腹ごしらえが終わったのは、午後5時50分。デパートに向かう途中、少しは役に立つだろうと思って、カロリーメイトを一箱買った。
デパートの中に入り、買い物客を装って、エスカレーターを昇る。書籍コーナーで立ち読みして時間をつぶしていると、蛍の光が流れ始めた。店員たちは閉店の準備にかかり、お客たちは、出口へと向かう。
わたしは、例の4階の隠れ家へと向かった。この場所は、はっきり言ってごみためみたいなものだ。ダンボールの空き箱が重ねられて置かれている。その奥の空間に隠れられそうなのだ。盗んだ制服もそこに置いてある。ごそごそと這って行くと、盗んだ制服はそこにまだあった。これが見つかっていないと言うことは、この付近は調べないと言うことだ。少し安心した。
音を立てないように、蹲って待つ。20分ほどして、足音が近づいてきた。わたしの仲間のガードマンが、お客や怪しい人物が残っていないか調べているのだ。懐中電灯の光が一瞬過ぎり、足音が遠のいて行った。これでしばらくは大丈夫だ。
このビルの警備システムは、原則として外からの侵入者に備えている。中に残っていることなど想定していない。いや、想定していないことはない。午前0時前後と午前3時、午前6時ごろに巡回がある。巡回のタイムスケジュール、道順は、わたしには分かっている。防犯カメラもあるが、万引の監視が目的だから、開店している時間帯だけ作動していて、その他の時間は、スイッチが切られている。その合間を縫って7階へ上がり、マネキンと入れ替わればいいのだ。
時間は遅々として進まない。わたしは少し仮眠をとることにした。
午前3時の巡回が通り過ぎた。変な格好で固い床の上に寝ていたから体のあちこちが痛い。踊り場に出て、伸びをした。カロリーメイトで腹ごしらえをしてから、わたしは行動を起こした。6時の巡回がすんでからでは遅すぎるのだ。7時過ぎには、早出の従業員がやってくる可能性があるのだ。それに、気の早いガードマンが、防犯カメラのスイッチを入れることも考えられる。
靴を脱いで制服とともに隠し、止まっているエスカレーターを7階まで昇る。目的の場所には、マネキンたちが幽霊のように立っていた。
マネキン人形は全部で5体。当初は、後ろに立っているマネキンにしようと思ったのだが、長い時間直立のままなんて、かえってできないと思った。ふらふらし出したら、見つかってしまう。中腰のマネキンは、論外だ。
前の2体が椅子に座っている。向かって右側のものは、殆ど裸同然だ。腹部が露出しているから、呼吸しているのがばれてしまう。左側のものは、ふわりとしたドレスを着ているから、ばれる可能性が低い。それに、そのマネキンは、ちょうどわたしが立つ予定の位置の真後ろに設置されている。
マネキンの姿勢を記憶したあと、マネキンを通路に持ち出して着ているものを脱がせた。かなり派手なピンク色のドレスだ。こんなもの着るなんて、思ってもみなかった。
着ていたワンピースを脱いで、マネキンから脱がせた真っ白なパンストを穿き、ピンクのドレスを着てから、髪の毛を束ねてマネキンのしていた緑色のロングのウイッグをかぶる。二の腕まで届く長いレースの手袋をして、変身終了。ちょっとポーズを取ってみた。透明なガラスが、暗闇で鏡代わりになっている。結構いけるじゃないか。
裸になったマネキンを、階段の後ろへと持って行った。ここには、裸のマネキンがいくつか置かれている。木は森の中へ隠せだ。
脱いだワンピースを6階へ隠しに行く。4階の盗んだ制服とは別のところに隠した。逃げるときの用心のためだ。
派手なドレスを着た女が、停まったエスカレーターを夜中に上下する。ミステリーじみているなと思った。
非常灯の明かりで照らしながら、コンパクトを覗きながら露出した顔に白いファウンデーションを塗った。塗りむらはないとは思うが・・・・。ピンク色の口紅を塗って出来上がりだ。
午前5時半になった。わたしは、マネキンに成りすまして、ガードマンの巡回を待った。午前5時55分。ガードマンが、わたしの前を通り過ぎていった。気がつかなかった。ホッと胸を撫で下ろす。第一関門突破だ。明るくなってきたとき、見破られないかが問題だ。
