないんだろうか?)
 本気でそう思った。
 naomi> こわいわ
 Johnnie> どうして?
 naomi> あんまりおおきいから
 Johnnie> おくったのだったら、はいるんだろう?
 naomi> わからない
 Johnnie> いれてみたら?
 naomi> だめ。わたし、そんなにけいけんないんだから
 Johnnie> ちいさいほうは?
 naomi> ちいさいほうなら、はいるとおもうわ
 Johnnie> じゃあ、それでいこう。さあ、いつものようにはじめよう
 naomi> いいわ
 そう答えたが、男のぼくに入れるところがない。肛門に入れるなんて思いもよらなかった。文字だけだから、誤魔化しはどうにでもできるけど。

 数日たって、Johnnieが不満げに言い出した。
 Johnnie> naomi、かのうなら、naomiのなかに、でぃるどーをいれているしゃしんをおくってくれないか?
 そんな写真は、送れるはずがない。
 (困ったぞ・・・・)
 言い訳をすることにした。
 naomi> かめらをもってないの。
 Johnnie> じゃあ、かめらをぷれぜんとするよ
 (げげっ!! どうすりゃいいんだ! 男だと白状して謝るか?)
 Johnnie> できるかぎりはやく、そちらにとどくようにするよ。naomiのぷっしーを、はやくみたいな
 ぼくは男だと白状しようと思ったけれど、カメラが届くまで時間がある。何とか誤魔化せないかと考えて返事をした。
 naomi> わかったわ
 すぐには良いアイデアは浮かばない。
 (今後チャットにでなければいいんだ。そうだ。そうしよう)
 ぼくはそう決心した。

 その数日後、ふと思い出して友永の置いていったMOを取り出した。irfanviewを使って画像を確認していった。
 (一体何枚あるんだよ)
 頭が痛くなる量のエッチ画像だ。見始めたときには、ぼくの息子はがちがちになっていたけれど、見ているうちにだんだん不感症になっていった。
 何百枚か見たとき、Johnnieが贈ってきたディルドーと同じものを使っている画像が出てきた。
 「やった!」
 つい声が出るほどぼくは喜んだ。ディルドーを突っ込んでいる画像1枚と、股間を正面から撮った画像2枚の合計3枚を使うことにした。Paint Shop Proで少し成形して、デスクトップに置いておいた。
 (これを送ればいいだろう。そうすれば、もう少しの間、Johnnieとチャットを楽しめる)
 ぼくはほくそ笑んだ。
 (それにしても、この大きなディルドーが入る女がいるんだな)
 ディルドーを目の前にかざして、ぼくは感心した。しかも、その女は、幼い顔をしていて、ルーズソックスを穿いている。女子高生のようだ。
 (信じられないよ・・・・)

 その翌日、Johnnieからデジカメが送られてきた。キャノンのパワーショットA5、81万画素のやつだ。
 (どうせ送ってくれるのなら、211万画素のものを送ってくれればいいのに)
 しかし、考えても見れば、モニター画面に映すくらいなら、81万画素で充分なのだ。Johnnieは、必要にして充分なものを送ってきたという訳だ。

 さっそくJohnnieにコンタクトを取った。しばらく卑わいな話しをした後、Johnnieが言い出した。
 Johnnie> おおきいほうも、はいるようになったんだろう?
 naomi> ええ
 Johnnie> みたいな
 naomi> ちょっとまって。しゃしんをとるから
 どれくらい待たせていいのか分からない。そこで、デジカメで股間付近を撮り、ケーブルをつないで、画像を表示した。女物の下着を穿いたぼくの股間がモニター上に大写しになる。その画像は、ゴミ箱へ捨て、代わりにデスクトップ上に用意しておいた画像をJohnnieへ送った。
 Johnnie> おもったとおりのかわいいぷっしーだ
 naomi> いまからでぃるどーをいれるわ。ちょっとまってね。はいったら、しゃしんをとっておくるから。
 Johnnie> まってるよ
 ぼくは、再び時間を稼ぐ。しばらくして、ディルドーが入った画像をJohnnieに送った。
 Johnnie> ああ、きみのなかにぼくがはいっている
 naomi> あなたがわたしのなかにいるわ
 Johnnie> はげしくしてもだいじょうぶかい?
 naomi> だいじょうぶ。ああ、いいわ。もっとはげしくついて
 Johnnie> naomi、naomi、naomi
 naomi> いくわ
 Johnnie> ぼくもだ
 (ああ、疲れる。もう止めようかな? Johnnieに悪いし)
 ログアウトした後、ぼくはベッドの上に寝転がってそう考えていた。

