第3章 ネットおかまのチャットセックス

 「友田。朝だぞ」
 眠い目を開けると、友永の顔が目の前にあった。ぼくは一瞬どっきりする。実は、女装した夢を見ていて、抱かれてキスしている相手が友永だったのだ。どっきりするのは当然だろう。何でまた、相手が友永だったんだろうか? ぼくは首を傾げる。
 「どうかしたか?」
 「い、イヤ。何でもない」
 いくら何でも、こんな夢の話しは、できやしない。
 「コーヒー入れてやるからな」
 「ああ、頼む。いつまでやってたんだ?」
 「えっ?」
 「チャットだよ」
 「ああ、2時間ばっかし」
 「2時間も!」
 「あれから、別の相手とチャットした」
 「やっぱりセックスがらみか?」
 「勿論だよ。そう言うサイトだからな」
 「好きだな、おまえは」
 「男はみんなそうさ。おまえは興味ないのか?」
 「そんなことはないよ。そんなことはないけど、チャットでそんなことをする気持ちにはならないな」
 「そうか? 結構面白いぞ」
 ぼくは肩を竦めた。

 それから、友永は三日続けてぼくのアパートに泊まった。勿論翌日からは自分のトランクス持参だった。自分のアパートでやればいいのにと思うのに、ぼくにはどうも友永の行動パターンが理解できない。友永が泊まるものだから、女装できない。ストレスが溜まる一方だ。
 「友田。今晩は行かないからな」
 午後の講義が終わって、教室を出るなり友永がぼくのそばにやってきて囁いた。
 「何だ。もう飽きたのか?」
 「ま、それもあるが・・・・」
 友永は言葉を濁した。
 「何だよ。何かあったのか?」
 「へへ。実はな。一昨日の夜からチャットやってる女が、この近くに住んでるらしいんだ」
 「へえ」
 ぼくは目を丸くした。
 「で、直接会いたいって、言ってきてさあ」
 「今日はデートって訳だ」
 「その通りなんだ!」
 友永が照れるのを初めて見たような気がする。
 「プロじゃないのか?」
 「違うと思うけどなあ。絶対素人娘だよ」
 「素人娘が、チャットでテレフォンセックスか?」
 「ま、いいじゃないか。うまくいけば、ただでやらしてくれるかも」
 「甘いなあ、友永は。ま、しかし、成功するのを祈ってるよ」
 「性交が成功したら、報告する」
 「ひでえ、ギャグ。親父でもいわねえや」
 「じゃあな」
 友永は、普段は着ないジャケットを羽織って、意気揚々と出掛けていった。そんなにうまくいくのかなと思いながら、友永の後ろ姿を見送った。
 友永が来ないことが分かって、ぼくはさっそく女装した。下着だけだから、女装といえるのかなと思いながら。
 ワンピースが欲しいな。真っ白なワンピースが。

 翌日、友永が迎えに来なかったので、講義に遅刻してしまった。友永も出てきていなかった。
 昼過ぎになって、学食でスパゲティーを頬張っていると、友永がげっそりした顔で姿を現した。
 「元気ないじゃないか。どうしたんだ?」
 「いやあ、参った、参った」
 疲れた様子なのに、言葉は元気だった。ぼくの隣の椅子にどっかりと腰掛けて、煙草に火を点けて話し始めた。
 「それがさあ。昨日会いに行った女って言うのが、話してみると34の未亡人でね」
 「34の未亡人!」
 「去年、旦那さんを癌で亡くしたって言ってた」
 「へえ」
 「これが、いい女でねえ」
 思い出すように、天井を見ながら煙を吐いた。
 「おまえのいい女はあてになんないからなあ」
 「イヤ、いい女だったよ。掛け値なしに。おまえに見せびらかしたいくらいだ」
 テレビのコマーシャルを思い出す。相手の女は、友永を人には会わせたくないだろうななんて思って、心の中で笑った。
 「へえ。それで、したのか?」
 「もちの、ろんよ。1年してないって言ってた。34って言えば、女盛りじゃないか。すごいの何のってなかったよ。朝まで、5回も付き合わされちゃってさあ、起きられなかったんだよ」
 「すげえ」
 「帰りに小遣いまでくれたよ」
 友永は財布の入っているズボンの後ろポケットをぽんと叩いた。いくら貰ったなんて聞けはしなかった。
 「ま、なんと・・・・」
 「また連絡するから、来てくれって言われてるよ」
 「大丈夫かよ」
 「しばらく、金と女には不自由しないですみそうだぜ」
 友永は、ちょっと満足げに右の唇をあげた。

 その日以来、友永は滅多にぼくにアパートに来なくなった。未亡人にのめり込んでいるようだ。同級生たちにもそのことは知られてしまっていた。知られたと言うより、友永自身が、あちこちで得意げに喋り回っているのだ。
 「友田。ホモだちに捨てられたんだって?」