午前6時半、あたりが明るくなってきた。わたしは、トイレへと向かう。鏡に映してみて、ファウンデーションを塗りなおした。完璧だ。これで、パントマイムのようにじっとして動かなければ、誰にも気づかれないだろう。
人が来るまでは力を抜いていたが、8時半を過ぎてから、予想通り従業員がやってき始めた。9時前から、警察官が3人上がってきた。
わたしは、つばも飲み込まずに、じっと前方を見つめていた。唇が乾く。舌でなめたいところだが、じっと我慢する。座ったままじっとしているのも、結構つらい。尾蹄骨に痺れが出てきた。
わたしが、わたしになった大島渚がエスカレーターを上がってきた。この場で取り押さえて、あの屋敷に戻る? とても無理だ。わたしは女。あいつは男。それに、わたしは普段鍛えてあるから、体力的に絶対敵わないのだ。
あの時考えたことはやはり正解だった。もしわたしが、あの大男と入れ替わっていたら、今簡単にわたし自身を捕まえられるだろう。女がわたしと入れ替わったのは、計算された行動なのだ。
それに、今出て行っても、わたしになった大島渚がテロをしようとしている証拠がない。マネキンに化けた女が、変なことをやったと誤解されるだけで、テロは阻止できないだろう。
「お疲れ様です」
「大沢さん自ら、警備ですか?」
「不祥事があっては大変ですから・・・・」
「ま、われわれもいますから。大沢さんは、そこでじっとしていればいいですよ」
「それですむことを期待してます」
「じゃあ、そろそろ来る頃ですから」
あの警察官は、刑事部長の柳田だ。結構仲良くしてもらっている。わたしが、このテロ行為を阻止できなかったら、柳田は、わたし、大沢光博にどんな感情を持つだろうか? 絶対阻止しなければ。わたしの名誉のために。
警察官たちに緊張が走る。無線で外国の要人たちが上がってくると連絡があったのだ。フロアには、テレビカメラを抱えた報道陣や、テープカットに招待されたらしい一般客が数十人いる。ほかの一般客は、足止めを食っているのだろう。
チンと音がして、エレベーターのドアが開いた。最初に降りてきたのは、制服を着た佐々木だ。佐々木が先頭に立って、要人達を導いている。デパートの関係者たち、美術関係の来客も続々と上がってきた。
わたしになった大島渚は、まだ動かない。五メーターほど前で、美術展開催のテープカットが行われるのだ。その時を待っているのだ。わたしは、大島渚が動き出すまで、体勢を整えて、じっと待った。
わたしになった大島渚が立っている位置は、何と言う好位置だろうか? 目の前に外国の要人が無防備な姿で曝されていた。
わたしになった大島渚の手が、周りの人間に気取られないように動く。ポケットから取り出されたのは、一昨日、わたしが突きつけられたサイレンサー付きの銃だ。
主催者の挨拶が続く。
「このような、・・・国の、門外不出の作品を展示いただけることは・・・・」
わたしになった大島渚は、まだ動かない。主催者の挨拶が終わると、周りをゆっくり見回した。狙撃して、逃げる算段をしているのだ。
その時、わたしをじっと見ている視線に気がついた。体は動かさずに、目だけをその方向に向けてみた。そこには、幼稚園児らしい女の子が立っていた。
「ママ、ママ」
女の子は、着飾った母親らしい女のスカートのすそを引っ張って、わたしのほうを指差した。
「何よ。静かにしていなさい」
「ママ、あのお人形・・・・」
「お人形がどうしたの?」
気づかれた。どうしよう・・・・。
「ただ今から、・・・国大使によりますテープカットを行います」
大使と呼ばれた大柄な外国人が歩み出た。その時、わたしになった大島渚が動いた。銃を構える。誰も気づかない。
女の子の母親も、わたしが化けている人形がおかしいと気づいたようだ。しかし、もう人形の真似をしている必要はない。狙撃を阻止しなければ・・・・。わたしは飛び出して、わたし自身の腕に飛びついた。それと同時に、ブシュッ、ブシュッ、ブシュッと発砲する音がした。
わあっと言う叫び声。一般客は、蛛の子を散らすようにわたしたちの周りから逃げる。わたしは、床にたたきつけられた。やはり力では敵わなかった。銃の方向は変えられたと思うが、大使は大丈夫だろうか?