 ぼくにとっては幸いなことに、ジョニーはぼくの顔写真を送ってくれとは要求してこない。ジョニーの方も送ってこない。やっぱりこんなチャットをしているから、遠く離れていても、顔を知られたくないんだろうなと思う。
 そうなってくると、ぼくが他人の女性の陰部の写真を送ったように、ジョニーのあの巨根も他人のものじゃないかと疑うようになった。だけど、そんなことは聞かないし、聞くわけにはいかない。そんなことを聞けば、ぼくの送ったものも偽物だと疑わせるようなものだから。

 止めよう止めようと思っているのに、大学からアパートに帰ると、ついついJohnnieとコンタクトしてしまう。顔も姿も見えないことをいいことにして、ぼくは女を演じ、男相手にテレフォンセックスまがいのことをやっている。自己嫌悪もあるけれど、どうしても抜け出せない。完全にはまってしまった。こんなことしてたら、いつまでも女ができないなと思う。
 naomi> あなたから、はなれられないわ
 これはある種本気だ。
 Johnnie> ぼくもだよ
 naomi> あなたに、だかれたい
 Johnnie> にほんにいけたらいいのに
 そうなのだ。相手が外国人で、直接ぼくに会いに来られないことも、ぼくがJohnnieとのチャットを抜け出せない大きな理由だ。
 naomi> ああ、あなたのふといものを、わたしのなかにいれてほしい
 Johnnie> いれてあげるよ
 naomi> はやくいれて
 今日もJohnnieの局部の写真を見ながら、マスをかこうとしている。最近ぼくは、Johnnieのあの大きなものがぼくの中に入ってくる幻想を持つようになった。ぼくはホモになってしまうんじゃないだろうか?
 その時、押入の中に隠してあるディルドーのことを思い出した。ぼくは、押入からふたつのディルドーを取り出してきてじっと見つめる。
 (これを入れてみたら気持ちがいいんだろうか? 気持ちがいいから、ホモが存在するんだよな)
 そう思うと、むらむらと入れてみたくなった。
 (太い方は無理だよな)
 そう呟きながら、細い方を手に取って、付属の潤滑ジェリーを塗った。穿いていた女物のパンツを脱いで恐る恐る肛門に当ててみる。
 (やっぱり止めよう)
 そう思って、いったんは放り出した。しかし、再びぼくはディルドーを手に取った。胸がどきどきする。
 ゆっくり入れてみた。少し痛かったけど、思ったほどではなかった。ゆっくり出し入れしながら入れていくと、気づいたときには根本まで入っていた。慌てて抜いた。目の前にかざして粘液で濡れたディルドーを見つめた。
 (20センチは入ったみたいだ。結構入るもんだ)
 それで止めれば良かったのに、再びぼくはディルドーを肛門の中に入れた。15センチくらい入れて、出したり入れたりしてみた。何だか、切ないような気持ちになってきて、ペニスが勃起してきた。でもそれ以上にはならなかった。勃起していたペニスも萎えてしまった。
 「ふう」
 こんなものなのだろうかと思った。しかし、こんなものなら、ホモが長続きするはずはないなと考えた。
 Johnnie> ああ、いきそうだ
 naomi> まだよ。まだいかないで
 そう打ち込んで、太い方のディルドーを見つめた。
 (太い方なら、もっと気持ちが良くなるかも・・・・。だけど、こんな太いものが入るのだろうか?)
 そう思ったときには、ぼくはすでに太い方のディルドーを手に取って潤滑ジェリーを塗っていた。
 ごくりと唾を飲み、肛門に当ててみた。少し力を入れて肛門の中へ入れようとしたが、入らなかった。肛門の筋肉が抵抗していた。
 (入りそうもないな)
 それでもぼくは衝動を抑えきれず、肛門の力を抜いてゆっくりとディルドーに力を入れたり抜いたりして、肛門に押しつけてみた。肛門がしだいに開いていくのが分かった。
 ぐりっと痛みが走り、先端が入った。
 (痛い・・・・)
 走って逃げたくなるほど痛い。抜けば痛みがなくなることは分かっていた。しかし、ぼくは抜かなかった。ぼくは口を大きく開けて深呼吸をする。痛みが徐々に遠のいてきた。
 痛みがほとんどなくなるのを待って、ぼくは、さらにゆっくり、少しずつディルドーを押し込んでいった。イボイボが通るたびに痛みが出たが、それほどではなかった。まるで、それを入れる役割をもともと持っているかのように、ぼくの肛門は太いディルドーを飲み込んでいった。
 気が付くと、クリトリスを刺激するために付いている突起がペニスの付け根に当たっていた。この突起は確か先端から20センチのところにあったはずだ。
 (太さを別にすると、Johnnieのものがほぼ入った計算になる)
 そう思ったとたん、ぼくのペニスが勢い良く勃起してきた。
 Johnnie> いきそうだよ
 naomi> わたしも
 その時、ディルドーのスイッチに指が触れたらしく、ぼくの中でディルドーが動き始めた。亀頭がぐりぐり回るモードだった。もの凄い快感がわき上がってきて、ぼくは腹の上に精液をまき散らした。
 男は射精してしまったら、急速に醒めてしまうものなのに、ディルドーが動いているせいか、快感はずっと持続していた。顔は火照り、胸の鼓動が耳元に響いている。
 10分ほどたっても、快感は去らない。ぼくは床の上に仰向けに転がってずっと喘いでいた。あんまり長く続くのもいけないと思い、ぼくはディルドーのスイッチを切って、ゆっくり抜いていった。肛門の筋肉が何度も収縮し、その度に快感が襲ってきた。
 (抜いちゃうと、この快感がなくなるんだなあ)
 そう思うと抜くのを躊躇ってしまう。ようやく抜けたとき、妙な虚脱感に襲われた。ペニスを刺激して射精するより、よっぽど気持ちがよかった。
 「ふうう。ホモの気持ちがよく分かったよ」
 と、呟くような溜息を吐いた。

