身長百六十センチ。体重五十・五キロ。顔もほぼ変化なし。若返りは完全に止まった。しかし、変化はまだ完全には止まっていない。見かけの変化は止まったので、美奈子は安心したようだが、わたしは戦戦恐恐としている。
さっき身長と体重を量る前に、寝室で手鏡をかざして股間を覗いて見た。ペニスは小さな隆起に変わっていた。その下方にあるものは、もはや女性のものだった。肛門の前のへこみは外から観察できないくらいに深くなっていた。指を入れて深さを確かめようとしたが、痛くて確かめられなかった。少なくとも中指の第一関節までの長さよりは深いようだった。腟まで出来るというのだろうか? 胸が少し膨らんできたようにも思える。どうなるのだろう。わたしは女になってしまうのだろうか? 鏡に映る顔もなんとなく優しげで女らしくなっている。そう言えば、月曜日から髭を剃っていないのにぜんぜん伸びてこない。美奈子は、わたしの顔を見て、少し首をかしげながら登校していった。
この姿では、もう外には出る勇気がない。一日中テレビを見て過ごした。警察もついに大日本ゼウス薬品の失踪者が社長だけでないことに気づいたようだ。うちにやって来るのは時間の問題だ。来たにしても今のわたしが西崎利明だとは誰も気づくまい。警察や報道関係者が来た時のことを想定して、答えを用意しておくことにする。
帰ってきた美奈子に、警察が来た時にどう話すか教えておいた。わたしはあくまで失踪したのだ。社長のほかに、北田所長、わたしの前に研究所に赴任した五人、それにもしかしたら柳本という研究員もいなくなっている可能性がある。これだけいなくなっておれば、捜査しない筈はない。
風呂に入った。鏡に裸の自分の姿を映してみて、びっくりした。知らずに見れば、ほとんど完全に女だ。胸は小さいが、今朝よりは大きくなっている。美奈子に見つからないように急いで体を洗って、だぶだぶのパジャマを選んで着てベッドルームに引っ込んだ。
「お父さん、今日は飲まないの?」
「今日は止めとく。たまにはお休みしないと肝臓に悪いからな」
どうしよう。美奈子に自分の変化を話すべきだろうか? 今のままでは何れ気づくだろうが・・・・。