「おまえは・・・・」
わたしが、わたしに呟く。わたしに銃を向けていたが、撃つはずがないと思っていた。何しろ自分の体なのだから。
「大使は無事か?」
わたしになった大島渚が叫ぶ。
「大丈夫だ。佐々木が怪我をした」
佐々木に中ったのか? しかし、怪我と言った。命には別状ないだろう。大使は大丈夫だと言った。良かった。阻止できた。
「この女が犯人だ。取り押さえてくれ! 銃は取り上げた」
ええっ!? そんな馬鹿な! そう思ったが、周りのものは、その言葉を信じたようだ。わたしになった大島渚が、大使に向かって発砲するところを見ていなかったのだ。
わたしに迫ってくる警察官を見て、わたしは逃げなきゃと思った。捕まったら、狙撃犯として処罰されてしまう。咄嗟のことで、それしか考えられなかった。
わたしは、履いていたハイヒールを飛び掛ってきた警察官に投げつけると、警備の薄い売り場方向へ逃げ出した。こちらには、数人のお客と女子従業員しかいない。わたしを阻止するものはいない。外国と違って、銃で狙撃されることもない。
「逃げたぞ。追いかけろ」
「出口を固めろ」
怒号が舞う。わたしは、裏にある階段を駆け下りた。スケジュール通りなら、この階段には、警備のものはいないはずだ。
6階で、ちょうど開いた従業員用のエレベータに飛び乗り、中でドレスとパンスト、ウイッグを脱ぎ、手袋を放り出した。わたしは下着姿だ。このまま捕まったら、ちょっと恥ずかしいなと思った。
4階でエレベーターを停め、外を覗いてみた。誰もいない。わたしは、下着姿のまま、盗んだ制服のある場所へ急いだ。
制服はそのまま隠した場所にあった。ここまで、誰にも見つからないなんて、何と言う幸運だ。
わたしは、急いで制服を身に付けた。パンストがない。パンストは6階に置いた。女はパンストを履いていないと不自然だが、ないものは仕方がない。
それから、すまして女子トイレへ入って、急いで、顔を洗った。白のファウンデーションを落とした方がいい。ティッシュペーパーで顔を拭く。それから、制服のポケットに入れておいた真っ赤な口紅を塗った。鏡に映して、髪の毛を整え、服装を点検する。大丈夫。落ち着け、落ち着け。わたしは、ふうと深呼吸した。
トイレの個室から、女子従業員が出てきた。手を洗うと、わたしに会釈して出て行った。不審に思われなかったようだ。
どやどやと足音が近づいてきた。わたしは、思わずトイレの個室に逃げ込んだ。足音が近づいてくる。
「どなたか、入ってますか?」
返事をしないと、かえって不審に思われる。
「はい。どうして、男の人がここにいるんですか?」
「警察のものです。ちょっと出てきてもらえますか?」
「待ってください。すぐに出ますから」
ばれるだろうか? ここまで、誰にも見つからないと言う幸運に恵まれたけれど・・・・。
トイレの水を流し、服装を整える振りをして、外に出た。
「ピンク色のドレスを着た女を見ませんでしたか?」
「いえ。・・・・何かあったのですか?」
「見なかったのならいいです。もし見かけたら、最寄の警察官に連絡してください」
「分かりました」
警察官たちは、ばたばたと出て行った。男はよほど興味がない限り、パンストを穿いているかどうかなんて気が付かないものだ。安堵のため息が出た。
わたしになった大島渚はどうしているだろうか? 今ごろ、わたしの狙撃を阻止した英雄だと祭り上げられているだろうか?