 それからというもの、ぼくはジョニーとチャットしながら、ディルドーを肛門に差し込んで楽しむようになった。入れるときの痛みは軽くなり、快感は増す一方だった。ますます深みにはまっていく。しかし、抜けられないのだ。

 ジョニーと知り合って半年が経った。ぼくは、間もなく3回生になる。年齢は20歳になったが、まだ女とは寝ていない。
 最近のジョニーとのチャットでは、テレフォンセックスまがいのことは少なくなった。せいぜい週に一度くらいだ。じゃあ、何をやっているかというと、主にお互いに好きな推理小説の話しで盛り上がる。コナン・ドイル、アガサ・クリスティー、エラリー・クイン、エドガー・アラン・ポーなどなど。それに、ジョニーの好きな映画の話題。ぼくは、ジョニーに教えられた映画のビデオを借りてきて、感想を述べると言った具合だ。
 (ぼくとジョニーはホントに気が合う。こんなことなら、女だなんて言わなければ良かったなと思った。だけど、女の振りをしていたから、ジョニーとあのチャットルームで知り合ったわけだし、チャットセックスがなかったら、こんなに仲良くなっていなかったかもしれない。今更白状もできない)

 3月の終わり頃、久しぶりにジョニーとチャットセックスした後、ジョニーがグッバイを言わずに話しかけてきた。
 Johnnie> naomi、いいはなしがあるんだ
 naomi> いいはなしって、なに?
 Johnnie> らいげつ、しごとで、にほんにいくことになった。あってくれるだろう?
 (ええっ!! Johnnieが日本に来る!? 大変だ!!)
 naomi> いつ、くるの?
 Johnnie> 4がつ8にちに、なりたくうこうにつく
 4月8日と言えば、2週間もない。
 naomi> 4がつ8にちね。たのしみにしているわ。
 Johnnie> ぼくもだよ。はやくnaomiにあいたい
 naomi> まってるわ
 取りあえず話を合わしておくしかないのだ。来ても何か事情を付けて会わなければいいのだ。