 「ホモだちはもう止め。俺も女を作ろう」
 「おっ! ついに女の良さに気がついたか」
 「頑張るぞ!」
 隣の席で聞いていた女子学生が変な目でぼくの方を見ていた。冗談だってば。俺はホモじゃないよ。

 しかし、アパートに戻って友永が来ないと妙に寂しい。10時頃までいてくれて、帰ったあとに女装できるのが一番なんだけどと思う。孤独って言うのはどうもイヤだ。
 メールチェックが終わったあと、いつものように着替えたところで、ふと思いついた。誰かとチャットでもしてみようかと。
 モデムの電源を入れ、チャットルームを検索する。三つほど、ログインしてみたけれど、やっぱ、あんまり気乗りがしなかった。
 電源を落とそうとして、友永がはまっていたチャットルームに入ってみようと気になった。
 履歴を探ってログインしてみた。かなりいかがわしそうな雰囲気のサイトだ。最初にプロフィールを登録するところがあった。登録後のチャットは、男は有料、女は無料のようだ。まさにテレクラだ。有料と言ってもそんなに高くはないようだけど、お金が勿体ないし、今は女物の下着を着ている。女で登録することにした。
 ぼくの名前は、直之。ちょっと考えて、名前はnaomiにした。年齢20歳。一歳だけさばを読んだことになる。職業OL。OLなら何でも通じるからだ。住所と、電話番号は空欄にした。これは当然。趣味は、ありきたりの読書に音楽鑑賞。ま、こんなもんだろう。
 チャットルームに入ると、早速声(?)が掛かった。テレクラと一緒で、男と女が繋がると、他の男たちは拒絶され、メインフレームから切り離されて、ふたりだけでチャットできるようになっている。
 tosi> こんばんわ。ぼく、tosiです。
 naomi> こんばんわ。初めまして。naomiです。
 tosi> プロフィールを見ると、20歳のOLって言うことだけど、どこに勤めてるの?
 naomi> ノーコメントよ。
 女言葉に気遣いながら、キーボードを打つ。
 tosi> 冷たいなあ。
 naomi> 押し掛けられると困るもの。
 tosi> そりゃそうだ。じゃあ、スリーサイズ教えてよ。プロフィール欄に書いてなかっただろう?
 naomi> スリーサイズを言わなきゃいけないの?
 tosi> そう。この部屋のお決まりだよ。
 naomi> ほんとに?
 tosi> そう。それがルール。
 ホントかなと思いながら、どうせ嘘つくんだから、どうでもいいやと思っていた。
 naomi> 上からね。
 tosi> そうそう。バストはいくつ?
 naomi> バストはねえ。84よ。
 tosi> 84。すると、Cカップ?
 大きいと言った方が喜ぶかもしれないが、小さいと言った方が、真実味があると思ってこうキーボ−ドを打った。
 naomi> 残念ながら、Bなの。がっかりした?
 tosi> いや、そんなことないよ。正直でいいよ。DだのEだの、嘘つく女の子が多いからね。
 naomi> あら、嘘つけば良かったわ。
 tosi> 嘘は泥棒の始まりだよ。で、ウエストは?
 naomi> ウエスト、太いから言いたくないんだけど。
 tosi> 少しはサバ読んでもいいよ。
 naomi> 正直に言うわ。62よ。
 tosi> 62なら、いいんじゃないの?
 naomi> でも、少し前は58だったから
 tosi> わおう。58なら最高!!
 naomi> 少しダイエットしなくちゃって、思ってるんだけど。
 tosi> で、ヒップは?
 naomi> ヒップはねえ、88なの。ちょっと大きいでしょう?
 tosi> そんなことない、そんなことない。安産タイプでいいよ。
 Bカップで、ウエストがやや太め、ヒップが大きい女の子。これなら、信じて貰えそうだと、ぼくはほくそ笑んだ。
 naomi> あなたのプロフィールは?
 tosi> ぼくですか? ぼくのは、18センチだよ。
 naomi> 18センチ? 小人さんなの?
 tosi> はは、面白いこと言うね。ぼくのあれのサイズだよ。
 naomi> あれって、あれが18センチもあるの?
 tosi> そうだよ。ぼくの自慢なんだ。
 naomi> すごいわ。
 18センチというのは、嘘つくときの定番かなと思っていた。友永が自分のは18センチだと書き込んでいたからだ。
 tosi> 堅さもすごいよ。
 naomi> ホントに?
 tosi> ああ。ダイアモンドくらい硬い。
 naomi> そんなに大きくて堅いの、触ってみたい。
 tosi> 触らせてあげるよ。ほら、今、出したよ。すごいだろう?