いや、わたしが捕まれば、狙撃したのが、わたしになった大島渚だと証言するのが分かっているはずだから、もう逃げ出しているのに違いない。入れ替わったことは信じてもらえなくても、狙撃したのがわたしになった大島渚だということは、硝煙反応と調べればすぐに分かることなのだ。
しまった! そうだった!! あの時、すぐにその事に気づいていれば、わたしになった大島渚を取り押さえてもらえたのに、気が動転していて、逃げ出すことしか頭に浮かばなかった。なんてわたしは馬鹿なんだ! 後悔先に立たずとは、このことだ。
わたしになった大島渚は、逃げ出してどうするのだろうか? 屋敷に戻っても、元に戻る体がないのに・・・・。
わたしならどうするか? 大島渚になったわたしが警察に捕まった場合、屋敷に警察官を連れて行くのは目に見えている。もし捕まりたくなければ、元に戻ることを諦めて逃げる。捕まってもいいから、女に戻りたければ、屋敷で待っている。
もし、わたしが捕まらなければ、・・・・捕まらないと言うことは、わたしが警察には連絡しないと言うことだ。そうすると、元に戻るために必ず屋敷の戻って行くはずだから、屋敷で待ち伏せする。
しばらく隠れて、わたしが捕まるかどうか様子を見ているだろう。その上で、どうするかを選択するに違いない。
わたしはどうするのが一番いいだろうか? もし、捕まった場合、説明するのに時間が掛かるだろう。その間に、わたしになった大島渚が元に戻ることを諦めてどこかへ逃げてしまったら、わたしは元に戻れなくなってしまう。もし、捕まらなければ、彼女は屋敷でわたしを待つはずだ。となると、絶対捕まるわけにはいかない。
救急車のサイレンが近づいてきた。佐々木を運ぶために来たのに違いない。重傷でなければいいが・・・・。
わたしは階段を上り、5階のおもちゃ売り場へと向かう。まだ午前中のせいか、それほど多くないが、小さな子供たちで賑わっている。7階での騒ぎが嘘のように平和だ。従業員たちも、7階で起きた事件のことはまだ知らされていないらしく、のんびりしたものだ。
「すみません。田中と言います。4階から、こちらへ手伝いに行けと言われました」
4階は、家具売り場だ。5階に比べていつも閑なフロアだ。人員を忙しい部署に廻すのは不思議なことではない。
「助かるわ。そのおもちゃ、包装してもらえる?」
「はい」
就職したての若い頃は、給料が安かったから、ガードマンの仕事が終わってからアルバイトをやっていた。おもちゃの入った箱に包装紙をかけることなど、お手の物だ。わたしは、事件のことを頭から振り払うように、せっせと包装に集中した。
11時半まで、従業員を装っておもちゃ売り場に潜んでいた。昼前になって、客足が少なくなってきたのを見計らって、わたしは売り場主任らしい従業員に声を掛けた。
「ちょっと、おトイレに行って来ます」
「いいわよ。ついでに休憩してきなさい」
「分かりました。そうさせていただきます」
すたすたとトイレへ向かう。誰も不審には思っていないようだ。
実際にトイレで用を足したあと、階段で7階まで上ってみた。現場検証をまだやっているようだが、わたしになった大島渚の姿はない。今どこにいるのだろうか? わたしが捕まらないと思って、円城寺の屋敷に向かっているのかもしれない。
「あの、これ頂きたいんですけど」
中年の女性から声を掛けられた。わたしは、躊躇いもせずにレジへ向かうことにした。
「こちらへどうぞ。これ、お願いね」
レジにいる従業員へ手渡す。
「あら? あなた、この階の人じゃないわね」
