仁美にキスされて目が覚めた。これまで経験したことのないすばらしい目覚めだった。
「夢じゃないわね」
「夢じゃないみたいだね」
仁美がにっこりと微笑んだ。
「どうなってるのかしら?」
「ぜんぜん分からないよ」
「仁美、愛してるわ」
「ぼくもだ」
起き出す前に、またしてしまった。
(両親に聞こえなかったかしら?)
着替えて両親と一緒に朝食を済ませると、ぼくと仁美は両親に挨拶して、仁美のマンションへ戻った。
結婚式は来年の3月にしてくれることになった。入籍もそれまで待ちなさいと言われたが、一緒に住むことは許可してくれた。
帰り際、母がこっそりぼくに耳打ちした。母の口からそんな言葉を聞こう何て、思っても見なかった。
「結婚式が済むまでは、避妊をきちんとするのよ。世間体が悪いから」
ぼくは赤くなってしまった。こんなぼくが子供を産めるのだろうかと、ちょっと心配になった。
けれど、仁美のマンションに着くなり、ぼくは生理になってしまった。生理があるということは、ぼくは子供を産むことができそうだ。仁美の子供を産めるかもしれないと思うと、嬉しくて舞い上がりそうになった。
誰が送ってきたのか知らないけれど、あの薬のお蔭で、ぼくは本当に素晴らしい人生が送れそうだ。