 そう言われて、どう答えたらいいんだろうか? 目の前に思い浮かべろと言う訳なんだろうが・・・・。
 naomi> ちょっと想像できないわ。
 tosi> 根元から手で握るんだ。両手で握って、頭が出るくらいだよ。
 どうせホントじゃないくせに、良く言うよ。ぼくは鼻で笑っていた。
 naomi> 両手で握って、頭が出る位なのね。実感できたわ。わたしの彼、片手で隠れるくらいだったもの。あなたの、すっごく大きいのね。
 tosi> 片手で隠れる? 可哀想。ぼくのこの大きなものを君に入れてあげるよ。
 naomi> 入れるのはまだ早いわ。わたしが、嘗めてあげる。
 tosi> 嘗めてくれるの? 嬉しいよ。
 naomi> ここ感じるかしら? 裏筋って言うのかな?
 tosi> いい。そこ感じるよ。
 このtosiって言う男、モニターの前で何をやっているのだろうか? この前の友永のように、ペニスを引っぱり出して、自分で摩擦してるんだろうなと思うと、思わず笑ってしまった。
 naomi> たまたまも嘗めてあげるね。
 tosi> 感じるよ。
 naomi> 口に入いんないわ。
 tosi> ああ、その舌使い。堪らないよ。
 naomi> 何か出てきたよ。
 tosi> 分かる? もう出そうだよ。
 naomi> 出して。わたしの口の中に。
 返事が戻ってこない。恐らく、モニターの前で果てたんだろう。こんな事で行ってしまうなんて、単純なやつだ。ぼくは、チャットルームから、ログアウトした。ぼく自身は射精しなかったけど、相手の男をいかせるのも結構面白い。
 (明日もやってみよう)

 翌日、大学から帰ると、さっそくチャットルームログインした。
 Johnnie> Hallow Naomi. My name is Johnnie.
 (げっ! 英語だよ。外人さんかよ。どうしよう。困ったなあ)
 ぼくは、返事を躊躇っていた。
 Johnnie> Hey, Naomi. What do you doing?
仕方なく、ぼくは返事をすることにした。昨日も騙し通せたんだから、今日も大丈夫だろうと高をくくって。
 (でも、英語、上手くないんだけどなあ。しかし、何とかしてみよう)
 naomi> How do you do, Johnnie.
 Johnnie> にほんご、わかるよ。ただし、ひらがなだけね。
 日本語ができる。良かった。ま、取り敢えずお相手してやろう。
 naomi> よかった。わたし、えいご、あんまり、うまくないの。
 Johnnie> ちょっとの、あいだ、はなしをしてくれる?
 naomi> いいわよ
 Johnnie> OLとぷろふぃーるに、かいてあったけど、なにしているの?
 naomi> ないしょよ。
 Johnnie> ないしょ? そう。なんだろうね。でぱーとがーるかな?
 naomi> ないしょ、ないしょ。
 Johnnie> こいびと、いるの?
 naomi> いませんよ。いたら、こんなところに、でてきません。
 Johnnie> おーけー、りかいした。どこに、すんでるの?
 naomi> おしえられないけど、かんとうちほうだよ。
 Johnnie> かんとうちほう?
 naomi> とうきょうにちかいところよ。
 Johnnie> ああ、わかった。でも、かなりひろいよ。
 naomi> だから、ないしょなの。
 Johnnie> ひみつしゅぎなんだね。
 naomi> こんなところに、でているんだもの。ひとに、しられたくないのよ。
 Johnnie> へえ、そんなものなの? さんふらんしすこでは、そんなことはないよ。こういったところでであって、じっさいにでーとするかっぷるもおおいよ。
 naomi> そうなんですか。
 友永を思い出す。サンフランシスコの人なら、少しくらいばらしても大丈夫だなと判断した。
 naomi> じゃあ、いまは、さんふらんしすこから、でているんですか?
 Johnnie> そうだよ。あさのたいそうがおわって、ちょうしょくができるのをまっているんだ。わかる?
 naomi> わかるわよ。わたしのすんでるところは、ちばけんのいちかわしです。それいじょうはだめ。
 Johnnie> ちばのいちかわだね。ちずでみると、とうきょうのちかくだね。
 naomi> すぐちかくですよ。Johnnieさんのおしごとはなんですか?
 Johnnie> ないしょ。
 naomi> あら。おかえしされちゃった
 Johnnie> naomiとおなじね
 naomi> ふふ。あめりかのひとって、おおきいんでしょうね。
 返事が戻ってこない。あんまり大きくないんだろうか? どうしたんだろうと思っていると、返事が来た。
 Johnnie> 190せんちくらいかな?