こんな大きなデパートでは、従業員が、全ての従業員の顔を知っているわけがない。わたしは、その従業員の問いには答えず、声を落としてその従業員に聞いた。
「何か事件があったそうね。昼休みになったから、ちょっと様子を見にきたの」
女は井戸端会議が大好きだ。わたしの身元の詮索よりも、こんな話題の方に、すぐに乗ってきた。
「そうなのよ。美術展のテープカットのとき、女が銃で狙撃したらしいのよ」
「女が!? 銃で狙撃!」
わたしは、ビックリしたような声をあげる。
「あそこにあった、マネキンに成りすましていたのよ。わたし、ぜんぜん気がつかなかったわ」
「マネキンに! へえ、そうなの」
「早くしてくれません!」
先ほどのお客が目を吊り上げていた。
「も、申し訳ありません」
従業員は、レジを打ち始めた。
わたしは、つかつかと事件現場付近へと向かって歩いていき、服を選んでいた女性客に声を掛けて、助ける振りをした。
警察官が、ひそひそと話しこんでいるのが目に入ったのだ。わたしは、盗み聞きして、わたしになった大島渚の行方が少しでも分からないかと思った。
「さっき、連絡があったんだが、狙撃したのは、女じゃないらしいぞ」
わたしは、ちょっとビックリする。
「朝日テレビが、狙撃の瞬間を撮っていたらしいんだ」
「ほう、そうか。じゃあ、誰が狙撃したんだ?」
「女から銃を取り上げたと言っていたガードマンらしい」
「何だって?」
「女は、狙撃を止めに入ったって言うことだ」
「狙撃を止めたねえ。女は、マネキンに成りすましてたんだろう? 偶然止めたって訳じゃないみたいだな」
「狙撃を止めるためにマネキンに化けていたようだと言ってたなあ」
「どうして、狙撃するのを知っていたのかな?」
「わからんなあ。女に直接事情を聞いてみるしかないだろう」
「ふうん、そうか」
「とりあえず、女よりも、そのガードマンをとっ捕まえんといかんのだが、会社に帰ると言ってデパートを出てから、雲隠れしたらしい」
「ほう」
「ここの検証がすんだら、そっちの捜索に回れってことだ」
「了解」
わたしになった大島渚が狙撃したことを知られてしまったようだ。元に戻ったとき困るぞ。・・・・ほんとに困った。
とりあえず5階のおもちゃ売り場に戻ることにした。階段を下りて、5階のフロアを歩いていると、同じ階にある電気製品売り場のテレビが、お昼のニュースを流していた。狙撃事件が大々的に扱われている。
「・・・・当初、事件現場のマネキンに成りすましていた女性が狙撃したとの情報がありましたが、わが社のカメラマンが捕らえた映像に、警備にあたっていたガードマンが狙撃する様子が写っておりました」
テレビ画面がアナウンサーから、録画画面へと変わった。大使の横顔。佐々木らしい顔も見える。真正面の警察官の後ろに銃を構えたわたし、大沢光博の顔。なかなか発砲しない。やはり人を撃つと言うことを躊躇っているのだろうか? ピンク色のドレスを着たマネキンが立ち上がり、銃を持った手に掴みかかる。銃が発射され、画面が揺れる。
「県警は、・・・大使狙撃犯として、大光警備保障のガードマン、大沢光博を指名手配し行方を追う一方、動機、銃の入手経路についても捜査を始めました。なお、狙撃を阻止した女性についても、何らかの情報を知っているものとして、行方を追っています」
警察官たちのひそひそ話が現実となって、わたしはうろたえた。どうしたらいいのだろうか?
今のわたしは、捜索されてはいるものの、狙撃犯として追われることはなくなった。代わりに大沢光博が追われることになってしまった。