 190センチ? 一瞬戸惑ってしまった。どうやら身長のことらしい。ぼくは、あれのサイズを聞いたつもりなんだけど。
 モニターに打ち込んだ文字を見返すと、確かにそう取れないこともない。・・・・向こうの人は、フィートを使うから、センチメートルに換算していたんだなと理解する。結構生真面目な人らしい。騙すのは悪いなと思いながら、始まってしまったから、このまま話しを続けることにした。
 naomi> すごく、せがたかいのね。
 Johnnie> そうでもないよ。ぼくのともだちは、みんなぼくくらいだよ。・・・・もしかして、ぼくのぺにすさいずをきいたの?
 naomi> はい。それをきいたつもりだったんですけど。
 Johnnie> ははは。とんだごかいをしてしまった。190せんちもあったら、あるけないよね。
 naomi> ほんと。
 Johnnie> 9いんちだよ。
 (9インチ!? ちょっと待てよ。1インチは、確か2.54センチだったよな)
 とぼくは考える。机の上にあった紙で計算する。2.54かけ9は・・・・、シク36。ゴク45。・・・・22.86センチ!!!
 (冗談だろう?)
 Johnnie> Naomi、どうかした?
 naomi> 9いんちって、ほんとですか?
 Johnnie> ほんとだよ
 naomi> そんなおおきなひと、みたことがないわ
 Johnnie> ぼくのともだちには、もっとおおきなひといるよ
 さすがアメリカ人。スケールが違うよ。ぼくは、モニターを見ながら感心していた。
 naomi> ふといんでしょうね
 Johnnie> ふとさ? ちょっけいは、2いんちちょっと
 5センチ以上って事だ。一寸というのがくせ者だが・・・・。
 naomi> そんなにおおきかったら、くちにはいらないわ
 Johnnie> そうでもないよ。きみなら、だいじょうぶさ。
 naomi> どうしてわかるの?
 Johnnie> そんなきがするんだ
 指を三本並べて定規で測ってみると5センチちょっとだった。そのまま口の中に入れてみた。顎が痛い。しかも、歯が指に当たって痛い。これがペニスなら、相手は痛くて堪らないだろう。そんなことをやりながら、なんて馬鹿なことをやってるんだと顔が赤くなった。実際にやるわけじゃないんだから。
 naomi> とてもむりだわ
 Johnnie> きみのくちに、ぼくのぺにすが、のみこまれていることを、そうぞうしているよ
 話しを合わせておくことにした。どうせ、夢想の世界なんだから。
 naomi> そう。わたしのくちのなかに、あなたの、おおきなぺにすがいるわ
 Johnnie> したをつかっておくれ
 naomi> たっぷりなめてあげるわ
 Johnnie> いいなあ。さいこうのしたづかいだよ
 naomi> ふくろもなめてあげるわね
 Johnnie> ふくろ?
 naomi> こうがんがあるところよ
 Johnnie> いいね。たのむよ
 naomi> ぺにすもおおきいいけど、たまたまもおおきいわね
 Johnnie> いいきもちだ
 naomi> わたし、ぬれてきたわ。きもちがわるいくらいよ
 Johnnie> きみのじゅーすをすってあげるよ
 naomi> おねがい。すって
 今日は、何だかむらむらしてきて、女物のパンツの横からペニスを取り出すとしごき始めた。
 Johnnie> かわいいぷっしーだ
 naomi> はずかしい
 片手でしごきながら、ワンフィンガーで入力していった。変換しないですむから、入力は比較的簡単だ。
 Johnnie> いれてもいいかな
 naomi> はいるかしら? あなたみたいにおおきなもの、いれたことがないのよ
 Johnnie> いくよ
 naomi> いいわ
 Johnnie> どうだい?
 naomi> こしがさけそう
 Johnnie> ああ、よくしまるよ。きみはさいこうだ
 naomi> いいきもちよ
 Johnnie> ちょうしょくのじかんだ。きょうはこれまでにしよう。Naomiがきにいった。またあいてをしてくれ。
 突然真面目な調子に変わってしまった。ぼくは、ちょっと唖然とした。朝食の準備ができるのを待っているって言ってたから、仕方がないのかもしれない。
 naomi> わかったわ
 そう打ち込んで、ログアウトした。女物のパンツから覗いたペニスがまだ勃起したままだった。ぼくは、自分にはない腟の中に、Johnnieと言う外国人の大きなペニスが入っている妄想を描きながらマスをかいた。すごい勢いで出たから、着ていたものが汚れてしまった。気怠い体を引きずって、脱いだものを洗濯機の中に放り込んだ。